大昔の話とフィクションはほぼ区別がつかない(野球編)

2018年2月2日

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この間、おおはまくんと亀戸に純レバ丼を食べに行った時、
ガールズ&パンツァーの元ネタは高校野球なので、西住みほが野球の英才教育を受けて高校野球をやる話を見てみたい
という話で、飲食店で待ってる間に盛り上がった。

 

その際の、彼の中での西住しほの設定が
「体を壊してプロであまり活躍できなかった選手が、家で英才教育を施して西住まほ・みほを育て上げた。」
みたいな設定。

 

これを聞きながら、野球ファンのぼくは
「え?そこまでなら巨人の星だよね?フィクションとしてはすごい古典で、逆にありふれてるよね?
というツッコミを入れた。

 

…すると、彼なりに捻った結果、野球版ガルパンでの西住みほの位置づけはこんなふうになった。
「英才教育を施した結果どんな投法でも投げられる投手にする。オーバー・サイド・アンダー…全部投げられる投手。こんな人、いないでしょ?」

…確かに今はいない。
そして、プロ野球が大衆のスポーツになってからも、著名な人の中にはいない。

ただねぇ…いないかと言われると…いたんだよなぁ~。

 

戦前の野球、マジでマンガみたいだから調べてるだけで面白い。

オーバー・サイド・アンダーからプロで投げた投手は…実はいる。

ただし、戦前に活躍した沢村栄治とヴィクトル・スタルヒンまで時代はさかのぼる。

 

沢村栄治は、巨人の永久欠番で、沢村賞にもなってるあの沢村栄治。

元々オーバースローの投手で、伝説を打ち立ててきたが…徴兵によって戦場で手榴弾を投げまくった結果肩を痛めてサイドスローに。
サイドスローでもかなりの好成績を収めた沢村だったが、予備役でサイドスローからも投げられなくなり、アンダースローに転向。

さすがにアンダースローでは制球力がつかなくてほとんど出場機会はなかったそうだが、それでも4試合に登板している。
周囲の勧めで引退したものの、本人はアンダースローでもやれる自信があったようで、巨人をクビになったあと移籍も考えていたそうな…。

クビになったあと再び徴兵で戦地へ行き、亡くなって、10年後に永久欠番と沢村賞の設置されている。
永久欠番は沢村自身の優秀さもさることながら、戦前活躍したけど戦争で亡くなったり、戦争のせいで野球ができなくなった人達を代表して永久欠番が作られた部分が大きい。

これだけでもマンガみたいなのだが、「オーバースローで160キロ以上投げられた」と言われているため、野球の世界では神話の人物のような扱いを受けている。

 

もう一人のスタルヒンの方は、旭川スタルヒン球場のあのスタルヒン。
彼も経歴が変わってて、亡命したロシア人一家の一人…ということがあって、戦争中は日本人っぽい名前で登録して登板したり、戦争中の外国人への風当たりの冷たさから巨人を追い出された経歴もある。

しかし、『沢村とスタルヒンの二人がいたからプロ野球が誕生した』というぐらいの選手なんだ。
というのも、アメリカ大リーグとの選抜戦と戦う時にスタルヒンを呼ぼうとしたが文部省から「学生をプロと戦わせちゃダメ」と通達され、スタルヒンを含めた有望な学生を呼ぶために主催した読売新聞が巨人の前身チームができたぐらいすごい。

沢村を中退させてまで呼び、スタルヒンに対しても家族の国外追放をちらつかせて脅して日米野球に参加させた。
正力松太郎の悪どさと野球への本気度が伺える話だけど…野球ファンでも知ってる人が少ない。

 

スタルヒンは沢村と入れ替わる形で大活躍。
日米野球当時は3番手の投手にとどまっていたが、戦前の時点で最多勝5回というすごい大活躍をする。

ただ、元々持っていた快速球でプロに通用した沢村と違って、クイックやサイドスローを駆使しているのが沢村とは全く逆のタイプなんだけどね。

 

こんな感じで、戦前の野球はマンガでも三文芝居みたいで信じがたい話が多い。(沢村の亡くなり方もかなりマンガっぽいけど、スタルヒンの謎の死もかなりマンガっぽいので興味のある人は調べて。ここでは語りきれない)

で、ぼくはONぐらいの映像や伝聞などが残ってる物が多い時期を「古典」、
映像も伝聞もあんまり残ってない川上哲治が現役だった時期ぐらいまでを「神話」言って区別してる。

「古典ぐらいまでならマンガの定番にもよくあるような話があるんだけど…神話の時代まで行っちゃうと、マンガにしたって誰も信じてくれないような話(逆に信じてくれないぐらい斬新だから面白い)よね」
って話で友人とは盛り上がってた。

 

…ちなみに、それを意図的にやってるのが「侍ジャイアンツ」や「新巨人の星」。
インターネットでは「新巨人の星」で星飛雄馬が見せる「スクリュースピンスライディング」というスパイクの刃を立てたスライディングはネタ扱いでかつ、現代野球でも走塁妨害扱いなのだが…実は、本当にそれをやった人は実在する。

侍ジャイアンツでは、タイ・カップを元ネタにした、危険なスライディングをしてくる人がホンマに出てきて、それを川上哲治がなぜか抗議しない、結果長嶋茂雄とタイ・カップの時空を超えた走塁の攻防が実現…という話が出てくる。(マンガの中の川上哲治に言わせると「日本の野球はおとなしすぎた」とかいって、むしろ走塁妨害みたいなことをしてるタイ・カップ風のキャラが正しいことになってる)

 

大谷翔平の二刀流を「ベーブ・ルース以来」と言われちゃうの、すごく違和感。

たしかに「二刀流のどちらでもすごい成績を残したのは、ベーブ・ルース以来」なんだけど…だからといって、ONより前の時代…戦前や1リーグ時代をすっ飛ばして言われることには色々思うところがある。

「川上哲治や野口二郎に触れろよ」的な気持ちに…なるわけ。(最初の方は触れてたけど、最近は二刀流について報じる時に触れることがめっきり減ってきたから言いたい)

 

もっと酷いと投手が好打者だったら二刀流みたいに言われて、DeNAのウィーランドを二刀流みたいに言う人まで出てきたけど、
「桑田とか松坂とか金田正一は?」
みたいになる。

金田は投手なのに本塁打が多すぎて打撃成績まで注目されているし、桑田は代打で送られたこともあるし、松坂は中日のキャンプでは柵越えを連発するところがファンに注目されている。

…また、巧打ではないけど、バントがすごくうまくて犠打の記録を持ってる山本昌だって…ねぇ~。

 

野球やったことある人なら、
野球がうまい(センスがある)人がピッチャーやるんだから、二刀流できる人は実はたくさんいるぞ
とは、野球経験者ならみんな薄々思ってるけどね。

二刀流の本当のすごさは「投手なのにバッティングもできるところ」じゃない。

球辞苑という番組で「スイッチヒッター」の回の時、
「スイッチヒッターは左右両方練習するから、倍の練習をする」
と松井稼頭央が言ってたけど、大谷もベーブ・ルースはすごいよ?投手と打者両方の練習して両方で活躍できることが一番すごいから。

 

でも、「マンガみたい」とか「史上初」みたいとか「できるわけない」みたいに言う人を見かけると
「すごいのはわかるけど、調べたらいるって!ずば抜けてる人は昔、二刀流してたんだって」
と、言いたい。

 

もちろん、大谷はすごいけど、
「マンガみたいな人って野球の世界は記録調べてみるといるからもっと調べて><」
という気持ちと、板挟みになってしまう。

 

意外と、マンガも報道も攻めてない「パワフルなスイッチヒッター」

ちなみに、スイッチヒッターの歴史も意外と古くて、日本の野球では戦前に3人だけいるにはいた。(でも、巨人の柴田勲が成功するまであんまり増えなかった)

メジャーのスイッチヒッターの歴史はさらに古くて、なんと1894年にタック・ターナーがスイッチヒッターとしては初の打率4割を成し遂げてる。

 

日本では非力で俊足な人が、出塁率や打率を上げるためにスイッチヒッター…というイメージがあり、長打率が高いのは松井稼頭央や松永浩美ぐらいだが…メジャーではミッキー・マルトルが本塁打54本というおばけみたいな記録を持ってる。
また、NPBで長打率が高いスイッチヒッタートップ10は日本に来る外国人助っ人が8枠を占めてて、松井稼頭央と松永浩美以外は全て外国人。
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このように、奇策でも弱者の生存戦略でもないスイッチヒッターは海外や大昔の記録を探ってみるとある。
ちなみに、日本ではまだ「スイッチヒッターでホームラン王とった日本人」はいないから、ぜひ野球マンガに出てきて欲しい。

 

野球の世界は
「マンガみたいだから、どうせいないでしょ?」
「そんな権力を振りかざしてまで、選手呼んだりしないだろ!?」
と思うような話は、だいたい元ネタがあったり、実在するから。

 

ちなみに、グラゼニには中継ぎ投手だった主人公が「1球も投げずに牽制だけでアウトを取ってその日の登板はおしまい」という回がありますが…あれは実在します。

グラゼニは「ウソみたいな本当の話」をマンガに落とし込んで、野球ファンの裏をかくのがすごく上手なマンガだから、そういう意味ですごく面白いです。

◆関連記事:野球のおもしろネタ色々

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