神戸市が政令指定都市の中で一人負けしてるらしいので、語る。

2018年9月29日

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この間、ぼくの出身地「兵庫県三木市」の人口が緩やかに下ってることを話題にした。
兵庫県三木市の人口が減って寂しいので、勝手に宣伝する

この記事を書いたところ
「今、来てるのは神戸じゃなくて西宮だよ」
と言われて調べたところ、兵庫県の勢力図は西宮を中心に大きく塗り替わっていた。

兵庫県の都会は神戸がダントツで、姫路がその次。
…そして、尼崎が確か3番目だったかな?という感じの人口だった。

そもそも、兵庫の2番目は50年ぐらい前は尼崎だったらしいが…50年間ずっと尼崎は人口が減り続けて、ついに4位へ転落。
そして、今3位の西宮市はメキメキと力をつけ、今や姫路市も抜き去りそうな勢いになっている。

兵庫県の殆どの都市が2010年(車必須の地域は90年代をピークに)人口が下がりはじめていて、日本で6番目の大都市と言われている神戸市とて、人口は下がり始めている。いや、そもそも戦後〜90年代までは神戸は日本で5番目の都市だったが…いつの間にか福岡に抜かれてる…。

しかも、政令指定都市の人口ベスト10の中で最も下げ幅は深刻で、7位の川崎に抜かれるのも時間の問題に。

下手したら…川崎市が人口第5位まで行くんじゃないかな?
川崎市、今再開発ラッシュで高層マンションがポコポコ立ってる上に、商業施設も充実してるからね

「どうしてこうなったか」を神戸の話に特化してやりたい。
西宮の話までやると長くなるから、西宮の話は分ける。

 

90年代に神戸をもり立てた企業がことごとく出て行っちゃったのよ…

神戸発祥の有名企業には、今は亡きダイエーがある。
ダイエーの神戸への投資は尋常じゃなくて、発祥の地とか、三宮に大型店舗を構えてたりとかそういうことにとどまらず、大学を作ったり巨大なホテルを作ったりしていた。

ところが、バブル崩壊をきっかけに経営状態が悪化。ダイエーの資産は売却されていく。
しかも、運がないことに売却が本格化する前に阪神淡路大震災に襲われ、ダイエー閉店させる前に壊れてしまったものも…。

震災きっかけといえば…阪急百貨店や阪神百貨店も震災をきっかけに痛手を食らって、規模を縮小したり、出ていってしまって…関西をもり立ててる大企業がことごとく神戸には投資できてない状況が続いている。
しかも、阪急に至ってはMOSAICというハーバーランドにあった商業施設からも撤退していて、MOSAICは今イオンが運営してる。

震災後にがんばっていたオリックスブルーウェーブも、オリックス・バファローズになり、ホーム球場をグリーンスタジアム神戸から、大阪ドームへ。
グリーンスタジアム神戸は準本拠地扱いに格下げされ、イチローがシーズンオフに自主練習する時が一番話題になってる始末。

さらに、神戸が得意としてた小売だ、食品(特に日本酒)だ、生産機械などの製造業だ…ことごとく時代の逆風に煽られて、成長産業にはなってない。
一方、苦手なのは情報通信(IT)とかなわけだが…ざっくりいうと、震災の復興でそれどころじゃなかったことと、「神戸って地場産業強いし、大企業の支店・工場も誘致もできとるからわざわざITに力入れなくても良くない?」ぐらいにしか思ってなかったからヨソの地域よりもスピード感のある成長企業が生まれなかったわけで…。

だから、ITや若者に力を入れてた福岡に抜かれたのは残念ながら当然なのよね…。

 

もっと言えば、神戸市は海と山が1つの街の中で楽しめる自然豊か…といえば聞こえがいいし実際いいところだけど…大半が山なんだよ。
「六甲のおいしい水」って聞いたことあるでしょ!?

150万人住んでる大都市といいつつ、実態は市の7割が森林や山。
緑豊かすぎて、「六甲のおいしい水」とかいう天然水が取れたり、六甲山を売りにした自然系の観光が充実してたり…。

山も海も温泉も天然水もなんでもある!
水がうまいから日本酒の生産だって盛ん!!
神戸にないのは東京みたいな摩天楼と、アウトドアの上級者が楽しめそうな手付かず過ぎてマニア以外誰も来ないタイプの自然ぐらいで、他のものはだいたいある。
そこそこのものがバランスよくすべて揃ってる。
外国人観光客やネット時代に話題になるような「日本中でここにしかなくて、見た目一発でわかるインパクトのある観光資源」がほとんどないのが弱点だけど。

名古屋にブランドイメージがないと言われてるけど…多分、神戸もないぞ。
いや、住んでる人が思ってるほど、みんな神戸知らないと言うか…関西人や神戸市がつよい分野の趣味を持ってない人にはことごとく存在感ないと言うか…。
これは和歌山や滋賀県にも同じことが言えるけど、関西人以外が1日2日で回るなら圧倒的に大阪や京都の方がわかりやすくて案内しやすい観光地が多いんだよ。
一方、関西人は高級感やハイカラさがある神戸の観光地にそれなりのブランド力を感じてる部分はあるから、神戸が弱いってわけでもないからまた悩ましい。

 

バランスがいい・なんでも揃うと言えば聞こえがいい。
だけど、神戸市はだだっ広いからコンパクトな街ではない。
臨海部のJR・阪急・阪神が通ってる地域ならまだしも、それ以外のところは基本車がないと不便なところが多い。

だから、90年台以降不景気でも車の新車価格はずっと上がり続けている状態で神戸に住むのは難しいんだ。
車が最も安かった1990年には初任給7〜10ヶ月ほどで車が買えた。
しかし、2013年には11〜14ヶ月働かないと車が買えない状態になっている。
参考資料:自動車は手が届きにくい存在になっているのか・初任給と自動車価格の関係をグラフ化してみる(最新) 

また、車ありきの地域を支えてきたのはニュータウンや自動車通勤前提の大企業の工場を誘致して作られた工業団地だから、生産拠点が海外に移ってしまう時代に人口が減ってしまう。(神戸ゆかりの企業は残ってるので、まるっきりムダでもないけど神戸に関係ない企業は出ていってもしょうがない)

ちなみに、六甲のおいしい水は04年から西神南ニュータウンと目と鼻の先の場所で採取しているので、どんなところにニュータウン作ってたかが伺えるわけで…。(元々の採掘地は意外と都会で、神戸市の灘区。意外と街中だが、地層が良かったため、いい水が取れたそうな。しかも、面白いことに神戸の街中でとっていた時は水を奈良の工場に運んで詰めていたというから、また意外)

まとめると、
・震災の傷跡
・バブル崩壊
・神戸をホーム、重要拠点にしていた企業がことごとく出ていく。
・生産拠点の海外移転(本社自体が少なかったり移転してたり…)
・ある程度には好調だったから、近未来的な産業への投資が遅れた
・公的に主導されたニュータウンが高齢化
・車がないと住めない場所を開発したはいいが、新車価格が高騰。車が高くなって住める人が限られてくる。

いい街だけど…小型化できる要素が少ない。
90年代までの開発・投資が裏目に出てるか崩壊してしまったかで…そのダメージがじわじわと溜まって、政令指定都市の中では一人負け状態。

神戸にはなんでニュータウンが多いのか

神戸のニュータウン開発の歴史は意外にも戦前からスタートする。

神戸出身の政治家で「野田文一郎」は1930年代に神戸市長になった際に、開発の中心を阪神地区から西部地区へとシフトさせる。

「東播は気候も良いし、地震も少ない。表玄関として神戸港を控え申し分ない地理的条件を備えている。神戸の間に横たわる鉄拐山が唯一の交通の障害といえるがトンネルを抜けばよい。海岸地帯は神戸港の補助港とし、後背地に総合大学を始め文化、厚生施設、住宅地帯を含む新都市をつくる」
野田文一郎-Wikipedia

これが後の市営地下鉄の西神中央〜名谷あたりまでのニュータウン・工業団地・学園都市郡の一帯の開発につながっていく。

ところが、野田文一郎本人は戦争をきっかけに市長をやめてしまう。
だが、その後の人達が見事に神戸の開発を受け継ぐ。

終戦直前に辞めた野田の後を受けて、中井一夫が就任。
神戸港の拡張・市営地下鉄や高速鉄道の設立などの計画を打ち出して後の神戸市外国語大学の設立。このように未来への基礎を作ったばかりか、終戦後の食料の確保のために大胆なアイデアを実行する。
闇市の取締を意図的に緩めて食料を集めて、食料統制に背く形で買い出し部隊まで作った。

このときの言葉は今の政治情勢にぶつけたい名言だから引用したい。

「統制は国民のためにある。その統制のために国民が生活できないとなれば、法の存在自体が目的に反している」
中井一夫-Wikipedia

半年ほど別の市長を経て、
神戸の戦後復興に役人として関わった原口忠次郎が中井の構想+さんちかなどの事業を継承・実践し、明石海峡大橋に向けた調査を始めた。
野田文一郎の秘書で原口の次に市長になった宮崎辰雄も野田の構想を実践。

60年台〜00年台まで、神戸の西部には相次いで大型の開発がされているが、実は戦前からアイデアがあり、そのアイデアを歴代の市長が引き継いでいる。

神戸のニュータウンの多くは近くの工業団地や研究所・学園都市への通勤がセットになっていることが多いが、これには神戸が港町だったことが関係する。
作ったものを輸出したり、ヨソに運ぶ時、神戸は流通の便が良かったため多くの企業の工場が立った。

自動車の普及…つまり、モータリゼーション化も本来なら不便なはずのニュータウンを暮らしやすくした。

震災前まで神戸市は人口をメキメキと増やし、こぞって周りの自治体も似たようなニュータウンや工業都市を作ったりしたが…これがかえって兵庫県を車必須で、都会に出ないとなにもない街が増えてしまい、神戸全体の魅力の無さに拍車をかける結果に。

 

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ニュータウンの弱点は子育て特化になりすぎてしまうこと

ニュータウンって実はけっこう不便。
住民としての意思を決定するのが子育てのことしか考えてないから、暮らしやすくて便利な街には…しない。

子どもの将来のために政治決定がされるなら、将来のために大人が考えるのだから素晴らしいことじゃないか
とか思ったら大間違い!
子どもの勉強の邪魔になるものを排除しようとするから街がどんどん不便になっていく!!

ぼくは市営地下鉄沿線のとあるニュータウンに住んでいたが、
子どものたまり場になるから24時間営業のコンビニは作るな
とかバカな決定が本当にされて、徒歩20分かかる駅前まで行かないとコンビニがない生活をしてた。

ぼくなんか徒歩20分だからマシだけど、ニュータウンの中でももっと奥地の人は…小一時間かけてコンビニ行くからね?
スーパーはところどころあるけど、コンビニが逆にない。

こういう事例はヨソのニュータウンでもあるようで、横浜の港北ニュータウンで育った人も
あーうちの街でも、カラオケ屋が立つのを親が反対してたことある
という話を聞かせてもらった。
ちなみに、その後日談が面白くて、結局カラオケ屋さんができたら、子どもよりもむしろ親がカラオケ屋に行って、女子会(笑)を楽しんだそうだ

政治の世界で、有権者の高齢者が増えすぎて若者に不利な決定ばかりされることを「シルバー民主主義」というが、主婦の組織力が上がりすぎてもこれまた不健全。
経済のことばっか考えてるリバタリアンも迷惑だけど、子育てのことしか考えてないオバタリアンにも甚だ迷惑。

ニュータウンはいつまでもニュータウンのままだから不便

ニュータウンの厄介なところはいつまでもニュータウンのままで、普通のタウンにならないこと。

「子どもに有害だから」
とコンビニやカラオケボックスに反対して、子どもが出て高齢化したニュータウンを誰が便利にする!?
人口が先細って、食の細く目が肥えてて態度がでかい高齢者のためのビジネスを誰がやる?

大人は車や鉄道使って自由に都会に出ていって買い物して、子どもには多少不便でも勉強に必要なもの以外を排除すればいいと思ってるから…タチが悪い。
むしろ、我慢させた分、ニュータウン出身のやつでオタクになってる人たくさん見ているから「禁欲が健全な人間を作る」と言われたらそうでもない。

 

大人の都合も相まって、神戸市は便利なものや大型商業施設が駅前や臨海部に固まっていく。
でも、神戸の場合は震災で都市部から人が出ていってるからたまにしか来ない郊外の大人のために便利さが維持されることはない。

ニュータウン構想自体は間違ってないんだよ?
震災時でも地盤が強い山の上にあったニュータウンはあまり被害を受けてないし、山を切り開いて街を作ったことで大きく人口も増やしたから間違ってない。
ただ、住んだ人が子どもに勉強させたり、不健全なものから遠ざけることしかしてないから、ニュータウンはいつまでもタウンにならなかったし、本当にベッドタウン以外の何物にもならなかった。

自立したタウンにしていく段取りがなく、広い公園と一軒家が立ち並ぶ住宅街だけ作っても…便利でもないし、高齢化していくから…人口は緩やかに減っていったのよね。

 

結果、どこまで行っても三宮やハーバーランドに娯楽の面で依存した街がポコポコできあがって、その三宮やハーバーランドは震災後に企業や近隣の住民が戻ってこなかったり、ニュータウンの不便さに若者が出ていってしまったりで…90年代後半から売上がダラダラと低下。
ついには阪急がMOSAICの管理から撤退し、今に至る。

希望があるとすると2021年

神戸に希望があるとすると…神戸阪急ビルの再開発だろう。

震災前には三宮にも阪急百貨店があったが、震災後阪急百貨店が再び三宮に作られなかった。
ビルだけは「仮説」という形で復旧したものの、阪急百貨店は帰ってこなかった。

「三宮にもカムバックできず、MOSAICからも撤退。阪急は神戸を見捨てたのか!?」
と言われると、そうでもない。

まず、神戸そごうだが…これは今実質的には阪急だ。
名前はそごうのままだけど、管理は阪急・阪神百貨店の持株会社H2Oリテイリングがしているから。(それを言い出すと、阪神タイガースだって本当は阪急タイガースなんだけど、阪急タイガースにしたら昔からのファンががっかりするから名前は残してるのよね。)

これによって、約20年ぶりに阪急は三宮に復帰。

その阪急が、2021年に神戸阪急ビルが地上29階地下3階の高層ビルとして復活する。
阪急百貨店が入るかどうかは知らないけど、そもそも大きな投資が少なく人口が減り始めていた神戸には明るい話だ。(神戸空港?知らないよ、あんなポンコツ)

 

人口が減ってるとは言え、日本でトップ10の都市だからテコ入れのしようはあるはずなのよね…。

ただ、それをやるには神戸にゆかりのある企業がガンガン投資してないと、ヨソから投資してくれるのはイオンぐらいなのよね…。
イオンがびっくりするほど神戸に投資してくれればいいけど…イオンは池の鯉のようなもので…イオンが強すぎて生態系が乱れちゃうのよね…。

イオンが支えてくれているだけ神戸の変わってほしくない風景が残ってるから悪くも言いづらいのだが…。

 

 

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