デスマ次郎とか言うなよ!デスマーチからはじまる異世界狂想曲、すげー面白いぞ!?

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デスマ次郎こと「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」が、前評判とは異なり、すごい名作だった。

原作もマンガ版もかなり評判がいいけど…アニメだけくっそ評判が悪い。

で、評判が悪すぎて、Amazonプライムビデオでは、まさかの2.7評価。

ただ…アニメ版の監督も大沼心という…バカアニメから、オタクが好きそうな作品を多く手がけた名監督。
脚本の下山健人さんも、かなり優秀な人で…最近はシンカリオンのシリーズ構成なんかをしてるすごい脚本家。
アニメ制作もSILVERLINKというこれまた…ここ5年いくつかのヒット作を手がけているかなり手堅い会社。

もし、リアルタイムで見る深夜アニメを決める際、できるオタクなら「覇権アニメ候補」として1話ぐらいは絶対に見るであろう最強の布陣(そのぐらいにアニメオタクなら信頼する布陣)

 

ところが、いくらAmazonのレビューやネットの評判が「クソ」扱い。
他の「小説家になろう」原作のクソアニメと並べて「スマホ太郎、デスマ次郎、スマホ三郎」なんて揶揄されるほどひどい作品だと聞く。

偶然にもぼくは「スマホ三郎」こと百錬の覇王についての考察記事で話題になってしまった。

ブログの記事:百錬の覇王がつまんない最大の理由を語りたい
Togetterの記事: 百錬の覇王に出てくる謎の戦術について

そこで、スマホ太郎と、デスマ次郎も見ることにしたんだけど…スマホ太郎は期待通りクソ作品だった。

スマホ太郎について書いた記事:スマホ太郎とは何だったのか
(色んな界隈が反論があるかもしれないけど…)ぼくに言わせれば、ここ10年続いている「とある魔術の禁書目録」「IS(インフィニット・ストラトス)」といった作品の流れを汲んだ「設定やイラストを聞くと中二心をくすぶられて面白そうに聞こえるのに、本編を見るとがっかりする作品」の最新パターン…という感想。

もちろん、アニメ化するに当たって劣化した可能性もあるよ?
でも、ネットの評判は概ね正しくて、「クソアニメ」と言われたら、びっくりするほどつまんない作品を見ることができる。

 

さて、デスマ次郎はどうなんだろう??
と思ったら、デスマ次郎は面白かった。
むしろ、ここ最近のオタクの理解力の低下が、この作品をクソアニメ扱いしている印象さえ受けた。

クソアニメと言われる理由はテンポの遅さが原因だけど…

「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」というタイトルの通り、主人公はデスマーチをこなすゲームクリエイター。
3日間の過酷なデスマーチをこなしてやっと睡眠をすることができた…と思ったらMMO(ゲーム)風の異世界に転生してしまう。

異世界に転生して、いきなりリザードマンの大軍に襲われるが、これを意味もわからず放った隕石を落とす技で倒し、ゲームで言うレベルマックスの状態になってしまう。

オンラインゲームの画面に出てくるようなコマンド・世界観だったため最初は夢だと思ってたのだが…どうやら、ゲームの世界に転移したことに時間をかけて気づいていく。

この流れで1話が終わるため、
「テンポが遅い」
「ゲーム画面として出てくる文字が小さすぎて読めない」
「ゲームの世界に入った途端、声が若くなったり…演出の意味がわかんない」
「(本当はさり気なく入ってるけど)原作で描かれていた、思考や分析が入ってないからクソ」

といった内容が多いのだが…はっきり言って、Amazonのレビューがおかしい!!

確かに1話2話がつまんない…と思うぐらいにはテンポ遅いし、ダメななろう系・ダメなラノベにありがちなダメ設定を紹介してるから「つまんない」と思う人の気持ちはわかるよ?

でも、この作品の凄さって1,2話で描いた設定が3話以降キチッと活きてくる。
それも、設定が活きてくると…ライトノベル(ラノベ原作アニメ)では雑に描かれがちだった深い部分にメスが入る形で面白くなる

本当に訓練されたオタクなら…2話で主人公が緻密な食リポをしだした時点で
「この作品は、表現力がきちっとしてるからきっと面白くなる」
と気づくべきなんだけどね…。

 

いいラノベ作家はメタファライズがうまい

ライトノベルって黎明期〜成長期は、SFや美少女ゲームの文化を受けて色んな作品があったけど…ある時期からライトノベルって学園モノ・ゲームの世界・青春小説…ぐらいにジャンルが絞られてくる。

ゲームの世界を扱った異世界転生モノや、MMOの世界に潜り込む作品、剣と魔法のファンタジーは…「読者に予備知識がいらないし、ゲームさえしていれば書ける」敷居の低いジャンルであると同時に、「みんな見飽きているジャンル」だからこそ、ジャンルを再解釈する必要が出てくる。

再解釈しないで、ファンタジーの世界で無敵になって女の子にウハウハモテモテ…という王道を描く人もいるんだけど…「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」は再解釈するタイプの作品。

再解釈するにあたって、話の流れとして当たり前になりすぎて誰も考えない要素を、再度新しい意味をもたせて考える。

…例えば、「主人公が唐変木で、女の子の好意をさんざんスルーする」というのは、ライトノベルでは10年以上続いている定番の描写。
この作品も例に漏れず、主人公は知り合いだと思ってて、女の子は命の恩人で恋がしたいと思ってるわけだけど…それをスルーする理由が現世でのデスマーチの中にしっかり描かれてくる。

主人公がデスマーチして会社に缶詰な人だから彼女もいないし、彼女や奥さんはいたらありがたいけど、毎日こんな生活してたら現実感がない…ということを1話で言ってる。
だから、年の離れた女の子が裸で近づいてきても、命の恩人だと感じて恋心を抱いている女性が近寄ってきても「まさか自分が好かれてる」とは思ってないからスルーしてしまう。

他にも、「小説家になろう」の世界では雑に使われがちな「奴隷」という設定も、再解釈することで面白くなってる。
ダメな作品では、「自分の言うことを何でも聞く都合のいい女」を登場させる舞台装置として「奴隷」というキャラが出てくるのだが…この作品ではもっと違う。

「人に命令されたり、虐げられたりするのが当たり前になりすぎて、自分から考えたり、褒められたりすることに慣れていない人間」
として、奴隷というキャラが登場する。

これね…心理学の世界でも「囚人役と看守役の人間を作って、立場によって人が変わるのか」という実験はされてるし、その実験がむごい結果になってる。(気になる人は「スタンフォード監獄実験」で検索してね)

ぼくは心理学的な観点から、
異世界転生モノはジャンル単位でクソ本当に人間が変わりたかったらリスクを承知で変わるために環境を変えるところからやるし、実際に女性向けや海外ドラマではそういう作品が多く存在する。環境が変わってチートになって変わるなんて…その前の意思決定をしてない時点で雑すぎるし、そんなモノが流行ってる時点でここ10年のオタクの主流な層は幼稚極まりない
と、声を大にしていいたいし、そういう理由から異世界転生モノだけは認めたくない…って思ってたわけ。

ところが、このへんのことを踏まえた上で、
「身分が低く、虐げられていた人の心を開くにはすごく時間がかかるし、手をかけてやらないといけない」
「自分は自分で、相手からの好意や感謝に、自分の受けてきたひどい待遇のせいで気づかない」
という形で、ライトノベルの定番になっている設定をテンプレートではなく、人間心理をメタファライズしたものとして再解釈しているこの作品はすごい。

これなんだよ!
俺が見たかった異世界転生は!!
フィクションの設定としての面白さだけではなく、人間心理の部分をキチッと経験や心理学で裏付けの取れる作品!!
そういうことを求めてたし、それさえできていれば異世界転生って面白いんだよ。

 

ちなみに、設定をキャラの心理状態や性格、キャラから見た世界の見え方のメタファー(投影)として捉える考え方でうまいなろう系作品として、森田季節さんの「若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇もいいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!」なんかも、メタファライズがすごいからこそできた素晴らしい作品だと思う。

設定にリアリティがないだの、急展開だの色々言う人はいるんだけど…作者が得意な青春小説に持ち込むために、ファンタジーの…ゲームっぽい世界観でのことを現実の世界や心理状態に落とし込んでいるところが、ぼくはかなり好き。

キャリア10年のベテラン作家の描いたノベルもいいと思うんだけど、ぼくとしてはお色気要素の多い作品だからマンガ版をおすすめしたい。
マンガ「若者の黒魔法離れ〜」は、なろう小説のマンガ版としては最高傑作かもしれない

 ハーレムが悪ではない!むしろ悪しきハーレムと決別してるところを評価してほしい

最後に、この作品を批判する理由として「ハーレム作品だから」というのが一番多いのだが…深夜アニメをたくさん見るアニメオタクなら、面白くなるハーレムとつまんなくなるハーレムの違いぐらい抑えてほしいわ。

つまんないハーレム作品は、「主人公と恋人候補」の関係しかない。
しかも、惚れている理由がかなり曖昧で、キャラクター同士の個人差も少ないから「顔がかわいい女の子をひな壇に並べただけ」になりがち。

 

その辺、西尾維新って、すごくてですね…物語シリーズなんかは「いいハーレム」なんだよね。
主人公には早い段階で彼女ができる半面、女友達として持続する人もいるし、恋仲とは到底呼べないけど運命共同体の女性も出てくる。

少年マンガだと名探偵コナンがこれに相当して、
毛利蘭→彼女
吉田歩美→年が離れすぎて、恋愛感情が沸かない友達
灰原哀→恋仲じゃないけど、運命共同体で、時々キュンとするし、本音が言い合える
みたいな感じのいち付けで…初期からずっと出ているだけでも3人の女の子に囲まれているけど…コナンとの関係性が全員違う。

「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」も、この法則を守っていて、ハーレムと言いつつも…異世界に来る前はアラサーで、女の子の大半は10歳前後。
実年齢と好意を寄せてる女性の間に年齢差がありすぎて恋愛関係にならないようになってる

だから、ハーレムといいつつも、「暖かい家族」みたいになってるから、この作品をハーレムというのはぜんぜん違う。
オタク作品に於けるハーレムの研究が浅い人間だと、自分からアピールしているようなもんだから、本当に酷い理由での酷評してる。

 

デスマ次郎と呼びたいやつは呼べよ!
でも、良さを知った人が増えたら、もうそれは作品を言い表す略称でしかなくなる。
そのぐらいには面白い!だからもっと評価されてほしい。

活字読む体力がある人は原作をどうぞ。ない人はアマゾンプライムビデオで見ましょう!スマホ太郎も見放題だから、暇がある人はそっちも見てみましょうw

 

 

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