「ロクダイ」の3巻は野球経験者にこそ、読んで欲しい!!

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先月、好きなマンガの新刊が出たので、野球マンガ「ロクダイ」の話。

・作品概要

グラゼニや、ショーバン/ストライプ・ブルーの原作者である「森高夕次」ことコージィ城倉さんが、グラゼニやショーバンよりもやりたい放題にディープな野球の話を描くマンガシリーズ。

中学・高校とキャプテンを引き受けては型破りなチームを作ってきた「霧隠主将」。(中高の時代についてはおれはキャプテンを参照)

その霧隠が、高校時代のチームメイト3人と一緒に東大野球部を率いて、6大学野球に挑む。

1巻では、東大入学・大学野球の説明についてのお話。
2巻では、高校時代のチームメイトと、東大野球部の衝突の話。
そして、3巻では「東大vs名大野球部」の頭脳バトルが描かれている。

それも、「ぎりぎり実在するけど、あまりにもマンガみたいで、信じてもらえないような駆け引き・キャラクター」の登場に、ちゃんと野球知識を付けておかないと頭がついていかないような展開になっている。

 

野球をしたことがある人でも、野球をスポーツを知ってるようで知らない

今回は「6大学」ではなく、(旧帝大)七大戦の決勝「東大vs名古屋大」という戦いだから、その違いを抑えるために、「野球の違い」について話しておきたい。

野球のややこしい所は「プロとアマ、軟式と硬式、少年と大人」でスポーツ自体が完全に違うところにある。

囲碁や将棋のように、プロとアマが同じボードの上で、同じルールで、ハンデを付けることで戦えるものではない。

力の差を道具で補ったり、規制することで補ったりしている。

例えば、同じ硬式野球でも高校野球では金属バットが使える。
例えば、肩発達していない少年達がプレイするリトルリーグでは、盗塁と振り逃げがない。(ソフトボールみたいにリードができない)

一方で、同じ少年の野球でも、軟式だと盗塁・振り逃げはあるけど、変化球はNG。

このように、ルールや道具が微妙に違っているため、それに見合った戦術や野球が作られたり、それに合わなくて大成できない人もいる。

その辺の「ルール・道具の違い」から、金属バットでフルスイングする「やまびこ打線」するような戦術が高校野球で流行ったり、日米の野球ではボールや選手の違いから主流になっている変化球が違っていたり…と、野球が複雑に絡み合っている。

話を「東大vs名大」に戻す。

東大や、名大には「プロ野球選手並みに野球に特化したアスリート」はいない。

ほかのスポーツだと、偏差値が高い学校でも名門チームになることは大いにあるが、野球やサッカーについては絶対的な練習量・体格差がモノを言いすぎる。

だから、基本的にお金のある私学か、部活バカになれるぐらい力を入れてる学校ばかりが勝って、他よりも頭が良くて成り上がれる「部活動」の域を超えてしまってる。

身長180センチ体重80キロのハガネの肉体を持つ超高校生級の本格派ピッチャーなんか進学校ではほぼ作れない。

そもそも推薦枠で野球エリート枠として進学するから、そんなやつは学内にいない。

…そして、その中でも甲子園を経験した精鋭が、【野球しかしなくていい大学】に推薦をもらったりする。

私大が推薦入試が主流になりすぎた結果、【野球しかしない人】になんとかして東大が立ち向かうのが6大学野球になってしまった。

でも、東大vs名大は違う。
鋼の肉体がある豪腕投手も普通は入ってこない。

その代わりに、「スポーツとしての野球」を研究して、プロの最先端のことを取り入れるたまのいい人がいる。

あるいは、「小柄で目立たない/名門野球部では軽視されがちな器用な選手」がいたり…

野球の特殊さは「体だけを鍛えた人」が続けていってプロになること

子どもの頃に運動ができるかどうかは運動神経のいい・悪いで決まってしまうことが多い。

スポーツの中で頭を使って駆け引きしたり、駆け引きのために準備をしたり、ごく当たり前にしている動作の意味を一個一個確認して行く…といった作業を普通の小中学生はしない。そして、できない!

ただ、高校生以降は少し違う。

野球やサッカーのように「アスリートを育てる学校しか全国大会に進めないジャンル」では運動神経のいい・悪いで勝ち続けた人しか勝てない。

しかし、高校生から始める人が多いスポーツだと、進学校がガツガツ勝っていく。

なぜなら、頭の良い学生は「頭でスポーツをやること・研究するようにプロスポーツを見ること」を理解し始めるから。

ただ、野球だけは「体でスポーツをする人」にずっと勝てないから、野球を辞めた後に久々に見た野球・バッティングセンターの中で「なるほど、これが野球だったのか」と一度客観的にスポーツを見られるようになって、骨格ができて子どもにはできないスポーツの動きを理解して、やっと気づく。

大学野球の中でも進学校同士の戦いはそこが大事になる。

そのため、野球が好きな人・研究した人じゃないとわからない動き・体が小さい/練習量が足りないなりの努力をした選手が出てくる。

これは高校時代には甲子園に出た霧隠にとっても新しい敵。

「体でスポーツをする人達」と違う強さ、難しさを持った相手をどう倒すかを丁寧に描いている。

しかも、意地汚い手・奇策を毎度毎度提示してくる霧隠に痛快さを覚える。

しかも、よく調べてみると、霧隠が使った手法は実在したり、似たようなものがあったりするから「マンガみたいなことしやがって」とバカにできないところがまた面白い

それも、野球をしたことがある野球オタクは

「そうそう、野球についての準備や理論はそうやって考えたり、やるんだよ」

というやる人間としての共感と、

「嘘みたいに見える話だけど、これ、ある高校野球の試合で実際にやってた人がいたんだよなぁ〜懐かしいし、マンガになってみると改めてすごい」

というオタク的な共感と両方が満たされて楽しいです。

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1巻2巻読んだときの感想です。

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これが「目」で語る戦いだ
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