商売は「裏の売れ筋」に目を配れないとしんどい競争に晒される

 

これ、商売というよりも人気取り全般に対して思ったからさらっと書く。

そもそものきっかけはサイバーメガネさんのこのつぶやき

最近、こういうの多いよね。「ニーズは一定数あるけど、それは成長が望めない・費用対効果がよくないからコストカットのために切ります」と言う大企業の対応。

携帯電話は産業として特殊だから仕方ない部分もあるけど、こういう判断を小売や外食などでやると「なんだかなぁ~」と思うところがあってそしてそれは多い。

今回はそういう話。

 コンビニの裏の売れ筋は「近藤くん」だと思う

コンビニと言う場所は面白い。スーパーとよく比べられるが、置いてるものをよく見ると薬局でもあるし、服屋でもある。

でも、ビジネスにおけるコンビニの話をする時にはだいたい「セブンイレブンのプライベートブランド商品が」「ファミマの初音ミクコラボ商品が」など、食べ物のコーナーの話ばかりしてる。

だから敢えて言いたい!

「薬局よりも、コンビニで近藤くんを買う大学生の方がきっと多いはずだ!近藤くんこそ実は売れ筋なんだ!」

と。もっと具体的に言えば、『薬局のポイントカードを持っているかどうかが、自炊している大学生と(実家暮らしなどで)自炊・自活してない大学生の差』で、大多数の家庭的じゃない大学生はコンビニに行くわけだ。

いや、女の子は例外よ?整髪剤とか衛生用品とか若いうちから人任せにせず、買ってる人がいるからなぁ…

でもでも、近藤くんについて言えば、男の人が買わないと色々と不味いわけだよ。自己防衛として女の子が常備してる可能性もあるけど、実際問題女の子が近藤くんを持っている構図はイラストの世界だと「誘っていらっしゃる」と言う記号だからね。

かと言って、常々財布の中に近藤くんをお伴させてる男子は相場から言えば「プレイボーイ」だと思われるわけだ。紳士的だとはおそらく思われない。(多分俺が近藤くんを携えてたら、褒めるんじゃなくて「私をそんな目で見てたの!?」と刺さるような眼差しで見られるんじゃない?そもそも、最近まともに女に会ってないけど)

だから、一番ナチュラルなのは「いい話になった時・もしくは勝負事の直前に勝負師のアイテムとして近藤くんを即席で調達する」というところだけど…即席で調達できる場所という意味でいいのがコンビニなのよね。

薬局もいたるところに店舗があるけど、デートしたり、いい感じになる場所は都会であることも多くて薬局の数は激減するし、前述した通り男が準備する場合は薬局よりもむしろコンビニのほうが馴染みがあるからコンビニになるわけだ。

近藤くんの話だけじゃなく、コンビニの「宣伝してないけど、実は売れてる(から人知れずバージョンアップしたり、わざと良い物を置いてある)」という商品は多い。

例えば、「耳かき・爪切り・パンツ」などのお泊りセット(?)は良い物が置いてあるし、薬局よりも探しやすいところにおいてあるから、買うのが楽だったりする。

割と「デブな人のサイズにも対応してるのが嬉しい」という一部の人にしか得しない情報も付け加えて書いておきたい。

その他だとタバコや文具も似たような側面があるね。最近だと、書店自体が減ったし、文具屋もそんなに見かけない(街の経済がジャスコで廻ってるような片田舎じゃない限りは)コンビニが文具を買う上でちょうどいい場所になりつつあるのよね。

近くに大きな店舗があったり、文具屋・文具屋付き書店があればいいけど、その両方がない場所で「でも、コンビニはあるよ」は多い。(実際、うちの近所が最近そうなっちゃったから、急にペンが必要な時は近所のセブンイレブンにお世話になる予定)

何が言いたいかというと「コンビニには競争を通じて儲けてる【表の売れ筋】と、急用の時しか売れない代わりにあまり競争しないで済む【裏の売れ筋】がある」ということ。

そりゃ、近藤くんなんかもっとお世話になりたいのはやまやまではあるけど使わないし、耳かきなんぞめったに買い換えないし、パンツが急に必要な時なんか…まぁ、年に1回あればいいほうじゃないかな?

でも、その代わり、気づいた時にどうしても必要なものだから「安く済ませようとググって距離を歩いて探す」みたいなことをしにくいよね?まして、近藤くんは夜行性であり朝も早いから、薬局だって対応できないお時間かもしれないし…。

最近だと置くところが増えちゃったから「コンビニの専売特許」ではなくなったけど、「ビニール傘」もその系列の商品。

ビニール傘を宣伝することはないけど、雨が降り始めた時に慌ててビニール傘を買いに来る奴をどれだけ見かけるか…。

売上やコスパを追いすぎることの弊害は視野を狭くすること

わかりやすく近藤くんやお泊りセットで話を進めたが、実際には同じ商品でも「ブランド力が高くて、高価でも一定数のお客は安定して買う品物」とか、「頼む人は少ないけど、あると雰囲気が出る中華屋のメニュー」みたいなものは世の中にけっこうある。

確かに売れ筋の中心ではない商品ばかりだ。でも、それらを切り捨てた結果大儲けできた…という話は最近だとあまり聞かない。

むしろ、商品と一部の顧客を切り捨てて、不便でも管理しやすい方に誘導するつもりが不評だと客とマスコミに切り捨てられた…という報道の方が目にする。

ガラケーや高齢者向けの携帯電話、安価なPHSなんかも本当は「大儲けはできないけど、一定数のお客さんはいる」分野であり、できることなら大事にした方がいい分野ではある。

「インフラをキープするのにお金がかかる」という言い分もわからなくはないが、最新機種も求めてない人・スマホだと不便(いらない)人を逃すリスクを考えなかったのだろうか?

よもや、「スマホ一択にすれば、今までやすいガラケーを使ってた奴らもスマホを使わざるを得まい」とか勘違いしてないか心配である。

ここで思い出されるのはマクドナルドが赤字の時代に導入された「硬い椅子」だ。

マクドナルドはオシャレに改装するふりをして、客にとって不愉快な椅子・狭い机を導入することで「客に長居させないようにすれば、回転効率が上がる」と考えて店舗を改装してすわり心地の悪い硬い椅子を導入した。

繁華街を除けば、マクドのリピーターは長居する子連れ・おばちゃん客が多かったので、「回転する」どころかそもそも来なくなった。

しかも、同時に「値上げしたり、安いメニューを撤廃する・見せないようにする」などの小細工も行われたが、「高いメニューに客が移行して、座りにくい椅子だから長居せずに、高い回転率で入れ替わる」ということはなく、ただただいなくなった。

考えてみると、マクドもコンビニの近藤くんと同じだ。

「食事時間以外にも空いてる」「手頃な価格で長居ができる」「子どもと一緒に来ても迷惑がかからない」「子どもだけでたむろしてても白い目で見られない」など、周りの飲食店と競争しないで済むような強みがあったからマクドに来る人は多かった。

たしかに、そういうお客は成長性の観点から言うと弱いかもしれない。投資家は「もっと儲けろ。そんな手堅い商売じゃなくてチャレンジをして儲けるんだ」というかもしれない。

でも、チャレンジは失敗もするからチャレンジなんだよ。

チャレンジするのはいいことだし、チャレンジすらできないヤツもいっぱいいるさ。

でも、ある程度成功している所が無謀なチャレンジをして沈むのを見ると「成功ばかり追いかけて視野が狭まってしまったんだろう」「視野が狭い人が発言権をもって人をそそのかして回る世知辛い世の中になった」と感じてしまうのです。

ガガガ文庫 灼熱の小早川さん(イラスト完全版)

「近藤くん」という言い回しの元ネタ。なかなか好きな小説で過去に書評も書いた思い出のラノベです。良かったらどうぞ。

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コメント

    designnna

    (2015年4月26日 - 8:51 AM)

    いつも楽しく読ませて頂いています。
    ありがとうございます。
    業界では、利益が薄いとか、回転率が低いが並べておく商品のことは、品揃えと言うみたいです。
    面白い言葉ですよね。揃えておくって。

    我無回

    (2015年4月26日 - 11:13 PM)

    今回のお話って、テレビの世界でも言える話ですね。
    例えば、「大河ドラマの「花燃ゆ」が視聴率10パーセント切って、どうたらこうたら」とかひとしきり言われています。
    なんていうか、「視聴率10%取れなきゃいけない」とか思っている人たちって、つくづくなにもわかってないと思います。
    今回の話のマクドにも言えることですが。
    以前も書きましたが、人間は自分が使える全体で「700800時間(自分の平均寿命)」の内から数時間ないし数分を削りながら、何かをしています。
    そういう意味で言うと、人間にとって「時間」こそ最も価値のある「資産」なんですよ。
    なぜならば、その人の使える時間はそのまま、その人自身の「寿命」に直結しているからですね。
    しかも、時間は減る一方で、増えることはありません(基本的に)。
    その、自分の寿命を使ってする、「何か」の中にはマクドで食事をすることやテレビを見ることも含まれるわけです。
    もちろん、コンビニで買い物をすることも。
    そして、今の時代にはネットやスマホなど時間を無駄に消費するようなものが、ごろごろしてます。
    そういう状況の中で、「あえて5%でも自分たちの作る番組を見るために、時間を使ってくれる人がいる」そういう風に物事を考えることが出来ない。
    あるいは、「自分たちの店で食事をするために、時間を使ってくれる人がいる」。
    こういう思考が出来ないから、人を追い出してうわべの「回転率」を上げようとしたり、「視聴率(売上)上がらないから、打ち切れ(販売停止にしろ)」という。
    まあ、そういう人の経営するお店は確実に、売り上げ0円になり、そういう人の作るTV番組は視聴率0%になるでしょうが。
    多分、そういう思考をする人たちは、「MBA」を持っているのでしょう。
    ですが、そういう人たちに一言いえば、「MBAでは八つ橋は売れないんですよ」。
    http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/03/kyoto-shogoin-kanako-suzuka-_n_5925218.html
    これは、以前紹介したかことがあるかもしれませんが、京都の銘菓「八つ橋」の総本店のお嬢さん(社長の娘さん)が、アメリカで学んだ「MBA」の知識を生かそうとしたが、うまくいかず、かえって「無駄が多い」と思われていた、昔ながらの「お付き合い」が大切な意味を持っていた。というお話ですが。
    まあ、そのパックポーンには、日本人の「同調圧力」もあったりするので、全てをそのまま受け入れるわけではないにしても、日本にはそれこそ「創業1000年」という所も、あったりします。
    おそらく、そういうところは「売れないから切り捨てる(視聴率が上がらないから打ち切る)」こういうことは、考えないと思います。
    もちろん、商売上の「是々非々」は考える必要があるので、「1000年前から同じものを売っています」。ということは無いでしょう。
    それでも、そういう「創業数百年」という所は、「人の生きる時間の意味と価値」を尊重し続けているから、今もなお存続し続けていると思います。

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