フリーゲーム「四月馬鹿達の宴」がフリゲの玉手箱だった

※このゲームは盛り沢山なので、以下の準備ができていない人のプレイをおすすめしません。

・1ヶ月の余暇、またはクリアを急がない忍耐力。そして、詰まってもゲームの世界観をぐるぐる回って小ネタを楽しむ寛大な心効率プレイや負けず嫌いなゲーマーを次々とドツボにはめて廃人にしていく恐ろしいゲームです

ツッコミが追いつかないほどのネタの応酬、理不尽で置いてきぼり感のある早い展開についていくだけの頭の回転。テンポが早すぎて、頭痛を起こす危険があります。

・もっと理不尽な戦闘システムと、ゲーム進行を理解するだけのRPGの知識戦闘方法やクリアするための順路が手探りなだけではなく、レベルアップ・技の習得・世界観やストーリーの理解さえ手探りなのでゲームについての予備知識が働かない人はこのゲームが楽しくなる前に匙を投げることでしょう!

「自分の力で攻略する」という強い意思。攻略サイトや実況プレイ動画はゲームの自由度が高すぎること、マップが複雑過ぎて有志で作ってくれた人もいないため情報収集からの攻略も、自力の攻略も困難を極めるでしょう!

それでもなお、「僕はやれます」というジャンキーにしかおすすめできません!

 今まで紹介したゲームの中で最も難しく、大変で謎めいたゲーム!

じつは、今回の実況が50作品目のレビューになる。

が、これが一番難しくて大変で、何よりも世界観についても皆目見当がつかないようなゲームだった。

そのため、「よほど気持ちと時間に余裕が持てて、ゲームのルールやストーリーを徐々に掘り起こしていくだけのゲームスキルがある人にしかおすすめできない!」と書かせてもらった。

・ゲームの概要

半ば理不尽に住んでいた町を追い出された二人とそのふたりについていった魔法使いが(異)世界をめぐる話。

ゲーム内のフレーズを借りるなら

「旅は続く 世界の謎を解き明かすまで」

というほど謎が多く、旅というだけあって多様で広大。

スタート画面がこんな感じ

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ダウンロードはこちら

四月馬鹿達の宴の詳細情報 : Vector ソフトを探す!

 フリーゲーム文化の集大成、ここにあり!

複雑な味の料理を食べていて「何味かよくわからないけど、うますぎて箸が止まらない!」ということないですか?

このゲームは話もシステムも何もかもが盛りだくさんすぎるためゲームが苦手な人には苦痛でしかない。

だが、それなりにゲームができる人ならありとあらゆるが押し寄せて「プレイしてるだけで小ネタとトリックと試してみたいアイデアが頭を駆け巡って話がわからないし、クリアもうまく進んでるかわからないけど、プレイ自体が楽しい」と思える作品だ。

マップを廻れば、フリーゲームの作者達が参考にしているMOTHERの影響を受けたであろう生活感のある町並み。そこに自作のキャラクターやマップ。

単に創作的なだけじゃなく、ギミックも多く仕込まれていて、ステージ次第で歩いているだけで攻撃されるステージから、立体構造を飛び越えたり、隠れた道を探しながら、飛んだり跳ねたりしてショートカットしながら進んでいくステージ…さらには迷宮も。

斬新なのはエンカウント。

モンスターのマップと通常の地図は別になっているため、罠が多いステージではモンスター用のマップには目が行かなくてランダムエンカウント(気がついたら遭遇してた)のように感じられ、シンプルなステージではモンスターに目が行くからシンボルエンカウント(モンスターが要るのが見えて、避けられる)のように感じられる…という両方の性質を持っている。

戦闘に入れば、初見ではコツが掴みにくいいくつもの仕掛け。

「前衛と後衛」「3すくみの中心とした属性」といったベタなものから「MPは原則戦闘中に貯めて、戦闘が終わると消失する」「使い捨ての武器の存在や一部の相手にしか存在しない特殊な属性・技の前に、装備を細かくカスタマイズしていく必要のあるステージ」といったマニアックなものもあり、試行錯誤が求められる。

手に入れたアイテムだってすごい!

量が多い説明文が面白いだけじゃない!回復アイテムすらキャラによって効果が違うし、使わなくなった装備もパワーアップのために再利用できる仕組みが存在し、パワーアップもまたキャラによって違う。

それでいて、こんな感じに置物系のアイテムをあつめて楽しむこともできるし、そこにもそれぞれ小ネタがある。

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ついでにキャラのグラフィックはこんな感じ。

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さらにストーリーはメインとサブ、異世界・過去・黄泉など…何でもありに展開して、頭が追いつかない。さらに、一度行ったステージのほとんどは行かないRPGが多い中、もう一度必要になるような用事ができるように仕掛けやボスや重要人物を探すイベント要素も…。

そして、難易度が「難しい」とは言っているが、ゲームオーバーはほぼない。

また、詰みに対する救済要素もあるため、実はゲームとしてはセーブのミスや序盤のミスなどで心を折るようなことはほとんどしてこない。(長いし、むずいから断念する人は少ない)

すべての要素に、フリーゲームの斬新だと感じた要素を3つぐらいは詰め合わせて、1つのゲームとして成立している。

それこそ、1つの食材だけでも成り立つぐらい豪華な食材を組み合わせて使う有名店のラーメンや、脇役すらキャラが立っていて主人公の話だけで展開されるのがもったいないと感じるアニメやマンガような豪華さ!

何が斬新かというと攻略サイトが通じない・作れないこと!

このゲームはあまりにもマップも戦闘システムもアイテムも複雑すぎるからせいぜいデータベースぐらいしか攻略をサポートするものが作れない。(データベースで助かることもあるが、決して十分ではない)

また、展開も複雑すぎるから解釈や他人への説明にするだけの手っ取り早い説明サイトもない。

それゆえに、ゲームに通じてない人にはすごく難しく、大変で疲れる作品であり、ゲームに挑む人・知る人を相当数減らしているのだろう。

だがしかし、ゲームが好きな人には是非やって欲しく、己のゲーム知識や腕前の限界に挑むにはうってつけの作品ともいえる!

今までだって、ハードプレイや隠し要素をプレイすれば心がめっきり折れてしまうようなゲームは紹介してきた。

だが、今回は通常のクリア…つまり、ノーマルプレイでも十分に心を折りに来る難しさと(世界観の多様さ、急展開からくる)わけのわからなさを持ち合わせている!

セーブなどに制約があるハードプレイも存在するが、そんなことしなくたって、ノーマルで十分難しい!

ゲーム自体のシステムだけではなく、その逃げ道のなさ、トリックの多様さまで含めて手を焼くことであろう。そこまで含めて「旅をしているようで楽しい」「ゲームを把握していく手探り感が楽しい」と言う猛者もフリーゲーム好きな人達にはいる。

いや、猛者の存在を目の当たりにするきっかけになったので、フリーゲームも、そこにガッツリとついてくるゲーマーも改めてすごい連中だと感じさせられた!

良いゲームは多少なりめんどくさくて、いじわるなもの!

前述した通り、このレビューが当ブログの50作品目のフリーゲームレビューだ。

そして、そこに「フリゲの玉手箱だった」というタイトルをつけた。

それはこのゲームをプレイすればプレイするほど「あのゲームのここが難しかった」「新しいと思って衝撃を受けたアレと同じ効果を、違うシステムで再現されてるのはすごい」と自分の頭の中にある様々なゲームを掘り起こし、さらに付け加えてもう一度頭の中に投げ込んでくれたためだ。

50作品目にふさわしい楽しい玉手箱を開けることができた。

しんどいけど、しんどさが良かった。クリアが簡単なゲーム・長くて間延びするゲーム・自分の思い通り(想定の範囲)にしかないゲームなんか望んではみるものの、いざやってみると面白くない。

ゲームに振り回されて、いらついて、汚い言葉が出てきたり、夢中になりすぎて不摂生になったり…。それでも、クリアしたいとがっつき、レビューをし始めれば「改めてすごいゲームだ」と思い知らされ、口に出したら一言二言なにかいいたい人がふだん僕に絡んでない他人でも寄ってくる。

心に残る名作にこそ振り回される。でも、必死にプレイしできるほど良質だからこそゲームスキルを上げてもらえたり、シナリオやメタファーを忘れられず自分の言動や思考の糧になる。

ゲームから影響を受けることを世間では「ゲーム脳」などと揶揄する人もいる!

だが、影響すら受けない・心に残らない・気性が荒くなるほど必死にもならないゲームになんの価値があろうや?私から見れば毒にも薬にもならない、疲れることもできないゲームこそ害悪だ!!

だから敢えていいたい!

フリーゲームは疲れるゲーム、あらすじが説明しづらくて知らない人と共有しにくいゲームは多い。しかも、玉手箱のようなZIPファイルは何が入ってるか得体が知れず、開けるまで楽しい反面怖い。

でも、もしその怖さがコンピューターウイルスやファイルを正しくダウンロードできているかという技術的な問題ではなく「好みのゲームじゃなかったらどうしよう」というめんどくささを拒む思考ならそんな思考は捨てて欲しい!

いいものはある程度めんどくさいんだ!でも、めんどくささを受け入れてでもやりたくなる、めんどくささを安直に垂れ流すだけでは終われない複雑さと深みがあるのだ!!

 

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