【インサイト】正義ってなんすかね♪なんなんスかね♪なんスかね♪【6〜10話】

本当はアニメについての考察だけを書こうと思ったが、昨日のニュースを見ていると アニメのワンシーンをそのまんま切り取ったような事件が報じられていた。

事件を風刺していたワンシーンがこちら。

空気ってね〜とっても怖いんだよぉ♡

悪意なしでもぉ〜平気で人を傷つけられるんだよ〜♡

なんでかわかる〜(゚∀゚)

それはねぇ♪み〜んな正しいことをしてると思い込んでるからだよぉ。

だから、何してもいいのぉ!相手が死ぬまでぶっ叩いても許されるのぉ〜☆

だーって正しいのは僕達だから〜☆ミ

ワラワラ♫ワラワラ♫テラワロス(゚∀゚)

ガッチャマンクラウズインサイト第十話 【seeds】よりベルク・カッツェの台詞

※ベルク・カッツェが人の悪意や不幸を喜ぶさまを再現するために記号や顔文字などで演出しています。

「引用している作品には政治的偏りがある」などと誤解を招く可能性があるから先に断っておくが、ガッチャマンクラウズインサイトの6〜9話は野党よりもむしろ与党・市民よりも政権に批判的な内容だった。

政治家とポピュリズムの暴走を描いた6〜9話

全体主義的にして、独裁的、「一つになろう」と団結を求めながらも無自覚に同調圧力で人を押しつぶしているさまはどちらかと言うと、現在の安倍政権への批判に近いものを感じた。

というのも、共通点が二つあるのだ。

1つは安倍政権には「一つになろう」と似たようなフレーズとして、「この道しかない」がこの政権のコピーであること。

f:id:TM2501:20150917113114p:plain

もう1つはかつて政権内部の議論や内輪揉めが悪いように報道された失敗から安倍政権の元に一枚岩であるかのように演出する政党・政権になり、強い同調圧力がある息苦しい政治情勢にあることだ。

それに「報道統制」とまでは言わずとも、政権にとって不利なことを報じにくい時期がある。これ安倍政権にかぎらず、大衆から持ち上げられている・政権の議席が安定していると同調圧力がマスコミや議論による自浄作用を鈍らせる…。自民・維新の会・民主党政権それぞれで起こったから政治のメカニズムなのだろう。

「市民の暴走」を描いた10話と、議員活動を邪魔をする市民

しかし、10話のガッチャマンクラウズインサイトは政権や権力者が求める同調圧力よりもむしろ、同調圧力でフタをされていた「市民の暴走」を描いていた。

冒頭のベルク・カッツェが言ったように「空気ってね〜とっても怖いんだよぉ♡悪意なしでもぉ〜平気で人を傷つけられるんだよ〜♡という内容であった。

そして、昨日のニュースにはそうした平気で人の邪魔をする空気が具現化されたものであった。

  国会は安全保障関連法案を巡り、与野党の攻防が大詰めを迎えています。こうしたなか、横浜市で行われた地方公聴会では、会場のホテル周辺が大混乱となりました。

 地方公聴会が行われた横浜市のホテルの前には、16日午後1時前から法案に反対する市民らが集まりました。公聴会が終わると、「採決反対」や「法案反対」などの声とともに、鴻池委員長らが東京に戻るのを阻止するように集まった人が道路に寝転んで抗議するなど周辺は大混乱となりました。

安保「採決反対」寝転び抗議 委員長の車動けず騒然

先に断っておくが、僕は別に安倍安保に賛成でも反対でもない。僕は手続き・ルールとして「これはやっちゃダメだろ」と感じている人間だ。

議員に対して「仕事しろよ税金泥棒」とか普段は散々罵っておいて、いざ仕事した時に自分の意見と合わなかったら率先して仕事を妨害しに行く。

そして、こうしたケースは一度や二度ではなく、こんなニュースもある。

「デモより効果あるかも?」すべての国会議員に同じFAXを送れるWebサービスが誕生

これだって普段、自動送信される楽天など通販サイトのダイレクトメールに迷惑している人なら「一律に送りつけても、迷惑でかつその人に合ったメッセージでないから響かない」ということぐらい想像がつくはずだ。

また、メールボックスでもチェックしにくく見たいものを探す邪魔になるのだ!

ましてやFAX!かさばる上にお金のかかる紙であれば、なおさら邪魔で迷惑、国会議員にとっての業務や連絡に差し支えるような抗議方法だと思われても仕方がない。

重ねて書くが、これは安倍安保に対する賛成反対の話ではない。

(ネット)右翼や保守系の市民団体にも明らかにやり過ぎで議員や警察に迷惑しかかけないような運動・第三者から見て不快な運動をしている人はいて、正直それ自体に賛同できない。また、ネット上の主婦層やネットの住人が数に物を言わせた強引な抗議運動や特定活動をすることもあるから、決して褒められたことではない迷惑行為だ。

もちろん、抗議するのは権利であり、デモのために街頭や道路を使用する許可を取る権利・手続きを経ることは誰がしてもいい「権利」だ。

ただ、手続きを必要とする理由は迷惑な抗議活動を抑止するためではないか?

ベルク・カッツェが言う「み〜んな正しいことをしてると思い込んでるからだよぉ。

だから、何してもいいのぉ!」という私刑(法律とか人の迷惑なんか関係のないいじめや暴力)を抑止するためにあるのではないか?

権利が権利足り得るのは、ルールを守る・使い方を守る人がいるからだ。

用する人がいたら、デモや抗議運動自体がうさんくさく見える。

…これが、デモや抗議運動のように「一部の人しか加担しない運動」だったらまだ被害は少ない。

しかし、これが「女性の権利」や「表現の自由」のような多くの人が関わる分野ならどうだろうか?

正義に飢えた人々が暴力的な「権利の悪用」を生むと…

ルールを守らない市民も酷いものがあるが、昨日のニュースは更に醜く矛盾に満ちたニュースも流れた。

実際に、ルールを作る側の、権利が正当であるからこそ切り開いていこうとするはずの野党の女性議員による権利の悪用が報じられたのだ!

 参院平和安全法制特別委員会は16日夜、安全保障関連法案の締めくくり総括質疑を行うための理事会を断続的に開いている。しかし野党側は女性議員を理事会室前のドアに多数配置し、排除しようとする与党議員に「触るな!セクハラだ!」などと抵抗。事実上、「女の壁」で鴻池祥肇委員長を室内に監禁し、質疑開始を妨害している状態だ。

 理事会室前には、社民党の福島瑞穂前党首や民主党の小宮山泰子、辻元清美両衆院議員ら複数の野党女性議員が、いずれもピンクのハチマキ姿で集結。与党の男性議員が触れるたびに「セクハラを働いた」などと騒いでいる

安保法案 「触るな! セクハラだ!」の警告に鴻池委員長、入室できない状態つづく 

…え?セクハラとはこういうものだったか?本来セクハラとは

・女性達を痴漢や露出魔/強姦などの性犯罪の被害

・上司から女性であることを配慮されない(酷い下ネタ/容姿についての小言を執拗に言われる、デリカシーのない扱いを受ける、性差を理由に雇用・待遇に差をつけられて個人ではどうしようもない理不尽な扱いを受ける)こと

から守るためにできた権利だったはずだよね?

自分から触られそうな状態を作って「セクハラだ、さわるな、女性の権利を守れ」って言い出すために生まれたものではないよね?

こういうことが許される・こういう権利の使い方を女性の方々が認めるんだったら男にとっては「女性という存在自体が腫れ物か危険物」(こちらに落ち度があるかないかにかかわらず、意思があるかないかにかかわらず、女性の証言次第でブタ箱行きにされるのだ)から、それは権利ではなく、逆差別だよね?もっとはっきり言えば、「男性へのセクハラ(性的な嫌がらせ)」だよね?

しかも、鴻池議員は女性関係のスキャンダルで痛い目を見た人物だ。それだけなら因果応報だと思うが、そうした人物に言いがかりのごとく「セクハラだセクハラだ」というのは、いわゆる「セカンドレイプ」(性的二次被害)ではないか?

自分達が被害者を守る・女性の権利を拡大したいという人が性的嫌がらせやデリカシーのない発言で人を追い詰めていくのはどうなのだろうか?

本当に権利を守ってほしい困った状況にある女性が「女性の権利」を口にした時に、うさんくさい正義と混同されるのはとても迷惑でむしろ女性の権利を言い出しにくくなることをこの議員たちがしているように見える

しかも、市民ではなく議員だ!お仕事として、人からお金を集めてやっているのだ。

税金を取り、その税金の中でも国民の平均所得の5倍とも6倍とももらっている人がすべき仕事はこれか?そもそも、これは議員にしかできないことか?

議員であれば、マスコミの前でも国会中継の場でも、政策的なおかしさも相手の働いた横暴もいくらでも出られる。正当な批判をするために情報を調べるだけの権限もお金も組織や人材もあるはずだ!

そんな人達が、真面目に抗議して得た市民の権利を悪用したり、国会議員でなくともできるような幼稚な抗議運動に終止すること自体に正当性を感じず、なにか違うものに突き動かされているようでならない。

そして、特に正義でも権利でもないはずのものを権利と言い張ることで悪用している人のせいで「うさんくさく見える」のはデモ活動でも「女性の権利」でも同じこと。

「み〜んな正しいことをしてると思い込んでるからだよぉ。

だから、何してもいいのぉ!相手が死ぬまでぶっ叩いても許されるのぉ〜☆」

と思うほど正義にのめり込んでしまった人が、実は本当に正義を成したい人・これから別の問題で正義を成し遂げたい人の本当の敵なのかも知れない。それは「戦うべき」という意味ではなく、もっと距離を置いた・土俵に乗らないような戦い方をすべき的なのかもしれない。思想やその人個人の問題ではない。もっと形のない敵なのかも。

愚かな猿ども、お前達はそうやって永遠に敵を探し続け、周囲に流されるまま攻撃してただウサを晴らしていく。

貴様らサルを動かしているのは正義ではない。異なる人間を見下し、自分はみんなと同じだと安心したい…そんな醜い劣等感にすぎない。

(ガッチャマンクラウズインサイト10話より、鈴木理詰夢の台詞より)

ネット批判のようで、ありとあらゆる「暴走した市民」「暴走した正義」に当てはまる台詞だね。これ。今回の件だけじゃなく、もっと色んな所に当てはまりそうな台詞。

 

 

・関連記事

前回書いたこのアニメの論評。政治的な事件をよく風刺してる回

作品を楽しむために実践して欲しい調べごとや考え方。とても良い記事

同調圧力の話つながり。同調圧力ゆえにつらい思いをした仕事の話。

アニメ
スポンサーリンク
シェアする
tm2501をフォローする
これが「目」で語る戦いだ
タイトルとURLをコピーしました