マンガ「薬屋のひとりごと」はなろう小説が原作とは思えない強度の良作!!

2018年1月13日

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正直、原作が「小説家になろう」の作品だと知って、全然期待してなかった。

 

でも、Amazon上の評判、表紙のイラスト…それから古代中国風の服を着てる女の子、それから「薬屋のひとりごと」という剣と魔法みたいな作品が多いラノベの世界には異色な題材だったから、興味を持ってこの作品を買い、見事に大当たりした。

本当は原作の小説を勧めるべきなんだろうけど…絵にすることで如実に違いや美しさが出てるので、

「マンガから入るのもありな作品だから、マンガ紹介しても全然恥ずかしくないな」

と判断して、マンガを紹介することに。

 

いや、あれだけ優れた設定を作ってるだから、ノベルも読んでみたい気持ちはあるね。(ちなみに、原作はこんな感じです)

 

あらすじ

薬屋の娘の「猫猫(マオマオ)」が、薬の材料を取りに山に入ったところを人さらいに遭って、男子禁制の「後宮」の下女として生活することに。
男子禁制とは言え、宦官と皇帝の親族などの男もいるから、まるっきり男だけというわけでもないけど…話の中心は女の園であることが前提。

 

猫猫(マオマオ)・宦官・皇帝…という単語からもわかる通り、古代中国風の世界観。

※豆知識としては、宦官という制度は主に中国・朝鮮とイスラム世界のものだから…ヨーロッパでも日本でもないわけ。ヨーロッパはローマ帝国以前とローマ帝国を継承した東ローマ帝国だけ例外で、日本に至っては中国の影響は受けてるのに宦官が制度上存在したことが一度もない(むしろ、刑罰扱い)。

 

主人公も、女性だし、自分で山に行くぐらいなので…美人を売りにしてるキャラどころか、どっちかというとブス。

ブスは言い過ぎにしても、かわいい・美人と言われる条件からは外れた女性であることは間違いない。

「かわいいけど、色気はない」

ぐらいのトーンの方が適切なのかな?

 

ここまでだったら、「オタクが考えたブス設定って、基本貧乳だよね?」という浅はかな作家でも描いている部分だと思う。(そばかすは意外とブス設定に組み込まれないことが多いから、そばかすから先に言いだしたのはすごいと思うけど。)

 

さらにダメ押しで、猫猫がブスキャラだと裏付けるこんな設定まであるから、ぼくも安心して「かわいいけど、色気がない」と断言できるわけで。

普段は包帯を巻いてるけど…ライトノベルのヒロイン(男主人公含めても)としてはかなり異例な「腕の生傷が酷く、しかもそれを自分の実験のためにつけている女の薬屋」というすごい強度の高い設定になってる!!

 

しかも、「蛇に噛ませた」とあるように、自分の腕に毒をなじませていたわけだから…

「お前は柳龍光か!!」

ツッコミを入れてしまった。

 

作品自体は後宮の生活の中で起こる不思議なできごとや、薬屋としてやるべき仕事を猫猫が解決したり、解説したり、やらかしたりするお話。

本筋は本筋で面白いんだけど…ここではネタバレになっても読む楽しみを奪わない「本筋とはあんまり関係のない話」をして魅力を語っていくことにしたい。

 

かわいいとは何か?を考える上で、猫猫というキャラはすごくいいキャラ。

特別新しいキャラではない、別に新しくはない。

というよりも、むしろ「ドライな理系の腐女子」がもし中国の後宮にいたらこんな感じだろうなぁ…という、よく言えばリアル、わるく言えば既視感のあるキャラ…それが猫猫。

 

表面的には内向的で、世の中や自分に対して達観してるんだけど、自分の好きなことやってる時には感情表現が驚くほど豊かで、そこがかわいくも不気味でもある女性。

これ今風に言えば、腐女子だし、人気作品で言えば、鋼の錬金術師に出てくるウィンリィ・ロックベルに近い。

 

ありふれてると言えばありふれてる。(ラノベできちっと、色気のないキャラを描いている作品は少ないけど)

ただ、そういうキャラクターをマンガで、絵になるように、緩急つけながら描くのは意外に難しい。
【タガが外れる不気味さとかわいさ】の両極を1つのコマ、ページに圧縮されている所にこのマンガの、面白さが詰まっている。

…いくつかそういうコマがあるんだけど、この辺なんか特にそうかな。

…正直、猫猫がかわいいと思った人は、ラノベとか読んでないで、女のオタクの友達をネットでも街コンでもなんでもいいから作って、長話したり、LINEしたりして信頼関係築いていけば、幸せになると思う。

むしろ、ラノベの方がこういうキャラ少ないし、拾い上げてこなかったから「やっとラノベがちゃんとオタクの好きなもの・幸せになれる形のかわいさや選択肢を、取り上げるようになったか」ぐらいに思った。

 

画像の部分以外にも、知り合いの腐女子と被る特徴や性格が描写されていて、

・彼女はイケメンのイケメンな行動や態度を見てもすごくドライ。
・それどころか、人さらいにさえ「はた迷惑」「マージンを引かれるのが嫌だ」ぐらいにしか言ってない

「本当に、現代だったら、リアルだったら、腐女子だよね?」と思うようなキャラだった。

 

せっかくだから、こういう人についてもうちょっと丁寧な分析をしたい。

 

腐女子とまでは言わなくても、内向的な女性のユニークな基準として、

「実際のイケメンは変に自信ありげなところが苦手で、一方的に愛情を注げる・笑顔を強要されない二次元や、言いたい放題な痴話で盛り上がるのは大好き。」
「現実に対してはドライでリアリストでありつつも、自分が好きなことやってる時にはとことん感情をむき出しにして他人がドン引きするほどの感情表現をする」

という、多面性があって、その多面性を見抜けると(見せてくれる立場に回ることができると)すげーかわいい。

 

その辺が、猫猫というキャラには見事に集約されてて、面白い。

これが、男のマッドサイエンティストだともうちょっと気持ち悪くなるか、クールならクール、熱血なら熱血でうまい出し入れがされてないのだが…女のオタクと言うキャラクターだからこそ、かわいく見えるし、社会性があることを行ったりやったりもする(けど、時々変わり者っぽい言動がちらつく)。

 

その塩梅が絶妙で、「かわいいとは何か」をすごく考えさせられた。

 

ましてや、イケメンで猫猫にちょっかいを出す男が、「イケメンだからといってちやほやしない女性」である猫猫が気になって行くのは、ストーリーとしても理にかなってるし、そういう女性をかわいいと思ったことのある男としては「わかる!」という共感とリアリティがあって、すごく気持ちが良かった。

後宮が舞台なので、基本登場人物全員が、猫猫よりも美人で色気のあるキャラ。でも、猫猫がちゃんとかわいく見えるように作り込まれてて、それでいてちゃんと男が寄ってくる理由も理にかなってるから、作品としても人間描写としても完成度が高い

 

 

なろうの作品というか、ラノベ全般がもっとふんわりした作品が悪目立ちしがちだったから、自分が生身の女性に思ってることをラノベに取り入れてくれて、なおかつフィクションとして納得しやすい形に落とし込まれているのはなかなかできるもんじゃない!

共感もしたし、自分の趣味も描いてくれている。だけど、それ以上に、ちゃんとフィクションとして、そういう人が魅力的で埋没しない理由がわかるようになっているところがすごいと感じました。

 

 

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