百貨店が衰退し続けてる理由は未だにゴルフ売り場が充実してるからだよ

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ぼくのブログで「大塚家具は、高級路線から低価格路線へと舵を切ったから失敗した」という話を書いた。

商売は…高級路線の方が基本的にはお客もいいし、カネ払いも良く、従業員のストレスが少ない
衰退するリスクは高級にも大衆向けにもあることだが…高級路線の方が商売として持続しやすく、いいお客さんがいたのにそれらを見捨てた大塚家具が急速な衰退を見せたのは当然のこと。
…という話を書いた。

…そんな話をこの記事に書いた。
大塚家具の身売り問題に見る「客商売の8割は客」問題

すると、ぼくのブログに面白いコメントを頂いた。

あなたの言うことが正しいのならデパートはつぶれてないはずだけどね
高級路線の否定も大衆路線の否定もどちらも極端にやっちゃいけないって話であって
エリート憎しでものごと語ってないかい?

デパート=百貨店と解釈するなら…百貨店が潰れたり、経営規模の縮小を迫られた理由は、「高級路線と大衆路線」という話とはまたちょっと違う。

確かに百貨店は高級路線なのに失敗した例だが…百貨店が衰退した理由は…大塚家具の失敗とは全く別のところにある。

今回はそれを、「日本経済の歴史」のお話と、「百貨店が提案するライフスタイルの問題」という2つの視点からお話したい。

バブルと一緒に崩壊したそごうの話

百貨店が衰退した理由を挙げる時に一番説明しやすいのが「そごう」という百貨店だ。

今はセブン&アイホールディングス傘下になって、東京都内からも店舗が消えた地味ーな百貨店だが…かつては「有楽町で逢いましょう」とか「横浜が生んだ、世界一の百貨店」なんて言って、すごい当時としては東洋一の売り場面積を誇った百貨店を作ってたりした。

そのそごうがなんで衰退したかというと…それは、中身とは関係なく、拡大しすぎたことになる。

今でこそ屋号が残っている店舗が8店舗、実際にそごうとして経営されてる店舗が7店舗まで絞られたけど…かつてはここに国内だけで20以上と、世界各国に巨大店舗を出店していた。

結局潰れることになった20店舗も、有楽町や心斎橋ぐらい好立地なところはまだいいとしてだ!
・北九州市だけでも2店舗作ってみたり、
・千葉県だけでも4店舗…それもそのうちの1つは人口8万人しかいない茂原市に店舗をつくってみたり
・兵庫県の店舗は現在でも続いている長続きしている店舗も多いとは言え、なぜか加古川なんてへんぴなところに店舗を作ってみたり
・奈良店に関しては、工事する段階で5万点にも及ぶ重要文化財がでたような場所。にもかかわらず、住民の反対を押し切って中途半端な立地に大きな店舗を作ったり
・多摩地区だけでも、八王子・多摩・南大沢と集中的に出店してみたり…
かなり無茶をやってた。

「大した戦略のない大量出店」というだけでも、経営者の無能っぷりが伺えるのだが…そごうの場合は出店コストが高くなるような形を取ってくるからタチが悪い。

まず、ほとんどの場合、そごうが建物を立てる。
しかも、それなりにいい建物を立てるため、そごうが撤退しても居抜きでそのまんま大型店が出店できるようないい建物をそごうが立ててしまう。

加えて利益を出す上で全く必要のない方向に豪華な店舗を作りたがる。
店舗の入口にはパルテノン神殿のような太い柱を立てたり、
イッツ・ア・スモールワールドが鳴る凝った時計を着けたり、
最上階には川が流れる飲食店街を作ったり…
横浜・千葉・奈良などにはそごう美術館なんていう現在の商業施設ではなかなか珍しいものがあったり(※横浜のみ、未だに現役で美術館がある)
公表されていないが、一部の店舗には絢爛豪華な会長室もある店舗もある。

いちいち、金かけすぎなんだよ。
それも利益として回収できないし、維持費がかかるような金のかけ方をね。

 

オフィスや店舗が豪華な事自体は否定しないよ?
例えば、00年代になってGoogleやMicrosoftが、オフィスの中にビリヤード場や飲み放題のミネラルウォーターがおいてあることが話題になった。
でも…世界で唯一無二のものを作ってるGoogleやMicrosoftと、人が作ったものを広い建物に集めて、売ってるだけのそごうでは、ワケが違うよね??
生産性を上げるために快適な環境を作るのと、見せびらかすために絢爛豪華にするのは、ワケが違うよね?

そごうは、一番極端な例だけども…他の百貨店も大なり小なりそうなんだよね。
出店戦略がびっくりするほどずさんだったり、店舗の内装や建設費がきちっと回収できるように考えられていなかったりしたから…百貨店は衰退したの。

言うなれば、自滅。
百貨店が衰退した原因の半分は自滅!!

無借金経営…とまでは行かないにしても、バブルの勢いでゴリゴリお金を借りて出店していなかったら…もうちょっと選んで出店していたら…大きな傷を負わずに済んだ部分がすごくある。

高級路線は専門性と独自性がないと絶対に成立しない

大塚家具の衰退と、百貨店業界の衰退にはもう1つ大きな違いがある。

それが専門性の有無。
百貨店って各ブランドが出店してくる専門店の集まりだから、もちろんそれぞれの百貨店の販売力もあるけど…それ以上に各ブランドが出店してきている専門店の集まりなわけ。

百貨店に専門性がないとは言わないけど…衰退する前後…80年代後半〜90年代にかけては…アレだけの大型店舗を大量出店し続けるのだから、専門性を持ったスタッフが、きちっと揃っていたとは考えにくいよね?

しかも、百貨店の場合は店舗のスタッフだけではなく、大口顧客専門の「外商」にも力を入れてるから…力はもっと分散するよね?

そうなってくると…経営者が想像している「企業の力」と、実際に店舗に行って感じる「お客様満足度」には大きな開きが生じるよね??

大塚家具は急激な拡大路線も取ってないし、百貨店ほど他社のテナントだらけになってないから薄まりきらないけど…90年代の百貨店は間違いなく薄まってたよね?

しかも、従業員のけっこうな割合が女性だから…当時のしきたりで言えば、女性は若いうちに寿退社するから、ノウハウは蓄積されにくいよね…。

そのへんのことを考えると
「百貨店は本当に高級店なのか?」
と疑問に思うのよ…。

いいお店も、いい店員さんも局地的にはいるかとは思うけど…大きくしすぎた結果として強みを失ってしまったのではないかな?と思うわけ。
ここ数年は店舗数を縮小したことで、専門的なスタッフが行き渡りやすくなってるけど…百貨店が衰退していく時期は…高級店だったかどうかも疑わしいのよねぇ〜。

この辺のことは経済小説として有名な「戦略プロフェッショナル」シリーズの、「経営パワーの危機」というのを読んでもらうと同じような話が出てくる。
ある程度まともなコンサルタントや、経営者なら、ちゃんと抑えている部分なので、全然ピンとこない人は読んでみるといいよ。

2003年にこの本が出ているというところに、「そごうの話を持ち出してよかった」と思うところがあります。
そごうが民事再生手続を始めたのが2000年で、本格的に不採算店舗を閉店させたのが2001年。

だから、2003年ぐらいに「過度な拡大志向を打ち出すと、本業のサービスが薄まってしまって、成長がストップするよ」という内容を本に書かれるのはすごく理にかなっているよね。

未だにゴルフコーナーを充実させる百貨店の大規模店舗

「百貨店が衰退した原因の半分は自滅」
といったけど、残り半分は今でも続いているライフスタイルの問題。

…というのも、バブルや冬の時代を通り過ぎた後も百貨店業界は衰退し続けていて、2007年には8兆円に迫った市場規模も、今では6兆円を割って約5兆9000億円なんだよ。

 

原因は百貨店の、不思議な売り場構成にあるんじゃないかな?

一例として、東洋一の売り場面積を誇った横浜そごうで説明しよう。
横浜そごう(フロアガイド)に載ってるものの中で「あれ?」という部分をいくつか引用していく。

…女性関連のフロアが4つあるのに大して、男性のフロアは1つしかない。

 

服なんて女性の文化だから
「女性は化粧品も服も小物あるから当たり前じゃないか」
とは、思う。

ただ…男性の方は、1フロアで紳士服・私服が売ってるだけじゃなくて、ゴルフ用品まで売ってる。

紳士服・ゴルフってなんだよ!

で、実際に横浜そごうのフロアを詳細に見てみると、だだっ広い売り場の5分の1はゴルフに割いてるわけ。
百貨店の世界では、スポーツとゴルフは別物なんだよ…。

一応、横浜そごうにもスポーツ売り場あるけど…横浜そごうの中でのスポーツの比重は、スポーツ全体でやっとゴルフ1競技と同じか、メガネ売り場全体と同じぐらいのサイズだからね?
そごうの的には、
「スポーツ全競技=ゴルフ=メガネ<<<メンズ<<化粧品<<<婦人服」
だから!!

しかも、ゴルフが健康のためとかで、スポーツの中に入ってるならまだわかるよ?
紳士服の隣がゴルフコーナーだから…もう完全に「ビジネス」の1つとしてゴルフ売り場があるんだよね…。

接待でゴルフとか、昭和かよ!
若者のゴルフ離れなめんじゃねーぞ!!
…直感的にはそう思った。

実際に、各種マスコミ報道を調べたところ、ゴルフの市場規模は1993年から20年で半分に落ち込んでる。
さらに、2017年のレジャー白書をもとに作られた日経の記事によると、ゴルファーの過半数は60代70代。ゲートボールの次に高齢者向けのスポーツになっている。
コースでゴルフ 3割減 レジャー白書から見えるもの

そういうわけで…百貨店の客層は…もうおじいさんおばあさん。

人気商売なら「ファンと一緒に年をとる」というのは、人気者もファンと一緒に死んでしまうからべつにいい。
ただ、百貨店は創業者がいなくなっても残るから、未だにゴルフクラブ売ってるのは…ヤバイ。

 

「横浜そごうだけの話だろ!」
と言いたい方もいるかと思うけど、伊勢丹の新宿店にもゴルフ売り場ある。
伊勢丹の新宿は、メンズ館があるため、男の服をないがしろにしてないし、ビッグサイズのコーナーなんかもわざわざ載せてる点で男にも良心的だけど…それでもゴルフコーナーはある。

これはトーンの大小はあるけど、小田急でも高島屋でも大きい店舗を調べると、やっぱりゴルフ系の売り場が大きめになってる。

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何よりもダメなのは、男女で出かけられないこと

ゴルフがダメとは言わないよ?
でも、男女で買い物する場所がフロアで分離され、なおかつ男の売り場で大きなスペースをゴルフが取ってるって…。

元々、洋服をウインドーショッピングする文化は男性には乏しいけど…ゴルフって…。

それだったら…映画館やゲームセンターが併設されている場所や、男女の洋服の売り場がごちゃごちゃに並んでいて男女一緒ならふらっと相手の買い物に付き合えるような総合商業施設に行くよなぁ…。ららぽーととか、行くよなーって思うわ。

子どもの頃から思ってた。
母が百貨店大好きだから、百貨店行くんだけど…男子のぼくはどこで暇をつぶしていればいいんだ?オヤジはなんで一緒に来ないんだ?…って。

そりゃ…オヤジ来ないわ。
10〜20年前のことながら、その時とコンセプトが変わらない百貨店を見てそう思うわ。

60代70代に合わせるにしたって健康器具や家電に行くとか、もっとレトロな文化に行くとか…なんか色々あると思うんだけど…よりにもよってゴルフだもん。

そんで、妻が専業主婦の時代なら、財布の紐を握ったご婦人が百貨店で豪遊することもあったかもしれないけど…今は共働きだから、デートでも子どもの買い物でもなく、一人で思いっきり優雅に買い物を楽しむ時間がある人ってどれだけいるんだ?という話なわけ。(友達と来るにしても、高いものを買うためだけに、わざわざ百貨店選ぶか?みんなで遊ぶならなおさら色んな興味を満たせる複合施設行くだろうに)

SNSでシェアする若者は世の中では斜に構えた評価をされがちだけど…百貨店に最も足りない能力ってこの「シェアすること」なんじゃないかな?
平成初期まではお母さんが、家族の中のインフルエンサーだったから、お母さんさえ楽しませれば夫や子どもの消費もフォロワーとして着いてきたけど…その構造が変わってしまったことに未だに順応できてないせいじゃないかな?

 

スーツ屋さんとかブランド物を買う場所としての百貨店はほそぼそと続いていくかもしれないよ?
でも、今のままの百貨店で若い人を開拓できるか、若い人を開拓できない商業施設に各社のブランドが高いテナント料を払うか?と問われると…さぁ、どうなんでしょうなぁ〜

 

もっと深く調べると昭和が見えてくるんだろうけど…そこまで興味ないので誰かやって。

 

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