マンガ「アクタージュ」は深いのにどこか等身大なぶっ刺さりマンガだ!!

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久しぶりに、マンガの続編を衝動買いしてイッキ読みした。
そのぐらい面白かったから、是非読んでほしい。

そうなんだよ…(うちのブログではじめて紹介する)ジャンプなんだよ。
でも、ちっともジャンプらしくない。

「友情努力勝利」がないって意味ではなく、
「主人公が(ジャンプでは少ない)女性で、なおかつ(明るくても、暗くても自己顕示欲の強いキャラが多いジャンプ作品の中で)自分の世界でふわふわしているタイプのはたから見ると不思議ちゃんみたいな人」
という意味でジャンプらしくない。

よく言えば大人向きで骨太。
悪くいうと暗くて小難しい。

そんなマンガです。

あらすじ

役者を目指して大手芸能事務所のオーディションを受けた夜凪景。

その才能を
「あまりにも才能がありすぎて、身を滅ぼす」
との理由で、落とした芸能事務所。

 

しかし、そんな彼女の才能をたまたまゲスト審査員として参加した演出家が目をつけ、彼女を役者として育てるべく、色々なところへ抜擢したり、コネを駆使して色んな所に放り込んでいく。

元々ポテンシャルが高い夜凪だったが、演出家が与えた仕事やオーディションをこなしていくうちに、メキメキと実力をつけていく。

メソッド演技法の天才としての夜凪

序盤は彼女の得意なメソッド演技の話が多く出てくる。

家庭の事情で同年代の中では人生経験豊富だった彼女は、その経験と才能、さらには大量の名画などから得た知識で、実体験や感情移入できるような事柄については、得意のメソッド演技で才能を見せつけていく。

それを見込んだ演出家も、彼女の得意な演技をするように、一番最初は言っていた。

ジャンプに限ったことではなく、マンガの多くは初期設定での得意分野をかなり長く引っ張っていく物が多い。(最後まで強みを活かして行くだけの作品もけっこうある)

しかし、この作品は「メソッド演技が得意」ということからどんどん広げていく。

1巻に出てくるもので言うと…自分には全く共感できない人間を演じさせてみたり。

ここでいう「他人」とは全く共感できないし、経験値にもない人間のこと。

体が勝手に自分のイメージで動いてしまう彼女にとっては、全くの他人であったり、共感できないような設定は、半ば反射的に体が違うことをしてしまうが…この作品は、メソッド演技の名手というキャラクターだけでなく、弱点も含めた特技として、彼女の能力と向き合おうとしている。

 

役者として才能な部分や、その人が持ってる技術の違いから色んな人から技術を吸収していくし、ライバルであり同業者でもある人達もどんどん吸収して強くなっていく。
主人公が強烈だが、ちゃんと登場するキャラクター全員が魅力的に描けているところもポイントが高い!!

 

現実にもいる「感情が乗っかると強い人」は逆に感情次第で弱くなる

メソッド演技を軸にしたキャラクターというのがぼくの中ではすごく共感できた。

なぜなら、ぼくはブログをメソッド演技のように書いているからだ。
マンガでも、時事ネタでも自分の経験を投影して、作中の感情や良さを深く理解して良さを伝えたり、なにがどう苦痛かを語るようにしている。
ブログやその場でのトークなど、自分の思っていることを鮮明に語れること…テーマに沿って自分の感情が乗っかった言い方をできることで、他の人にはできない自分にしかできないことができている。

よく言えば魂がこもっていて「アツい」のだが、
悪く言えば自分語りになりがちで、客観的ではない。

これだけなら、別によくある話。
実際、マンガの主人公には「アツい」キャラが多いから、別にこの作品でなくても味わえる。

ただ、「アツい」ことはいつも伝わるわけじゃないし、「熱くなれる人」にも弱点がある。
その弱点を描いているからこのマンガはすごいと思う。

1巻で言えば、アツくなれないテーマとも向き合わないといけないことが弱点に上がってる。
これは実際にあることで…ぼくもアツくなれないテーマには死ぬほど弱い。

例えば、自分の言いたいこととか調べ上げたことについては丸一日語ることだってできる。
でも、就職活動の志望動機とか、ビジネスメールになると…人の5倍遅いし、没個性的になる。

 

だって、そうじゃない?
志望動機について聞かれた時に、99%の人は
「生活のため」
「お金が必要だから」
か、
「自分の特技と興味が会社のしていることと、会社がやっているビジネスとが一致したから」
ぐらいしかないでしょ?

なんで、そんな質問をしているかがそもそもわからない。
同時に、そんなことを聞いてお金をもらっている人事関係者ははっきり言って詐欺師だと思う。

自己紹介?志望動機?…いや、そもそも仕事にそんな新卒雇えるほど大きな会社、人がすぐやめるから多めに採用しないといけない会社がそもそもパーソナルなこと求めてるの?

…会社入ったら入ったで、自分の興味のある仕事を100%できる人ってほとんどいなくて、よくわかんないか、欠点のある商品を売るように言われたりするわけだが…そういうもので「アツさ」って全く活きないんだよ。

いや、自分が長く扱っているうちに愛着が湧いてアツさが活きることはあるけど…仕事ってスピーディーな世界だから趣味みたいにじわじわ詳しくなっていく人を採用しないんだよ。

そう考えると共感できないとか、アツさが込められない中で実力を発揮できる人はすごい。
逆に「アツさ」を武器にしている人は自分がアツくなれない分野に対してはとことんダメ。

 

他にも「役者が役にハマりすぎて、身を滅ぼす」という話が1巻の中で散々出てくるけど、メソッド演技みたいに経験からはなしを引っ張ってきて熱っぽく語れるような人にも言えること。

嫌な思い出のあることとか、一度ネガティブに入ってしまうと深く考えすぎておかしくなってしまうほど考えてしまう。
かく言う私もブラック企業とか、毒親との生活で得たことで深く考えすぎて、精神をやんでしまったから「メソッド演技の強み」と「役にハマりすぎるあまり日常生活がおかしくなる」っていうのはすごく共感できる。

自分が母親にされた嫌なこととか、フラレた時のショックとか、疲れすぎてハイになってて精神状態が全くコントロールできなかったブラック企業での日々とか…そういうものに感情を取られてしまうと、他にいいことがあってもそのことばっかり考えてしまう。

そういう人って世の中にけっこう多いと思う。
役者というテーマだから難しく映るかもしれないし、夜凪はすごく天才肌だからもっともっと現実でメソッド演技的にやっていることよりも尖ったことをしているが…やっていることの本質的な部分は感情に振り回されてしまう人や、逆に感情が乗っかると素晴らしく実力が発揮できる人と重なる部分が多い。

最新刊までその流れは健在で、自分にできないことができる人を「素晴らしい」といいつつ、逆に自分にはなくて誰かにはあるテーマを相手と話すことで飲み込んでいったりして、役者として感情の乗った演技ができるように自分を組み立てたりしている。

それが
「あーブログでもトークでもすごくやる!!ぼくが会った誰かが言ってたこととか、テレビで見て自分にはない感情や、感動を自分の中に取り入れてブログにしたりとか、やるやる」
と、共感しながら読んだ。

マンガ自体は演劇や芸能の話なんだけど、内容が濃密すぎて自分自身へのメンタルコントロールや、創作術の領域まで踏み込んでいて、深い。

その深さが面白い!!
ぼくのブログ読むような、感情が生み出す面白さとか刺激とかを好む人は本当に読んだほうがいい。

本当にすごくいい!
知ってるようで知らない…でも、どこかで渇望してた世界が開けておすすめです!!

 

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これが「目」で語る戦いだ
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