eスポーツこそ部活にすべき理由と、eスポーツ部が抵抗されてしまう理由

ゲームの記事や動画を作る身としては興味深い話題を見つけた。

校長は「生徒がやりたいなら拾い上げたい」と前向きだが、教員の間には根強い反対も。「部活でゲーム」は受け入れられるか-。
「eスポーツ部」割れる意見=公立高、根強い抵抗感-茨城

これ、ぼくはすごいいいことだと思う。
抵抗感はわかんなくもないけど、それでも「こういうことこそ10代からできるように大人たちが環境作るべきでしょ!」とぼくは言いたい。

そもそも、eスポーツは10代でもすごい選手いっぱいいる!!

ブログでもTwitterでもさんざん言ってるけど、今の子はゲームがうまい!!
これは冗談でも大げさでも何でもなく、本当に現役高校生のプロゲーマーが複数存在して、ゲームによっては学業と並行してアジア大会に出るために週末には韓国や台湾に飛んでリーグ戦を繰り広げてる人もいる

それも、最前線で!!
高校野球でドラ1だけど、プロに入ったら大したことないプロ野球によくいるようなやつとはわけが違う!!
松坂大輔や清原和博みたいなプロの荒波に揉まれる前から「高校生なのにプロトップ選手」みたいな人がごろごろいる。

実際、世界的なゲームタイトルとコラボした生放送企画では、最も人気を得た人の一人はその現役高校生のプロゲーマー。
人気だけじゃなくて、日本人で3人しか達成したことない記録を持っている人達の一人が現役高校生のプロゲーマー。

…マイナータイトルの話じゃない。
スマホアプリゲームでは世界トップクラスの有名タイトル「クラッシュロワイヤル」での話で、KK19212さんという人。

クラロワで高校生のプロ選手はKKさんだけではなく、ロラポロンさんやshunさんと言った各チームの主力選手が現役高校生のプロゲーマー。
クラロワは特に若い人が多くて、プロリーグ発足時一番の年配者は24歳のまつもとん選手。(しかもこの人は代打ちの力でプロ入りしたため、成績不振ですぐに引退している)

 

「日本だけじゃないの!?」
って言う人は韓国で一番クラロワがうまいX-bow masterさんが17歳であることもしっかり言っておきたい。
当然韓国だけではなく、世界規模で強い。世界大会の中で勝ってるだけではなく、日本人選手からも畏敬の念で見られている選手。

フィジカルのスポーツだとピークが20代半ばぐらいのものが多いけど、eスポーツだと10代後半でもう世界クラス…って人はゴロゴロいる。
だから、eスポーツ部は増えた方が才能を開拓する意味ではすごくいい。

事実、そういう子達がクラロワの世界大会の賞金は1700万を争ってるし、YouTuberとして収入を得ていたりする。

今の若い世代が史上最強になった背景には技術革新あり!!

ここまで言ってもわかんない人はいるかと思う。

気持ちはわかる。
ファミコンの発売が1983年だから、上は50代のおじさんからゲームがうまい(と思ってる)人はいるし、ぼく自身毎日のように友達の家でゲームをやる小中学生だったから。

でも、スマートフォンやニンテンドースイッチを中学生ぐらいから与えられた子どもたちには、もう絶対に勝てないと思う。なぜなら、今の子はオンライン対戦が当たり前で、昔の子はオフラインで近所の友だちとゲームしているのが当たり前。競争の質が全然違う。

ゲームの競争相手も、攻略情報もアラサーのおじさん達の時代に比べると急激な進歩をしていて、たいていのゲームは実況プレイした人や、攻略情報を書いたサイトが見つかる。
それ自体がYouTuberを中心に生活の糧を得る手段になっているから、情報もとにかく多種多様。
アジアで一番うまいプレイヤーの本格的な解説動画もあれば、ネタに走ったプレイまで色々ある。(プロゲーマーである以上企業の広報も担っているから、動画作りも仕事の一環になっている場合もしばしば)

ゲームやスポーツに対して、「子どもたちが伸び伸びと楽しくやるもの」みたいに思ってる昭和か平成初期で頭が止まってる人に申し訳ないけど…eスポーツになってるようなゲームはほとんど戦争か技術開発だから!!

世界中での自分のランキングがわかるし、攻略サイトやプロのプレイと見比べて勉強するなど…ゲームを極めるのは勉強や研究、競争が渦巻く世界になっている。

それでも、
「青少年の健全な育成のために云々」
とおっしゃる人達にいいたい。

どっちがリアル??

学校の先生が一喜一憂させている学年での成績の世界なんてせいぜい300人の世界。
同じ学区の高校受験なんてせいぜい4、5000人の世界。
大学受験だって、せいぜい20万人そこそこの世界。

大人になってそれ以上の世代を超えた戦いに放り込まれてるのが、我々までの時代だったけど、今の子はもうゲームを通じて1億とかそれ以上の人と戦ってる。
クラロワについては本当に1億ダウンロードを超えているゲームで、そのトップまで行った経験を持つ人の中には高校生はザラにいる。

受験よりはるかに熾烈で、なおかつ参考書や教科書も自分で探さないといけない情報戦。

青少年の健全な育成とやらが、「子どもを競争原理から保護して、箱庭で大事に育てること」「文科省が考えたカリキュラムこそが健全で健やかな毎日のために必要」というイデオロギーの人は今すぐ子どもが泣こうが喚こうがゲームを取り上げたらいい。ぼくは軽蔑するけど、そういう人もいるだろう。

ただ、10代のうちにやっておいたからこそ、貴重な体験ができたり、仕事に結びついたり、まだ開拓されていない世界を掴むチャンスに漕ぎ出してる人が多いから部活としてやることで、どんどん10代の新しい才能が出やすい環境を作って欲しいよ。
それだけの伸びしろがあるジャンルだからね。

 

それでも、学校側に反対意見が渦巻く理由

ただ、反対意見も根強いらしく、ニュース記事にもこんな記述がある。

だが、校内には根強い反対もある。教員の1人は「学校教育でゲームをすることに抵抗がある。大反対だ」と強調。公費でのゲームソフト購入などに強い抵抗感を持つ教員が複数いるという。

反対の理由はおおよそこんなところでしょ?
・ゲームを遊びだと思ってる/自分たちの世代のイメージから脱却できてない
・前例がないことをして叩かれたくない。
・先生が教えられない/生徒の方が詳しいから監督できない
・新しい仕事を増やしたくない
・ゲームに対して偏見がある/教育の一環になるのか懐疑的
ってところでしょ?

建前としては色々あるけど、要するに「先生としてやるべき手続きがわからないけど、それをわざわざ突破口を探す努力をしてでもやりたいとも思えない。」といったところでしょ!?

 

この記事を読んでて
「主張はわかるが言い方がすごく攻撃的でトゲがある」
と感じる人もいると思うけど…これは意図的にやってる。

というのも、自分の母親がオタク文化にもゲームに対して理解のない親で、よその家庭では普通に見ているGTOやバカ殿を「暴力的だからダメ」「アニメは中学生まで。子どもっぽい」とかステレオタイプな言葉が飛び交うの家庭だったから、「プロとして頑張ってる高校生がこれだけいる世界に対して、自分のつまんない趣味や偏見のせいで反対している親・センコーがいる」というのはどうにも我慢ならなかった。

同級生の中務くんみたく、将来の夢を書けと学校で言われた時に
「(そっち系の)男優になりたい」
とか冗談半分で言っちゃう種類のやつじゃなくて、学校で流行ってるものに興味があるとかそんぐらいなんだから許してくれよ…。(※中務くんの話は実話)

だいたい、はじめて読んだライトノベルだって下井田くんに貸してもらったキノの旅で、これ読んでる当時は
「こんなの小説じゃねー、活字を読め」
「ハックルベリー・フィンとかカラマゾフの兄弟読め」
とか言われた家庭だから。

国語が苦手な俺に、翻訳された本特有の言い回しを勧めて本嫌いにしてどないすんねん?と当時から思ってたけど、今でもその見解は変わらない。(翻訳された本って色々試したけど、やっぱ読みにくい)

もっとかわいそうなのは妹で、興味本位で借りたエドワード・ゴーリーの絵本をきっかけに
「こんなグロテスクなものを借りてきてるなんて…」
という家族会議が始まったからな!?我が家。

もう我が家の堅物伝説を語るのが楽しくなってきたから、最後にもう1つ。
俺が当時パソコンに詳しい同級生の藤本くんから「フラッシュ倉庫面白いよ」って言われて見ていたところ、パソコンの履歴をチェックされて、母親の前でバストカップ占いの歌を、再生させられてさらし者にされた経験もした。

話が脱線してるようで繋がるから聞いて。
結局問題は同じところにある。

結局、子どもに対して自分の想像の範囲内で育って欲しいと、ダメな親ほど考える。
私の母親は愛情はあった。毎日弁当を作ってくれたし、家もキレイにしていたし、旅行にも連れて行ってくれた。

でも、友達の間で流行ってたものに対しては、とにかく保守的でシャットアウトしようとしたダメな親でもある。

文化的な教育も、学業も全部自分の感情や価値観優先。
受験勉強よりも公立校落ちた後にヒステリーを起こした母親から1ヶ月罵倒され続けるほうが大変だったし、アルバイトで夜遅く帰ったら親を夜に起こしてしまったことの方がバイトの3倍疲れるという、悪循環。

トクサツガガガというマンガに、私の母そっくりの「毒親」が出てくるけど、ほんとこんな感じ。

 

これ、学校の先生でも本質は同じ。
自分の学生時代の価値観からアップデートできてない人が
「ゲームなんて、遊びでしょ」
「若いうちはカラダを鍛えるために運動部に入ろう」
とか言ってる。

一理あるとは思うから悪いとは思わない。
それでも、部活を作る段階で頭ごなしに反対するのは、流石に「大人による価値観の押しつけでは?」と言いたい。

親と学校の先生は違うから、「教職員」としての「手続きや見通しがわからないからやりたくない」という意見もあるだろうし、それならわからなくもないよ?
ただ、必要だと感じることや物の価値がわかっていれば、「それでもどうにかしてできないか」と普通は考えるよね?
そもそも、必要ないか、価値が分かってないのが真相では?

そんな人に1つ言いたい。
「堅物すぎて、もはや友人やネット上でネタになるほどの母親の口癖」何だと思います?

答えは「なんだか知らないけど」。

母が頭ごなしに否定的な意見を言う時には必ず、「なんだか知らないけど」という言葉がついた。
これ、本質的には学校の先生がeスポーツ部に反対するのと同じ理由だよね?

「知らないなら知る努力をするか、否定する前に落ち着いて聞くなり考えるなりしてみたら?」
と自分の親に面と向かって言ったところで聞く耳をもたなかったけど、そんな人をモンスターペアレント呼ばわりしている先生方は、ちゃんと生徒がeスポーツ部を作りたいという人に向き合ってほしい。

eスポーツで10代でがんばってる人、その後もYouTuberやゲーム専門の司会者としてがんばってる人もいて、ちゃんと仕事にもなってる。
そもそもプロにならなかったとしても、ゲームの上位ランカーを目指すのは受験勉強以上のいばらの道だから情報戦や計算・論理的な思考の訓練にもなる。
それを「なんだか知らないけど」と言わずに聞いた上で、判断して欲しい。

 

まぁ、散々「eスポーツ部反対なんてけしからん」という論調を書いてきたけど…実際問題、部活になってもキチッと熱心にやる人ばかりじゃないし、今ぼくが言ったようなeスポーツ業界の相場や今のゲームにおける情報戦をキチッとやらない部活もあるだろうとは思うよ?

そういうダメな部活は反対かな…。
これ、eスポーツに限らず、本気でやらない部活は野球部でもなんでも反対。
プロまで目指さなくてもいいから「競技をしっかりやったからこそ身につく技能」さえつけられないものはほんと良くない。

放課後の友達作りぐらいにしかなってない部活多すぎるし、ゲーム部がそうなるとどの部活よりも悲惨な末路をたどるだろうから「やるんだったら一生懸命やれる環境と人間にこそやってほしい」という個人的な要望を最後に書かせてもらいたい。

野球やサッカーと違って、場所も人数もいらないゲームを部活にする以上、情報の多さとか環境とか部活だからこそできるキメの細かさはあってほしいと思うよ。
できれば、偏見で見てた先生たちをびっくりさせてほしいからね。

トクサツガガガは毒親モノとして面白いから、ぼくの母親の話を聞いて「うちもそんな感じだった」という人はよかったら見てね。

 

 

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