マンガ「雪女と蟹を食う」は25歳以上の人生退屈してきた人に読んでほしい

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タイトル見た時に「よくあるグルメマンガかな」なんて思ったら…予想以上に文学的な作品で面食らった。

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マンガをガッツリ探して読むオタクな人はこの作品好きだと思う。
でも、同時に人気の作品や週刊誌少年誌ばっかり読んでるタイプの人には「そんなことあるの?」と思うようなご都合主義に見えるような話が軸になっているため、紹介も兼ねた解説をしていこうと思う。

貧しい男と、人生に退屈した人妻の出会って旅に出る話

まずはあらすじから。

自殺を考えるほど行き詰まった男が主人公。
ところが、死ぬに死にきれず、テレビを見るとカニを食べているグルメレポーターが出てくる。
そこで、思いつきから金持ちそうな女性を襲う。

襲った人妻が思いの外度胸のある人で、「命さえ見逃してくれるならお金も出すし、体も…」と言い出す。
男の方は蟹を北海道に食べに行くだけの旅費がほしかっただけなのだが…お言葉に甘えて、女と関係を持つことになる。
その後、男にアレコレ話を聞く。
あまりにもバカバカしい話だから、薄ら笑いを浮かべながら語る男の話が思いの外女に刺さってしまう。
結果、一緒に蟹を食べに行くことになる。
しかも、この二人は飛行機ではなく、彼女が借りたレンタカーで蟹を食べに行くため、二人っきりの旅行になってしまう。
乗り気じゃないかと思いきや、意外と彼女も彼女で乗り気で、順風満帆に見える人生の中に闇を持っていることがわかってくる。

その後、行く先で観光をしていくうちに、段々と乗り気な感じになっていき、「大人の夏休み」になっていく。
「ちょっと、男に都合良すぎない?」
と、普通の感性をお持ちの方は思うかもしれない。

しかしながら、ぼくには「リアルだ。」と思う内容なので…色々納得しながら読ませてもらった。

年をとると「幸せになれなかった人」と、「幸せに飽きてしまった人」が出てくる。

自分も若い時は幸せになりたいと思ったし、幸せになればそこで安泰だと思った。

ところが、実際に色んな人に会ってみると金銭や交際関係で安泰だと思える人も、意外と退屈していて、何かを求めて色んなことを試してもがいていることが、この年になってみるとわかってきた。

ぼくは…ブログをやっている関係で、幸せや安泰に退屈している女性や、逆にそれをネタに煽ってくる男性(同業者)をいっぱい知ってるから
幸せになった覚えがないぼくには贅沢な悩みにしか見えないが、どうやら幸せになっても人間の欲望は尽きず、ずっと新しい幸せを求め続けるらしい
と思うようになった。

もっと酔狂な人にまで行くと「幸せも不幸も全部体験したい」とまではっきりいう人がいる。
大学生ぐらいの頃に、こういう人と会うことはほぼなかったのだが…大人になると、一定数いることがわかる。

「雪女と蟹を食う」の中に出てくる女性は…一見、おかしな人だろうし、取っている行動だけで見るとかなり酔狂だ。
しかしながら、結婚生活や自分の仕事に退屈してて「忙しく誰かに振り回されていたい」と思う人や、「面倒事に巻き込まれることを楽しんでいたい」という心理状態の中にいる人はいるのだ。

だから、押し入ってきた男は「自分を退屈な世界から連れ出してくれる王子様」にでも見えるのかもしれない。
通常は、それをアイドルとか、新しい趣味で埋め合わせていくのだが…よりリアルな刺激を求めて浮気したり、旅に出たり、会ったことのない人に会ったり…ちょっと手間のかかる方法で埋め合わせる方向に行く人もいる。

確率としては、ものすごく少ない。
貧しくて社会から疎まれてしまったおじさんは、とことん女性に縁がない。
女性が出入りする場所に出入りしづらいのもそうだが…行動力がない人が多いから、女性と会う機会は少ない。

充実しすぎて退屈していたり、新しいこと(それが不幸なことや面倒なことでも構わないから新しい自分になってみたい)と思っている女性はそこそこ幸せな人が多いし、行動力がある人も多いので、行動力がある人が集まるようなところにいることが多い。

だから…本来は混じり合う機会が少ない。

でも、交わった時にお互いにとって新しい体験ができる。
それは新しい体験であることが一般的なんだけど、ごくまれに「大人の夏休み」になることがある。

ありそうでない…さすがに、幸の薄い男性が犯罪に走って当人にとって良い方に変わるということはなかなかだろう。
なさそうである…こんなに都合よく、幸の薄い男性が幸せをつかむことはない…と思われそうな内容だが、みんながみんな欠落しているのがお金や社会的な地位とも限らない。

フィクションとして、ふわっと文学的なところに落とし込んでいるけど、どこかで求めているし、ありそうな絶妙なラインを見つけていて、
「大人向けの作品だ!!淡い文学のような作品に見えて、かなりリアルをえぐった作品だ!!」
と感動しながら読ませてもらった。

多くを語りにくいし、キャッチーな魅力も少ない作品なので話を聞いてもそれほど面白そうと思わないかもしれない。
しかし、手にとった時の衝撃は大きいので、このレビューを信じて手に取ってくれる読者がいたら嬉しい限りだ。

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