「なぜ日本の救急車は無料なのか」を調べると、けっこう闇が深かった

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先週の日曜日、人生で初めて救急車に乗りました。

日曜日で病院が空いていないことと、うちのマンションの階段を降りるのも辛いほど痛かったこともあって、
「申し訳ないけど、日曜日で医者にかかれず、生活に差し支えがあってどうしようもないから救急車を呼んでなんとかしてもらおう」
と思って呼びました。

結果的には「鵞足炎(がそくえん)」というハムストリングスの付け根の筋肉と靭帯が擦れて炎症を起こすケガで命に関わることも骨が折れていることも高熱で倒れそうなこともなかったのですが…救急車があってすごく助かりました。

詳しい救急車体験についてはnoteに記述したので、興味があれば読んでもらえると嬉しいです。
人生で初めて救急車呼んだからレポート
ここでは、説明に必要なことだけサラッと書きます。

救急車をタクシー代わりに使ったら大恥をかく上に、軽症な人は応急処置しかされないと心得えよ

救急車に実際乗って初めて知ったことなのですが…救急車はすべてのシステムが重病患者向けに作られています。
まず、救急車の設備と対応は充実していて、どんな軽症患者でも血圧と熱を測って、親族友人などの連絡先を聞いて緊急時と同じ対応をされます。

いくら生活に差し支えがあって外に出るどころか家で生活するのも困難な状況とは言え…命に関わることもないのに、「緊急連絡先を教えてくれ」なんて言われたら普通は申し訳なくて死にそうになります。だから軽症の人は軽々しく呼ぶと救急隊員に迷惑なことはもちろん、恥ずかしくて死にそうな気分になります

次に、緊急搬送された先の救急医療を専門にする部署で、軽症の人が期待しているような細かい措置は受けられません
私自身、その日は湿布だけもらって帰されて、次の日も起き上がれないほど足が痛い中なんとか予約してもらった系列の病院に行って、改めて色んな事を話して鵞足炎という診断結果が出てから、ガッツリ薬をもらいました。

救命医療の仕事は次の専門家にバトンタッチさせる(ために必要なら救命措置をしたり、入院や通院の判断を下す)こと。
だから、タクシー代わりに救急車を使った人は結果的にはあまり得しないです。
それでも、すごく痛くて動けなくて救急車を呼んで応急処置をしてもらって良かったとは思っていますが…思ってた感じとは違っていたのも事実です。

 

世界でも救急車が無料なのは日本とイタリアぐらい

人生初の救急車と救命医療に触れて不思議に感じたことが多く、救急車について調べてみました。

すると、日本の救急車はかなり異質で、救急車が無料な国は日本とイタリアぐらいらしいです
皮肉にも良心的な社会インフラを持ってる国は両方とも財政赤字で有名な国ですね。

重症患者限定で無料の台湾でさえ、軽症だと2000円〜6000円取られる。
台湾は日本の社会インフラをベースに作られているから元々は救急車は無料だったけど…その台湾でさえ軽症患者が救急車を使うことが問題になって重症患者じゃない場合は救急車を有料にすると決めている。

ちょっと変わってるのがフランスで…フランスでは電話をするとトレアージして、軽症である場合は救急車が来ない。
来ないは言い過ぎにしても、無料の電話相談をして通院を促し、重病で救急車な場合有料です。

問題はアメリカです。
救急車の料金が「州」によって異なり、ニューヨークでは2万円+移動料金で3万円ぐらい。デトロイトとかだと合計10万円近くかかります。
さらに、入院や手術をした時に負担を減らしてくれる健康保険的なものがないから、アメリカでケガをすると100万円ぐらい取られちゃうこともあるそうです。

日本にはスティーブ・ジョブズはいないけど、救急車が無料!!
iPhoneで人の命は救えないけど、救急車で人の命が救えることを考えたらありがたい話です。

 

救急車の世界的なスタンダードはアメリカ寄りです。
医療費自体は日本より安い国もありますが、救急車を割高に設定して本当に重病な人しか呼ばないように制度設計されている国が多いです。

「救急車を有料にすべき」
と正義感に駆られたり、医療関係者のポジショントークとしていう人はいますが、慎重な判断が必要です。

有料化と一口に言っても「重病だけが無料」「事故の場合のみ無料」「医療相談をして軽症の患者にも優しいアドバイスがある」「救急車は有料だけど、病院は無料」といった条件付きならまだいいのです。
しかし、多くの国では救急車を呼ぶと問答無用で万単位のお金を取る・病院までの距離に応じてお金を取られるため遠くの病院に搬送されるようなことが起こる危険もあります

自分が年収1000万円以上のお医者様ならそれでいいかもしれませんが…庶民が正義感に駆られて
「救急車を有料化しろ」
とか軽々しくいうと、自分が酷い目に遭うかもしれません。

 

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世界を調べると「なぜ日本は救急車が無料なのか?」という問題が浮上してくる。

救急車のお世話になった時に、ぼくが搬送された病院について調べたところ…なんと系列病院があるだけでなく、入院患者用のベッドも300以上あるそうです。
ついでにいうと、日本で大きな病院ともなると1000以上ベッドがある病院もあるそうで、救急車や救急医療に関わる医者の数と入院できるベッドや診察できる医者はまた別の問題みたいです。

救急車で運び込まれたぼくは搬送された病院の系列病院に割り振られて診察を受けたわけですが…これって経営側からすると「救急車が安定した顧客の確保に役立っている」とも言えます。
トゲのある言い方にはなってしまいますが…軽症なら系列病院に回せばいいし、重症ならば高額医療が必要な患者さんが無料で送り込まれてくるから…病院としてはお得な部分もあるのです。

結果、政治的な発言力が増しやすい大きな病院や、大学病院は多少大変でも救急車は無料のほうがいい…とも言えます。
また、一般大衆も救急車は無料のほうがいいです。救急車有料化は「道義的にはしょうがない」と思っていても、無料の方が安心だと思っている人は多いです。

救急車を有料化したいと思っている人は政治的には少ないのです。
現場に近い医療現場や、救急隊員は「ただでさえ忙しいのだから有料化されてほしい」と思っていますが…現場でせっせと働いている名もない現場人の政治的な発言力が高いかと言うとそうでもないのです。

日本の政治はよくも悪くも声の大きい人と、聞こえのいい大義名分に弱いのです。
「救急車を有料化する」というのは、聞こえのいい大義名分も少ないし、政治的な権力を持っていたり、患者の声を代弁するNPOや市民団体をも敵に回すから…できることならやりたくないのです。

ましてや、投票率の高い高齢者からブーイングを浴びるような政策ならなおさらやりたくないんです

救急車が有料化されない本当の理由は高齢化である!!

そもそもですよ!?
実は…救急車の存在意義も変わってきているんです。
まずは、これを見てくださいい。

これは総務省が発表している『「平成 30 年中の救急出動件数等(速報値)」の公表」』というから引用したものです。

まず、20年前までは救急車を呼ぶ主な理由として「急患」の次に「交通事故」が多かったのです。
交通事故に巻き込まれたらまっさきに病院に行こう。その時なんともなくても脳の障害や時間差の体調不良があるかもしれない
と、車に乗っている人なら一度は誰かに言われたことがあるのではないでしょうか?

だから、交通事故で救急車呼ぶ人は「念の為」の意味合いもあるから軽症の割に救急車を利用したりするのです。
今はマイカーを持っている人が減ったから、交通事故で救急車を呼ぶ人が減って急患と一般的な負傷が増えました。

次に、救急車呼んでいる人も昔と今ではだいぶん違います。

20年前は5割が成人でしたが、今は6割が高齢者が搬送されてます。
成人が車に乗らなくなって搬送されるようなケガをしなくなった代わりに、高齢化で高齢者の搬送が増えているのです。

実は、救急車の出動回数が増えた最大の原因は高齢化です!!

さらに、トドメとして言わせてもらうと…実は「必要もないのに救急車を呼んでる人がたくさんいる」もウソがあります
むしろ、昔のほうが入院が必要のない軽症患者が救急車を利用していたぐらいです

軽症か重症かを入院の長さで決めるのはいかがなものかと思いますが…それでも、軽症ではなく入院が必要で救急車を呼ぶ人は多いです。この時点で、「救急車をタクシー代わりにしてる問題」は昔はあったかもしれないけど今は改善されていると言えます。

自分では重症だと思っていても軽症…ということはどうやっても残ります。

ぼくの経験から例を挙げると、ぼくの「入院してない中での一番大きなケガ」は元プロ野球選手が打ったボールが目にあたって、一瞬呼吸が止まって目を中心に血まみれになったときのことです。
野球チームの人達と一緒だったから親御さんに搬送してもらいましたが…この時も入院してないので、定義上は「軽症」です。

かと思ったら、奥まで刺さった巻き爪を切る手術をして入院したこともあります。
むしろ、こっちの方が定義上は中等症といえます。

あんまり困ってもないのに救急車を呼んでいる人はたしかにいるかも知れません。
しかし、全体としては救急車の利用者マナー年々改善されているため、本当に困ってる人は救急車を呼ぶことにビビらなくていいです

どっちにしろ、高齢化によって救急車の出動回数は増えていくのですから…。

高齢化してますます救急車の有料化は難しくなっていくだろうけど…同時に世界中高齢化してるからこそ無料で救急車が呼べる日本の価値は上がるよなぁ…。
世界でも数少ない試みだから残した上で成功させてほしい。

 

 

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