マンガ「モノノケソウルフード」のエモさと、奇抜な大阪のメシ屋がたまらなく好き

このマンガはわかりやすい一本筋があるわけでも、高度で驚かされるストーリー展開を期待する作品でもない。
でも、好きなものを好きって自然体で紹介して、マンガに落とし込んでエモくて楽しい空間を描いていくマンガだ。
でも、そんな作者の姿勢がとにかく好きだから、紹介したい。

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講談社
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あらすじ

主人公は色んなバンドを転々とするキーボードの陰キャラ。

バンドを転々とするうちに悪い癖が独り歩きする。

 

コミュ障と「やる気と乖離した結果での空回り」をこじらせている最中、一緒にやるバンドメンバーが見つかる。
見つかるには見つかるんだけど…ことある度に、おいしいものをみんなで食べたがる人たちでしてね…。
まあ、冷静に見てみると、言ってること飲み屋でほろ酔いだったり、おいしいもの食べながら喋ってるうちにテンションが上って暑いことを言い出すだけなんだけどね。

「何言うとんねんこいつは!?」
って思うけど…この人らと、食いしん坊の女の子のせいで、ご飯に興味がなかった主人公が大阪中のうまいものを食べまくる生活が始まっていく。

とにかく【等身大にアツい】のが素晴らしい

このマンガは作者が生活の中で触れてきたものをいい意味で好き勝手に書いたマンガ!!

だから、そこにある生活感やいいと思ったものを素直にいいという時の爽快感や臨場感がすごく充実している作品となっている。

さらに、このマンガの設定に出てくる人物・情景が自分や好みと被っているのが素晴らしい。

ぼくがマンガの主人公みたいにコミュ障だけど何か作りたいという熱を持った(一度うまく行った時の快感に囚われてる)人間だし、
このマンガの登場人物達みたいに地元の奇抜なごはん屋さんをめぐるのが大好きだし、
なにより音楽やサブカルチャー界隈にいる「垢抜けてるけど、陰キャラに優しくて、信頼関係があるとちょっと小悪魔っぽく振る舞うところがかわいい女の子」ってのがもう、ぶっ刺さる!!!

この子…ほんと、魔性の女!

伝わるでしょ!?

女の子可愛すぎてヤバいし、描き方も女の子にキュンキュンしてる時の俺の目線と思ってることそのまんますぎて…まあ、ヤバいわ。

俺のために描かれてんじゃないかと思っちゃうほど好み!

というのもね…アニメやマンガで描かる子、中学高校で見られる表面的な女の子のイメージでは垢抜けてない子が多い。(アレはアレで好みだが、色々見すぎてちょっと飽きてる)
ただ、大人になってから出会う女性…それも陰キャラとわざわざ会ってくれる女性は垢抜けていて、子どもの頃の無垢な魅力とはまた違う魅力がある。

オタク的な文脈で描かれる女の子もそれはそれでかわいい。
だけど、生身の女の子のかわいさとは乖離してしまう作品は多い。
絵だからできること、学生時代の女の子へのふんわりとしたイメージなどがベースになってて、大人になってからのことや、具体的な特定の女性をモデルにしたものとはずれてしまうから。

この作品は、むしろオタク的な文脈ではなく、本当に実在しそうな感じがかわいい。ってかヤバい!
自分が生身の女の子に対して、実体験でかわいいと思ったり、ドギマギして変な対応しちゃったりした部分を「お前は俺か!」ってぐらいにマンガで切り取られてて、すごく好きになった。

これは…恋愛マンガじゃないんだけどね。
でも、女の子の描き方は一番作品の方向性が出る部分。
ヒロイン好きになれたマンガはずっと読み続けられるから、ヒロインがかわいいのとても大事!

ましてや、この作品みたいにストーリーも紹介もリアルなものは、女の子がリアルだと
「このマンガの空間の中にいたい」
って気持ちになれていいよ!

「メシ×音楽×大阪」のシナジーがすごい

アマゾンのレビューでは「音楽マンガというよりも、関西人の内輪ノリだ」とか見当違いなレビューが載ってるけど…このマンガは音楽ネタもさり気なく凝ってる。
むしろ、さりげないところがくどくどと音楽マンガしてなくていい。

特に好きだったのは1話のここ。

ここ、よくあるビートルズネタかと思いきや、1話のタイトル自体がINUというパンクロックバンドの「メシ喰うな!」が元ネタになっている。
このタイトル、単に「私音楽通ですよ」っていう作者のツウアピールではなくて、ほんとうにストーリーにも「メシ喰うな!」を作った町田町蔵の人生知ってたら1話にこのタイトルつけたら納得できる内容となっている。

音楽マンガsろ音楽うんちくをゴリ押ししたり、音を伝えるために絵で過剰な演出をかける作品が多いのだけど、この作品は(音楽演出もしっかりあるけど、)バンドというライフスタイルやバンド内の空気感を大事に描いてる。
そのため、音楽知らない人やバンド知らない人でもストレスなく、人間ドラマとして読めるのが素晴らしい。

ご飯マンガとしては表現が豊かなだけじゃなくて、そこに理由付けとしてのアーティスト、さらには大阪というマンガが持ってる地域性がうまく噛み合ってる。

グルメマンガで、大阪を舞台にする作品がまず少ない。
ちなみに、数少ない大阪のグルメマンガの中ではくらふとさんの「ゆかい食堂」シリーズが安定して面白くておすすめ。

さらに地域性とストーリー噛み合うことで面白くなる作品は少ない。
でも、このマンガが持ってる大阪の面白さと、お店の面白さまで出てて大阪の良さがしっかり出てる。

最後は「大阪」という題材だけど…これも、さりげない味付けがいい。
世の中の「大阪」を題材にしたコンテンツってコッテコテにしないと気がすまない傾向があるけど、むしろ自然体な形で関西人だから関西弁喋って、大阪人だから大阪のものを食べに行くし、大阪独特のユニークなグルメをおもろいおもろい言いながら食べる。

よくも悪くも作者が好きなものを好きなように描いてて、それがぼくも好きだから楽しめた。
それだけなんだよ。でも、作者が勝手にやるなりに、好きな人や物を丁寧に、ストーリーとリアリティを突き詰めて描くから、おふざけのように軽いノリで進んで行くように見えて、実は骨太な作品。

骨太なところに気づかなくていい。
でも、このマンガが一言で、1イシューで面白さが言い表せないからといって評価を下げないで。
逆に、万人ウケしそうなわかりやすさ・使い古された「お決まり」に逃げないで、自分の世界をしっかり描いたことがこの漫画の面白さだから!!

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これが「目」で語る戦いだ
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