ラノベ界の鈍器職人、川上稔作品のページ数推移と関連統計

2018年9月18日

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一応、先駆者はいます。
川上稔作品ページ数推移−ミグストラノート
ただ、これが4年前のデータで、なおかつアップデートもされてないし、どういう作品を書いてきたかが伝わらないから…ぼくが書き直すことにした。

元々図を作る人でも何でもないので、図が見にくいのはご勘弁を。

調べるきっかけ

境界線上のホライゾンの11巻の中編の表紙が、いかがわしいと話題になった。

これに一部の女権拡張論者たちが
「これは女性への差別で、不当に虐げている」
「資本主義の力で男性が女性を値踏みするような表現だ」
とか言って盛り上がりだした。

…ホライゾンのアニメでいいからみなよ。
その表紙の人(賢姉)、一番立場が強いで?
虐げられてるどころか、最も立場の強いぞ。

女権拡張論者は表現に対して批判するだけならいざしらず、
「今、ライトノベル売り場は、ホライゾンのようないかがわしい表紙の作品で溢れている。それは男がホライゾンのような表紙にすれば、買うと出版社も書店員も考えているからだ」
とか、言い出した。

 

ホライゾンの過酷さを知ってる人間に言わせれば、
ホライゾンみたいな作品で溢れてるの!?ラノベ界の鈍器と呼ばれるほど分厚いホライゾンみたいなものが今、男性に売れてるの!?日本の国語教育、成功しすぎじゃない!?
表紙のお色気1つで、1巻前半だけで500ページ超え、1冊で1000ページを超えることもザラにあるホライゾンを読む人が増えるの!?
それなら、どんどんお色気を取り入れてヤングを釣って読書力底上げすべきだよ。

日本中に官僚並みの国語力を持った男性があふれかえるから、どんどんやったほうがいいよ。
青少年健全化するよりも、お色気ラノベのためになんでも読む読書家に育てた方が、高級官僚に近づくから、どんどんやったほうがいいよ。(実際には、お色気ムンムンな表紙を全面的に売りにしたライトノベルレーベル一迅社文庫は潰れお色気どころか女性も読みやすいライトノベルを小説家になろうからピックアップして書籍化している主婦の友社が新たに台頭してきてる。それに、伝統的に萌え系にはならないでがんばってるガガガ文庫みたいなレーベルだってあるんで、ラノベと言っても、色々あるんだよ…アホなのが悪目立ちして叩かれがちだけど)

 

…という皮肉でオタ友と盛り上がっているときにふと、
川上稔作品の統計を取ったら面白そう
と思い立って、作品数・ページ数などを調べるということを始めた。

 

出版した小説は66冊!!書いた文字数は約2700万!!

64冊すべてのページ数をエクセルに打ち込んで、それを計算していく作業をしてたら半日潰れたし、川上稔の執筆スピードがすごすぎて色々凹んだ。

苦労の末にできたグラフがこちら。

(※ミスがありました。終わりのクロニクルと、境界線上のホライゾンの間の「速射王」ってかいてるところが正しくは「連射王」でした。訂正しお詫び申し上げます

 

画像にするとぼやけちゃってるのはご愛嬌。(作品と文字数が多すぎてこれが限界)
注目してほしいのは、境界線上のホライゾンが始まってから、1000ページ前後が当たり前になっているということ。
ちなみに、1冊の最長は境界線上のホライゾンの2巻の下巻で、1153ページ。
「ライトノベルとは??」
と、常識を疑いたくなる長さ。

終わりのクロニクルシリーズが好きな川上稔のファンでもホライゾンは読むのはしんどい可能性が…けっこう高い。(リアルタイムで発売日と並行して追いかけていたクロニクルファンはホライゾンファンよりもハイペースに本が読める人はいると思うけど、その話は後ほど)
だって、川上稔作品全部を集計して気づいたことだけど…ホライゾンが半分以上だもの。

(※ここも「速射王」ではなく、「連射王」です。重ね重ねすいません)

巻数が多いこともあるけど、ホライゾンが川上稔作品の半数以上を占めてる。

平均のページ数も調べたけど、やっぱりダントツでホライゾンが多い。

1冊あたりの平均のページ数は
都市シリーズだけで371ページ
終わりのクロニクルシリーズだけで524ページ
境界線上のホライゾン本編だけで862ページ
という結果に。

さらに、都市シリーズ、終わりのクロニクルシリーズでは完結後に、長く休暇をとって間隔を開けて新しいシリーズに行くのが川上稔のスタイルだったけど…ホライゾンは、同時進行で番外編も隠し、激突のヘクセンナハトも連載しているため、執筆スピードはすごいことになってる。(しかも、1年あたりの最多記録はその時期ではないというから驚く。)

 

その気になれば「月刊 川上稔」だって可能!?1年で3000ページ以上書いた年が複数回!

年度別に執筆した量を並べ、積み上げていくとと境界線上のホライゾンが始まったあたりと、同時連載をしていた時期に加速度的に早くなったことがわかると思う。

執筆量と時間経過を見てほしいので、ここでは敢えて文字大きくして、大雑把なグラフで行く。

4万ページですよ!!
正確に言うと、40575ページ。
電撃文庫の1ページは、714文字が最大なので、最大28970550文字。
改行や挿絵など文字書いてない分を5%あると仮定して差し引くと2700万文字だそうです。
2700万というのは、「人」の数ならオーストラリアの人口よりちょっとだけ多いぐらい。

 

通常の作家さんなら、4万ページ書こうとすると、単行本が200〜300ページ必要なので、130〜200冊ぐらい出す必要がある。
川上稔66冊しか(?)出してないから、いかに1冊が多いかが伺えるかと思う。

…ホライゾンのせいでもあるけど。

ちなみに、川上稔が最も筆が早い年は終わりのクロニクルシリーズを4巻の下巻から、7巻までを一気に書いた2005年。
この時に、1年で3890ページを書くという荒行をやってのけた。
12ヶ月に直すと324ページ。
ちょっと長めのライトノベルを毎月毎月書いていた計算になる。

他にも、1年で3000ページ以上の年がヘクセンナハトやホライゾンの番外編、そしてホライゾン本編を同時連載している時期に何度かある。

 

結局、川上稔は23年…正確には22.75年の作家生活で40575ページ、おやすみを差し引くと20年ぐらいなわけだが…20年間コンスタントに毎年毎年2000ページなんて書ける?

活動期間である22.75年間で割ると、毎年1800ページ。
これを21歳から43歳まで書き続ける創作意欲と根気とスピードがある?

考えただけで恐ろしいわ。
おやすみやデビューして間もない時期を入れても、2ヶ月に1冊は本を作るだけのバイタリティがおおよそ23年続くとか怖すぎる。

さらに、この記事を書いたところ川上稔ファンことカワカミンの方々から
「他にも、年に何度か同人誌も出している」
「カクヨムやPixivにも気晴らしと称して、様々な作品を投稿している」
境界線上のホライゾンは、設定資料だけで700ページあることが報道されているから小説本編意以外にも、公開してない書き物がたくさんあると考えられる。
「そもそも、売れっ子作家でゲーム会社の社員でもあるため、小説を書く以外の仕事もたくさんしているのでは?」
といった、数字以上に筆が早いであろうエピソードがゴロゴロ出てきた。

余談だが、カワカミンと仲が良かったこともあり、それをきっかけで境界線上のホライゾン見た。
でも、その人はかなり頭いいのに、川上稔の超人的な偉業に触れすぎたせいで自己肯定感がすごく低い。

そりゃそうだよね。こんな人を深く知ったら自信なくして
「小説家になろう」
なんて、怖くて口が裂けても言えないよ…。

しかも、作品に触れた人に限って
「たしかにすごい量だけど、案外読みやすいし、面白いからいいよ」
と言う。
ぼくは本読むスピードが超絶遅いから読めないけど、確かに文章自体は癖に慣れると、かなりのページ数がすんなり読める不思議な魅力があった。

量と質の次元が違いすぎる。
ただ…残念なことに作品に触れてない人は、読まないで表紙だけ見てジェンダーの問題とやらを持ち込みがちだけどね。

そうだ。
せっかくだから、この話題にも触れておかなきゃ。

川上稔作品の表紙はいつから「ああなった」のか

そもそも、コトの発端は川上稔作品の表紙がいかがわしい表紙だなんだという議論だった。

オタク友達と
「どんだけ書いているんだ?」
ともりあがったから集計したが、集計するにあたって、作品の表紙を全部見たから「いつああなったか」もメモした。

まず、デビュー作から。

(※96年の方は画像が出なかったので00年の方でご勘弁を。もちろん画像は96年版と同じ)

ページ数も299ページ。
普通のラノベの量に収まってる。
絵柄も90年代のラノベ黎明期にありそうな雰囲気。

川上稔作品といえば、同じゲーム会社に所属している「さとやす」さんのイラストが描かれてると思われがちだけど…さとやすさんはデビューから3作品目の風水街都香港から。
20年に渡る、イラストの変遷なんかも楽しんでもらえるとありがたい。

こだわりや描き方に独特のさとやすらしさが光りつつも、まだ大丈夫。
というより、普通に90年代のラノベっぽい。

都市シリーズで一番際どいの…これかな?

まだ、今の絵柄とちょっと違う感じ…。
きわどい…と言っても、表紙絵の中にストーリーを感じさせてくるあたり、まだまだラノベの初期っぽい感じ。

気になる人には気になるのは電詞都市のこの表紙かな。

これぐらいが過渡期かな… 。
ストーリーよりもお尻が気になる人もいるだろうし、羽やマッチョが気になる人もいるだろうから、見る人の問題ってところじゃないかな?

次の巻から終わりのクロニクルシリーズで…1巻がこれ。

いわゆる乳袋と、パンストという川上稔作品のイメージそのまんまの絵が、ここで出てくる。
表紙に男が登場したり、ストーリー性を連想させるアイテムの書き込みが徐々に減ってくる。

とはいえ「そういう作品」と認識するのが難しい表紙もあり、ホライゾンに比べるとかなりマイルド。

お尻から太もものラインはさすがだけど…これがいかがわしいと言われたら
「どんだけ業が深いんだよ」
と言いたい。

画風の変化という意味では、クロニクルの3巻の下巻には触れておこうかな。

今まで、こういう体のラインが透けて見えるような描き方はされなかったのだが、この巻からそういうイラストが増えてくる。(服を着ているのに、おへそまで描かれてたり、体のラインがピタッと出るようなイラストが徐々に増えていく)
「イラストの流行」「ラノベにもとめてるものがかわってきた」というとそれまでだけど…。

さあ、問題のホライゾンだ!

ハイレグっぽい服装が際立ってしまって…やらしさが一気にアップ。
まぁ、ラノベ表紙のお色気合戦が最も過激になりつつあった時期だから、しょうがないと言えばしょうがないけど…。

ホライゾンの表紙はだいたい目のやりどころに困る。
ホライゾンの表紙はみんなハイレグみたいなやつ着てるから。
男に見える人が表紙絵になることは都市シリーズを最後にないから。(※生物学上男のやつが女装して表紙飾ってることがあるけど)

それを踏まえても…11巻の中はやりすぎ感あるよね。
はじけんばかりだし、食い込んじゃってるから…苦手な人もいないわけではないだろう。

ゴリゴリに90年台っぽい絵を描いていたさとやすさんが、20年でこんなことに…。

 

たしかに、ホライゾン見て
「表紙がなぁ…イラストがなぁ…」
という気持ちはわからんでもない。好き嫌いがあるのは仕方ないから、何も言うまい。

ただ…この作品をやり玉に挙げて、犯罪的だという人は

  1. 画風、作風は15年前から徐々に存在していて、かなりの人に受け入れられ続けてる。ニッチながら確立された様式美・伝統芸能なので、なんの予備知識もなく頭ごなしに踏み入ること自体失礼に当たる。(それが好きで楽しみにしてるファンもいて、その人達がお金を払って支えてきてることにも敬意を払うべき
  2. 出版するにあたって様々な基準があって、それをクリアしている以上、ネット民風情が「苦手」「不愉快」で済むぐらいのことを「犯罪的」だ「法に触れる」だとか言うのは俺ルールでしかない。「おれはジャイアンガキ大将」をネットでやらないで、
  3. そもそも、ホライゾン自体が意外と女性人気の高い作品。この記事も女性ファンがかなり読んでいるため、「女性だから、お色気を不愉快に思って、お色気なら全部ダメ」という単純な話ではない

といった話をキチッとご理解いただきたい限りだ。

だいたいお色気要素目当てで本が売れるような作品でもないから、ホライゾンをやり玉に挙げた時点で読んでないのミエミエだし。

 

せっかくだから、ホライゾンのすごさに少し触れると、ぼくは
ジリ貧の国家が【戦わない】という選択をすることにもリスクがある。ジリ貧で衰退するだけになってしまう危険もあるから。
という言説をホライゾンではじめて聞いた。(詳しくは1巻読むか、アニメ見てね
戦記物としては面白いけど、今の政治情勢だったら絶対に表立って議論されないテーマをぶっこんできて、「すげー!」って感動したよ。アニメでいいから見たほうがいい。

ホライゾンって、戦記物としてかなり高度な理論を描いてて、キャラクター多いのにほぼ全員がかぶらないでポジションを獲得してて、敵キャラは敵キャラでユニークで面白い人・ゾクッとするキャラ多くていい作品なんだよ。
原作が読めるだけの体力はないけど。

原作が分厚すぎるから「読んでからいえ」なんて口が裂けても言えないけどね。
でも、ビジュアルが苦手じゃないなら、アニメだけでも見てほしい。

能力バトルものとしても、戦記物としてもすげーいい作品なので…抑えておいて損はないよ。


 

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バカなことを調べてしんどい思いをすることもあるけど、何事もやってみるもんだよ。

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