マンガ「くまクマ熊ベアー」は強ければ強いほどギャグっぽくて面白い。

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「小説家になろう」の異世界転生作品の中でも、「こういう切り口の作品好きだなぁ〜」と思える作品を見つけたから紹介したい。

表紙がかわいかったから買ったけど…これがかえってよかった。

原作者が「くまなの」さんというところも個人的にはツボなので、小説家になろうで読める原作も貼っておく。
くま クマ 熊 ベアー

 

 

小説家になろうのテンプレを面白おかしく再解釈されてる良作

小説家になろうで「異世界転生」と呼ばれる作品には、お決まりのテンプレートがある。

・主人公がゲームの世界だけで強い引きこもりで、
・ドラクエ風の剣と魔法のファンタジーの世界にゲームのステータスで転生して、
・その世界で強いステータスや現代社会で学んだ知識を活かしてちやほやされたり、悠々自適の生活を送る
という、「あードラクエとかFFばっかりやってたおじさん達が好きそうなお話ですね」って、鼻で笑いたくなるような話が死ぬほど量産されてる。

で、それをそっくりそのまま指摘すると、
「なろうのテンプレを叩く、なろう叩きテンプレだ」
というなろう擁護テンプレで反論されたり、
「売れればいいんだよ」
とか反論されたりする。(売れてるものはごく一部で、そのごく一部のものも歴代で見るとそこまででもないんだけどさ…)

 

ある程度訓練したアニメ・マンガ・ラノベのオタクがうんざりしてる一通りの流れを経験した人にこそ、ぼくは「くまクマ熊ベアー」を読んでほしい。

なにしろ、「くまクマ熊ベアー」の良かったところは、大まかな流れでテンプレを抑えながらも目新しくなるように現代人が異世界に迷い込んだからこそ起こりうることをストーリーに盛り込むという工夫をされているため、なろう系の作品を読みながらもやもやしてたことを、かなり補完している。

能力は変えられても人格は変えられない。そこがミソ

例えば、ただゲームができる引きこもりという設定も、「投資で成功して引きこもりをしている」というネオニート設定になってる。

ダメ人間が環境が変わっただけで突然良くなる話ではなく、
頭が良くて合理主義だけど、人付き合い全般がめんどくさい主人公が異世界に行ってもそのまんまの考えや得意不得意を引きずりながら生きていく
というのが、わかりやすく描かれている。

だから、能力上は無敵(チート)で周囲から好かれてお金を稼ぐ。
一方で、しょっちゅう揉め事を起こすし、ちゃんと話もしてくれない人から頭ごなしに悪く言われるし、いらないおせっかいに興ざめするといった、きっとこの主人公が現代社会で生きてても起きたであろうトラブルを異世界でもちゃんと起こしてる。

それに、能力上はチートでも倒したモンスターを解体して肉にしたり…みたいなことは、現代の都会っ子として転生してきた主人公は苦手みたい。

これ、なろう系作品の中ではじつは革命的な描写なんだわ…。
多くのなろう系作品は意外と「異世界の人にできて、現代から来た自分にはできない」ということを描いていなくて、「チートな能力と検索ツールを持ってる自分が、異世界の人に何でもかんでもやってやる」というスタンスが多い。

だから、
「モンスターは倒せるけど、解体は苦手」
「クエストはこなせるけど、人付き合いが苦手」
といった彼女のスタンスはすごく納得の行く落とし所で、もっと評価されていいと思う。

能力上のチートと、性格や気質によってできること/できないことをきちっと切り分けられてる。
当たり前じゃん!仕事できるようになっても、人付き合いが不器用な人はなかなか変われないし、倫理的な振る舞いができるかどうかも別問題でしょ!?
なんて誰でも少し考えればわかることなんだけど…それをノベルの中できちっとキャラクターとして描けている人は少ない。

 

異世界転生自体が面白くないって言ってるわけじゃなくて、
「異世界に行ってからの変貌っぷりがあまりにも度が過ぎていて薄っぺらい」
って言ってるの!

 

環境が突然変わったらちやほやされる?
いやいや、環境変える決心をするところから人間は変わるんよ。
いじめられっ子が嫌で転校したところで、自分が毅然とした態度、芯が通った部分がなかったらどこに行ったって他人は認めちゃくれないよ。

経済状況や能力が強かったら変わる?
金や肩書でついてくる人間、自分が変わったと錯覚するような態度で近づいてくるヤツなんてそれこそ薄っぺらいでしょ!
そんな奴らに好かれたところで、自分を変えてくれたり、自分がなにか変わったと思い込めるならそれは大きな勘違いだよね〜

全部自分のせいじゃないよ?
でも、運や人、環境のせいにしてチートになったら全部解決する作品なんて、発想が全部逃げじゃん。だから、好きになれないんだよ。

 

ぼくもJRPG的なゲームは好きだけど、別にレベルを上げて相手をボコボコにしたり、ゲーム内の通貨を貯めていくことだけが好きなわけじゃない。
でも、小説家になろう出身のダメな作品を見ていると、ゲームの面白さを履き違えてる作品が多くて困る。

「ゲームとなろうは違う」
というなら、それこそ主人公は現代社会の頃の長所や短所を活かした作品こそ面白いと思うからこそ、ぼくはくまクマ熊ベアーみたいな作品のほうがしっくり来る。

いや、ゲーム的なものを小説に落とし込む面白さで考えても、この作品の「くま」という装備はすごく好き。

 

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ゲームの世界に転生したからこそ、できるユニークな主人公

食あたり気味だからこそ言いたいんだけど…別にゲームの世界に転生するんだったら「勇者」とか「魔法剣士」じゃなくてもいいのよ。

 

その辺のことを踏まえて、道具屋になったり、イベントを仕切る人になる作品もあってそこは面白い小説を書く人、ゲームを作る人もいる。(テンプレを回避しようと試行錯誤してる分、テンプレより良作が多い印象)

そこよりもさらに思い切って
ゲームだからこそ、クマの着ぐるみのヤツが戦ってても面白くない?
というのが、この作品のコンセプト。

見た目のかわいさもさることながら、主人公が現代社会にも異世界にもどっちつかずな感じがデザインに落とし込まれているのが面白い。

 

さらに言えば、ストーリーの中では「元々、自分の力で引き込もれる主人公」が他人と溶け込める緩衝材の役割も描かれているのがまた面白い。

だから、「なんだこりゃ!?」と毛嫌いする人がいる一方で、愛情の裏返しでいじってくる人もいるのが、面白い。

こういうのって、雑に「能力が高くてモテる勇者」でも他人がおせっかいを焼くのはあるんだけど、それよりも「クマの着ぐるみを来た女の子」のほうが説明不要でわかりやすいんだよ。

全体の流れとしては小説家になろうによくあるテンプレ展開でも
「そりゃ、こんなヤツ見たらいじりたくなるよね〜」
「こんなのが強かったらいけ好かなくて、怒る人もいるだろうなぁ〜」
という風に話を飲み込みやすくしている。

 

なろうのテンプレを飲み込みやすくしている…という意味では、チートを使った途端ギャグになってしまうのも、この作品の醍醐味かな。
この格好のせいで、身体能力が高いだけで…何もかもが面白いことに…。

 

ぼくは活字を読むのがあほみたいに遅いから
「マンガか、映像作品の面白いものを見て紹介する」
と決めているんだけど…そういう人にとってはとてもありがたい作品。

何をやるにもくまの格好でやるからギャグになってしまうし、活字を読むとなろうや、ゲーム風の作品によくある展開に見えてしまうことも、「この格好ならそうなるよね」と思えるから是非ともマンガ版を読んでほしい。

設定や、キャラの心理描写を見る限り、多分原作も面白いと思うんだけど…マンガ版にしたことで、キャラが持ってるビジュアルの面白さや、このビジュアルに設定したことで起こっていくストーリーが飲み込みやすくなっているから、是非マンガで読んでほしい。

 

もちろん、普通にかわいくて面白いし、普通の人にも読んでほしい。
だけど、ある程度オタク的な、お決まりを理解した人こそ「え?この作品すごくない??」と思える通好みな作品なので、是非手にとっていただきたい。

ぼくはかなり好きだし、ビジュアルもかわいいからそのうちアニメ化とかすると思うけど…どうなんだろうね??

 

◆関連記事:小説家になろう系・JRPGの世界をひねった作品

 マンガ「若者の黒魔法離れ〜」は、なろう小説のマンガ版としては最高傑作かもしれない
ちなみに、ぼくがすげー好きな作品はこれ。剣と魔法のファンタジーの世界に、青春小説をぶち込んだすごい作品。なろうテンプレであるウハウハモテモテハーレムなのに、20代が悩みそうなこと、がんばってることをちゃんと作品内に落とし込んだすごい作品。

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