【ネタバレ&解説】映画クレしん『爆盛!カンフーボーイズ』感想

2018年4月15日

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今年のクレしんは…いい!

クレヨンしんちゃんの映画を全作品見てきたけど、
ここ10年の作品の中では一番面白い
ぐらいのお気に入り!!

オトナ帝国の逆襲とか、ヘンダーランドの時代の作品と比べても引けをとらないほど面白い。

とは言え…この映画は実はすごく玄人好みな作品だから…意味のわからないシーンも多いだろう。

クレヨンしんちゃん映画には【オトナ帝国の逆襲】以降、何回か
「子ども向けアニメでやるにはおもすぎるけど、めちゃくちゃ面白い」
という作品はある。今回もそのパターンでとても良かった。

それでいて、クレしん映画を全て見ている人しか気づかないようなネタがいくつか入っている。

しかも、玄人しか楽しめない作品になりすぎないように、過去のクレしん映画を見ていない人が見ても楽しめるように
「風刺としてすごく面白い」
「アクション作画もすごいし、バカバカしくて楽しい」
といった、面白さもきちっと仕込んでいる。

つまり、誰が見ても面白くなるように作っていながら、全作品見てなおかつアニメ版も子どもの頃ガッツリ見たような人が見たような玄人の知識があると…100倍面白くできている。

その「100倍の面白さ」まで行ってほしいからいくつかしていく。

でも、その前に基本事項から。

あらすじ

いじめられっ子のマサオくんがたくましくなり、いじめっ子に勝ってしまう。

かすかべ防衛隊の4人は、マサオくんがたくましくなった秘密を探るべく後をつけると、春日部に昔からある中国人街「哎呀街(アイヤータウン)」へ。
すると、「ぷにぷに拳」というカンフーを習っている老人の家にたどり着き…綺麗なお姉さん「玉蘭(タマ・ラン)」に釣られて、カンフーを習うことに。

しかし、カンフーを教えている老人と玉蘭お姉さんが住んでいる場所は、ラーメン工場を建設しようと目論む「ブラックパンダ」の地上げ屋に目をつけられてしまう…。

 

 

(これより下は、ごりごりにネタバレしていきます)

 

違和感を覚えた所にオマージュが詰め込まれているのだ!!

あまりにもクレしんが好きすぎて冗長になるのを避けるために、シンプルに見た時に感じるであろう疑問と、答えを書く。

Q1.マサオくんがめちゃくちゃキャラが変わってますが…??

A.本作でのマサオくんが自己主張の強いキャラに見えるから驚く人がいるだろう。
お調子者だから、ノッてる時は普段の2倍3倍できるやつになるけど、つまづくとヤサグレオニギリになる。
かっこいいシーンは劇場で見てもらえばいいとして、ヤサグレオニギリの時は…こんな感じ。(予告ではネタにされてるシーンだけど、ヤサグレモード入り始めてますねぇ…はい)

だから、めっちゃかっこいいシーンと、悪いシーン両方が劇場版クレしんにはある。
かっこいい&ギアが加速しているマサオくんがもっと見たい人は「オトナ帝国の逆襲」とか「嵐を呼ぶジャングル」あたりを見るといい。本気のマサオくんは、本当にすごい。

逆にかっこ悪いやさぐれたマサオくんを見たい人は「超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」を見ると…すごくかっこ悪いマサオくんが見られます。

 

Q2、ブラックパンダラーメンの元ネタは…。

アレ、すごいよね!!
元ネタが3つ複雑に絡み合ってる。
ラーメン二郎…中毒性が高くて体に悪く、常連客が怖くて、お店がめっさ偉そう。
横浜家系ラーメン…ブラックラーメンの具材やスープの色(なるとだけ違うけど…)
富山ブラック…ブラックパンダラーメンの名称の元ネタ

ラーメン二郎だけを風刺しているように見えて、体に悪くて常連さんやお店が偉そうなラーメン全般を皮肉ってる。

「爆盛」とか「マシマシ」というフレーズが宣伝や劇中のセリフでも出てくるから主に二郎のことを言ってるんだろうけど、二郎以外のネタが複雑に絡まってるところに気づくと、もっと面白い。

また、二郎への個人攻撃にならないように、二郎には入っていない具材がアクションシーンに色々出てくる。

劇場版でのぼーちゃんは「しんのすけの最大の理解者」というポジション

テレビ版でのぼーちゃんは、ミステリアスまたはしんのすけとは別ベクトルの変わった子として描かれることが多い。
しかし、劇場版のぼーちゃんは面白い映画であるほど、ストーリーの核になる事が多い。

Q3、ぼーちゃんの玉蘭への「特撮好きには悪い人はいない」というセリフ、不自然では?しんのすけではなく、なぜぼーちゃんが特撮推し?

A.まず、そこに気づいた人はすごい!!

ぼーちゃんってしんのすけの意図を理解した上で、しんのすけの言いたいこと・言い損ねたことを唯一補足できるキャラだから。

よくツッコまれている言い間違いだけではなく、しんのすけの感情の機微を理解して『(しんのすけさえ)言ってもないことを、正しく代弁できる』のは実はぼーちゃんとヒロシだけ。
唐突に代弁することに限れば、ぼーちゃんだけ。(そのぐらいにしんのすけの理解度が高い)

過去の映画でいうと、「夕陽のカスカベボーイズ」や「超時空!!嵐を呼ぶオラの花嫁」を見るとぼーちゃんがしんのすけが言いたくて言い切れないことや、やりたくてもやれてないことを先回りして代弁したり、サポートしてる。

特に「夕陽のカスカベボーイズ」でぼーちゃんがしんのすけが椿ちゃんに恋をしているのを見抜いて
「惚れたな」
と、ボソッと言うシーンはぜひ見てほしい。
しんのすけが本当に好きな女の子にはシャイになるところをキチッと見抜けている数少ない人物だからこそ言える言葉だから何気ないワンシーンだけど、ファンには忘れられない名シーン。

今作の
「特撮好きに悪い人はいない」
も、クレしんファン以外ならスルーしてしまう何気ない一言。

しかし、過去作品の中でも一部のぼーちゃんが活躍している映画を見ないと出てこない【隠し設定】をすごく短く圧縮した部分だから、気づくだけでもすごい。

ここらへんを全部わかってクレしん見てる人はツウ!
一晩でもクレしんを一緒に語り明かせるぐらいの「同志」だよ。

Q3-1、玉蘭ちゃんとしんのすけが共通してアクション仮面ファンである理由(意味)は?また、そのシーンのために、それだけぼーちゃんの意味深な台詞を入れた理由は??

A.「玉蘭ちゃん」がヒロインであり、ヒーローでもあるという設定を圧縮している部分だね。

これも過去作見ている人じゃないと説明の難しいシーン。

まず、しんのすけの行動規範や正義観はアクション仮面でできてる。
しんのすけはアクション仮面のファンであり、弟子であり、絶対に助けないといけない(必要なら一緒に戦う)運命共同体でもある。

玉蘭がアクション仮面のファンなのは、女の子扱いとしてのヒロインではなく、むしろ
「アクション仮面のように一緒に戦ってくれるヒーローであり、しんのすけの前から消えないようにしんのすけが助け続けないといけない運命共同体」
という位置づけを暗示している。

ぼーちゃんの「特撮ファンに悪い人はいない」というセリフは、クレしん映画を繰り返し見たファンに「このヒロインは、しんのすけの恋人でも、姉でも妹でもなく、アクション仮面の位置づけで行きます。」というやんわりとした説明なわけ。

もっと映画をキチッと読み解きたい人のために過去作と本作の関係性についても触れる。

時々、しんのすけの方がアクション仮面よりもアクション仮面らしくヒーローっぽい行動をして、アクション仮面がヒーローとしてあるまじき残虐なことをしないように止めるシーンが過去作にはある。
1作目の「ハイグレ魔王」とか、「嵐を呼ぶジャングル」を見てもらうとわかるんだけど、敵をオーバーキルしそうなアクション仮面をしんのすけが止めるシーンがちょいちょいある。

これが、カンフーボーイズでは終盤の「玉蘭」と、しんのすけの関係性を読み解く上で重要。
この作品限定とはいえ、一緒に戦うアクション仮面のような存在でもある玉蘭が、力を悪用する寛容じゃないヒールに落っこちた時に救う側に回るのは、しんのすけにとっては玉蘭を救うだけではなく「自分の信念を守る戦い」でもある

だから、重たい話でありながらキチッとクレヨンしんちゃんやっててぼくはすごく感動した。
クレヨンしんちゃんの過去作品でのしんのすけの信念とかかっこよさを理解してないとこの作品は作れないから!

 

「過去作と違う」という違和感がキチッと伏線として活用されているところがすごい!

ここまでは「しんのすけやぼーちゃんの変わった行動は、過去作品を見ていればほとんどは納得できるよ」と言ってきた。
ここからは、過去作にはなかった新しい傾向について触れていきたい。

「クレしんらしくないなぁ〜」
と思うようなところに限って、ストーリー上のうまい伏線になっていて面白かったので、見る人はぜひとも着目してほしい。

 

Q4.今回「玉蘭ちゃんとぷにぷにしたい」「玉蘭ちゃんとつながっていたい」「オラももっとサイチェンしたい」とか、ダブルミーニングでかつ子どもがわからないような下ネタ、多くない?

A.他のクレしんよりも多いので、そこはちょっと驚いた。
しんのすけはこの手の下ネタより、もっと冗談だと分かる言い方が多い。
もしくは、下ネタを一切言わないかのどちらかだから、この位置づけはびっくりした。

一方で、なんの意味もないセリフかというと…ちゃんと後半への伏線になっている。

どこの伏線になってるかと言うと
お姉さんとぷにぷにしたい→ぷにぷに拳の修行をやってる頃の優しい玉蘭と一緒に修行がしたい(それが叶わない時期に突入することへの伏線)

お姉さんとつながっていたい→これは、終盤の「ジェンガの列に入って欲しい」という意味に近い。もしくは、逆に繋がれない時間ができる&つながりを取り戻しに行くということへの伏線

・「オラももっと再見(サイチェン)したい」は→何度も「またね」と言うぐらいに通いたいであり、エンディングに対する伏線と、回収になってる。(サイチェンできない時が来ることの伏線)

不自然に見える下ネタに限って、その場限りの下ネタ以外にも映画の展開を深読みできる構造。
しかも、それぞれにセリフを言った場所と次に来る場面がリンクしているから…これは伏線と言ってもいいんじゃないかな?

さあ、正義の話をしよう。

この作品を読み解く上でのテーマの部分について語っていく。
カンフーボーイズに限らず、日本の難しめの深夜アニメはここの解説読めばだいたい理解できるようになるから、難しめだけど、きちっと読んでほしい。

Q5.割と単純な勧善懲悪モノが多いクレヨンしんちゃんの中で、「力で悪を倒したあと、力を手に入れたヒロインが第二の悪になる物語」は相当異質では?

A.かなり異質!!
クレしん映画としてのバランスを崩さないような流れを作られたとは言え、本来は深夜アニメでやる題材。
しかも、深夜アニメでさえ、キレイに大団円で終わることが少ない題材。この本来なら1クール以上かけてやるべき題材をわずか100分で、しかも大団円まで持っていたカンフーボーイズはアニメ史に残る革命!!!

クレしんしか見ていない人は逆に「深夜アニメで、有名なアニメ監督がやるような難しい題材」だと気づかないから「異質」としか言えない。
一方、深夜アニメしか見ていない人は、カンフーボーイズを見ない&カンフーボーイズが大団円になっている理由がわからないから、ちゃんと説明できる人はすごく少ない。

Q5-1、「暴力の問題を暴力で解決することを問題視した作品」には、具体的になにがありますか?また、それらの作品は、どうして大団円にならなかったんですか?

A.ぼくの知ってる限りで言うと…
Serial experiments lain…暴力よりも強い暴力で問題を解決したら、数少ない友達も暴力に耐えられなくなって、友達が壊れてしまったことから、孤独に生きる決心をする。
ビターエンドだと思うけど…ぼくは最も現実的な、優しい話(にするために、主人公が自分を辛くする嘘をつく姿に健気すぎて泣いちゃった話)だから好き。

ユリ熊嵐…暴力に暴力で立ち向かう話ではなく、「二人で駆け落ちのようにその場から去る」という道を選んだ作品。ぼくはファンタジーすぎて嫌いだけど、インテリ層の中には孤独にならないし、自分に降り注いでいる暴力も解決しているから、これをハッピーエンドと考える人もいる。幾原邦彦作品は簡単に踏み込むと死ぬので、このぐらいで勘弁してください。信者がことごとくめんどくさいサブカル女と、自分のこと頭いいと思ってるめんどくさい人達なので…ぼくでも手に負えない。

ガッチャマンクラウズインサイト…暴力に暴力で立ち向かった結果、第二の驚異になってもっと息苦しい社会を作ってしまう宇宙人が出てくる。
過程はカンフーボーイズに最も似ているけど…カンフーボーイズのエンディングよりもファンタジーでかつ宗教じみた終わり方するから…「キリストか!」と突っ込んでしまった。

 

アニメとして好きなのはlain。
でも、カンフーボーイズについての予習復習として見るならガッチャマンクラウズインサイトがおすすめ。

 

Q5-2.カンフーを題材にしていて、大まかなあらすじや、「暴力を暴力で解決してもその後後遺症に苦しむ描写」…これ、拳児に似てませんか?

A.拳児をご存知!?

30年も前のマンガだから、どこまで元ネタにしたかは疑問だが…似ているところが多いから、予習または復習として見ておくと…面白いよ!!

商品リンク貼っとくから
「これを機に本格的なカンフーマンガが読みたい」
と思っている人は見てみて。

この作品ね…エンディングがすごく難解…。

ただ、奇しくも(多分元ネタにしているからだと思うけど)、カンフーボーイズの終盤のジェンガのシーンは、拳児の抽象的なエンディングをかなり具体的かつ共感できるように落とし込んだような内容。
作品同士が、相互的に解説しあっている奇妙な関係が成立してて面白い。

とあるスマホアプリで期間限定で読めたから知ってるけど、この作品は本当に良かった。
偶然とはいえ、過去の名作が無料で読める事があるから、本当にいい時代になったと思うよ。

 

Q5-3.同時期に上映した名探偵コナン「ゼロの執行人」のテーマも「正義の反対は別の正義」という内容だったので、よく似ている気がするのですが…

A.アプローチは似てるけど…オチは全然違うよね。

そして、手っ取り早く説明しようとすると…パワプロクンポケットシリーズのこの画像を使うのが早い。

ゼロの執行人では、作品の性質上「犯人が持ってる正義観(美意識・世界観)」と「犯人は逮捕しないといけない(謎は解かないと気がすまない)」というコナンとのぶつかり合いになってるから

「正義の反対は、別の正義」

の部分がより多く描かれている作品。
しかも、今年のコナンはテレビドラマや邦画のようなテイストだから、深夜アニメっぽい作風に寄ったクレしんとは逆になってるのも、対比として面白い。

 

一方でクレヨンしんちゃんには、
「正義は勝つ」
というアクション仮面のセリフにもあるような「正義と正義のぶつかり合い」の話もある一方で、今回のように、正義に対して慈悲や寛容さのニュアンスを求める話もある。

正義の反対は別の正義。あるいは慈悲・寛容

別の正義が暴力に基づいているカンフーボーイズでは「慈悲・寛容」は切り分けられているけど…クレしん映画では、「慈悲・寛容が伴う別の正義」を描こうとする作品が多い。
例えば、「嵐を呼ぶジャングル」では悪さをしていた猿を助けてあげたり、「アッパレ戦国大合戦」では敵のマゲを取る形で、相手を傷つけずに戦に勝利している。(だからこそ、アッパレ戦国の終わり方が、ぼくは苦手だし、クレしんファンの中にも苦手な人がいるんだけど

 

クレヨンしんちゃんの映画シリーズには「正義感」が暴走しすぎてつまんなくなってしまった作品はいくつかあるけど、正義感の中に寛容さがあったり、しんのすけの表現するものの中に「寛容さ」が表現されていると…いい作品としてまとまることは多い。

これはアクション仮面の影響とか、妹のひまわりの前では残酷なことはできないとか、ウジウジした悪役にシンパシーを感じているとか色んなパターンがあるんだけど、クレしん映画は意外と勧善懲悪モノではないところが深くて面白い!!

ジェンカのシーンの意味は…意外と深いぞ!!

カンフーボーイズの終盤にみんなでジェンカを踊るシーンがあるけど、これはエンターテイメント論で考えても、クレヨンしんちゃんとして考えてもかなり考え込まれたネタ。

その意味を丁寧に語る!

Q6、ジェンカを使った終盤の演出とストーリー…ダサくないっすか?むしろ、どの深夜アニメよりも投げっぱなしになってませんか?なんで絶賛してるんです??

A.クレヨンしんちゃんの終わり方としてすごく正しい。
5歳の子どもの等身大に落とし込んだせいでダサく見えるけど、エンターテイメントとして、クレヨンしんちゃんとしてとても正しい終わり方をしている。

クレヨンしんちゃんは過去にも「暴力を歌と踊りの力や絆で打ち克つ」というエンディングの作品がある。

 

それが、「暗黒タマタマ大追跡」という映画で、この作品では最後は野原みさえが野原ひろしとデュエット曲を歌いながら暴力に勝るボスキャラを克服するシーンがある。
その時の曲が…1970年の昭和歌謡「愛は傷つきやすく」と言う曲。
これを、壮大な演出とアレンジでどうにかかっこよくして、暗黒タマタマの重要なシーン。

この文脈でいうと、ジェンカもフォークダンスの曲。
日本で流行ったのは1966年に坂本九が流行らせてからじゃないですかねぇ…。(65年にもシングル出した人がいるけど、坂本九版がバカ売れ)

元々クレしんは今から考えればレトロな時代の匂いを残した作品。とはいえ、50年も前の曲だからねぇ…。
今、それをアニメのエンディングとして持ってこられたらくっそダサいを通り越して、恥ずかしくて死にそうな気持ちになるひともわかんなくはないかな。

正直ぼくも、この映画を見た直後の開口一番の感想は「終盤のジェンカがダサかったこと以外は全部完璧」と思ってしまうぐらいに、受け入れるまで時間がかかった。

ただ、クレしんの映画は大人が悩んでいることに対して、幼稚園児がなりに出せるアンサーを出してくる作品。
だから、めちゃくちゃダサいけど、クレしん映画としてはすごく正しい。

これは、暗黒タマタマやオトナ帝国を見てもらうとわかるけど…クレしん映画の悪役は
大人なりにがんばって考えた結果、世の中に絶望して世界を変えたいと願う人
がすごく多い。

大人が持つ閉塞感に対して、子どもが持つ可能性や柔軟な想像力、知りすぎてないからこそ発揮される「無敵」な部分を使って、しんのすけが敵を倒したり、野望を阻止するケースが多い。

代表的なのはオトナ帝国のこのセリフ。

オラ、父ちゃんと母ちゃんと一緒にいたいから。喧嘩しても頭にきてもいいから一緒にいたいから。
あとオラ、大人になりたいから。大人になって、お姉さんみたいなきれいな人といっぱいお付き合いしたいから

子どものきれい事に聞こえるかもしれないけど…逆に子どもじゃないとこの言葉は重さを持たない。

みんなでジェンカを踊ることに平和を感じる・みんなが1つになると、28歳のぼくが言ったら頭おかしい人でしょ?
下手したら、セクハラ目的だとかゲイだとか言われるかも。

でも、幼稚園児が、それを言うこと・平和をジェンカで表現するのは作品としてはすごく正しいわけ。
かっこいいかと聞かれたら…大人なら虚を突かれて困惑すると思うけど。

 

Q6-1、「クレしんとして正しい」で納得するのはオタクだけなので、もっと一般人が納得しそうな説明してよ

A.
洋楽には街中に吸い込むと踊りだすシャボン玉をばらまき、街中をパーティーに変えてしまうことで、世界を平和にしとるMVがある。デビッド・ゲッタがやってるすごくかっこいい表現を、クレしんでやると好きなお姉さんや友達と一緒にジャンカを踊ることになる
という説明でいいかな。

カンフーボーイズでやってるジェンカを踊るパートをすげーかっこよくすると…このミュージックビデオになる。

歌詞は…よかったら検索してね。
しんのすけのノリで大人になった軽薄なパーティー野郎な曲だから…やってることが似ることはすごく納得できるはず。

つまり、「一人で悶々としてないで、歌と踊りの力でみんなでアガることで解決」みたいなノリは、(世界規模で言っても)エンタメとしてはすごい正しい。
ただ、それをパーティーソングのアーティストがやるとすごくかっこよくなって、幼稚園児がやるとジェンカになる。

また、日本では歌や踊り、パーティーの文化が発達してないから、大衆の共通言語として
「暴力に対して、寛容になってみんなで踊りましょう」
みたいなメッセージを込めようとすると…大人たちがパーティーソングに乗せて踊るというよりも、子どもと一緒にジェンカを踊るエンディングのほうが、しっくりくる。(日本だとね)

一見ダサいように見えるけど、海外の作品でやってる表現をそのまんま引用せず、ちゃんと日本でできる・クレしんだからできるように落とし込んでいるすごいシーン。

 

Q7.ももいろクローバーZが歌うエンディング「笑―笑」すごくいい曲ですね

A.ノリがよくて聞きやすいだけじゃなく、映画になぞらえた歌詞がいくつか混じってるのがすごくいい!!

こころでこころがまるくなる
尖った唇も丸くなる
今日からの日々もずっとそんなふうであるように

美しい祈りであり、そういう努力を女の子や友達に対してやるしんちゃんで、この曲がエンディングに流れるのは、祈りで終わらない美しさがあって、いい!

優しい人に包まれ
しあわせでねって 願うよ
隣へ また隣へ
優しさの連鎖 送りたいね

これって、しんのすけの育ち方であり、玉蘭ちゃんがアイヤータウンを守りたい理由だね。

あるいは、ジェンカという縦1列で一緒に踊る曲が持ってる性質でもあるかな?

とにかく、歌詞と映画の中身がリンクしている部分の多いところだから…僕はあとで、公式MVで聞いた時には、映画の感動が蘇ってきて、すごくハマった。

いいクレしん映画は…エンディングと本編のリンクがすごい作品がけっこうあるんだよ。
暗黒タマタマではひまわりをテーマにした曲が本編とリンクしててよかったし、夕陽のカスカベボーイズではエンディングでしんのすけが恋をした女の子とダンスするムービーが流れるのが…すごく泣かせる。

そこまで含めて、クレしんの名作をよく研究し尽くして作ってることが伺えるし、研究した上で、一見無謀とも思えるほど斬新な方に舵を切っていて、すごく面白かった。

しかも、過去作品を研究した成果は定番の展開をキャンセルする方向(他のクレしんではよくある展開だけど、それが起きないようにするフェイント)も入っているから、クレしんをいくつも見ている視聴者の裏をかく演出がいくつかあったが、王道を抑えていたからこそ、とても好きになれた。

全部読み取った人のほうが少ないであろう玄人好みな作品だから解説してるけど…映画見た人、これから見に行く人、もう一回見る人に楽しみを提供できていたら、1万文字も書いた甲斐もあるよ…。

 

長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

記事書いてる間の数時間、ずっとこれをリピートして聞いてましたが…聞けば聞くほどハマる…中毒性がヤバい。

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