マンガ「スーパーカブ」は思春期です。3回読んでください。 – 青二才は振り向かない!!

マンガ「スーパーカブ」は思春期です。3回読んでください。

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このマンガは…刺さる人には貫通するし、刺さらない人は全然刺さらない。
でも、このマンガの主人公である「小熊」みたいな人を、いっぱいネットやゲームセンターで見かけたり、自分自身そういう経験をしちゃってるせいで、なんとか紹介したい…と思って、取り上げることにした。

 

内容の話はあとでたっぷり、こってりやるとして…まずは外堀から。

 

このマンガねぇ…「帯」が俺好みなんだよ。

電子書籍で買おうと思ってたところ、知り合いが
「紙媒体で買ったよ」
という話をしてきて…帯がこんなことになってることを知って、
「この帯だけに本1冊買う人がいるだろうなぁ~」
というぐらいには、最高の帯。

で、ぼくがなんで買おうかと思ってたかと言うと…6年ぐらい前から知ってるイラストレーターさんがマンガ描いてたから。
その時にガッツリハマってpixivや過去絵をさかのぼった結果、「10年ぐらい前から絵が上手かった人」というのを知ってたから。

つまり…題材が水曜どうでしょうファンにはたまらない帯と題材で、マンガは達人が描いているという…カツカレー。

カレーとカツという好きなもんが合わせたら絶対うまいでしょ」感覚で購入したよ。

ついでにいうと…マンガをブログで紹介している友人・知人数名に「絵と題材がいいので良かったら買ってね」的なことを言っおきながら、ぼくは好きすぎてまともに語れる自信がないから買わないでいよう…と思ってた。
でも、結局は目の前にぶら下がったニンジンをスルーすることはできず、購入してしまった。

ちなみに、その時勧めた友人が書いたレビューはカブに関する知識の解説など、もっと詳しく読むために必要なことを解説してて、これはこれでかなり面白いです。
漫画「スーパーカブ」は相棒との出会いから始まる日常の変化の物語だ!
ほんと、車両の話させるとすごいんだよなぁ…あの車オタク。

悪口じゃないよ?
むしろ、オタク的な側面を持ってる人の人生や日常ってこうやって変わっていくし、そういう人だからこそスーパーカブはきっと刺さると思って勧めた
同時に、そういう人を中心に刺さるマンガだからこそ、
「刺さる人には貫通するし、刺さらない人には全然刺さらない」
と本文一行目で言い切ってるわけで…。

「両親なし・友達なし・趣味なし・カブあり」

どんなお話かというと…母親に疾走された女子高生の小熊が、カブに出会って人生が変わっていくお話。

「通学を楽にしたい」
という平凡な動機でバイク屋さんに行って、がんばって免許をとって、カブデビューして、カブ初心者として悪戦苦闘しながらカブのある生活を楽しんでいく…という内容。

カブを通じて自分の日常や世界を広げていく女の子の物語。

間を楽しむマンガです。次の展開が気になる人は原作を読みましょう

このマンガが「賛否両論になる」と言ってる理由にはこのマンガのテンポにある。

 

正直言って、テンポは遅い。1巻読んでも
「え?そんなに話動いてないよね?」
と言いたくなるぐらいに、話が進んでない。

遅さを象徴する1ページを載っけてみると…こういう感じに物事が進んでいく。

はっきり言って、1巻の半分以上はこのテンポなので、単純にストーリーが読みたい人や、カブネタで盛り上がりたい人は、原作読むのをおすすめする。(実際問題、薦めてみた人の中にはそういう理由で原作を購入した人もいるし)

「好きなマンガ家さん相手に【遅い】は辛辣では?」
と思う人もいるかも知れない。
だけど…好きだからこそ、ちゃんと相性の良い人に読んで欲しいから、【人を選ぶだろうなぁ~】と感じた要素 や、【こういう部分がすごいんだよ】というところを丁寧に語るスタイルで行く。

好きな作品のAmazonレビューに心ないレビューがついてるとすごい落ち込む性格だから
「違う違う、そうじゃ、そうじゃない」
って思いそうなレビューを書かれる前に先回りして【この作品は、この間を楽しむ作品だよ】と言っておく。

 

なんでこんなに間が生まれるかと言うと…一周回ってリアルだから。

まず、小熊に友達がいないこともあって、ムダな会話はほぼない。
小熊が無口だし、友達がいない・いないのを通り越して軽くいじめられてるぐらいの立ち位置を理解した上で割り切ってる(諦めてる?)ぐらいの子だから…自分の想像や、感受性との会話が中心で、誰かに調子を合わせたり、逆に急かされたりするシーンが途中までない。

 

賛否を分けるであろうリトマス試験紙も兼ねて、小熊の性格がわかる1シーンを出しておこう。

内向的な人間を突き詰めていくと…「自分が好かれたり、モテたりする姿が想像できないから行動しない」というところまで行く人がいて、小熊にはそういう部分がある。

得てして、趣味を1つ見つけると友達ができたり、知識や行動力をどんどん増やしていくような人に限って、そういう人は本当にいる。
例えば、ゲームセンターのゲームの上級者ばかりが集まる大会とかに行くと…本当にゲーム以外何も興味がなさそうなパッとしない人・覇気がない人が…本当にいる。(※覇気がない見た目とは裏腹に、ゲームの台に座ると人が変わったように、凄まじい動きでゲームしてたりするんだけどね)

 

自分はそういうことを親に「暗くて良くない」と強制され、矯正されかけたけど…強制も矯正もされずに、そのまま学生生活してる人や、大人になってゲームセンターの隅っこでゲームをやりこんでる人は…実在する。
それが想像できない人は、このマンガ読んでも単にテンポの遅いマンガにしかみえない危険がある。

一方で、興味があるものを見つけて、一筋の光を、砂漠の中のオアシスを求めて歩くように、そこに向かっていくことで動き出せる人も、世の中には本当にいる。
それが、カブなのか、ゲームなのか、音楽なのか、スポーツなのか、ヒップホップなのか…そこの違いはあるけど、自分の人生や生き方のリズム感で生きている人、なにもない時一人でいる時には淡々としている人はちゃんと実在する。

小熊ちゃんにはそれがカブだったってだけの話。

わかる人は「自分の人生が変わる瞬間、その前後の時間って静かで何もなくて、でもそれだけがあって」という彼女の時間は伝わるから…そこをちゃんと読んでくれる人がいたらなぁ…と祈る気持ちで、マンガを紹介してる。

もし内向的で、好きなものもなかった人間が、自分の人生と本性と知識に目覚める瞬間をリアルに描いたら、こういう時間とテンポなんだろうなぁ~
というマンガなのよ…この間は。
一周回ってリアルな間であり、性格や相性が合ってないと汲み取りにくい間。

それを読み取ってもらえると、2倍3倍楽しく読めるかも。
そして、自分の人生が変わった瞬間の人には伝わらないキラキラした時間に思いを馳せつつ読んでもらうとより感情移入できるのかな…と。

細かすぎて伝わらない蟹丹イラストの世界

冒頭で「10年前から絵がうまかった人」「帯とイラストレーターのカツカレーだったから買った」と言ったけど…マンガ2ページ分で伝わってるかな?

 

伝わってる人はそれでいい。
だけど、うまく言語化できない人のためにちょっと書かせて。

まず、「絵が上手い」というのは絵がかけないぼくだけが上手いって言ってるだけじゃない。
絵が描ける人が的確な表現で蟹丹さんのうまさをこう評している。

「彼、内臓の入った女の子を描いているね」

ニュアンスが矮小化される感じは否めないけど、こう言った方がわかりやすいかな?

このマンガに出てくる女の子…特に小熊ちゃんは着ぶくれするし、肩幅もずっしりしてるよね。

最近のゲームやアニメのイラストって女の子の線(細身な美しさ)を見せるために、あんまり着ぶくれしてなかったり、着たものが透けて気味に描かれる作品が多い。

ONE PIECEのナミまで行くとアレはアレで1つのデフォルメだよ?
だけど、意図的なのか全然考えてないのかわからないぐらいに服を着ててもくびれがキチッとしていたり、絵がのっぺりとしているマンガ家さん・イラストレーターさん。…けっこういる。

 

でも、考えてみてよ?
学生服やジャージってくびれや体の線が出にくいよね?
だからこそ、女子高生の中でも胸の大きい子は太って見える。
一方で、体の線が出やすい部活のユニフォームや、女子の私服は、女子高生の色気が5割増しして見える。(特に陸上部なんてノースリーブのユニフォームが当たり前だからねぇ…アレは衝撃的だった。)

 

何が言いたいかと言うと…学生服の女の子ってかわいいけど、セクシーではない。
もしイラストに落とし込んだ時に芋臭くならないようにしようとすると、セクシーの要素…つまり、イラストの中で「嘘」を入れないといけなくなる

嘘だからダメってわけじゃなくて、むしろ嘘を入れるからこそキレイに見えてしまう分、リアルにキチッと描いても評価されなかったり、伝わらないケースが出てくる!!

 

でも、この作者はリアルな方に行ってる。
制服やジャージの着ぶくれや、体の厚み(胸板とか腕の筋肉とか)を絵にしっかりと落とし込まれている。
薄着の時でも肩幅が体の厚みをしっかり描いてて重さがあるんだけど…服着るとなおさらずんぐりして、体の凹凸が出にくくなる画風になってる。

 

これが、小熊ちゃんの体格や、スーパーカブという薄着ではなく、制服やジャージで乗るものときちっとマッチして、それでいてかえってかわいく見えるから…面白い。
むしろ、学校の中で女子の間では地味・男子の間でも美人な方には名前が出ない女の子の中で目移りしちゃう地味子は、だいたい「丸っこくてかわいい」は「寸胴体型」だったりするんだけど…その質感で描かれててかわいい。
小熊ちゃんからそういう部分を感じ取れた時に「思春期やな」って、ぼくは思ったし、伝わればいいなぁ~と思って書いてる。

 

タイトルに
「3回読んでください」
ってタイトルに入れたのはそういうこと。

マンガやイラスト、ストーリーの中に当たり前に入ってる「創作物の嘘」が大幅に削られてるからこそ、飲み込みにくい半面、読めば読むほど伝わってくるものが増えていくスルメなマンガ。

普通に読んでもきちっと分かる人にはわかるよ?
でも、このマンガの本当の面白さは普段使ってない脳みそや、使うことも忘れてた脳みそまでマンガを読みながら動いたのを感じた瞬間だから。

その加速に乗っかって、新しい世界が開けたその時だから。

色んな意味で上級者向けですよ…。
別に、通して読むだけならそんなに難しい作品でもなんでもないから、誰にでも薦められる。
だけど、細かく読もうとしたり、1つ1つ疑問に思ったシーンを拾い上げて、自分なりに噛み砕いていくとこのぐらい長い感想文が書けてしまうんよ…これは。

嘘だと思うなら読んでみ?読み返していくうちになが~い感想を書きたくなるから。

 

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