【王道?邪道?】中嶋聡監督の采配がやっとわかってきたから語る!

野球

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ぼくの中で中嶋監督がずっと謎だった。
でも、最近になって、やっと少し中嶋監督の采配を説明できるようになってきた。

↑結論から言うとこれだけです。
でも、これを読んでもさっぱりわからない人もいると思うので、順序立てて語っていきます。

2020年に中嶋監督がやってた「育成と勝利の両立」は…間引き!?

監督としての手腕があることは、2020年シーズンでわかってた。
ダントツの最下位だったチームを西村徳文前監督が辞めたことで、途中で交代。

育成と勝利の両立」を掲げ、ダメダメなチームの中でも二軍に干された選手や、実戦経験のない若手を大抜擢。そして、(ダントツ最下位になるほどの選手層でも)監督就任後の勝敗だけなら、4位になるほど善戦してみせた。

 

そして、あまり言われてないことだが、2020年のシーズン中に戦力外通告を受けるかどうかのベテラン選手を整理してチーム内の若返りも図った

わかりやすいのは、松井佑介選手。
彼は2020年中を結果が出なくても使い続けたが…結果が出なかったため、結局戦力外にした。

 

杉本裕太郎選手だって…結果が出てなかったら危なかったかもしれない。彼は今年30になる。

29歳で二軍の帝王で留まるようならば…戦力外になってもおかしくなかった。
しかし、中嶋監督は歴代の監督が定着させることができなかった杉本裕太郎選手を我慢強く使い続けた。
結果、2021年にオリックスの主砲として定着する基礎が、2020年中に築かれた。

 

理由は色々あるが、2020年中、表面上はあ若手もベテランも外国人も使って戦ってた。
若手には出場機会を、ベテランや外国人には結果を求めた勝負の機会を与え、生き残った人だけが2021年のオリックスに残った。

しかし…2021年のオリックスは違った。
開幕から若手3人を同時に抜擢する大胆采配。
それまでオリックスを支えた中堅野手達は、若手がもがく姿を見守る不思議なチームになっていた。

一見不合理にも見える2021年の中嶋采配

私が一番熱心に勉強したのは、横浜DeNAベイスターズ元監督「アレックス・ラミレス」氏だ。

彼は結果的に攻撃重視の野球をしているが、本来はスモールベースボールができるようなチームを目指していた。
盗塁やバントを用いたスモールベースボールは実現しなかったが、攻撃重視のラミレス監督でさえ「センターラインを整える」という守るべきところは守るスタイルはずっと曲げなかった。

センターラインを重視するために、阪神から大和選手、オリックスから伊藤光選手などの補強もした。
若手もベテランも外国人も…チームの内外から強いセンターラインを形成しうる選手を色々試していた。

 

一方、2021年の中嶋監督はオリックスが誇る盤石なセンターラインを壊すところからはじめた

安達選手が開幕戦に間に合わなかったのは仕方ないにしても…守備には定評があった若月健矢選手、大城滉二選手を使わなかったことには多くのオリックスファン・野球ファンが困惑した。

当然開幕戦は、抜擢された若手たちのエラーが失点を生んで負けた。
開幕戦だけじゃない。しばらくは抜擢した若手が「打てない守れない」だった。

 

オリックスファンは日に日に荒れ
「殿、ご乱心!」
と、データに基づかない感傷的な監督批判・選手批判さえ生まれた。

使い続けることで、1軍に順応し始める若手三人組

5月8日現在、若手が中堅を超える活躍をしてるかと言われると…Noだろう。

 

しかし、日に日に守備力が向上していった。
開幕ではゲッツーもまともに取れなかった紅林弘太郎、太田椋の二遊間はゲッツーぐらいなら軽々決められるようになった。
太田椋選手については外野に抜けそうなボールをセカンドで止めるファインプレーも見せるようになった。

まだまだ球際で「安達選手なら…」「大城選手なら…」と思うことはいっぱいある!
しかし、ホームランも狙える非凡な打撃センスを持った2人が、1軍の試合を崩さない程度の守備を覚えたことで、オリックス戦はエキサイティングな乱打戦が増えた

 

良くも悪くも「息の詰まる投手戦」から「エキサイティングな乱打戦」にシフトしたのは頓宮祐真選手の活躍も大きい

彼は今チームで3番目にホームランが多い。
5月8日の試合終了時点で、頓宮選手のホームランは5本。
これは2020年前半まで正捕手だった若月健矢選手の通算本塁打数「6本」に迫る勢いだ。

しかし、守備面はまだまだ若月健矢選手の方が上だ。
捕逸がリーグで一番少ない捕手であり続けた若月選手に対し、頓宮選手は現時点では12球団で一番捕逸が多い捕手だ。
盗塁阻止率も、若月選手はリーグ1位に輝いたこともある。

しかし、頓宮選手はわずか1割でリーグ最下位。
弱肩だけならまだ許せるのだが…暴投も目立つから捕手としては本当に向いてない。

常識的にはファーストやサードで使いたい選手だが…それまで打てなかった若月選手に変わって打てる頓宮選手が入ったことで問題だった攻撃面は大きく改善された。

結果、アレだけ打てないと言われ続けたオリックスが…2021年は一発構成の打撃で打ちまくる野球をしている
今まで積み上げてきた守り抜く野球を一度ぶっ壊してでも、重量打線を組んでホームランで得点するジャイアンツ顔負けの野球をしてる!!

 

これは、若手を抜擢しないと起こらなかったことだ。
ホームランが打てるほどの体格やセンスを持ち合わせた若手を無理してでも使い続けた成果と言えるだろう!

「じゃあ、中嶋野球は攻撃重視の野球なの?」というと、そんな単純でもない。

攻撃重視と言っても…他にもっと方法はあったと思う。

例えば、本当に攻撃重視なら「福田周平選手」を二軍暮らしさせるのはおかしい!
福田周平選手はオリックスどころか、パ・リーグでも有数の「出塁率が高い選手」である!

「どんな手を使ってでも塁に出る」
マネーボールの台頭以降、四球はヒットと同じだけの価値があるとされ、出塁率が高い選手は大きく評価されていることは野球オタクで知らない人はいない。

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本当に攻撃重視と言うなら福田周平選手の出塁能力を評価して野球を組み立てるのが、野球オタクなら定石だ。

しかし、中嶋監督は2021年シーズン、福田周平選手をすぐに二軍に送った。
それどころか、福田周平選手には遥か及ばない若手たちを抜擢してボール球でもブンブン振り回す様子を1ヶ月我慢していた。
さらには、初球にはめったに手を出さなかった吉田正尚選手が初球打ちする打席が増えた。ファンなら気づくであろう「初球打ち」の指示・方針を感じ取れるシーンが増えた。

 

初球打ちも考え方によって賛否分かれる。
投手を疲れさせたり、四球を狙う目的から初球打ちはデータ上良くないと考える人もいる。
一方で、「ヒットを打つ」なら初球打ちこそが奇襲になり、投手を動揺させると考える人もいる。

ましてや、吉田正尚選手ぐらいの技術を持つなら球数を投げさせたほうがデータ上は合理的なのだ。
何しろ、ファーストストライクや初球に手を出さなくたってめったに三振しないし、吉田を打ち取るために厳しいコースを狙って与四球してしまう投手も多いからね。

 

…そうなんです。
「点が取れればいい」ではなく、「打って点を取りなさい!」という采配に徹している!

そのためなら、今までの数字がいい選手でも起用法やパワーアップを考える必要がある選手は二軍に送る。
実績がないけど体格や才能から「ホームランが打てるバッターに育つかもしれない」という選手を意地でも使うのだ!

 

中嶋監督は常にゴールを見てる。ゴールを見てるから今足りない分は「お前らでどうにかしろ!」と采配する!!

オリックスの今までの監督と、中嶋監督の大きな違いは
本当にオリックスが優勝するとしたら、この課題は避けて通れないだろう
という課題に本気で向き合うところだ!

同時に、課題に向き合って生じる弊害については
「お前ら出ている選手がどうにかしろ!」
と厳しい試練を与えるところだ。

 

長年オリックスが弱い理由として
・野手陣のスケールが小さく俊足巧打の選手ばかり揃ってて、得点できる選手がいない。
・体が小さくとも守れる選手は多いが、そもそも得点できないから「あと1点」がとれないから負ける
という課題があった。

 

選手自身もそれを自覚どころかネタにしている。
特に、【守れるけど打てない】の代表格だった若月健矢選手に対しては、
山本由伸「若月さんには(ゲームでも打席に立たせるぐらいなら)代打を出します」
黒木優太「お見舞いよりも、そろそろヒットください」
といじるネタになっていた。

 

中嶋監督はそんな投手陣に

わかったよ!だったら【打てる捕手:頓宮】を出すから、抑える方はお前らがどうにかしろ

と頓宮選手を出した。

 

新しいカタチにしたことで、選手全員が新しい課題と向き合うことになった。

頓宮選手には守備を、若月選手は打撃をパワーアップしないと正捕手として定着できない。
定着していてもファンや仲間から納得してもらえない厳しい競争が今年は繰り広げられている。

投手陣も「若月選手なら取ってくれる」というボールが使えない状態でのピッチングを強いられている。
具体的には、スプリットやフォーク、縦スライダーなどの落ち玉を得意とする投手は、若月選手の方が良さを引き出せる可能性が高かった。
しかし、守備に不安と失態のある頓宮選手と組むことで、【落ち玉に逃げる投球】から【球威で攻める投球】に切り替えることが要求され、若月選手をいじってた投手陣も『勝てる野球のための新しいスタイル』に順応できないと生き残れない競争になっている

 

そして、オリックスの選手達のスケール問題に対しては

「そうだよな、スケールが大きくてホームラン打てる選手が育ってくれないと得点できなくて、例年のように負けちゃうもんな!
だったら、太田椋・紅林弘太郎・頓宮祐真・それに外国人バッター3人にT岡田までみんな1軍に呼んでやる!あとはお前らで乗り越えてみせろ!!
と、無茶振りにも見える采配をしている。

 

これらは目先の勝利を考えればとんでもなく不合理だ!
しかし、中嶋監督の言う「育成と勝利の両立」を考えた時には、大きな改革をするのが正しい。

 

勝てるチーム、優勝できるチームをゴールから見据えて、スケールの大きい選手や、得点できる選手を重視する。
そのために、守れる選手や、若月選手に頼った投球ならどうにかなっていた選手を一時的に切り捨てまずはスケールの大きなチームになるように全員でがんばる

 

表面的には、今まで頑張ってた中堅選手は控えや、隙間でがんばる全員野球をしてる。
もしかしたら、「打てる」人が出てきた後のオリックス野球では、中堅や守備が得意な選手の出番もあるかもしれない…。

しかし、中嶋采配の根底にあるのは「一番強いチームになるためのオーダーを組んだから、それを実現するために必要なことはお前らが乗り越えてみせろ」という計算を超越した意思だ。

 

これは精神論じゃない。
ゴールから逆算して、辿り着くために目の前のことではブレない、強い意志だ!

 

野球チームの監督は野球ゲームと違う。
選手の生活もあれば、ファンの批判もあれば、親会社との関係もある。
だから、合理的で多くの人が納得行く采配を誰よりもしたいのはきっと監督であろう。

 

だからこそ、不合理なまでに若手を使うことにこだわり、今まで頑張ってきた中堅選手をサポートや二軍に廻ってもらう判断をした中嶋監督には「強い意志」を感じざるを得ない。

その意思こそが、中嶋采配だと私は考える。

 

 

この話は、野球中継を毎日のようにチェックしていたからこそ気づいた話です。
スポーツニュースでは得点シーンしか映らないですが、毎日見ていると若手の成長や、ベテランの技など細かいところに気づきながら見ることができて面白くておすすめです。

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今年のオリックスは一発構成な上に、色んな選手が入れ替わって登場するため毎日見る面白さがあるから、是非チェックして欲しいです。

 

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