【感想?解説?】ゼロの執行人は「期待感ゼロ」で見に行くぐらいでちょうどいいよ

映画の話

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2018年の名探偵コナン新作映画「ゼロの執行人」を見てきたので、感想書いていく。

ざっくりとあらすじを書いておくと
・公安警察が警備するビルがテロに巻き込まれる
・現場の証拠を理由に、おっちゃんが誤認逮捕される
・安室透という公安の「ゼロ」という秘密機関に所属してるキャラ(が、潜入している毛利探偵事務所の下にあるポアロという喫茶店)にコナンが抗議しに行くも、冷たくスルーされる。
コナンくん「今回の安室さんは敵かもしれない」

と言った感じの内容。

この作品はコナンの映画では異色な裁判や公安組織の話がすごく多い。
コナンをいっぱい見てきた人には斬新に見えて、面白い反面で、コナンをあまり見てない人からすると、過去作品から続いている「定番の流れ」や、この作品では無視されている「定番から逆らった作風」みたいなのが感知されにくい。

だから、コナンをたくさん見ている人の方が…気づくネタ・驚くポイントがこの映画の面白い所とつまんないところを明確にする上で必要なので…それをネタバレ最小限で話せたら…と思う。

 

って、そもそも誰だよお前??

名乗るほどのもんではないけど…一応、コナンの映画は全部見た上で、ぼくは個人的なランキング記事まで書いてるぐらいにはコナン見てる。

好きな方:名探偵コナン映画作品ランキング(ベスト10)
あんま好きじゃない方:名探偵コナン映画作品ワーストランキング

ランキング全部見るのがたるい人に好きな作品だけ挙げると…「世紀末の魔術師が一番好き」というコナンのファンの中でも、表層化してないめんどくさいタイプのコナンファン。

ついでにいうと、ぼくは男なので…(腐)女子人気の高い作品でも話がつまんない・トリックが面白くない作品は評価しないスタンス。
「腐女子こじらせた妹の兄」を二十数年やってるし、女友達になる人が高確率で腐ってるから、嗜み程度に「好きだろうなぁ~」「ウケるだろうなぁ~」はわかるけど…ぼく自身は腐ってないので、そっちの方は憶測でしか語れないので、その辺はご勘弁を。

キャラ萌えで映画見る女性ファンにはきっと良作。

なんで「腐女子」の話をしたかと言うと…今回のコナンは、あからさまに女性ファンに寄せに行った作品だから。
安室透が好きな女性ファンは見てて面白いし、「横に腐った人がいたらきっと奇声を上げながら、身悶えしながら見るんだろうなぁ…」という安室さんの表情がたまらなくキュンとくるシーンがちょいちょいあって、それがウケるんだろうなぁ~というぐらいの感想。

 

というのも…(よく女性ウケを狙いに行くと主役格になる)怪盗キッドの出ているコナン映画は話が面白い・つまらないにかかわらず、過大評価されやすいから。
興行収入的にもクオリティ的にも一部のファンが押し上げられてしまい、他のファンにはがっかりな作品でも、すごい人気が出るから。

だから、コナン映画は定期的に女性に寄せた作品作るんだよ…。
女性ウケがいい作品はクオリティが悪くても、興行的には失敗しないから。
そして、興行的に伸び悩んだり、監督が代替わりして不評になりやすい時などは…怪盗キッド含め女性ウケのいいキャラがメインになる話が出やすい。

今回の作品は立川譲監督の交代1作品目ということもあって、「高いクオリティのモノを作ろう」と言うよりはむしろ、「手探りに新しいコナンを模索しつつ、女性人気で興行的な体裁を整えよう」という作品。

 

だから、作品のクオリティから言うと、あんまり高くないから…そこまで安室透が好きでもない人はみなくてもいいかなぁ~と言う作品ではある。

斬新だけど、退屈。コナンの良さが活きてない作品

まず、この映画は名探偵コナンの中では珍しい裁判モノでかつ、公安警察のお話。

だから、説明が多く、動きが少ない。
ここ数年の「アクション映画化してたコナン」から一転した、珍しい作品。

なおかつ、推理のペースが他のコナンの映画作品に比べて遅い(白々しいほどわかりやすい)ため、推理要素に特化しようと演出しているものの、中身が追いついてない作品。

 

人気映画シリーズだからこそ省略できる部分まで説明し、逆に詰め込める部分もわかりやすさを重視して詰め込まないため、中身スカスカで、早い人なら20分ぐらいで映画の全貌が大体わかってしまう。

だから、途中から退屈だった。
全部完璧に読み切ったわけじゃないけど、シリーズの傾向、セリフの伏線や事件現場の説明なんかを聞いていれば、おおよその流れは想像できた。

 

本来の、コナン映画のテンポで映像化できていれば、
「考えさせないぐらい展開を早くする、出来事を詰め込む」
「定番の流れや途中から犯人がわかってきても、その犯人の魅力や、犯人との壮絶な戦いで、映画を退屈せずに見ることができる」
テンプレ展開が多くてもそれを演出で魅せる力が長く愛されるコナン映画にはある。
だが、今回のコナンはテンポの良さや、演出で想像以上のキレを発揮するような部分がなかった。

 

脚本家のキャリアや作風からか、テレビドラマっぽく、あるいは邦画っぽく作られすぎていて、コナンのアニメ作品が持ついい部分を活かしきれてなかった。
全く活かせてないわけじゃないけど…新しいことに挑戦することで、昔から得意だった部分を失ってしまい、ストーリーや演出を楽しみたいファンにはしんどい作品となった。

 

流れが読めるからこそ、コナンをたくさん見た人には、ちょっと面白い作品

とはいえ、「映画としてのパターンが決まっていて、展開が読みやすいことを利用した面白さ」も、この作品の中には仕込まれている。

 

1つ例を挙げる。
コナン映画で序盤に立派な高層ビルが出てきた時は、
ここは、映画の終盤(最近だと序盤ということもあるけど、ともかく)爆破されます
というメッセージ。
世紀末の魔術師や、迷宮の十字路は、その定番に当てはまらない作品もあるけど…高確率で、序盤に紹介された建物が終盤に爆破されるか、建物に囚われた蘭か少年探偵団辺りが撃たれる。

 

だから、最初に紹介している街(コナンの映画シリーズでは高確率で爆破される場所)が…お台場そっくりで、フジテレビ周辺っぽかった時には
日テレさんがお台場(フジテレビ)を、いじり倒している~
という変な笑いを劇場の中で僕一人だけが気づいて、ケラケラ笑いこけてた。

今回のコナンは、今までのコナンをたくさん見ている人にしか伝わらないギャグや、メタフィクションがすごく多い。
だから、コナン大好きな人は、劇場の中で一人だけ面白く感じるシーンがいくつかある。

だからこそ、映画が退屈に感じるのも早い半面、退屈な映画も序盤のうちはケラケラ笑いながら見られるシーンが人よりも多くなるため、定番を知り尽くした人ならではの楽しみ方もしやすい。

同時期にやってるある映画とテーマが同じなので、両方見よう!

何度も言うけど、今回の映画はハズレ。
「大ハズレ」ではないけど、一部女性ファン以外は、あんまり面白くないから、わざわざ見なくてもいい作品。

 

映画の内容を知りたい人は…福山雅治が歌う映画のテーマソング「零ーZEROー」を聞くのが…早いと思う。かなり集約されてる。

 

検証のために、歌い出しだけ引用させてもらうと

真実はいつも一つでも 正義はそう 涙の数だけ

これが、この作品のテーマ。

 

「正義のために」と一口に言っても、コナンにとっての正義は父が不当逮捕されたことに涙する蘭を救うこと。
逆に、公安にとっての正義は「次のテロを防ぐこと」や「組織としてやるべきことをやる」ことなわけ。

 

今回は公安の正義と、コナンくんの正義がぶつかり合ってる話なわけだけど…この現象をもっとわかりやすく切り取った1枚の画像がある。

これは、ぼくの好きなゲーム「パワプロクンポケットシリーズ」の7の一場面から引用したものなんだけど…コナンの映画のテーマでやってることがここに集約されてる。

「正義」の反対は別の「正義」

ここまでが、この映画で描かれている話。

 

でも、この画像には

あるいは、(正義の反対は、)「慈悲・寛容」

と続いているよね?

 

実は、同時期にやっている映画クレヨンしんちゃん「爆盛!カンフーボーイズ」のテーマも同じく「正義」なんだ。
で、クレヨンしんちゃんでは、「正義の反対は別の正義」と言う部分と、「あるいは、慈悲・寛容」という両方を作中に落とし込んでる。

「暴力によってできた別の正義は、第二第三の恐怖・支配にしかならないから、暴力や脅威を解決した後で許す方向に向かっていかないと、何も解決しない」
というかなりすごいテーマを扱ってる。

 

コナンの映画をさんざっぱら
・今回の映画は女性ファンしか喜ばない
・途中から退屈になる歴代でもつまらない方から数えたほうから早い作品
とこき下ろして言うのもなんだけど…今年のクレヨンしんちゃんはすごく面白いんだよ。
クレしんも全部見てるけど「ここ10年で一番面白い」と太鼓判を押すほど面白かった。(※去年は逆に、コナンの「から紅のラブレター」が非常に面白かった

 

扱っているテーマが同じで、演出の方向性がコナンは邦画やテレビドラマっぽいのに足して、クレしんは深夜アニメっぽく表現されている
クオリティこそ、コナンはそんなに良くなかったものの、同じテーマを違う方法で表現している作品として対比してみると面白さが倍増するので、よかったらコナン見る人はクレヨンしんちゃんも見に行って欲しいし、クレヨンしんちゃん見に行った人はコナンも見に行くといいよ。

 

…すごくオタクな楽しみ方だけどね~♨

 

 

◆関連記事:コナンとか今年のクレしんとか

名探偵コナン映画作品ランキング(ベスト10)
さっきも貼ったけど、もう一回。最近の作品だと「異次元の狙撃手」と「から紅の恋歌」がベスト10入りしてます。昔のコナンの方が面白いけど、最近でもおもろいのは…あります。

「から紅の恋歌」は知れば知るほど切なく、愛おしくなるから2回以上見てほしい
去年見に行った時に書いた感想です。面白すぎて言うことがなかったから、あっさりな感想。

ネタバレ&解説付き:映画クレしん「カンフーボーイズ」感想
あまりにも面白かったから、この記事の2倍の長さを書いた。感想というよりももはやネタバレ付きの解説で、引っかかるセリフやマニアックな人しか読み取れないネタなどを解説する骨太記事になっている。

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コメント

  1. 海梨 より:

    初めまして。
    先日執行人をみてきた腐女子です。
    周りの評価が物凄く高い中、確かに安室さんが、めちゃくちゃはちゃめちゃはんぱなく最高にカッコイイけど内容簡単すぎてだらけてくるわ…なんて口が裂けても言えない生活を送っていました。

    あまりにも同じ意見を見かけなかったため、早めに展開が読めた私、天才なんじゃないか?と勘違いしそうになっていたところ、こちらのブログを発見し、正気に戻りました。

    まさしく、これが言いたかった!というブログを見つけ、わーい仲間がいたーという嬉しい気持ちを、一方的にどうしてもお伝えしたくてコメントをしました。
    ありがとうございました。

    • tm2501 より:

      >海無さん
      はじめまして。

      いえいえ、雑にいなしてしまったから「腐女子から怒られないかな?」と心配していたので、むしろこういう反応が帰ってきてありがたい限りです。

      正解が1つ決まってるわけじゃないので、好きなように愉しめばいいとは思います。
      だから、楽しんでる人と好みが違うと思いつつも、「本人が気に入ってるんだから」とも思います。

      ただし、もし楽しみきれないモヤモヤが残ったり、それをうまく言葉にしたい人がいて、そういう人のためにこのブログが少しでも役に立てばありがたい限りです。
      ぼくは萌えたシーンをイラストにしたり、逆に忠実に女性目線を再現した語りができるわけじゃないけど…ストーリーや演出を通じた面白さとか、逆に何が原因で盛り上がりきれなかったのかを解説する能力はある方だと思うので…そこでお役に立てていれば、ありがたいです。

  2. 名無し より:

    男性ファンとしてとても楽しめたのに不愉快です

  3. 名無し より:

    男性ですがとても楽しめたし興行収入に見合う良作だと思います。
    男性陣の来場者数も毎年より多く感じるし、終わった後も老若男女ともに満足している様子が伺えます。
    作品を解説する能力がある方だと書いていますがよくそんなこと言えますね

    • tm2501 より:

      >作品を解説する能力がある方だと書いていますがよくそんなこと言えますね

      言うのは自由です、自己申告ですから。
      それをご判断するのは皆さんです。ないと思えばあなたにとってないのだろうし、あると思う人好きだと思う人がいればそれもそうなんでしょう。

  4. みのる より:

    この記事に救われました。

    私はアニメオタクの20代後半の男です。
    コナン映画はあまり見たことがありません。
    学生だった頃に、リアルタイムで「時計仕掛け」から10作品目までは全部リアルタイムでビデオレンタルして見てました。
    自分も世紀末の魔術師好きです。

    予告編に釣られてこの映画見てしまいました。
    https://youtu.be/i1EDdyF109c
    「安室ってキャラよく知らないけど、赤井とガチバトルしたって聞くから、コナンと抜き差しならないバトルするんだろうなぁ」
    「アムロさん超ダーティな魅力見れるんだろうなぁ」
    「ダーティな正義vs正統派正義! 俺好み!」

    と思って行ったら、凄くがっかり。
    バトルも二人して睨み会うぐらい。
    おっちゃん逮捕仕込んだ理由それ?
    コナンにはあそこでブチ切れて欲しかった。。
    その方が馴れ合い感出てなくてよかった。

    キャラ映画として見ても、安室以外は全員薄っぺらくて見てて辛かった。

    小五郎と付き合い長くて、事件解決でお世話になってるはずの目暮や高木がやってることといえば、
    ベンチでうなだれて小学生に愚痴こぼす!
    なにそれ! 情けなくて見てて辛かった。
    おっちゃんが逮捕されるなら妃の大活躍見れるかなーと思ったらそれもなし。
    なんか、キャラたちの必死さ足りない。
    小五郎のおっちゃんが逮捕されたんだよ! 公安の陰謀で刑務所ブチ込まれそうなんだよ!!
    お前ら本当は毛利小五郎好きではないのか!?
    実際は、あのヘラヘラジジイなんて別にムショに入ってもどうでも良いと思ってるのか。
    「まぁ、一応動くか。蘭ちゃんに言い訳できる程度にね!」
    って感じで、なんか舞台裏やら大人のイヤーな部分を見た気分になった。
    テレビシリーズをこれから見ても、上にあげた三人は好きになれなさそう。

    ストーリーも2時間ドラマっぽいけど、2時間ドラマとしても駄作。
    IOTテロとか衛星墜落とかで、ごまかしてる。
    どうせなら裁判まで持ち込んでくれたら面白かったのに。

    見た後すっごいムカムカ。
    「でもまぁ、こんな中身ない映画、そこまで売れないだろ」
    と思ってたら…
    興行収入ランキング7週連続一位!
    80億目前! 婦女子は安室を100億の男にしようと息巻いてる!
    もちろん、コナン映画で一番売れた映画!
    同時期上映してた「ジュマンジ」も「アベンジャーズ」も軽く超えて、しかも「シン・ゴジラ」超えるとか何事!?
    ふっざけんなよ!こんな中身空っぽの映画がどうしてこんな面白い映画たちよりうれるんだよ!!!!

    単なる「この映画はクソ映画」という域を超えて、日本映画界に絶望してました。

    そんな中この記事を見つけて、「ああ、ちゃんとつまらないとレビューしてくれる人いるんだなぁ」と安心しました。
    モヤモヤして寝れそうになかったのですが、ようやく寝れそうです。
    お休みなさい。

    • tm2501 より:

      熱いコメントありがとうございます。

      最近は自分も情勢を研究したから「どうしてこうなっているか」を理解してますが、3年前のぼくだったら
      「みんな頭がどうかしてる」とかなんとか発狂して似たようなことをのたまってると思うので、けっこう気持ちはわかります。

      過度に一般化しすぎず、「コナンはちょっと特殊」ぐらいに思っておいたほうがいいと思います。

      日本映画がいいもの作るよりもある種のソシャゲーやファンビジネスっぽくなっていて面白くないのは同意しますけどね

  5. 国が恋人はスベってる より:

    自分も、面白いって言われたから期待してみたら、大ハズレだった
    ワースト5に入る出来
    事件も推理もしょうもないし、
    アクションも最後に無理やり入れた感じで一切ワクワクもしない
    TVSPでもいい内容
    ドローンも人工衛星もIOTも無理やり消化させた感が強かった
    エッジオブオーシャンもサミットもまったく活かされてない

    監督もそうだけど、脚本家が相変わらず駄目
    去年の人に戻してほしいレベル

    安室メインってことだから、黒の組織絡みかと思ったら、黒田が誰かに電話してるとこくらいしか、絡みが見つけられなかった

    評価が高すぎて、もやっとしてたけど、こういうふうな感想が見られて、スッキリしました!
    ありがとうございます。

  6. きょん より:

    ゼロの執行人、好きです。
    えりさんが普段けんかばかりの小五郎を助けるために
    協力してくれた・・・けど
    最後は、結局けんかなのね>
    アムロさん、すてきすぎ!

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