【凪のお暇2巻 感想】ドロップアウト経験者に必要なのは自分と自信である!!

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ドロップアウトした女性が、会社員時代に貯めたお金を元手に変わろうとする日々を描いた「凪のお暇」の2巻の感想を書く。

ぼくもドロップアウト経験者だから、自分のことのように読んでいるのですが…2巻のテーマもまさに自分のことのようだった。

 

まず、2巻で描かれる話だけども…

2巻では凪さんの生い立ちや、となりに住んでいるうららちゃんの家庭の事情が明らかになっていくわけだけども…うららちゃんと同じく母子家庭だった凪さんがうららちゃんに自分の過去を重ねながら、応援しながら…という回想と今が綴られてる。

 

ぼくは別に母子家庭ではなかったんだけども、僕はぼくで発達障害だったし、母は母で自分が夢に見たことを「神のお告げがあった」とか言って朝食の際に説法を繰り広げるすごい毒親だったから家族のこと、人間関係のことで苦労した気持ちはすごくわかってしまい、感情移入してしまった。

 

凪さんはうららちゃんの孤独や苦労を汲み取ったり、助けてあげることで、自分の過去と向き合って清算することに成功していく。

細かいところは2巻を実際に読んでもらうとわかるんだけど…正直、ここの演出はホンマにすごいと思った。

子どもに好かれたとか、自分の言ってることをわかってくれたとか…そういう「共感」を超えた、「教えてるようで教わってる」「誰かを助けてるようで、助けられている」感じがして、「愛ってきっとこういうものなんだろうなぁ~」という深みがあって、尊い気持ちに慣れた。

 

僕も僕で、精神科にかかって自分が発達障害で、自分に向いてないことをやめて向いてることで人生を再スタートさせていくことで、過去と向き合って、病気を直したり、新しい友達や収入源を作っていった。
その際、ブログを他人に教えたり、ゲームを普及したり、恋愛の悩み相談をしたり、仮想通貨を教えたり…色んな形で、他人に知恵貸しして、その人の人生や生きづらさを変えてきたわけだけども…そういうことを通じて、自分の本来の持ち味を自信に変えて、自分らしく生きることができるようになって「教えてるようで教わってる」「助けているようで助けられている」という体験をした。

 

そのことをきっかけに、自分の意見・気持ち・考えに自信が持てるようになった。

 

取り戻すべきは自分と自信

経験上、病んでいたりドロップアウトする種類の人が取り戻すべきは「自分と自信」であることが多い。

 

「自分」を失う/失った自分を取り戻す

高校時代、太宰治の人間失格を読んだ時に、母親を怒らせないように気を回している自分と、父親をがっかりさせないようにしている太宰治がダブった。

そして、凪のお暇でも、凪さんは母親から距離を置くために、様々な気苦労をしている描写が出てきて「やっぱりそうなのか」と感じたことがあった。

 

…僕はストレスや生活の変化に体が順応できなくて、中学高校時代に激太りした。

本来、激太りしたらサイズの大きい服を着た方が太った体格が隠れてファッションを楽しむことができるのだが、大きいサイズの服を買うと、母の機嫌を損ねるため、母と服を買いに行くとき、僕は着られないサイズの服でも無理して着ていて…結局着ないことが何回かあった。

 

父はそういう「なんとか自分を殺して、母を怒らせないようにしているぼくの弱気さ」に気づいていたようだが、母は今でも僕を追い詰めてたことに気づいていないため、もう5年も会ってない。(父とは月1ぐらいは会ってる)

 

 

服屋で、デブと罵倒されるのが嫌だった僕だが、勉強して正しいと思ったことに対しては、

「アレだけ僕にキレておいて、こんなことも勉強してないのか!!」

というブチ切れ方をしたり、何に怒ってるかわからない時には徹底的に抗戦した。

 

そうでもしないと、自分がますます潰されていくような気がして、1週間のうち1日は母との揉め事に費やす不思議な高校時代を送ってた。

 

自分というものが、「これが好きだから」ではなく、「誰かに潰されないために維持するべきもの」に成り果てていた。
…だから、つい最近まで他人から批判されるのを徹底的に避けたり、逆に批判されたら「こいつは俺の存在を批判したんだから、俺もこいつを否定して、生きていられないようにしないと気がすまない」ぐらいに思ってた。

 

自分が自分でいるために、他人から否定されない・理不尽に怒鳴られない環境でしか成立しない自分なんて、本当の自分じゃない。
このことに気づいたのは、自分に自信を持って、社会や世間から認められなくても、規範的じゃなくても強い芯を持って生きている人たちに出会ってからだった。

 

凪のお暇っぽく言うと、このカットになるのかな?

じゃあ、「空気を吸って吐く」とは、具体的にどういうことなのか?

 

ここで大事になってくるのが「自分の好きなこと、やりたいこと、向いてること」になる。

「空気」を「知識」とか、「自分の好きなこと」と置き換えると、そのまんま答えになる。

 

「自分(の好きなこと)とは、他人に合わせることじゃなくて、自発的にインプットしてアウトプットすることだった」

そう考えた途端に、他人が自信満々に批判してきても、間違ったことを強要してきても、腹が立たなくなった。

…それは、自分を潰そうとしているんじゃなくて、そもそも自分に言ってないか、届かない程度ぐらいに雑にしか考えられていないと気づいてしまったから。

 

…ただ、他人に流されずに、自発的にインプット・アウトプットするには、自信が必要になる。

子どもの時、体格でも財産面でも立場でも強かった親や先生や社会に奪われた自信を取り戻していかないと、自発的な自分を隅っこにおいてる自分を変えることは難しい。

 

だから、一度ドロップアウトは必要だし、一人になる時間も必要になる。

一人になって、冷静になって、見栄や体裁のために他人ですらない「空気」に好かれようとするのをやめて、自分のできることで他人に役に立つ成功体験、自分の好きなもので好奇心を満たしていく時間が必要になる。

 

お金にならないこと、どこまで本気かわからないネットのコメント、社交辞令かもしれないけど言ってくれる「ありがとう」…小さいところからでいいから、自分と連動した自信を取り戻していく。
それがすごい大事。

凪のお暇は内向的な人のバイブルになる作品

ただ、世の中には「自分」を最初から出して成功できる人や、逆に「自分を殺すこと」で成功する人もいる。

いや、彼らの成功エピソードのほうが、当たり前のように語られてしまうため、ついつい押し付けられてそのまんま寄り切られてしまうことがある。

 

だから、「本当は自分を出さないと立ち直れない(のに、自分の出し方を学ばずに活きてきた人)」や、「自分を殺すことが死を意味する人」に、対する手引書があまり存在しなかった。

 

世間一般の成功エピソードや立ち直りエピソードが合わない人のための新しい手引書が必要だと、自分の体験や出会った人を見ながら思っていた時に僕は凪のお暇に出会った。

 

文章にしてしまうと難しくなりがちなことを、キレッキレの演出で描いてくれているこのマンガは、是非ドロップアウト組や、精神疾患を経験して挫折した人に読んで欲しい。

 

いや、むしろ「社会人として一本立ちできたけど、そこに実感や自分が感じられなくて伸び悩んでいる人」までひっくるめて、若い人の新しい手引書になってくれる本!
社会的に失敗してない人でも、自分が出しきれない・空気読んでるだけでは頭打ちなことに悩んでる人、意外に多いんですよね~

 

そういう人に凪のお暇を手にとって欲しいから、この本を勧めてるわけです…はい。

 

 

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青二才は振り向かない
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