プロ野球ファンとオタクはちょっと違う。
プロ野球ファンは現地に行ってファンを応援するのが中心で、文字通りの意味でのファンだ。
しかし、プロ野球オタクは「データ分析」サイトを利用したり、自分なりの独自の理論を持っていたりする。
今回はまさにそういう話です。
「出身地が同じ選手だけでチームを作ったらどこが最強?」みたいなことを考えたことない?
きっかけは「兵庫県の出身選手だけでチームを組んだら、すごく強いのでは?」と思って自分なりのベストナインを作り始めたことでしたが…なんと先駆者がいました。
出身地別選抜トップページ ~47都道府県の最強チームはどこだ?~
このサイトすごくてですね、47都道府県の出身選手をまとめるだけじゃなくて、ベストナインを組んで、ランキング方式でまとめてくれているんですね。
だから、このサイトを見れば、一発で【この都道府県が野球強いんだ…】がわかるようにできてます。
しかも、ベストナインを組んで公表しているため、最近成り上がってきた地域か、昔強かった地域かまでわかる親切設計です。
例えば、ぼくの出身地である兵庫県だとこんな感じ
特に外野手が豊富すぎましてね…2000本安打の栗山巧がベンチ外だったり、メジャーリーガーの田口壮がギリギリベンチ入りだったり…もうめちゃくちゃです。(サイトを覗くと、控えに入れなかった選手も覗くことができますので、よかったら見てみてください)
(なんでこんな強いメンバーが揃うかは置いといて)メンツも豪華!!
長嶋茂雄以前の野球黎明期の選手から、平成に大活躍した選手まで網羅した最強の歴代ベストナインの1つで、強打のファースト以外はほぼ全部揃ったすごいメンバーで、ずっと見ていられます。
兵庫県はサイトの管理人も1〜5位のどこかに必ずランクインさせるほどの強豪なので、すごく豪華です。
一方で、47都道府県のランキングですから…下の順位に位置する都道府県もいます。
これ、ピッチャーは知ってる人もいるけど…野手は誰も知らない可能性がありますね。
5番の加藤健はかろうじて「あー巨人の阿部慎之助の控え捕手として待機してた人ね」ぐらいの認識がある人はいるかも知れませんが、他は本当に知らない人が多いんじゃないですか?
今西武で売出し中の滝澤夏央さんには新潟初の有名な野手として輝いてもらいたいですね。
なんで雪国は野球弱いの??
ちなみに、都道府県ベストナインを見た限りでは、山形県・富山県も弱いです。
よく言われるのは、単純に「雪が降ってない・降水量が少ない都道府県の方が野球は優位」というやつでこれは結構当たってます。
加えて、「ウィンタースポーツが盛んだから、野球に運動できるやつが来ない」という問題もあります。
わかりやすい例として、YouTuberのヒカキンさん・セイキンさんの2人がいます。
この2人は元々高校まではスキー選手で、国体出場や全国大会入賞も飾るほどの選手だったそうです。
他の県で生まれたら野球やってたかもしれない人が、ウィンタースポーツで大活躍…というケースが雪国ではあるんですよね。
そのため、新潟・山形・富山・長野・岩手・福井・石川など日本海側の豪雪地帯、山の険しい地域、距離が広すぎて練習試合1つ組むのも一苦労…など、悪条件が重なりすぎて、野球弱いですね。
雪国で「人口の割に野球が強い県」は…ないです。
北海道だけ大都会だから野球が強いことになってますけど、選手層がすごいチームじゃないです。
スタルヒン・佐藤義則・星野伸之・高橋慶彦・若松勉の5人が偉大すぎて上乗せされてるだけです。(特にスタルヒンがあまりにも偉大すぎる)
雪国でもピッチャーはすごい人が育つんですよ?
それどころか、若いうちに足腰を鍛えてから、野球留学や大学・社会人野球で鍛えることがかえっていい結果を生むこともある。
ただ、野手は北海道ぐらい都会か、北陸の一部名門校を除くと、本当に期待できない!
でも、若くしてそれなりの相手と戦わないと育たないから…野手を変な都道府県から取るのはおすすめしない。
「この出身地の選手がすごい」という地域をいくつかまとめてみる
ぼくは、「野球のレベルが高い地域出身の選手」を「野球州兵」「州兵タイプ」と呼んでます。
ドラフトや、選手の伸びしろを読む時に「州兵タイプ」だと期待値が高い選手はだいたい都会出身か、今から挙げるような【人口の割に出身選手が豪華で野球が盛んな地域】です。
そういうわけで、今回は雪国以外にも、東京・大阪・神奈川・北海道・埼玉など
「都会だからそこそこ強い」
「人口多いんだから強くて当たり前」
「なんなら、エリート校が強いだけで、別に出身地単位で強いわけでもない」
みたいなところは取り上げません。(東京大阪は野球強いイメージあるが、人口相応。意外と普通です)
特に埼玉なんか人口多い割には、ザコだからね?
人口が全国5位で40年もプロ野球チームの本拠地があるのに、埼玉出身者ベストナインは、全国で20番目ぐらいの強さしかないからね??
今回は
「人口少ない割に、ベストナインが強い」
「野球が浸透しすぎて、誰も知らないような学校から選手を獲得しても、それなりに強い」
みたいなところを取り上げることで、ドラフトや編成を見る手助けになったらいいなぁ〜と思います。
兵庫県の中でも「西宮・宝塚周辺」の選手は間違いない!!
手前味噌で恐縮ですが、兵庫県から行きましょう。
兵庫県は、戦前から甲子園があっただけじゃなくて、阪急ブレーブスの本拠地である西宮球場もあったせいで
「(オリックスが大阪ドームに行くまでは、)東京以外でセ・リーグもパ・リーグも見ることができた野球大国」
だったんです。
中でも、甲子園も西宮球場もあった西宮周辺は、野球ファンが4代も5代も続いている状態です。
神戸と大阪をつなぐ阪神も阪急も野球に熱心で、高校野球も早い段階で甲子園開催ということで…兵庫県が野球のメッカになる条件が70年ぐらい前には揃ってた感じです。
だから、西宮を中心に宝塚尼崎出身の選手は中学までに高いレベルの硬式野球をやったり、公立校からでもプロ入りできるほど野球に精通した人が多いのです。
この辺が、プロ野球黎明期から現代まで名選手を出し続け、さらに一部の名門校だけでなく公立出身者まで質が高い理由になってます。
さらに、神戸市・西脇市・三木市・社高校のある社町といった西宮からは離れてしまった場所でも名選手を多く排出してて、4代も5代もかけて兵庫県南部全域に高いレベルの野球が広がっているから、兵庫出身なら学校や出身地問わず、期待していいと思います。
特徴としては「バランスのいい選手が多い」です。
若くしてレベルの高い野球に揉まれてきたから、走攻守そろったバランスのいい選手が多いです。
昔は豪打の強打者もいたのですが、最近は中学まで兵庫、高校以降は別の県に野球留学したほうがスケールの大きい選手になるケースが多いです。坂本勇人・山田哲人はこのケースです。
でも最近の兵庫県内で高校まで行った選手、守備や走塁まで含めたバランスの取れていて「ハズレを引きたくない」という時に兵庫の選手を重宝される傾向にあります。
プロ野球だと00年代の西武が栗山巧・中島宏之を取るなど兵庫が大好き。
10年代になってからは楽天が小深田大翔・辰巳涼介と兵庫の選手を取っています。
最近は阪神が兵庫県の選手にハマって、近本光司・佐藤輝明を獲得してます。
でも、三木市出身のぼくとしては、ロッテの中村奨吾を推したい!
などなど「必ずしもクリーンナップではないが、堅実でチームになくてはならない選手」が多いのが、兵庫県出身の選手の特徴です。(佐藤輝明だけ兵庫らしくないゴリゴリに荒削りな選手だけどね)
兵庫県自体が野球以外でも、職人や商業の町が多いから
「規模は大きくないけど、隠れた日本一/伝統と技術がすごい」
「リーダーやナンバーワンはほぼ出てこないが、どの分野でも一目置かれる企業や職人・商品は多い」
が、兵庫の県民性ですね。(だから、この後紹介する都道府県より名監督は少ないのが兵庫の弱みです)
広島は…ハイリスク・ハイリターンやぞ!
「プロ野球チームのせいで、地域に野球が根付いてる」
という意味では広島県もかなり強い。
広島のカープ熱は阪神阪急とは違う意味で「熱狂的」。
戦後復興の象徴でもあり、市民みんなで作ってきた文化…という誇りは日本一強い。
だから、兵庫以上に「どんな田舎でもプロ野球選手を輩出してる」のが広島。
兵庫だと南部…とりわけ西宮周辺が極端に強い。
しかし、広島は逆にプロ選手が全く出てない自治体の方が珍しい。
北部の三次市・庄原市、東部の福山市や府中市、西部の広島市・廿日市市もまんべんなくプロ選手が出てます。
特に三次市は人口10万人しかいないのに、1950年代のスター選手岩本義行から、平成に活躍した福原忍・二岡智宏・梵英心・大田泰示と名選手をコンスタントに出して、最近でも坂本光士郎ですからね!?
他にも、庄原市なんか人口3万人のド田舎から、谷繁元信出してますからね!?
これは野球大国ですわ!!
選手の特徴は…とにかく芯が強い?クセが強い??そういうイメージです。
いい意味で癖が強いと、兄貴肌でチームの中心選手・名監督になります。
ソフトバンク黄金期を牽引した柳田悠岐、オリックスのエースとしてチームの柱になった山岡泰輔、アマチュア時代には江川卓を出し抜きプロとしては広島黄金期を支えた達川光男などなど、広島らしい選手がうまくハマるとチームの柱になってくれます。
単に柱になるだけじゃなくて、鶴岡一人のように名監督になる人までいます。
最近でも、高津臣吾監督が日本一に輝いてますから…広島出身はリーダー向いてる人が多いのかもしれない。
逆にアクが強いからこそ問題が多いのも広島出身者です。
サンデー・ジャポンの張本勲みたいに老害っぽくなったり、二岡智宏みたいに女性問題を起こしたり、中田翔みたいに暴力事件で移籍させられたり、無免許運転の奥浪鏡がいたり…なんかすごいです。
兵庫県出身の選手も物を言う人が多くて出世できなかったり、名監督があまりいないのですが…広島出身者はもっと度が過ぎてます。
良くも悪くも行動が派手だからこそ、リーダーになって結果を出すのも広島出身だし、問題を起こして喧嘩別れするのも広島出身者です。
広島県出身選手が好きなのは…一貫してカープです。
山本浩二・達川光男・梵英心・新井貴浩・永川勝浩・中村奨吾など今も昔も地元から獲得するのが好きです。
あとは巨人多いですね。
広岡達朗・高橋一三・二岡智宏・田口麗斗・畠世周などコンスタントに取ってますね。
気が強い選手大好きな巨人軍でさえ最後までいられなくてパージしちゃうんですけどね。
最近広島出身者の魅力に目覚めたのは少し前なら有原航平・中田翔の日ハム。
他にも、オリックスが梵英心コーチ、小林宏二軍監督、藤井康雄さん(選手&打撃コーチとして貢献)、選手としては山岡泰輔など「リーダーとしての広島県民」の良さを活かしてるのが面白いですね。奥浪鏡の失敗から学んだんでしょうか??
あの吉村と村田を輩出した福岡県!なぜか持ってる男が多い不思議県
野球ファンの間で語り継がれる
「内川コピペ」
と呼ばれる横浜暗黒期の様子を書いた文章があるのです。
この文章は内川選手の物語なのですが、巻き添え的に「吉村と村田は病院で静かに引き取った」という一文で終わる。(改変されても、必ず吉村と村田が息を引き取るストーリーになるので、内川本人より被害が大きい)
その村田修一と、吉村裕基の両名を出したのが福岡県(東福岡高校)です。
…学年違いですが、同じ学校に入って、ベイスターズに入団して、地獄の暗黒時代を経験しています。
しかも、福岡県史上最高のエースは杉内俊哉ですから、プロ入り後の松坂世代が好きな人は
「福岡出身の野球選手は強い!」
と思ってる人は多いと思います。
福岡県は…コンスタントにすごい選手をだすというより、
「いい時には固まってすごい選手が出てくる」
不思議な地域です。
それと、気質は広島県民顔負けに豪気で、仰木彬や新庄剛志、王監督にも噛み付く若菜嘉晴など豪傑・破天荒エピソードのある(また豪気だからこそ周りで振り回された選手が育つためコーチに向いてる)人が多いのです。
でも、野球の方は、意外にも堅実です。
確かに松永浩美・小鶴誠・村田修一といったスラッガーも出してます。
でも、どちらかというと捕手・二遊間の名選手が多く、逆に投手はそこまででもないため、
「実は考えて野球をするしっかりした選手」
「でも、存在感やスター性が高いから野球以外で注目を集めることの多い」
という不思議な選手がよく出てきます。
福岡出身者が好きなのは…阪神・西武、横浜・ホークスですね。
阪神は梅野隆太郎・新庄剛志・中谷将大などが代表的。(若菜・真弓選手はライオンズの選手だけど、阪神に入ってから大活躍)
西武は、西鉄・太平洋クラウン時代に仰木彬、野口正明、その間の時代に立花義家、最近福岡からの獲得が増えて野上亮磨・野田昇吾・大曲錬・古賀悠斗など。
ホークスは、柴原洋・杉内俊哉・本多雄一など(カズ山本は近鉄入団だけど、長く滞在在籍したのはホークス。若菜嘉晴もホークスにコーチ入りしたことも)
横浜は村田修一・吉村裕基・高城俊人・今永昇太など…。
西武は福岡から取ってくることは増えたけど、あまり活かしきれてなく、逆に阪神や横浜は最近のチームの柱に絡んできてる感じですね。
熊本県は、化ける人はとことん化けるが…
だいたい熊本工業高校が悪い!
特に、プロ野球チームの本拠地があったわけでもなんでもないのに、熊本工業から名選手が出すぎてしまったがために…V9川上哲治、西武黄金期秋山幸二・伊東勤、イチローと落合が認めた前田智徳、三冠王松中信彦、(執筆時点で)王貞治に並んだ村上宗隆など
「なんなんだこのメンツは!」
と野球ファンが鼻血でノックアウトしてしまいそうなメンツ。
しかも、熊本工業も公立だけど、秋山幸二や野田浩司は他の県立校出身。村上宗隆も私立だから、熊本工業ではない。…といった感じで、熊本工業がすごすぎるというイメージがありながらも、実は他の公立も私立も層が厚く、コンスタントに選手を出してたりする。
さらに、監督としてもV9川上哲治、広島初優勝の古葉竹識、ソフトバンク黄金期の秋山幸二がいるんですよ!?
意味がわからん。
熊本なんてそんな都会でもない。
都会の都道府県オールスターズと比較しても全く引けを取らないヤバいチームが作れる県…それが熊本ですよ。
選手としてはなにかに特化した一芸に秀でたダイナミックな選手が多いイメージ。
熊本県の選手が大好きなのは…少し前までは巨人でした。
川上哲治、末次利光、緒方耕一、藤村大介など、巨人を支えた選手が多いです。
西武は秋山幸二・伊東勤以外だと…そんなハマってないですね。
最近は両球団ほど熊本出身者がうまくハマってないですけどね。
村上宗隆が大当たりしたし、名選手も多いから「熊本出身者は大当たりする」というイメージがある反面で、実は村上以外がハマりきらない。
強いていうと、小田裕也・西浦颯大・荒西祐大を獲得したオリックス、立岡宗一郎・山中浩史を獲得し巨人・ヤクルトへ放出したソフトバンクが熊本出身者の中でも良さげな選手を引いているのですが…村上宗隆ほどのドハマリはしてないです。
なぜかキャッチャーの名産地、京都府
野村克也・中村武志・炭谷銀仁朗という3人の名キャッチャーを出した京都府。
そして、ピッチャーも大家友和・平野佳寿・岡島秀樹という3人のメジャーリーガーに、大野雄大・吉見一起・斉藤和巳ですから…豪華です。
糸井嘉男・衣笠祥雄という変わり者方面にアクが強い選手が揃ってるのも面白いです。
京都出身者をよく獲得する球団は、中日と阪神です。
阪神は金田正泰、吉田義男、桧山進次郎など伝統的に京都の選手が好きで、京都出身のスターがいないと糸井嘉男まで獲得するほど大好きです。
中日は中村武志、吉見一起、大野雄大に加えて、波留敏夫コーチまで迎え入れてますからね…。京都好きすぎます。
どこのチームでもポジションでも活躍してる…というよりは、…合う合わないがはっきりしてます。
能力はあるけど、合わないポジションやチームだと全然はまらない不思議な京都。
繊細すぎてあわないのではなく、逆に芯が強すぎて中継ぎ投手やキャッチャーだと大成する他にはあまりない特徴があります。
どこから名選手が出るか本当にわからない大分県
一応強いとこだけど、野村謙二郎も内川聖一も源田壮亮も森下暢仁も公立校。
甲斐拓也も私立だけど、プロがほとんど出てない無名校。
一見、今宮健太が私立の強そうな名前の学校出身だけど、実は今宮が学校のプロ第一号。
などなど、公立と私立があべこべな上、誰も知らない学校から獲得してもかなり活躍することから
「(高校時点では)どこにお宝が埋まってるかわからない」
のが大分県の特徴です。
だからこそ、高卒で名選手を獲得すると他球団を大きく出し抜ける。
逆に、大卒社会人であっても「大分出身選手で堅実な野球ができるタイプは化けるかも!」ということを知っておくと、素晴らしいドラフトができるかもしれない。
大分出身選手の特徴は…全体的に手堅いですね。
兵庫のようなバランス型が多く、
「大分出身の選手がハマるとチームの野球をワンランクアップさせてくれる」
というタイプ。
さらに引退後のキャリアも兵庫に似てて、監督になって優勝して名監督扱いされる人よりかは縁の下の力持ちとして優勝前の基礎を築くような人・優勝しないけど名選手をきちっと育てる人が大分出身者には多いです。
大分出身選手が好きなのは、西鉄時代の西武・ソフトバンク・広島・TBS時代の横浜、中日ですね。
西鉄時代の西武は稲尾和久・河村英文・大田卓司。
ソフトバンクは甲斐拓也・今宮健太、広島は野村謙二郎・森下暢仁、TBS横浜は山口俊・内川聖一。
児玉利一・大島康徳・鉄平を獲得した中日もなかなか。
最近だとオリックスが廣岡伸哉・佐野皓大とチャレンジしてて、佐野皓大がなかなか活躍してる。
オリックス出身で大活躍した大分出身選手がいないから2人には大化けしてほしいところ。
実は智弁和歌山より県立の方がプロで成功する?和歌山県
和歌山県の野球といえば、「智弁和歌山が強い」というイメージです。
でも、智弁和歌山出身のプロ選手はそんな成功してないです。
西川遥輝が出てくるまでは、誰もが知ってるほどの野球選手は本当にいなく、後継者も不透明です。
広島の林晃汰選手が2021年に本塁打10本打った時はすごく期待しましたが…今年は大スランプ。
楽天の黒川史陽もちょくちょく出てきたのですが、二軍の帝王止まりで、今年の一軍では結果が出ず。
でも、和歌山県は公立校出身のプロ選手はけっこう大成してます。
西口文也・小久保裕紀・東尾修・吉井理人・藤田平・濱中治・益田直也など、けっこういい選手がいます。
和歌山出身選手の特徴は、広島県に近い気性の荒いリーダー格・大事なポジションで引っ張ってくれるタイプの選手が多く…広島出身者ほどじゃないけど、トラブルも多いです。
そのせいか、守備系の選手は西川遥輝ぐらいで、打撃の選手やピッチャーで活躍した人が多いです。
また、リーダー気質ゆえに監督としても西本幸雄・東尾修という名監督を輩出してるのですが…両監督とも荒々しいですね。
伝統的には阪神が和歌山の選手を好む傾向が強いです。
西武は昔は和歌山大好きだったのですが…最近はそうでもないです。
小久保以外があまりハマってないですが、数の上ではホークスも和歌山が好き。
個人的な注目は徐々に和歌山出身選手に手を付け始めて、ついに富山凌雅を獲得したオリックス。(野球留学組だからわかりにくいが、彼もれっきとした和歌山県民)
2021年には中継ぎとして50試合に登板し、優勝に貢献しています。
和歌山県出身のオリックスの選手は大久保勝信といい、富山凌雅といい中継ぎ投手が面白い結果を出します。
隠れた人材バンク&ツウ好みな選手が埋まる宮崎県
宮崎はかなり面白い。
ツウ好みで渋い選手が多い。
オリックスの監督を努めた西村徳文・福良淳一は「宮崎県出身の同郷のよしみ」でコンビを組み、監督のバトンタッチもしています。しかも、この二人は宮崎の県立校出身なのが余計にシブい。
ピッチャー組は野球留学や私立が多く、入来祐作はPL学園、入来智は鹿児島実業、柳裕也は横浜高校…と高校野球の台風の目になってます。
最近アツい選手としては、柳裕也はもちろんのこと、青木宣親もまだ現役。
さらには、岡山出身ではあるが「敢えて宮崎に野球留学」を選んだ山本由伸など、宮崎に縁のある選手がけっこう活躍してます。
隠れた当たり出身地なので、オリックスは阪急ブレーブス時代からよく獲得したり、宮崎出身者の力を借りることが多いです。
他にも日ハム・ロッテ・広島などかつては
「不人気だった球団が努力を重ねて選手を探した結果宮崎にたどり着く」
という感じだったみたいです。
最近は巨人やソフトバンクも普通にとってますけど、阪神西武は宮崎出身選手をあまり獲得しないですね
長嶋茂雄のせいで野球大国になった?千葉県
最後は…ここですね。
兵庫県の並ぶ野球大国でありながら、兵庫県ほど
「昔から野球に関するインフラ・文化が揃っていた」
「高校野球がすごく盛んで、名門校も県立校も揃ってる」
というわけじゃないのが、千葉県の不思議なところ。
しかし、長嶋茂雄を筆頭に、高橋由伸・阿部慎之助・掛布雅之・谷沢健一などメンバーが豪華。
長嶋茂雄が出てからというもの、コンスタントに強打のバッターが無尽蔵に供給され続ける不思議な県。
さらに、高橋由伸や涌井秀章みたいな野球留学組が神奈川や東京でプロ入りしたり、高校野球・大学野球ではむしろそちらの学校のほうが有名なことが多いので、「千葉といえば野球大国」というイメージが定着してないのも面白いところ。
気質としては、広島に近い「勝ち気だけど、トラブルメーカーでもある」というタイプですね。
ロッテ清田とか、GG佐藤とか、コーチとしてはトラブルの多かった石毛宏典もいますし…。
だからこそ、千葉出身者は巨人軍に向いてる選手が多い。
生え抜き選手で成功した千葉出身者が多いだけでなく、小笠原道大・丸佳浩まで獲得して千葉でメンバーを固めてます。
巨人だけでなく、ロッテも日ハムも千葉県の選手は大好きですが、他のチームはそんなに手を付けてないですね。
特に、西日本の球団は千葉から選手を取ろうとしないから、千葉出身者が多いチームと少ないチームは真っ二つに分かれてます。
その他;もし見つけたら注目したい出身地5つ
尺やネタの都合でそこまで語れないけど、
「ランキングは高いけど、昔の選手が多く、最近の選手はそこまで話題に上がらない」
「まだランキングは低いけど、最近勢力地図を変えつつある地域」
地域はここでサラッと紹介します。
・山口県…投手五冠の藤本英雄、スーパーカー高木豊、567本塁打の門田博光など、すごい選手が多い山口県。津田恒美・森慎二など壮絶な野球人生を送る人もなぜかここに固まってる。
母数が少なく、最近の選手で有名なのは清水優心ぐらいなので、サラッと紹介。
・秋田県…落合博満・山田久志・中嶋聡など「数は少ないが、めちゃくちゃ質もいいし、監督としても成功する選手」を輩出する隠れた名門。
人数少ないのと、現役選手で話題なのが吉田輝星ぐらいしかいないのでサラッと。
・徳島県…板東英二・長池徳二ら古株から、潮崎哲也・里崎智也・川上憲伸ら少し前の選手、最近では杉本裕太郎など人数は多くないが、まんべんなく名選手を輩出してる徳島県。
さらには上田利治監督の出身地でもあるので、人数こそ少ないがオリックスとゆかりのある人が多い。
母数が多くない・どう考えてもオリックス中心の話で盛り上がっちゃうので、断腸の思いで、サラッと。
・香川県…中西太、三原脩、水島茂という長嶋茂雄が台頭する前に野球人気を支えた名監督・大スターを輩出した古豪。静岡県や高知県もそうなのですが…最近はあまり話題にならない古豪県というのもあるのです。
中でも、香川県は野球の歴史上重要なレジェンドがすごすぎて、紹介せざるを得ないからサラッと。
・沖縄県…新興勢力です。ここ20年で一気に勢力を伸ばしていて、2022年のパ・リーグでは終盤まで優勝争いしたソフトバンク、オリックス、西武の3チームが共通して、沖縄県の選手を好むほどです。
特に比嘉幹貴・大城滉二・宮城大弥がいるオリックス、山川穂高・平良海馬・與座海人(かつてはデニー友利、多和田真三郎もいた)西武は沖縄大好きです。ソフトバンクも東浜巨・又吉直樹がいます。
昔の名選手がいないからランキングは低いのですが、現役選手の間では一大勢力になりつつあります。
ざっくりまとめると…
プロ野球選手は西日本の方が優秀な選手を出す地域が多いです。
特に田舎や人口比で考えると、西日本と東海地区・東日本では大きな差が出ます。
逆に、東海地区・東日本でも愛知神奈川東京は都会だからいい選手がけっこう集まります。
埼玉でさえ「人口の割にはしょぼい」けど、いい選手だけでベストナインを組むとほとんどの田舎に勝ちます。
東日本の例外が千葉県と秋田県です。
なぜか人口比でみても素晴らしい選手が多かったり、少数精鋭でいい選手が出てきたりします。
そう考えるとスポーツって都会と田舎の格差ではなく、文化の蓄積・地理的な過酷さ・県民性が影響してるから意外と平等なのかもしれません。
学校の勉強は小中学校レベルならともかく、高校大学など高度な教育になるほど都会有利です。
でも、スポーツは地域性があるからこそ、単純な人口や設備の良さ、いい学校に入れば安泰とは違う。
その面白さが選手を獲得する前からあるので、もっともっと掘り下げられてもいいんじゃないかな?と思いました。
いいプロ野球選手取りたかったら、
「兵庫・広島・千葉・沖縄・京都」
の出身者をしっかり囲い込むべきです。逆に雪国は難しい!
県単位で、人口の割に名選手が多いのは秋田県だけ。
学校単位なら敦賀気比のある福井・星稜のある石川はいい。
でも、それ以外の雪国はいい選手引くのがムズいぞ!— 三沢文也 (@tm2501) September 22, 2022
当たり率や、最近でもしっかりいい選手を出してる出身地は兵庫・広島・千葉・沖縄・京都ですね。
大分・宮崎・秋田・熊本・徳島・和歌山あたりも面白いんですが、この辺はしっかりリサーチ・育成できる球団じゃないと当たりハズレが大きいと思います。
なんでこんな話をするかというと、プロ球団でも安直に「東北ドラフト」とか「地元枠」とか言って、文化として積み上げられてきた各地の野球の歴史を軽視してるところが多いと感じるからです。
やっぱりスポーツですから、子どもの頃からレベルの高い訓練や競争をしてきた人が強くなるのは必然です。
その部分をもっと真剣に考えていくと「当たりが多い出身地から取ろう」「アマチュア教育や野球の普及に力を入れよう」みたいになってくるんじゃないかな?