最近、私が応援するオリックス・バファローズの調子が上がってこない。
特に、昨日は「山崎福也の7回無失点の力投」「中盤までは毎回のように得点圏にランナーを置いて無得点」という惜しすぎる内容だったので、ここまで我慢し続けてきた私も堪えた。
オリックスについては…
「戦略的には、まだ全然嘆く段階じゃない」
と頭ではわかってるんだよ!?でも、ファンとしては
「あんだけ得点圏作って、先発が力投してるんだったら勝てよ」
ですわ。内容悪くなくても、今日の試合見たらどんよりよ…。
3敗ぐらいしたようなげっそり感
— 三沢文也a.k.a.青二才 (@tm2501) March 31, 2022
しかし、根っこの部分ではまだ折れてない!
「ペナントレースがダメでも、オリックスの選手は個人技がすごいからタイトル争いが残ってる」
というファンの楽しみが多いことももちろん、ペナントレースの方もまだまだ折れてません!!
もちろん、「他球団に故障者・感染者が出たから」なんて話でもないです。
これについては、いつオリックスも出るかわかりません。『明日は我が身』であるのはもちろん、球団ファンである前に野球ファンとして『怪我・感染した選手は無事でいてほしい。』『普段忙しい分の骨休めできるぐらいの軽症で済んでほしい』とどこの球団のファンに対しても思ってます。
さらに、例年より3ヶ月シーズンが短かった2020年、そして例年よりも1ヶ月シーズン終了が後ろ倒しになった2021年。やっと例年通りの日程になったのは、今年になってから。
どの球団も、感染症と怪我のリスクだけでなく、異例づくしの中でのシーズンが続いてるわけですから…すごく大変なことだと思います。
成績に反映されるか、故障者リストに反映されるかの差こそあれど…みんな「普通に戻る」のに苦労してるのが伝わるシーズンだと思います。
…まぁ、オリックスの場合、故障者リストで悩んでるチームの心配ばかりしていられないほど成績に出てしまっているんですけどね…。
わからないから、人は必要以上に怒るんです…だから、人は知ろうとする
今年なんか「なぜおかしなことが起こってるか」11球団のファンはわかっていると思うんです。
阪神だけはちょっとよくわかんないですけど…12球団共通して無理な日程からくる疲れや、厳しい戦力のやりくりから来る問題ですから、「わかってることで怒りを抑えられる」部分はたくさんあると思うんです。
だから、野球ファンは野球を勉強するようになるし、わからないことがあると調べたり聞いたりして「事情」をつかもうとするのです。
しかし…最初からそうだったかというと、誰もが「わからない時期」はあったと思います。
「野球中継で贔屓のチームを応援すること」はエキサイティングなことだ!
私、オリックスファンとしては日本時代のイチローをグリーンスタジアム神戸に見に行ったことがあるぐらいには長いです。(絶望のどん底の時代も、野球ゲームをする度に、ドンヨリしながら見てました…)
でも、毎日のように野球中継が見られる事に気づいたのは2020年シーズンが始まる前に
「ソフトバンクの携帯電話を契約してる人は、自動的にヤフープレミアム会員!だから、パ・リーグTVで、野球が見られるよ!日本シリーズと交流戦以外は、ネット中継してるよ!!」
という特典に気づいてからです。
そして、胸を踊らせて2020年のオリックス開幕戦を見るのですが…発狂しました。
もちろん、「オリックスは開幕戦に弱く、連敗が続いてる」なんて情報は知ってました。
しかし…ニュースでスコアで見てると「あー燃えちゃったんだ」ぐらいのものが…目の前で、ブザマなプレイをされると、心がボキボキと折れる音が聞こえてくるんです。
マック鈴木が大炎上する試合とか、生で見に行ったこともあるんですよ?
でも、球場が広すぎて、選手のスットコドッコイなプレイをアップで見るわけじゃないから、うんざりこそすれど、腹は立たないんです。
でも、2020年の開幕戦は…ライトジョーンズのダメすぎるプレイや、力投した山岡泰輔の後に炎上する神戸文也を解像度の高い映像で初めて見たわけですから…文字通り「発狂」するほど頭にきました。
巨人や阪神の中継は子どもの頃テレビで山のように見たけど…別にどうでもいいんです。
どうでもいいからこそ、かっこいいプレイが見れたらラッキーぐらいの感じで見れるんですが…ファンのチームの野球中継はこんなにもエキサイティングで、人を狂わせるほどの力があるとは…知りませんでした。
その後もフラストレーションの溜まる試合が続き…ついには怒りの記事まで書くほどでした。
【記事更新】怒りのあまり、ついに書いた。
もうね…今日を最後に西村監督が休養するか、今年終わるまで野球見ないことにします…。こんなに野球のことでキレたのは、はじめてだよ…。
【辞めろ】オリックスが1勝9敗になったから、2020年の西村采配に物申す https://t.co/VJXbBLNlBK pic.twitter.com/FTbBaCKIe9
— 三沢文也a.k.a.青二才 (@tm2501) July 1, 2020
(翌年の優勝で)酸いも甘いも噛み分けた今、冷静に考えると
「僕がここまで頭にきたのは、ファンのチームを野球中継で見ると、細かいところまで見るからこそ、感情的になってしまう性質をちゃんと理解できてなかったからだ」
ということに気づきました。
半分は西村監督のせいなので、謝りませんよ?
監督の采配が信じられなくなるような酷い負け方をあれだけされたら、僕じゃなくても怒りますし、揶揄する日とも多かったですからね。
でも、ぼくも「ファンのチームを野球中継で見る心構え」をわかってなかったんです。
内容がいい、監督が信じられれば、負けたって動じる必要はない!
西村監督から中嶋監督になった時に、オリックスファンの間で話題になったのは
「試合後のコメントがぜんぜん違う」
「とても内容があって、すばらしい」
ということでした。
シーズン途中の監督就任ながら、監督就任後の勝率を、(Bクラスとはいえ)例年並みに戻したこと・ちゃんと雰囲気が明るくなって、ある程度信頼できるコメントと采配をしてくれることで、殺伐としていたオリックスファン達は徐々に人の心を取り戻しはじめました。(※私もその一人ですけどね)
しかし、2021年の開幕1ヶ月…中嶋監督は暴走します。
唐突な若手起用、若手のプロ選手とは思えないミス、中堅選手のぞんざいとも取れるベンチ入りとコンバートの応酬…「意図が読み取れず、多くのファンを困惑させました。
しかし、前年にファンの信用を勝ち取った監督を信じよう…という気持ちは、不可解な采配と実らない結果に耐えるメンタルをくれましたが…1ヶ月も積み重なると、堪えました。
秘められた意図がわかってきた頃、オリックスは1位になりました。
「解像度の高い映像」が映し出すものは、応援してきた選手達が躍動する姿だけになった時、私は野球中継の本当の楽しさに目覚めました。
「勝つことが最大のファンサービス」
この言葉、贔屓のチームが勝つ姿を1年しっかり見た今なら、よくわかります。
フラストレーションでも、戸惑いでもない…一体になって応援できる・思わぬ選手の好プレーに盛り上がるあの時間はすっごい楽しいです。
と同時に…勝率10割のチームなんかないんです。
優勝するチームだって、3割前後は負けるんです。
ましてや、オリックスなんて優勝したけど4割以上負けました。
でも、その苦しさを乗り越えたファンとチームには、分かち合えるものがあるんです。
信じて野球を見続けるのって、意外と大変なんですよ?
中継でも、「時間を作って野球を見る」わけですから…後に優勝するチームだったとしても、苦しみや監督が策を秘めてる時の試合を見るのは、その当時は「信じる気持ち」を保てないと見続けられないです。
だから、シーズン序盤の負けてる時に、ファンに試されることは、
「信じられる根拠を見つけられるかどうか」
です。負けててもいい試合をしてるかどうか、采配の意図に気づけるかどうか…野球を学ぶほど、「負けたから怒る」ことは減り、強い心を手にすることができるようになります。
つまり、「準備」です。
信じるために「理由」が必要なら、理由を見つけられるぐらい勉強するのが準備です。
信じるために「愛」が必要なら、好きな選手・応援してる選手を見つけることが準備です。
それは人によって違いますが…野球中継が自分の人生に教えてくれた大事なことは、きっとこれだと思います。
もちろん、優勝しない・不甲斐ないこともありますが…それだって、準備をしてたら切り替えられます。
勉強してたら「期待できない部分は期待しないで、期待できるところを応援しよう」と思えます。
戦力がそろってない、球団側にやる気を感じないチームに優勝だ優勝だと大騒ぎして期待するのは、いくらなんでも見当違いです。ましてや、それでイライラしてしまうなら、なおさらです。
言い方悪いかもしれないけど…チーム状態に合わせて「見限る」というか、「ハードルを下げる」というか、勝利より自分の好きな選手やプレイ、球場やファンの雰囲気を楽しむというか…そういう方向に「切り替えるための準備」をすれば、イライラしないんです。
野球観戦のエキサイティングな部分に振り回されない!!
むしろ、乗っかって楽しい部分を自分で見つけて、エキサイティングする!!!
それを目指すべきなのです。
まぁ…これを言葉にできたのは、山本由伸さんのおかげなんですけどね…。
我がオリックスが誇る大エース「山本由伸」さん。
戦後初の投手7冠という、誇張表現抜きに「70年に一度の大投手」になった彼ですが…情熱大陸に出ました。
この時の内容は、オリックスファンとか野球ファンとかそういう次元を超越して「全人類が見るべき」素晴らしい内容でした。
というのも、彼のアンガーマネジメントについての考え方が素晴らしすぎるのです。
記者の「イライラとかしないんですか?」という質問に、山本は「イライラする意味がわからない」と一蹴。
山本本人の中では、本当に想定外の質問だったらしく「何にイライラするんですか?」と聞くと、記者は「(うまくいかないなどの理由で)自分にイライラすることはないんですか?」と噛み砕いて再度質問。
結果が出ない時は仕方ないこともあるとしつつ、イライラすることについては「やってない自分が悪いでしょ」と自分の問題だと言い切ります。
放送を見てない人からすると、とてもマッチョイズムな考え方に聞こえるかもしれません。
しかし、放送では普段の考え抜かれた練習に加え、全体練習開始2時間前から、片手逆立ち・片手足を離したブリッジなどの念入りなストレッチと体作りを重ねて、彼は「やってない自分が悪いでしょ」とすっぱり言い切ってるのです。
ここまで言われたら反論の余地なんかありません。
山本由伸に比べたらちっぽけな私でさえ
「確かに、できることをすべてやりきった上でのことなら仕方ないと思える。」
「そもそもやるべき時をやり尽くした時は、イライラしてないなぁ…」
と、すごく納得できるものでした。
もちろん、より良い結果を生むにはトライ・アンド・エラーが必要で、無知の知に気づいて自分の実力や感覚をアップデートしていかないと生まれません。
さらに、運やタイミングも必要ですから、結果を出すことはとても大変です。
しかし、「イライラするかどうか」については、「やりきったかどうか」という準備の問題の方が大きいのです。やりきっていれば防げる・浮足立たないことはとても多いのです。
「結果とメンタルは別の問題」
…これは意外と気づかないことなので、成績とか肩書とか抜きに、山本由伸が本当にすごい人だと感じました。
プロ野球界では「投げる哲学者」と呼ばれているのは、今永昇太です。
私は山本由伸こそが、本当の「投げる哲学者」だと言いたくなっちゃいました。
あとは、それを野球観戦に照らし合わせて考えれば、自分がイライラした時と、しなかった時の違いは見えてきます。
「今年は、オリックスが負けててもイライラせずに済んでる」
「でも、2年前のオリックスには気が狂うほどイライラした」
この違いはなにか?
それは、野球中継に対しても、ファンとしての戦力分析・情報収集能力もあがったことで「期待」「心の置き場」を自分の中でコントロールできるようになったことです。
もちろん、「オリックスは優勝できるチームになった」という「自信」がいらいらを防ぐ事になってるところも「今」はあるでしょう。
前年優勝チームの余裕…それだって、途中までは心の支えになるけど、前年のように上がってこない場合は、期待し過ぎで怒りの材料に変わります。
1年中イライラしないで野球を見るなら、自分の期待と現実をすり合わせる能力が必要なんです。
優勝できると信じられるなら大いに期待したらいいし、優勝コースから外れる可能性が高くなったら個々の選手を応援する方に切り替えていく必要があるんです。
そのタイムリミットや基準を自分の中で持つのが野球中継でいう「準備」です。
それをやらないでイライラしてたら「やらない自分が悪い」と山本由伸にヘラヘラと言われてしまっても、仕方のないことです。
野球中継に限ったことではないです。
現実と期待をすり合わせるのは自分の仕事にも自己実現にも、社会に対して適切な状況把握・提言をする意味でもとても大事なことです。
山本由伸はそれを個人単位で使える方法を教えてくれて、野球中継は「自分にとって不確定なモノと付き合って行く方法」を教えてくれました。
その2つをあわせての
「強いメンタルの作り方は、野球観戦と山本由伸が教えてくれた」
なのです。