マンガ「正直不動産」を、発達障害が読むとホラーに見える!!

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内容自体はすごくコアな経済マンガ。
何しろ、原案が、あのクロサギで有名な夏原武が手がけている不動産マンガで、不動産についての色んなコラムや予備知識を学びながら楽しく読める作品に仕上がってる。

 

 

…ただ、「クロサギで有名な」というように、闇が深くて毒のある世界にスポットを当てる作風で手がけられているため、主人公も、かなりひどい性格をしてる。

 

あらすじ

敏腕営業マンの主人公は、涼しい顔で嘘をついて契約を取る典型的な不動産屋。
(※詐欺ではないので、悪徳とまでは言えないけど…業界の「典型的」がもう悪そのものだから…悪徳と言えば悪徳なのかも)

「こういうやつ大嫌い!!」
「酷い目に遭って、人から恨まれろ!!!」

ぐらいに思ってたら…主人公は、ちょっとしたきっかけで腹黒い本音がダダ漏れになってしまう。

嘘をつける人・人に合わせられる人のほうがいい人だと思ってる人が多いから言いたい!!

 

そういうやつが正直になったら、ホンマにグロいよ!?
ぼくは「余計なことを言わない」ぐらいのことは流石にできるけど、そういうのをおくびにも出さないガチの嘘つきは本音はグロいよ…腹の中は見えないと思ってる&本気で相手にしてないからそういう顔できるんだから。

 

…しかも、困ったことに「余計なことを言わない」という、ウソとホントの境目さえできなくなってるから、この主人公は本当に滅入ってしまう。

ここまで来ると「バカ正直」というやつですね。

 

追い詰められた主人公は「余計なことを言わない」を目指すところから、色々あって吹っ切れていく。

この「あくどければあくどいほど、儲かる仕組み」はマンガを読んでもらえばいい。

 

このレビューではちょっと違う切り口で語ってみたい。

 

まったくの偶然だが、これは発達障害者の処世術を描いたマンガになるかもしれない…。

まず、発達障害を持ってる人は、以下の理由で嘘をつくのが苦手だ。

マルチタスクが苦手→アドリブが効きにくい、表情や感情を切り分けてコントロールするのが苦手、ウソをついている時に会話と脳内が分離してしまうため自分で混乱してボロが出る。
独特の価値観・世界観・興味を持ってる→独特すぎて「ウソの塩梅」がわからない、ウソをついたとしても相手と噛み合わず乗ってこない可能性も…。
不注意と多動性→自分のウソに対して自分から色々考えすぎてボロが出てしまう。背徳感や相手が怒った時の反応などなど。

 

つまり、ウソをついたところで、突き通すだけの力がないし、嘘をつきながらマイナスに考えてしまうから、ウソが付けないのだ。

 

結果、バカ正直またはどうにか割り切って仕事をすることになるのだが…だから、発達障害持ちは営業職どころか社会人も向いてない。
そのため、発達障害を持つと、指示通り仕事をするフリーターか、言葉ではなく手に職をつける専門職(職人・研究者・アーティストなど)、あるいは雇われずに経営者になることで生き残る人が多い。

 

そういう意味では、大学3年生になったら悪平等に就活をして、詭弁を弄して内定を勝ち取る、頭を空っぽにしてマシーンの用にSPIを早く解く…この2つの能力は発達障害の人にとっては一番向いてないことのトップ2だ!!

だから、就職活動でうつになる人や、学歴があっても、勉強熱心でも内定が決まらないやつがいるわけ。

 

でも…もしだ!
もしも、そういうやつが最も向いてないであろう不動産屋に入ってしまったら…とりあえず雇ってすぐクビにするようなノリと勢いで回ってる不動産屋に迷い込んでしまったら…どうやって生き残るのだろう?

 

このマンガは偶然にもそういうテーマと向き合う作品にもなっている。
「不動産業のウソや闇にメスを入れる作品」というお題目だが…偶然にも「嘘をつけないバカ正直な人」「高い理想を追うあまり目の前の小さな嘘を付けないタイプの人はどうやって、社会で生き残っていけばいいのだろう?」という、発達障害を持ってて社会からドロップアウトした人がぶち当たった壁にスポットが当たっている!!

 

そう考えると、突然嘘がつけなくなった主人公は「突然、発達障害のようになった」とも言えるし、それが発覚した状態で他人と戦うのはすごく難しいと思う。

そういう意味では嘘をつきまくってる人がナンバーワン営業マンである不動産業は発達障害の人にとって存在自体が脅威だし、嘘がつけないことで怒られるのは自分達のよく知る恐怖だ。

 

結局、どっちに転んでも怖くて怖くてしょうがないことと向き合うしかないので、発達障害持ちのぼくがこのマンガを読んだ最初の感想は

「ホラーだ!!どっちに転んでも怖い!!」

というものだった。

 

でも、嘘をつかないで生きていくことも、不動産屋さんも人生で避けられない相手だから「怖いけど直視しないといけない現実」を生々しく書いてくれてる嬉しい作品でもある…と感じた。

まだ1巻だから、強烈な印象しかなく、憎らしいほど気になるところで1巻が終わってしまったので、こんな感想しか書けない。でも、2巻以降のストーリーや具体的な克服方法はすごく楽しみだ!!

 

 

 

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これが「目」で語る戦いだ
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