「同人誌の話」もついに第三弾。…と言っても、第二弾「スターストリングスより」でお世話になった「つくしあきひと」さんにもう一回「千年墓所の守り人の表紙絵を使っていい?」と聞いたら、「もちろんです!」と言われたので、つくしさんの作品をやることにしました。
ジャンルとしては「短めの小説」というか…「長めの絵本」と言うのか…そんな感じです。僕の言いたいことは「遅めの朝飯、早めの昼飯」という感覚だと思ってもらえれば結構です。(わかるかな?この言い分)
…私は前評判も何も聞いてません。表紙と値段を見て「買う」って言っただけです。「吸引力の変わらないただひとつの表紙」です。
お品書き
- 感覚に訴えかけてくるストーリー
- 圧倒的、デザイン力!
- なちゅらるえろす!
- 言語化しにくい良さを持った作品。
…はい。前回の「スターストリングスより」もそうだったのですが、ストーリーの初見の感想を言いづらい作品なのです。
これは「つまんないから」ではなく、「作品の良さをピンポイントに伝えられる言葉がない」からです。面白い・深い・綺麗にまとまってる…簡単に言おうと思えば言えるのですが、そんなことを書くぐらいならこんな企画やりませんよ。
…と強がってみたものの、やっぱりこの作品に会った明確な言葉をつかめずにいる。
「初めてなのに懐かしい感じ」「シナリオ全体に漂う、疑問や詳細設定を気にせずにスラスラと読んでいける世界観」「読んだあとに抜けていく余韻」などの感覚をうまく表現したいのですが、そこが伝わらない。
前回の「スターストリングスより」ならば、そこを避けて「ストーリーの根幹」を触ることで、面白さを訴えることができたが、今回の場合はそういう話ではない。根幹に貫くテーマよりも、「空間」を描いた作品だから、テーマ性について熱く語ると、作品のイメージを歪めてしまう。
テーマ性の話をするならば、『僕らの周りには「信じられないこと」がわりと「普通そうな顔をして」起こる。それが、全くの無関係のようで繋がっていたり、巻き込まれたりするのだが、それ自体が思わぬ福音をもたらすこともある。』という話になるんだろうね。
昨日の記事が【日頃の行いが良い人はみんなに支援してもらえる】というテーマだったが、この話はまさにそういう話だ。
好意と好意、偶然と偶然が重なり合ってる。人間はビビリだから、そういう幸運よりもリスクを気にして、他人や変化を危険視する傾向があるけど、そうじゃない。臆病で偽善に走るような悪い部分ももちろんあるんだけど、良いこと、良い人を応援したいと言う気持ちや人に役に立ちたい気持ちだってある。
この話では「縁」、僕らの生活ならば「世間様に見られていること」がそう言った良いものとの出会いを生み出している。その縁を結びつけるものって僕は必死さだと思うのですが、この作品とはその点で共鳴できるように思う。というのも、双方が捜し物・探し人をしていたキャラクターが巡り会ったことで半歩前進する話だからです。…感動のシーンがさいごの1ページに凝縮されているからそれを言えないことがすごくもどかしいですけど、ジーンと来るいい話なんです。
- 圧倒的なデザイン力。
僕が良さを説明しにくい理由の一つに、世界観がユニークすぎることとデザインがあまりにも奇抜すぎる事の2つが複合して文章に落とし込まれていることにあると思う。(だから、読んで欲しくてこれを書いてる!!)
前回も褒め称えた事だが、この人の画力は桁違いだ!少女ばかり書いているイメージがあったが、動物やオッサン、それにロボット(モドキ)や、巨大な粘液の動物まですごいスケールで書いてしまう。
これをいちいち画像を出して説明してしまえば楽しみを奪うことになってしまうし、だからといって、デザインされたそれがないと説明しにくい内容でもあるため、非常にこの作品の表現には手を焼く。
やった人にしかわからない快感って世の中には沢山あると思う。ちょうどいい塩梅での飲酒、ものすごい量の共感をネットでもらうこと、動けなるまで運動した時の達成感と体の透き通った感覚。
この作品の最もいい所はそういうところにある!文章だけでは良さを説明しにくいと言った理由は文章と絵を噛み合わせたときに初めて「ああ!そうなのか!!」とか、「こんなにかけるのかよ!!」とか言いながら絵と文章を照合していくのがこの本の楽しさである。(だから、あらすじも書けないし、絵も載せられない。)
絵だけでは断片的かつ、イメージが全然違うし、文だけでは創作された固有名詞の意味がつかみづらい。それを相互に補完し合って、この作品になっている。
コーヒーと砂糖のような関係性というのか、プリンとキャラメルソースの関係というのか…あまりにもユニークなジャンルゆえに読んだ人にしか味わえない絶妙な楽しみがある。
こういうジャンル、こういう表現があるのか!!そう思って、この同人誌を紹介させていただく。
- 上品なエロ
この同人誌を語る上で、数少ない「はっきりとしたこと」を言いたいと思います。
胸見せとパンチラのシーンがあるのですが…こういうシーンを描くときにさりげなく描いてくれる作品が少なくなった。あくまでワンシーンに過ぎない萌え・エロを強調する作品が多い中で、この作品はエロなのに、エロとして扱わずにサラッと流すように書いてしまう。
私は童顔好きというか、ロリ好きだが、それはエロいからじゃなくて、「かわいい」からだ。そして、その感覚を忠実に再現してくれているつくしあきひとさんは偉いとつくづく思った。(※スターストリングスよりには全裸のシーンが出てくるのだが、それもサラリと2コマほど流すように入れているだけ。)
いつでも女性の裸に発情するほど男って単細胞でもないし、エロけりゃいいってもんでもない。(エロい人であることは認めるけどね)
かわいいにも色々あるのだが、アニメなど多くの人が見る媒体では「ね、可愛いでしょ!」と言いたげな可愛さばかりが先行していて、ストーリー上の自然な動きから「このコマ良い!」と言うものを探させてくれるだけの自由度がない。(ちなみに、「千年墓所の守り人」ならロッカ(表紙画像の女の子)が自分の体よりも大きな鍵を持ち上げるカットが好き。躍動感がすごくて、前後の動きが予想できるような【重さ】がある静止画だと思う。「スターストリングスより」ならコロロの泣き顔がすごく可愛い。…犯罪的に可愛い!壊れちゃいそうなもろさの表情って必死にならないとできないんだよなぁ…)
「千年墓所の守り人」は感想書くには非常に難しい作品だけど、鑑賞する人には非常に自由な作品です。デザインも多彩ですし、文章を読んでいるときの感覚も説明されていない部分があるからこそ、考える余地がある。しかし、まとまった結論も出ている。
…考えれば考えるほどすごい本であると同時に、その説明がしにくい本だ。(読者さん、作者さんごめんなさい)
■加筆
つくしあきひとさん本人が読んで感想の疑問の部分を解説をしてくださったので、そこを加筆させてください。
つくしさんいわくこの物語は「絵」を先に書いて、その空想を「文」で繋ぎ合わせたものだそうです。
僕が「文筆家の組み立て方じゃない、説明しにくいもの」だと思った理由は、文章を書く人特有のプロセス(プロットを書くとか、キャラの性格をかっちり設定する)と言った事よりも世界観が先行していることにあったためのようです。
あれだけの絵がかけるからこそこの本が作れた…と言うわけですね。
画像の拝借元
ピクシブにあったものを許可を取って使わせてもらいました。ありがとうございました。

…読んで欲しい読んで欲しいと連呼したのですが、中古も委託もぼくは見つけられなかったので、今回は貼ることができません。ごめんなさいm(_ _)m