『同人誌の話』アニメ見ててもいいよ thun2

「同人誌の話」の第四弾は初めて評論作品にしたいと思います。thun2さんというブロガー歴5年の方が「アニメ見ててもいいよ」という同人誌を出され、その方に「やってもいい?」と直接ブログの下にコメントを打ったら「やっていいよ」と言われたので、やらせていただきます。

記事の内容

  1. タイプは違えど、熱いオタク
  2. 魅力は圧倒的な情報量
  3. 「批評してくれ」と言われたから…

  • 熱くないオタクなんて、オタクじゃない!!

日本語の崩壊が著しいこのご時世だから言わせてもらうが、「ヌルオタ」って何だ?僕はアニメ見るときに自分が見た作品には評価に問わず、なぜそうなのかを永延と話せるぐらいに真面目に観るが、そういう熱いオタクが周りにいなくて寂しい。

心の底から面白いものを探して、「好きだーーーー!!」と学校の屋上や、海に向かって叫ぶような感覚でオタクをやっている人に会ってみたいと思うし、自分でもそうなりたい願望がある。

結論から言えば、筆者はそういう人だと僕には思えます。筆者がブロガー歴が長くても、こっちもコラムやエッセイ、短編小説などを友達に出してきたのは7年前からだ。書きまくり、読みまくりの日々を送ってきたからこそ、作者が如何にアニメに没頭してきたかがよくわかる。(ある段階で書き手の心境と性格が手に取るように分かる段階がある。)

「好きなものを好きと「だけ」言えている内」は半人前だ!それはどんなものでもそう。

僕がほかの人に語れる(と思う)分野の最たるものは漫画と文章だが、この2つもやっていて「困ること」が出てくる。文章であれば、言葉選びが楽しい半面でめんどくさいし、漫画だと自分の部屋に入らなくなっていく。
何よりも厄介なのは深みに入れば必ず自分とは相反する連中に出会ってしまうということ。

筆者の書きぶりはその「深み」に入った人の書き方だった。読み手の受けた方・反論を先読みして説明したり、言い方を和らげたりしながら、自分の意見を言うところへうまく落とし込んでいた。

また、「好き」なだけでなく、VHSが貯まったことへの悩み、情報収集への悩みなども「やり込んだ人」ならではの葛藤を持ったオタクだった。

  • 褒め言葉としての「バカ」

そういう熱いオタクでかつ、ブログも同人誌も一貫してアニメバカです。私のように政治も経済も語る「コラムのテーマがたまたまアニメ」という訳ではなく、本当にアニメ一筋でやっている人です。

そして、アニメに特化したブログをやっているため、アニメに関する知識・情報収集・派生した情報網には僕のように「ながら」でアニメを語っている人間とは全然違う。出典の書籍、雑誌、情報網は多岐にわたり、私のように「見たままアニメを語ればいい」という人とは全然違うスタイルの持ち主だ。

語られている内容も「情報収集」はもちろんのこと、「言葉」「消費者心理」「ビジネスモデル」など、制作者から、ネット民から、一消費者からと様々な目線に立って、濃厚な議論を展開している。

およそ、90ページにわたって、個別なアニメの話からコラムまでガッツリと書かれた力作である。力作ゆえに読むのが大変で、作者に許可を取ってから一週間ほど読むのに時間をかけてしまった。

「同じブロガーとして、舐めたこと書いたら僕の信用に関わるし、作者に風評被害を及ぼす。」

「自分ルール」というか「強迫観念」と言うか…そういう気持ちに支配されながら、僕はかかせてもらいました。プレッシャーを楽しめる程度にはマゾなので、非常にこの本には楽しませてもらった。内容に共感しただけではなく、情熱をもらえたし、何よりも僕もアニメやネットで起っている諸問題について考えさせられた。

住んでいるエリアが一緒なら飲みに行って、朝まで語り明かしたいほどの「オタク」なんだけど…どうもエリアが違うらしい。

  • 早速、本誌への批評に取り掛かってみませんか?(p83)

作者は僕以上のドマゾらしく、僕をサドにかりたてるような台詞を同人誌に書いていった。
そういうわけで、こっからは作者に向けて、「ここはこうしたほうがいいんじゃね?」と思うところを独断と偏見で言わせてもらいます。

まず、気になったのは文章ですね。作者のビビリだったり、守りの姿勢が非常に読みにくくしてる。(特に最初の方がそうで、これが読むのに時間が掛かった原因。作者自身、緊張がほぐれたのか、後半は読みやすい普通の文章に戻りつつあったが、それでも自分の発言への絡みを先読みした記述は全般的に多い。)

アニメも意見の対立がひどい分野だが、アニメよりも血みどろになる「政治」という分野にすら踏み込む私に言わせてもらうと、あんまり固めてしまうと読者が考えるスキマがないからやりすぎないほうがいい。

人間なんだから、自分の考え方を言って、敢えて「いや、こうだよ!」と議論を起こすシーンがあっても良いと思う。いや、むしろ評論して基準を示す以上はその反対意見・代替案が出てくるような議論を興してこその評論だと思うのですが、かっちりと固まりすぎて反論はおろか、思考の余地がなく「ああ、そうなんだなぁ…」と迫力に押されちゃうような書き方になっていた感じがした。

書き物のスタイルはそれぞれだと思うのですが、僕はその方法でモノを書くと自らの自信のなさと葛藤する結果になると思う。(自信がある場合でも相手の手をふさいでしまう「抑圧」になってしまう。)

そこらへんのさじ加減をもっと考えると読みやすさが増すのではないでは?

次に、意見の対立の話ですが…2chのまとめブログを読んでいるプロデューサーの話を挙げて「アニメが大衆迎合する時代が来るのでは?」という事を言ってたが…もう、来ている。

というのも、テレビ局や広告代理店は組織が大きい以上はやたらと前例主義・マーケティング主義に偏って圧力をかけたり、企画をねじ曲げたりしていると思う。いや、それがないと説明がつかないような原作レイプ・謎の改変が相次いでると思わざるを得ないシーンをちらほら見かける。

最近では「僕は友達が少ない」(以下、はがない)のアニメ版がそうで、原作厨がアニメを作れば1〜3巻を忠実に、下ネタを省きながらアニメ化するはず。そして、柏崎星奈(以下、肉)はヒロインの一人であって、ストーリーを動かすメインキャラは志熊理科・三日月夜空であるはずだが、それを無視して人気者の肉の出番が極端に増えている。増えているだけならまだしも、夜空への印象が悪くなるシリアスなシーンを強引に挟んでいる。

これは同じTBS系アニメ「けいおん!」にも本来存在しなかったシリアスシーンを挟まれるなどの改変があったと聞く。
はがないは思い入れがあって、7巻までみっちりと読んで、語って、SSまで書いたからどういう心理でその作品を見たらあれ(アニメ)ができたか、ファンが怒っているかは痛いほどわかる。そして、僕も実は当事者だったりする。

ただし、アンチに関する記述のところは僕も同意していて、0か100かではない「ここは好きだけど…」という人は必要だと思う。また、僕自身がその曖昧さを表現したいと望む。同意した上で言いたい事は「制作サイドが大衆迎合に傾くことを前提として、ネット民に代案を提示することを勧めればよかったのでは?」と思った。

最後に1つ。これは反論ではなく、質問を。アニメが広告代理店を介さずに儲ける方法として『「聖地」と連携する』という発想はダメかなぁ?自治体だったり、地元の商工会議所・商店街などなどが「PRのために作ってくれ!こんだけ出すから!」というやり方をして、作中で町中を背景なり、食べ物なりを出して宣伝してしまう。(花咲くいろは・らき☆すたなどに該当する作品を町側が主導して作ってしまう。これは街じゃなくても、企業でもいいし、お題を出して自主制作アニメのコンテストをやってもいい。そういう盛り立て方があっても面白いと最近考えているが、これってどうなんですかね?)

映像作品の宣伝効果は大河ドラマ「平清盛」に兵庫県知事が発言したこと、らき☆すたを中心とした聖地ブームなどで明らかになっていると思う。これを逆に「作ってもらう」側から「作品そのものを宣伝」にしちゃうのは邪道ですかね?…面白くないと宣伝にならない以上は面白い企画が上がってくる良い入口だと思うのですが…

■加筆
聖地巡礼について、質問したところ、本人から回答がもらえたので、その話を少しします。

曰く、本編そのものが「宣伝」になってしまうような手法を取ると、アニメが例え面白くても、潔癖性で流されやすいオタクという人種がそのアニメを純粋(ピュア)な気持ちで見られるかというと疑問符が付くため、私の言ったプランでは作り手側としてはアリかもしれないけど、消費者はそれが一般化(定量作られる状態になる)とそれを色眼鏡で見てしまう可能性が大いにあると言う。

俗論や流行に惑わされないしっかりと思考力をお持ちのようで…。いや〜同人誌紹介して、Twitterで絡む機会を持てて良かった。

・作者紹介
僕と同じはてなダイアリーのブログ「アニメ見ててもいいよ」の管理人『thun2』さんがこの同人誌をお書きになりました。

ブログではアニメを1話単位で細かく、多数のアニメを語るため、パッと見ただけでも「手間暇かかっているなぁ…」という感想を抱く次第です。(僕の3倍はてブ数を持ってるので、記事の質は言うまでもないでしょう…。)

ブログ「隠れててもいいよ」
https://d.hatena.ne.jp/thun2/

・関連記事
僕が過去にやった「同人誌の話」を最後に貼って終わりにします。
・第一弾 オハナツミ 柊正
https://d.hatena.ne.jp/TM2501/20120108/1325992768

・第二弾 スターストリングスより つくしあきひと
https://d.hatena.ne.jp/TM2501/20120112/1326373824

・第三弾 千年墓所の守り人 つくしあきひと
https://d.hatena.ne.jp/TM2501/20120115/1326637348

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