今でこそ私は「はてなの人」か「ヘビーなツイッターユーザー」だと思われているが、…元々はmixiでネットを覚え、mixiからネットにのめり込んだ。
(当時は招待制なので)友人からの誘いでmixiを始め、それがきっかけでmixiにのめり込むことになった思い出深いサイトである。
そのmixiがこんなことに…。
ミクシィ、通期で赤字転落へ mixiゲーム課金不振で売り上げ大幅減
そして、復活するもそれは僕の知る「SNS」のmixiではなくなってた。
「モンスト」大ヒットでミクシィの売上778%増 「復活劇」は今後も続くか?
過去最高益に反転できたが、かつての面影はなくmixiはゲーム屋に転身していた。なぜ、SNS屋として陥落してしまったかを振り返っておきたい。
mixiはたくさん機能があるが、欲しい機能がない場所
多くの大手SNSに言えることだが、mixiもサービス自体はすごく多い。
例えば、このブログがある「はてな」もあの「ニコニコ」も色々なサービスがある。だが、その会社の「看板」であるよく使われるサービスは限られる。
はてなで言えば「はてなブログ(ダイアリー)」と「はてなブックマーク」がメイン。ニコニコはニュース配信・イラスト投稿サービスもあるが、強いのは動画と生放送。
イラストは未だにpixivが健在だし、ニュース配信はニコニコをしてる人しか見ない。でも「コメントが流れる動画(生放送)サイト」としての存在感の方が強い。
多角化してサービスを増やすSNS・Webサービスが増えて見えづらくなりがちだが、そのサイト名物のサービスがあることが重要なのだ!
名物サービスがあるから他の良いサービスを生む起爆剤になる。
ところがだ!SNSとしてのmixiの主力はなに?これがないんだ!
か、かつてはあったよ?mixi日記と足跡機能という2つの機能がセットで主力だったが…運営自ら足跡機能を切ってしまった。(今は復活したが、手遅れになった。当時、ユーザーの嘆願運動にまで発展したにも関わらず、ことごとくユーザー無視の改悪に走り見捨てられた)
考えてみ?足跡機能のないmixiなんか、重たいFacebookだよ!
実際、当時はmixiと似た機能が充実したFacebookと、mixiより手軽に人とつながれるツイッターへユーザーが大移動が発生した。(かくいう私もはてなへ軸足を移した)
しかも、皮肉なことに当時のmixiはFacebookやツイッター をまねてつぶやき機能や同級生との繋がるためのサービスを推進した。これがmixiの没個性化、サイト自体が重くて使いにくくなる原因となり、mixiは自らユーザーの大量流出を招いた。
サービスは揃っているが、どれもこれも二番煎じ。「mixiのこのサービスが良い・このサービスが新しい」と言われるモノが消えて、今では関心さえ持たれなくなった。
まるで「末期の大型小売店」だ。店舗がだだっ広いから品揃えは良い。が、「欲しいもの」がない。あっても、目につくような工夫も見つけるお客もない。
あるいは「ガラガラのラーメン屋」。トッピングも充実。醤油・味噌・塩が全部食べられるが…全部不味い!しかも、価格と店員の態度は名店顔負けだから避けたくなる。
mixiは「友達の友達とつながれる場所」だった
mixiがなぜヒットしていたか?それはmixiが他のサービスより他人と出会いの場として優秀だったからにほかならない!
「友達の友達」または「同じ趣味の人達」とつながるのに絶好の場だった。
mixiのアカウント同士で相手のアドレス知らなくてもメールができ、コミュニティを通じてオフ会も開ける。さらにmixiニュースやコミュニティを通じて興味や趣味、言動が近い人同士で知り合える。
僕自身実際に友達もできた。色んな交友関係を維持するのにmixiは役に立った。
…でも、人間関係はこじれる。mixiの独自機能として「最後にログインした時間」が表示される。密な連絡には便利だが、友人・恋人をストーキングするためのツールとしても優秀で、悪用する人が後を絶たなかった。(僕の知り合いにもやってた人いた)
おまけに、出会いツールとしての優秀さを悪用され、犯罪にも活用された。具体的に言えば、違法な集まり・出会い系や援助交際目的での使用された。
悪意がある人がmixiを利用すると、便利でつながりやすいツールは「タチの悪い出会い系ツール」と化す。
本来のmixiは招待制の時期は居心地がよく、犯罪に利用する人もごく一部だった。もちろん、招待制でも情報の流出も悪質なユーザーも少なからずいた。
ところが、招待制をやめてしまうと悪用するユーザーは増え、やり口も露骨になった。オフ会を仕切る人が業者みたいな人が増え、彼らから謎の営業メールがmixiの出会いやすさを悪用するユーザーから来た。これもユーザー流出に一役買ってしまった。
とどめになったのは足跡機能の廃止だ。
足跡機能があったからよく日記を見に来る人とつながることができ、時には悪質なユーザーをブロックすることもできた。足あと機能の廃止は1サービスの終わりではなく、mixi自体の「居心地の良さ、繋がりの良さ」にも終止符を打ってしまった。
昔のmixiに戻るだけじゃ手遅れ
今のmixiはかつての古き良かった時のmixiと同じぐらいの機能まで戻った。しかし、SNSとして復活できてない。その理由を1つの図をで表してみた。
やっつけ仕事で主要なウェブサービスを2つの軸で位置をまとめた図だ。横軸はサイトを使う目的意識。縦軸はサイトを利用した人がどこまで情報をオープンにできるか…。
横軸は会話や内輪話に優れたサイトを「右側」の方へ、情報収集に優れたサイトを「左側」に集めた。
縦軸開放的・閉鎖的は、自分出した情報が見られる範囲。
ツイッターやはてな、2ちゃんねるはログインしなくても他人が発言が見られるが、Facebook・mixi・skypeの場合は要ログイン・要友達申請。
その中で若干微調整してある。
例えば、Facebookは原則実名を晒すので「閉鎖的」な中ではオープン寄り。
mixiは情報を見られないように制限できるが、skypeみたく内輪で使うには使い勝手も良くない。
昔のmixiの立ち位置を取り戻しても「身内でつながる(閉鎖的で、コミュニケーションに優れた)サービス」にはskypeやLineがいる。(しかもLineが爆発的に普及済)
だから、mixiが「招待制・日記と足跡とオフ会でつながるサイト」として復活してもmixiがかつて担った位置を(さらに特化させて)Lineが担い、しかもシェアも獲得している。だから、機能を戻してもかつてのような栄華は戻って来ない。
他の路線も厳しい
一時期、mixiはFacebookやモバゲーを目指していた時期もあったが…真似だけになりがち。 自分達で、新しいmixiの定番を作って、mixiを利用する立ち位置を作らないとどうしようもないのに、Lineの真似みたいな機能を始めちゃってるからなぁ…。
参考資料:マイミク同士でリアルタイムメッセージ「mixiトーク」 iPhoneアプリ登場
ユーザーは「昔のサイトに戻せ」といい、運営側は「ほかのサイトの真似をしました」で言葉のドッヂボール状態。
双方部分的には正しいが、間違ってる。
なんだかんだで色んなサイトの真似ができるんだから技術力も、人材を雇い入ったり、サービスを買い取る資金力はあるはず。でも、お金を持っては儲かりもしない二番煎じしか作らないから、あまり期待できないのよね…。機能を戻すこと自体は英断だと思うけど。
皮肉だなぁ… 「私的な繋がりやすさが売りだったのに出会い系・イベント系業者の大量流入でユーザーが大量流出した」という話をした直後に、mixi自体がmixiブランドを使って出会いのイベントを宣伝するようになっていることを知ってしまうとは…。
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この記事のTogetter議論版。フォロワーさんとの議論などでやや補足されてる。
モンスターストライクをやりながら「ストライクさせたいのはテメーのモンスターじゃねーの?」と思った話
mixi復活のきっかけとなったゲーム。友達いないと楽しむのがむずい!
「僕が見てきたネット史」繋がり。facebookからネット始めた人は空気が違う。