まずは、ネタバレのない範囲で感想から。
Q、面白かった?
まどマギ?すごいよね、序盤・中盤・終盤スキがないと思うよ。
でも、彼女達は負けないよ!
ま、魔法少女が躍動する姿を皆さんにも見て欲しいね。
(※元ネタ 将棋界のスーパースターSHINYA! ‐ ニコニコ動画:GINZA)
Q、テレビ版まどマギを見てなくても大丈夫?
いや、テレビ版を見ないと肝心なシーンの意味も、エンディングの意味もわかんない。だから、まどマギのテレビ版を見た人にはオススメでする反面で、まどマギを見てない人には「テレビ版見ないと楽しめないよ」と一言断っておくべき
Q、まだ見てない人のために、見所をすこーしだけ教えてください。
見に行けば、視聴者の願った「アレ」が叶います。「あ~んなこと」や「こ~んなこと」もしてるが、やはり「アレ」が一番みんなの望んでたことなんじゃない?
本編見てる人なら誰もが一度は考えそうな「アレ」です。
(※ここからはネタバレ注意です。まだ見てない人はお帰りください。)
もういない?はじめるよ。
人はなぜ、劇場版アニメなんか見に行くのか?
結論から…いや、その前にネタバレをしてもいい空間だから、先に大声で言いたいことを言わせてください!!
メシウマすぎる!!ほむらちゃんがQBに「倍返し」してくれたのが何よりもメシウマ!あのエンドだけでもDVD買って見返す価値がある!
…うん、真面目にやる。
劇場版アニメは成功と失敗が大きく別れるが、この「叛逆の物語」についてはすごく成功した作品になるだろう。作り手が成功するためによくリサーチをしてる。
大きく分けて劇場版アニメに期待するものは3つに分かれていて、その全部をやってのけたのが「叛逆の物語」のすごいところだ。
1、作画/デザインなどの本編中に出てきた「絵」のパワーアップ
(大人の事情だけど)予算も製作時間も違うんだから、どの劇場版だってパワーアップしてる!してない劇場版があったら「金返せ!」になっちゃうからしてない劇場版を言う方が難しい。
問題はそれが視聴者に伝わるかどうかの問題だ!
白々しいほどそればかりを押してくる劇場版もあれば、シナリオや普段の演出を重視するあまりパワーアップがわかりにくい劇場版もある。
まどマギはその点で優秀だった。テレビからDVDになる時にも背景がパワーアップしてることが話題になっていたが、映画では背景はもちろん魔法少女の衣装にもパワーアップが施されていたのが素晴らしかった。(ほむらちゃんだけで、何個衣装があるのさ…)
2、本編できなかった王道カプ/ファン待望カプの実現!
まどマギの不思議なところは「魔法少女全員のデザインがあるのに、全員で戦ってるシーンがテレビ版ではほとんど写ってない」ことだった。(敢えて描かなかったせいで、二次創作では本編中では一緒になれなかった魔法少女同士がきゃっきゃうふふしてるイラストがそこらじゅうにあふれる結果になった)
が、これが映画版では実現する!それも二次創作で話題だった組み合わせ同士が仲良くベタベタと夫婦漫才を繰り広げるというめっちゃ楽しげな中身になる!
これを目当てに劇場版を見に来る人も多いだろうから、前半部の作風についてはあれはあれで満足だったんだろうなぁ…と思う。
ただね…虚淵玄作品だと僕を含めた全員が理解した上で見てるだろ?ダークな作品を作ることに定評のある虚淵作品だと知ってると…本来なら喜ばしい「まどほむカプ」も「幸せなマミさん」も全部が全部、「崩れるモノ」として見ちゃうから、僕個人としてはかえって辛かった。
ほら、ジェットコースターの「ゴトゴトゴトゴト」と登っていく状態や、お化け屋敷の肌寒く「ひゅーどろどろ」とか聞こえるあの始まりとか…ああいうところで出てくるとすごい辛いものがある。
僕が繊細すぎるのかな?萌えに対して興味がなくてドライに映画を観すぎてるのかな?「上げて落とすんでしょ?」と頭の中で割り切りながら見てる自分からしたら最初の30分はマジで辛かった。ちなみに、僕の中で辛さがピークに達して劇場出ようか考えたのが「魔法少女へのくどい変身シーン~ナイトメアを退治してみんなで歌を歌うシーン」だったけど、皆さんはどう思っただろうか?
演出だと割り切って見てた僕がひねくれているのだが、あのシーンは冗談抜きでヘドが出そうだった、
その代わりに、面白かったのは「マミさんVSほむほむの戦闘シーン」以降。あそこの戦闘シーンはなんやかんやで夢の対決だったわけだし、「さやかに負けるほむら」なんて想像だにしない展開は本当に胸が熱くなる名勝負だった。
名勝負からいつもの流れ(絶望的な展開)で…その後はすごく面白かった。
でも、キャラ崩壊してるようにさえ見えるほど「ハイスペックなさやか」が「普通のさやかちゃん」に戻っちゃった時にはかなり安心した。杏子ファンなんだけど、圧倒的に「杏子×ほむら」派なので転換点があの二人だったのも俺得だった。
いい意味で裏切るのは「王道」があってこそ!
自分が好きな劇場版アニメを思い浮かべた。共通しているのはテレビ版とは違うこと/変わったことをしても「最後はみんなが望んだエンディングへ帰ってきてくれる」のが劇場版アニメの醍醐味だと考えている。
「劇場版こそが真の最終回で、もう1つの第一話だ!」
と「叛逆の物語」で感じた。
この映画の最も深く、そして劇場にみんながアニメを見に来る理由は「その作品をどうして自分が好きだったかを思い出させてくれる」ためだ。新しいもの見たさで見る「完全新作」の映画とテレビ版からの「映画化」の違いはそこにある。新作は新しいもの見たさだけど、映画化は「新しい形で、リアルタイムで見た思い出が見たい」ところが大きく違う。
「叛逆の物語」はその「新しい形」の表現と「リアルタイムで思い出」をちゃんと拾って劇場版として盛り上がるようにしたところが素晴らしい。「思い出」に関するところは劇中のセリフやストーリー展開にも大きく反映し、テレビ版を見ているかどうかで受け止め方が大きく変わっていただろう。
新しい衣装・デザイン・カップリング・戦闘シーン…たしかにあれば嬉しいし、ないとがっかりする。でも本当に見たいのは感動した思い出とか、みんなで盛り上がったあの時間だ。
「叛逆の物語」で本当の意味でまどマギを見終わったような気もする。でも、テレビ放送を見ていた時のような思い出せる興奮もそこにあって、「もう一回見たい・もっと見たい」という初めて見たような気持ちもよぎってくる。
その奥深さと本質を見事に切り取った映画だった。視聴者の考えていること/望んでいることをよく理解していなかったらあれほどのものは作れないだろうなぁ…。と考察するにあたって考えさせられた。
あと、本編に比べたら少し地味な話になるけど、劇場内での注意事項・OP・EDなども凝ってて面白かった!
最初にも言ったけど「序盤中盤終盤スキがないと思う」よ!