フリーゲーム「武器に願いを」で無言の主人公に生きざまを見た!

フリーゲーム「武器に願いを」で無言の主人公に生きざまを見た!

 

週に一回のお楽しみ、「週刊フリーゲーム」のお時間がやってまいりました。

今回紹介するのは「武器に願いを」という武器屋さんを経営するゲームです。
今回は少し趣向を変えて作者様のページからそのままストーリーを引っ張ってこようかと思います。

ストーリー

物心がついた頃には
僕は武器に夢中だった
父の武器を造る姿を見て
僕もいつかはああなると
わくわく心が躍って
とにかく毎日が楽しかった
大人になり
父の指導を煙たく思うときもあったけど
武器を造る楽しさは
決して変わることがなかった

父が亡くなって半月
鍛冶場には誰もいなくなった
口数の少ない父とは
鍛冶以外で会話を交わすことがなかった
一人になって寂しいと思うが
涙が流れることは
これからもないだろう
冷たくなった鍛冶道具を手に
僕は武器を造り始めた

武器は語らない動かない
武器はあなたに全てを委ねる

作者サイトより

桜の街 世途紫都 【GAME】

武器を委ねることで世界と繋がる

「武器屋という日の当たらぬ題材をメインに据えた経営シュミレーションゲーム」だが…このゲームの大きな特徴は「武器を委ねた客達が出した結果がストーリーを薦めていく」こと。

基本的に*1…特に本編にあたる「魔王編」「人間編」では武器を売った後にいかにその武器と買った冒険者が魔王や相手国にダメージを与えたかが以下の画像のように示される。

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魔王編、人間編、そして番外とゲームがつながっていくけど、その時に常に武器を買った人の成果が出てくることがこのゲームの大きな特徴となっている。

ゲームで描かれているのは、武器屋の中と、町の人が集まる飲み屋的な場所だけ。
しかし、「経済活動をしていれば、自分は世界とつながっている」ということを感じさせてくれる作品。
同時に、「お金や生産活動をしてる限り、世界と無関係でいることができない」とも言えるわけだが…。

これは「武器屋」に限ったことじゃない。

例えば、戦争や地球の向こうの貧困・飢餓に無関係だと思っている人は多くいる。実感がわかないのもわかる。

しかし、我々の現実は海外の安い食品や油、安く原材料を買い叩かれたコーヒーや革製品に囲まれていて、貧困や搾取の構造にモノを買うことや過剰なサービスを要求することで大半の人は間接的とは言え、加担している。

このような現実のファクターをゲームの世界観に設けたことで、新鮮味と本気で考えさせられる要素が入り、深みのある作品になっている。

そして、社会構造や人間の業について考えさせられるようなフリーゲームはいくつかある。
例えば、世界中を旅するフリーゲーム「巡り廻る。」 では自分の経済活動がそれぞれの国に大きく影響するさまがよりゲームを進めていくにつれて鮮明になっていく。
それこそ、ゲーム内で各国の経済情勢を調整して戦争を恣意的に起こしたり、行商によって戦争を止めることも可能なほど、大きく世界と関わる形になってる。

そして、「武器に願いを」のすごいところは「武器屋」という業態を選ぶことで敢えて「自分と世界の距離感」を曖昧にしたことだ。

我々は頭では「世界と自分はモノやお金で繋がってる」とわかっていても、その事を実感することはとても少ない。
その少ない実感をも描きつつも、実際には世界と繋がってて、いいことにも悪いことにも加担してる…そういう感覚と実態の両方を行き来して描いている。

しかも、武器屋という題材を選んだことで、「繋がりがわかりやすようでキチッとわかっていない人達が多い」ことをも描いているから、本当に考え抜かれていると思う。

武器なんか戦わない人には必要がない。
怖いものだと誤解する人や、恐怖の象徴のように言う人だっている。

しかし、ギルドの仲間や武器によって命拾いする兵士には武器屋は英雄でもある。

何も語らない主人公の周りには彼を罵る人も、彼を賞賛・尊敬する人も寄ってきては人生に影響を及ぼしていく。

人間ドキュメンタリーのようなゲームだ。
決して説教臭く何かを押し付けるゲームではなく、寡黙な男が不器用に世界とつながりながら生きていく生き様を描いたゲームだ。

寡黙に武器を作っているようで、人の輪の中で必死に信念を貫こうとする主人公の姿は自分の人生や仕事、あるいはもっと私的な人間関係に悩むあなたを勇気づけてくれると信じている。

実際に、このレビューを書く前、僕は全然関係のないことで荒んだ気持ちだった。
しかし、このゲームについて考えていくうち、自分ががんばっていること、悩んでいることとダブル部分があって少し前向きになれた。
…そんな体験を多くの人にしてほしいと思う。

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ゲームゲームしてない、オシャレで落ち着いた雰囲気に安心する

クラシックを基調としたBGMに、特にスコアには結びつかないネコを飼い慣らすシステム、1日毎にギルドで進む少しだけ笑える会話…何でもかんでもゲームらしくせず、あくまでゴリゴリのゲーム性を追求しているのは「武器屋の経営」だけに絞ったスタイルがとても馴染みやすく、プレイしているその時に安心感があった。

ゲームとしては「武器を売る(売る→お会計→補充・店の掃除の繰り返し)→ギルドで買い出しやイベント進行→自宅鍛冶場で武器作成」というシンプルなゲームだが、シンプルな中に明確なテーマと工夫を設けて、ゲームとしてブレも隙もないゲームに仕上がってるところが素晴らしいと。

「クリアまでゲーム性に対してもシナリオに対してもほとんどストレスがなく楽しめること」が自分のやったフリーゲームの中では際立っていて、とても良かった。

派手さはないけど、脳みそを揺らしてくれる・脳裏に焼き付いていく。

そこが、とても気に入っているし、だからこそ魅力を伝えたくて書いている。

ルセッティア~アイテム屋さんのはじめ方~

武器屋ではないけど、 「RPG上の脇役を主役にしてみた」繋がり。

こちらはどちらかと言うと癒し系な雰囲気。

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*1:おまけ要素では自身の売上でゲームを切り上げる目安になるが、

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