夜中に眠れずにつぶやいたことが話題になった。
うつ病報道に言いたいのは「真人間になるための(処世術や社会復帰の)教育なんてものよりも、自分が何ができなくて、できない以上はどうやって生きていかないといけないか?をもっと考えるべきではないですか?」ということ。発達障害や深刻なトラウマを病気と併せて持ってる人に普通を強いるのは酷だ
— 三沢文也@やっぱりがんばれない (@tm2501) 2014, 2月 15
うつ病(躁うつ病)を取り上げてくれる自体は、各種報道機関に感謝している。
しかし、うつ病に関する報道は一番辛いこと、して欲しいこと、肝心な事が報じられない。患者の欲するところではなく、発症時の脳内に起こる変化の説明や企業や自治体の対策を紹介するばかりで、真に患者のためになっていない。
そこに、もどかしさを感じる。
そもそもうつ病は動けなくなるところから始まる
せっかちな人のために先に結論から。うつ病及び躁うつ病になって困ることたくさんあるが、敢えて優先順位をつけるなら次の通り。
うつ病(躁うつ病)患者が強く悩む3つのこと
1、診断されるまでの時間・治るまでの時間が他の病気とは比較にならないぐらい長い上に不確実。
これにより精神的・経済的にジリ貧に陥ってしまう。2、体が言うことを聞かない状況、寝込んでいなければならない状況に対して落ち着かなく、心細い。
また、少しでも体調が上向くと周囲からのプレッシャー/自身の強迫観念から無理をしがちで完全にうつ病を克服する前に体調の良い状態・悪い状態を行き来することが多い。3、うつ病には「完治」という概念はなく、いつ再発するかわからないため、治ってから社会復帰をしても無茶が利かない。
事情を配慮してくれる職場を探すのも難しく、融通してくれたとしても仕事でうつを患った人は性格や働き方を変えにくく、復帰に失敗したり再発することがしばしばある。
うつ病報道ではこの3つのことをほとんど触れてくれない。なのに、
「うつ病には納豆やレバー、マグロの赤身などが効きます」
「うつ病を改善するためには運動と、思考を変える訓練セミナーに出ましょう」
(企業人事)「うつ病対策のため社員とコミュニケーションをとるようにします」
とか言われても、患者じゃない人には辛さが伝わらず、患者はテレビで付け焼き刃の知識をつけた人達に振り回され…誰も幸せにならない。
なにしろ、本質からは脱線しているから。
過労から来る不摂生や精神的なひもじさ、
例え大企業にいてもやりたい事ややりがいが見えないことから生じる閉塞感、
予期せぬ身内の死や周囲とのミスマッチなど仕事以外の人間関係の悪化…
うつ病になる理由を色んな人に見聞きしてきたが…企業が取るうつ病対策は現実の患者とひどく乖離してる。
「上司が様子を見る・コミュニケーションを取る」ことはほぼ意味がない!
ヘタをすると悪化を招くような筋が悪い措置だ。それこそ、企業側が「対策はしたけど、ああなった。我々は悪くない」とアリバイづくりにも見えるほどの悪意であり、面倒臭がっている姿がまぶたに浮かぶ。
それを「うつ病対策だ」と報じられても、患者としては本当に悩んでいること、問題として捉えていることが伝わらず、憤る。憤る元気すらないから頭を抱えてうなだれてしまう。
だいたい、うつ病の症状の報じ方も大雑把だ。
「寝込んでしまう」などとよく報じられるが、眠れないし、集中力も沸かず何もできない中途半端な状態が続く人も多い。
体のバランスそのものがズレているため、睡眠はもちろん、食欲も過食と拒食を繰り返したり、性欲についても恐ろしくムラムラする時もあれば全く枯れている時もある。
体全体のバランスが0と100に触れてうまく調整できない状態が続くのが躁うつ病の特徴であり、うつ病の場合にもこういった「ムラが大きい状態」が続く。
とても良く似ているのだが、躁うつ病には「躁」と呼ばれるハイになっていて、能力・活力が高まる状態が一定期間続くことがあり、うつ病の場合にはそれがない。(その代わりうつ病の場合のほうがうつ状態が酷く、起きてから夕方まで動けないまま一日を終えてしまうような人も)
頭も動かない、食事も睡眠も不安定なので、とにかく予定が立たない。
報道では「体を動かせ」「セミナーにいけ」というが、そんなことできるようになるまでが大変なんだ。
特にセミナーなんか論外だ!
自分が一番ひどい時は半年ほど人の話を聴き続けていることができなかった。
たとえお酒の席・喫茶店などリラックスできる友人との会話でさえ、3時間話していると頭が痛くて疲れ果て、だらけた姿勢になってしまう。
最悪な時は小学校レベルの筆算で頭痛がした。
運動も外にでることそのものが苦痛だった時期があった。
一番ひどかったのは「散歩も兼ねて電車で遠出しよう」と思い、徒歩10分そこらで駅まで行った所、駅についた途端に「帰りたい!」と駅の前で一人嘆き始めたことがある。
あの時は我ながら「病気だ」と思ったが、当時は大真面目にマイナス思考が折り重なり、小さなことで疲れていた。
自分の中で小さいノルマを少しづつ課しながら、「勉強したい」「外に行きたい」「働きたい」と自発的に感じる自分を作る。
それだけで半年ぐらい費やしたから、うつ病で本当に苦しんでいる人・一番辛い人の立場で言えば簡単に「外に出よう、セミナーに行こう」なんて言わないで欲しい。…切実に。
一番苦しい時は放っておいてもらわないと治したくとも、治せない。本人が一番働きたい、遊びにも行きたい…でも、それができないことをまずは察して欲しい。
理解のある人にしか会わない環境が作れたから僕は復帰に専念しているが、そうでない患者は人間関係や理解がない人とのやりとりでもみくちゃになって大変な思いをしてる。そのことが言いたくて言いたくてたまらない!
うつのことをもっとうつじゃない人にも学んで欲しいよ。
自動車なんかでもそうでしょ?歩行者が危ない飛び出し方したり、酷いところでタクシー止めさせたりしたら、ドライバーがいくら気をつけてても危ないんだよ…。
うつも同じ。一緒に働くなら、誰かに管理されるほど身を委ねる状況なら学んで欲しい。でないと、怖くて怖くて…。