キルラキルを全部見終わったので、今石作品ファンとして感想語ってみたい。

ガイナックスとかトリガーとか使い分けるのがめんどくさいので、「そもそも今石洋之監督が主要スタッフとして自分の作風を丸出しにして作った作品が大好きだ」という立場で、話をしてみたい。

DVD特典の話は最後に数行触れただけで、基本的な内容としては、キルラキルを「グレンラガン」とか呼ばれるのが癪にさわる キルラキルを「グレンラガン」とか呼ばれるのが癪にさわる - とある青二才の斜方前進というキルラキル放送時に書いた記事の続きとおさらいであり、テレビでやってた部分の話がほとんどだ。

今石洋之作品が好きがひたすら「お前達は何もわかってない。」とキルラキルファンから差し伸べられた握手の手をはじき、罵りに来た人にも「お前は何もわかってない」と見下すだけの記事だ。

それでもいい人はどうぞ。

 期待通りのクオリティ&視聴者同士の小競り合い

アニメが面白かったとかつまらなかったとか、どの部分に納得できてどの部分に納得できないか、あるいはファン層・アンチ層の間で繰り広げられる論争まで、全部予想通りだった。

主に、ファン同士の論争構造についてのことを中心に語る予定。

キルラキルに関する感想は、1話の時に感じた「今石洋之さん特有のスピーディーでハチャメチャなのに、見る側に拒絶感を抱かせないわかりやすい作りのアニメ」という10年以上前から彼が持っていた作風/才能が遺憾なく発揮された作品だった。

グレンラガンと比較されることが多いが、「Dead Leaves」や「アベノ橋魔法☆商店街」で今石監督が関わった回を思い出させるような「遠慮なし・何でもありな内容」が詰まっていて…その通り進んだ。

つまり、良くも悪くも「期待通り」というのが1ファンとしての感想だ。放送当時に予測した内容より、少しだけ上だっただけ。

過剰に持ち上げる人は「ああ、今石洋之さんの昔の作品を見てない。向こうの意図したように盛り上がっちゃって…」と同じファンでありながら彼らとは意気投合できなかった。

逆に、グレンラガンと比較するところから脱することができなかった批判者/矛盾点をしつこく突っつく硬派なオタクには「もっとまっさらな気持ちで見てごらん。矛盾しているのに納得してしまう、熱い気持ちで走り抜けるように見てしまうアニメは世の中に沢山あるから」と言いたくなった。

キルラキルが「良くも悪くも期待通り」の理由はそこ。

簡単に熱くなれるキャッチーさがある表面上を覆うため、特に専門的に今石監督ファンではない人は過度な期待をしてしまったり、自分自身なぜ盛り上がっているかもわからないのに、キルラキルが無性に見たくなる魔法にかかっている。

期待し過ぎな人が止め絵や一見手抜きに見えるネタに対して、間違った解釈をすることで、魔法にかかりきれなかった人が「面白いのは認めるけど、なぜこんなに過大評価されているかがわからない」という。

もちろん、すごく動くアニメからギャグやマンガのコマを思わせるような止め絵までなんでも描ける人だから、「次回ではもっと絵が動くかもしれない」という期待の声はわからなくもない。

…もう古参のファンはわかってると思うが、ガイナックス/トリガー作品はアニメも、アニメ以外のところにもパロディを仕込んでくる。もう30年ぐらいの伝統芸でそれをやる製作者に、ファンもファンで元ネタがどういう媒体であっても突き止めて来る。

お互いにマニアックな文法でつながっているし、投げかけて理解している関係なのだ。「パロディだらけで嫌だ」という人がいるが、パロディのないガイナックス作品なんて、カレールウ入れないカレーだ。

キルラキルを見ていて、人の反応が不愉快で受け入れきれなかった理由は、作品に対して「パロディが仕込まれていること」気づかせるためにわざと、「アニメ的/脚本的に不自然と言われる演出がなされていること」を理解していないファンがあまりにも多かったことだ。

特にファンの中にそういう人が多かったから「君たちがカレー粉の代わりに醤油を入れた、牛肉とじゃがいもの煮込みでもいいんだね」という軽薄さを感じ取ってしまった。

アンチの人や、キルラキルが過大評価されていると感じる人は3種類いる。パロディと言うカレーで言うカレールウに位置するものを

・「味がくどいのでとってほしい」とわかったクチで、ないものねだりを始める人。

・「うまいけど、醤油味だったらもっと良かった」ということを作画ではなく、脚本に対して言う人。

・そして、グレンラガンと言う全く別のコンセプトで作られたカレーと、キルラキルというカレーを比較する人

の三種類だ。

特に、グレンラガンと比較するアンチに関しては全然賛同できない。

グレンラガンを僕は「今石洋之さんの作品にしては薄め」と言う。「薄い=中身が無い」という意味ではない。作品の中にある監督のカラーや、賛否が別れるような過激なパロディ、綺麗ではないアニメ(マンガっぽい、絵柄が突如として変わる)ということを極力抑えた作品になった。

グレンラガンは「朝アニメ」だったということもあり、まともなエンターテイメントに収めようとした努力の跡が見られる。その結果として、キルラキルのような一見シュールで手を抜いているようにしか見えないアニメ演出が省かれて「まともなアニメ」として成立している。

一方でキルラキルはもっとスパイシーで、元々の今石作品とはむしろスパイシーさが売りな作品を作ることが過去の作品を見ている人は知ってる。

お家芸のパロディを更にわかりやすく、露骨に、アニメとして他で放送されているような文法を時々投げ捨ててでもストイックにスパイシーさを追求してくる。そのため、中辛が激辛になったり、カレーを食べ慣れてない人が「スパイス臭い」と言い出す仕上がりになっているのが…キルラキルの面白さであり、過去の作品を複数見ていない人にはズレが生じてくる部分だ。

期待した通りの理由はこんなかんじだ。

 でも、3回以上を見たくないのがキルラキル

濃厚な今石作品全般に言えることだけど、3回目は見たいと感じる気力が持たない。

2回ぐらいなら見るかもしれない。伏線やパロディが気になるから掲示板や動画のコメントを参考にして見返す…ということはあるだろう。

ただ、DVDを買ってお気に入りにして見返すような作品では…ないと正直思う。

素晴らしい作品で、時々気合を入れて見返す事はあるかもしれない。

でも、「今石作品の魔法」と述べたファンが熱中して何でもかんでも好意的に解釈しながら見る現象は…時が経つとなくなり、一度見た時ほど熱中はできない。

下手をすれば、アニメが持っている熱気が鬱陶しくて「見たいし、面白いけど、見るのに体力を使うから見るときには覚悟しないといけない」という感じになると思う。

…現に僕がその一人なんだが。

面白いし、ネタも詰まってるし、手抜きだとか矛盾しているところも理由や意図がある。だから、批判しようという人はそれなりの知識をつけていかないと、筋違いのことしか言えないぐらいにこの作品はすごい。

でも…予備知識とか正しさとか求めず、食べたものを無責任に「甘い」の「辛い」言うなら、「3日連続でカレーは食べたくない」んだ!一日目はうまいよ。味覚に新鮮だから。二日目は一晩寝かせてまろやかになってて美味しいよ。

でも、3日目はカレー粉の匂いを嗅いだだけで「もうカレーは当分いらない」という気持ちになる。

僕がキルラキルをさっきからカレーに例えているのは「カレーのような普遍的な魅力がある作品であると同時に、カレーのように賛成反対が細かく別れて、なおかつ匂いや味わいが強烈過ぎて毎日食べるのが難しい存在だから」ということも…少しは意図してる。

だから、DVDが今の熱気ほど売れて「語り継がれる名作になるか?」と言われると、僕は正直そう思ってない。放送当時とか一年とかそのぐらいブームになって、3年したらきっと「懐かしの良作」として久々に…ぐらいの作品だと思う。

別に売りスレの人間じゃないから、そんな分析どうでもいいや。

僕は「面白い作品をありがとう」と言いながらアフィリエイトにキルラキルのDVDを張って「なんだかんだ言っても、今こんな作品を作ってくれる監督は今石洋之さんだけだぜ?応援してやって欲しい。ファンだし、いつも楽しませてもらってるから」と付け加えさせてください。

最後に…針目縫がめっちゃ気に入りました。メインヒロイン3人より、今回はなぜか、蛇崩乃音と針目縫にハマりました。前者は懐かしくて、後者は新しかったです。

キルラキル 9(完全生産限定版) [Blu-ray]

・追記(上のDVDに入ってるテレビ未放送回を見て)

学園の形に関する人々の予想を回収してくれたこと、満艦飾まこの超人パワーが最後の最後まで想像を超えた方向から面白くしてたこと、その辺りがとても面白かった。

でも、あったからすごい印象が変わったかといえば、「伏線・設定の回収のための回」であって、おおまかな評価は何も変わらなかった。(DVD特典があまりにも本編のいい部分を濃縮しすぎて、アニメ全体の評価を変えてしまうこともたまーにあるけど、キルラキルの場合はそうではなかった)

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