読んでいて、「なんだこれ」と思ったものがあるからそのはなしします。
東京都心の求人状況がヤバイ。はよ移民入れろ、もしくはニート本気出せ。
ニートの話をしているんだけど、ニートについて何もわかってない。
求人状況がやばいので「移民を受け入れるか、ニートよ働け」とタイトル通りのないようなんだけど…根本的なところで疑問が残る。
1、移民でもニートでもいいけど、職場に持続して入れるスタッフに育てられるの?
2、移民に希望を見出す人は多いけど、移民が出稼ぎ先で労働する姿や移民を多く輩出する国の労働環境見たことあるの?映画でも実際の形でもいいから深く入り込んだものを何か一つ見たことあるの?3、多分移民やニートに希望を見出す人の80%ぐらいはその実態に興味がなくて「猫の手も借りたい」という気持ちで、体の良い労働者を求めているにすぎないのではないですか?
はっきり言えば、「お前のように従業員の満足度も考えないで【人不足なんだから、人をよこせ】とかほざいちゃう経営者が働く人達の労働観を歪めていくんだ!」と僕は言いたい。
けど、そんな奴に時間を費やしたくないのでその人を含めた日本の軽薄なビジネスマンの多くが抱いてるニートへのイメージ、移民へのイメージをぶち壊していこうかな。
このブログタイトルに便乗した言い方をすると「その幻想をぶち殺す」ってやつだね。
計算高くニートしているやつなんかいるの?
ニートについて有名な画像は「働いた負け」といかにもな若者が言ってるやつなんだけど、コレが大きな誤解を招いている。
厚労省が定義するニートは8割の人に就労経験があり、また療養中なり勉強中なり積極的に求職してない独身の若者を指す。(結婚してる人を入れると主婦/主夫も求職してないとニート扱いになるので)
イギリスの場合はもっとピンポイントに「16~18歳の、教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」という定義だけど、これが日本に輸入された時に定義が変わってしまった。イギリスではニートという言葉はある政策を施すべき人の人数を出すための言葉だったけど、日本にはそこまでは輸入されなかった。
昔、ブログでまとめたので良かったらそちらもどうぞ。
なぜ、イギリスと日本では「ニート」の定義が違うのか? – とある青二才の斜方前進
ところが、この匿名投稿者はそこら辺の事実を知らない人が意外と多い。ニートと言う言葉が厚労省定義ではぜんぜん違う存在になっている事、イギリスの定義では日本にほぼ存在しない身分の人になってしまうこと。
それを知らない経営者なり、政治家が「若者が計算高くニートをしてる」「働かないで穀潰してやがる」と言う筋違いな方向に持って行こうとしている。
政治家で「あれ?この人はニートの定義をちゃんとわかってるかもしれない」と感じた人は今のところ安部総理ぐらいだ。
理由は、昔カンブリア宮殿に出演した際にニートに対して言いたいことを聞かれた際に「朝ごはん食べろ」という話をしてた。
ニートをしている/定義される最も多い理由は心身が病んでしまって働きたくても働けない人で、その人達への言葉としてとても的確だ。実際、うつ病/躁うつ病で精神科に行ってもやはり「日の出とともに起きるように努めてください」と言われる。
また、次にニートに多い働かない/働けない理由が「勉強中」でその人達にも適切なメッセージだから。(よく朝ごはんを食べたほうが頭が働くと言われるからね)
「なんでも無難なことを言って逃げる安部総理らしいコメントじゃないか」
という人もいるかもしれない。確かにその可能性もあるけど、ここで出てくる匿名投稿者のように「ニートよ、チャンスだぞ。働けよ!」とニートがどんな人かも知らずに煽る人に比べたら、ずっとまともなコメントだと思う。
ニートに働けと言いたい人の気持ちがわからないわけではない。また、それはそれで正論だと思う。でも、そんな話じゃない筋違いでもある。
確かに働かないと生きていけないけど、飲食や不動産みたいな普通の人も怖くて入っていけないような労働環境に仕事に慣れてない人が入っていってそもそも続くの?
「はたらけ」と言う人のほとんどは無責任に過酷な労働にぶん投げることを指してるけど、それで馴染めない人間がニート化して問題になってるわけでしょ?
心身を病んだり、勉強したりすることで「求職しない」という立場になっているのはそもそも過酷な環境で挫折したり、病んだりした結果じゃないのか?ニートの定義がわかっている人ならニートの8割の人が働いた経験があることからそれぐらいのことは考えるけど…考えたことないのかな?
中長期的に労働者を確保しようと思ったら、結局は労働者を使い捨てにするような企業、業界にメスを入れてもらうしかないのよ。
東京五輪みたいに「期限と納期があって移民を受け入れないといけないきゃ間に合わないもの」に移民を受け入れるのはまだわかる。
でも、会社が移民入れて解決できると本気で思ってるなら、外国人雇ってるお店見てごらん。自由奔放すぎて、居心地悪いから。
ちゃんと教育して使いこなしている店もあるにはあるが、すぐやめてしまうらしくて、コンビニで働いていたアマンダさんを僕は短期間に2回見てそれ以降見たことがない。しょっちゅうそのコンビニに行ってたはずなのに、結局長続きしているのはおじさん/おばちゃんとフリーター。誰が悪いという話ではないけど、わかりきった結論に「ああ、やっぱりそうなんだ」と当然の結果が少しさみしかった。
移民も人間だからね。好きで過酷な労働しているわけじゃないし、異郷の地で精神的に滅入ってる。
「貧困から抜け出したいというバイタリティの高さが日本人とは違うんだ」
とか言う人いるけど、日本で暮らしているうちは日本の物価で暮らしている。だから日本人でも貧乏だの、「生活保護に毛が生えたような給料」とやゆされる労働なんかそりゃしんどいさ。続かないさ。(おまけに「悪銭身につかず」で本国への送金は親族に使い込まれてしまう始末。そんで、自分が帰って来ると親族の生活が成り立たないから遠く離れて働かないといけない…というケースもあるそうな)
まして、移民・移民というけど、移民の話をなにか読んだことある?見たことある?別に日本の移民じゃなくたっていいのよ?
頭数だけで経済を定義するのいい加減やめようよ。机上の空論であるBRICsに手を出して中国企業/政府から痛い目に合わされたことに対していい加減懲りようよ。
人間の数が揃ってもその人が続けていける仕事・待遇を与えられないんじゃ、人間なんかいくらいたって一緒。
よく知らないものに、勝手に希望をいだいて、押し付けて現状の自分も見つめられない経営者/政治家/経済アナリストのないものねだりに、誰も付き合いたくないんだ。
おじさんとの約束だよ?いい加減だと言われているWikipediaでもいいからよく知らないモノに希望を見出す前に調べようよ。
メキシコ移民がハンバーガーショップの倉庫で働いたり、学生バイトがハンバーガーショップで働くドキュメンタリー系の映画です。アメリカの話なのに、日本で起こっているものとダブりすぎてとても面白かったです。
ポロリどころかもろ出しもあるので興味がある人は良かったらそっちの方面と一緒にお楽しみください。