1話時点で大興奮だったピンポンが期待通りに面白くなってくれたから再びピンポン票を書いてみたい。
批判・賞賛する人が意外と僕が抑えてくれる、見てる人・これから見てる人に注目して欲しいポイントを僕なりに語りたい。
ポイントは時間の流れ
よくよく注意してみてほしいのはピンポンの作中の時間の流れ。
作中でものすごくセリフが多く、アニメにも演出を凝らした部分とそれ以外のさっぱりとした部分の差が大きいアニメだけに「何でそれを分けているか?」という話はちゃんとやるべきだなぁ…と思った。
そして、その分かれ目を僕が知りたかった。そんで各話2回づつは放送後に見てた。
気づいたことはペコと風間のパートでは時間が短めで、スマイルのパートは長い。チャイナ、スマイルは会話自体は淡々としてる反面、回想や風間に衝撃を受けるシーンはとにかく長い。
特に風間戦ではこれでもかと言わんばかりのアニメ演出が光る!
スマイルも普段の練習や試合の描写は短いが、ペコとの昔話、あるいはヒーローのことを思い出してる時には原作よりも凝ったロボットの演出が入る。
また、キャラ別もそう。スマイルにボロボロに負けて海に行った人については描写がいちいち長い。彼を他人から見ているようなシーンはすっぱり片付くのに、彼はその一瞬に長くセリフを付ける。
逆に、風間の彼女や小泉・海王顧問についての描写はさくさくと短い。
面白いよね~。同じアニメなのに、時間の流れ方が細かく違うの!まずはそこに注目して欲しい。次に、それがどういう意図で行われてるものかをじっくり考えながら見て欲しい。
見入るポイントは「わざとらしくない」こと
いい機会だからはっきり言いたいのは「化物語」「とある魔術の禁書目録」などに登場する主人公の説教じみた長台詞が大嫌いだ!
ああいうことを言うシーンはもっとドロドロとした感情が流れているのに、なぜかかっこいい決めゼリフを言うように嬉々として言うから「こいつら頭悪いの?」「人の気持ちがわからないアスペルガー(及び発達障害全般)なの?」と思いながら見てる。
わかりやすく言えば、「ミュージカルに唐突に出てくる歌」みたいで嫌い!いや、ミュージカルにはそのうたと踊りを受け入れてもらう芝居の文法、豊かな感情表現が存在する。だけど、アニメやドラマで見かけると大げさすぎて気持ちが悪いか、等身大の人間味を感じないから好きになれない。
ピンポンのアニメのすごいところはその 「芝居がかったもの」を省いているから見入る。違和感なく感情移入ができる。
特にチャイナやスマイルについてはその心の機微…自分が感情的になっている思い入れのある時間と、思い入れのない時間を大きく分けているからより一層見入った状態で感情移入ができる。
その点、ペコや風間についても見入るけど、回想もなければ彼ら自身の思い入れのあるシーンが今のところ出てきてないこともあって比較的淡白に描かれてるように見える。(後半に見せ場があり、原作でも描かれ方が淡白だったが、これは感情的に揺れ動いてたり、自分の中での時間の流れが変わるほどのできごともなかったため)
象徴的なのはチャイナの試合描写全般だ。ペコに勝った試合では試合の内容よりもひたすらに自分が日本に来てしまったこと、そしてろくでもない相手に囲まれてうんざりしてること、自分は努力したのに報われなかったことなどの感情が描かれてる。
風間の試合についても卓球を打ち合っているシーンよりもチャイナが風間に恐怖するシーン、負け試合で必死にあがく「なかなか過ぎていかない苦痛な時間」を鮮明に描き出してる。
そして、お互いが結果を大事にしてるアクマとペコの試合とは試合描写の趣が違う。本当に結果にしか価値を見出してない風間については試合結果しか出てこない。
できごとより感情として残っている事柄を強調してアニメで描いている。実際、自分や人の話を聞くとやはりできごとそのものよりもその時に考えた・感じたことの方が強く記憶に残ってる人は多い。
時間が流れているときはきっと客観的な時間なのかもしれない。だけど、あっという間に感じる時間、悪い意味で長く感じる時間は個々人に存在する。
「その時間の感じ方や頭の中で思念が湧き上がってる時間」とその反対にある「時間を使ってるはずだけど特に印象にも残らない時間」の対比を丁寧に描いてる。特に印象に残らない時間を小出しに挟むことで対比を成り立たせている・人の頭で処理しやすい感情の機微を描き出している。
ゆえに、ピンポンというアニメからはわざとらしさも感じなければ、展開が早い・遅いある作品でありながらすんなりと受け入れられている。
しかし、言葉にまとめる人がいなかったから言いたいのだ。
意識してみてほしい。悪く言う前に意図を感じ取って欲しいし、気になる点があればなんでかを感じ取って欲しい。
頭を使わなくてもサクサク見れるけど、敢えてじっくり細かく見て欲しい。
そこが面白いんだから!
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