前向き勇者を作った人の新作として話題の新入り魔王をプレイした。
前作プレイ済みのほうが操作に早く馴染めるが続編でなく、完全新作である。
・ゲームの概要
300年ぶりに召喚された魔王が魔王城に襲ってくる勇者を倒すべく三日間準備をして勇者に備える。ただし、「三日間」は魔法書で12時間ごとにさかのぼることができ、プレイヤーの気の済むまでレベルアップをして勇者に挑む。
また、「魔王城」に住んでるので、魔物達との交流やその暮らしぶりもゲームに魅力や攻略の鍵を握っているかも…。
ジャンルはアクションRPG。レベルが高いだけでも操作がうまいだけでもボスは倒せない「手も頭も使うジャンル」だ。
開始画面はこんな感じ
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最大の魅力は三日を終えたところから
色んなストーリーのゲームを見てきたつもりだが、シンプルであれほど驚いた・手に汗握ったゲームはなかなか無い。
難易度の問題じゃなくてシナリオや設定・アイテムの活用などを利用した2段オチ・3段オチが秀逸で最後の最後まで手が抜けないゲームだった。
終わったと思ったら、次々と三日間のプレイ中に散らばっていた伏線やよく見ておかないと気づかないクリアの鍵がどんどん回収されていく。
後半に長い会話を突如ぶち込んだから「NARUTOで勝敗が決した後に勝った方の忍者がやる忍術解説みたいだなぁ~」などと思いながら見てた部分もある。
でも、実際に解説や攻略サイトでどこに伏線があったかを読まないとできない人も出て来るぐらいには難易度が設定されていて、何気ないシーンにあとで気づくヒントが落ちている。(※それをたどるために三日間を繰り返す意味があるわけだが)
一筋縄では倒せないこと、やり込みのために繰り返す意味ももちろんあるが、同じ時間を繰り返す最大の意義はどんでん返しのための大きなヒントも隠れてることだ。ネタバレはしないが、ヒントが小さめなので「よく色んな所を観察してごらん」と忠告はしておきたい。
ゲームの時間としては長くなく、テキストの量も長編のゲームやストーリー通り進んでいくゲームに比べると多くはない。
でも、人を驚かせてゲームを終えた時に達成感がこみ上げてくる作りにするために、三日間のうちには説教臭さはほとんどなく、勇者との対戦以降にそれらを全部持ってきてどんでん返しをより興奮して楽しめる演出に感動した。
「どんでん返しがある」と書く事自体がネタバレだと批判する人もいるかもしれないが、そもそも簡単にはどんでん返しに辿りつけない。辿りつけない割にはそこにゲームの感動が凝縮されているから「最後までちゃんとやって欲しい」と言う意味合いで書いた。あると知ってても終盤の展開には裏切られるほどに、この仕掛けは高度で、突破は難しいのでね…。
前作「前向き勇者」にも反映されていたことだが、このストーリー性…特に終盤の盛り上がりはこの作者特有のものなので、時間がない人は前向き勇者、2日、3日暇な時間があるか、仕事を終えてゲームをする時間が確保できる人は是非とも「新入り魔王」をプレイしてほしい。
前半は面白く、後半はゲームの難易度上昇から緊張感が伴って、終盤には感動もゲームそのものにぶつけるテンションも最高潮に。1つのゲームの中に色んな楽しみを詰め込んでくれるので、一度ハマると最後までやりたいという気持ちがふつふつと湧いてきて、終わった時にきっちりと応えてくれる良いゲームだ。
終わっても期待に応えてくれないゲームは意外と多いので、「期待に応えてくれる」というのが特に大きなポイント。
前半のお楽しみ要素の強化
中長編の長いゲームにするにあたって、前向き勇者よりも大幅にパワーアップした部分が「アクション要素」と「サブ要素」の充実だ。
まず、アクション要素については「職業」に応じて装備や攻撃が変わる。
例えば、剣士なら剣、魔法使いなら杖で攻撃範囲が違うし、強化される能力も違う。
これは前からあったシステムだが、更に細分化・強化されたことで多彩かつ細かくやり込むためのゲームになった。
どう細分化されたかというと剣+槍とか、杖+槍と言った感じに初期の職業を足し算して新しい職業をプレイできるようになったというところが違う。しかも、その都度特技を会得したり、独自のスキルがあるためバラエティ豊かだ!
プレイする際の注意点としてはステータスを上げるためには初期の職業を熱心にプレイしないとダメで、必殺技や職業独自の能力を強化するには強い職業をやりこまないといけない。
この両方のやりこみをしないと終盤を乗りきれないからそれだけでも三日間を繰り返す価値のあるゲームとなっている。
次にサブ要素について
前向き勇者ではひとりぼっちの冒険であったが、新入り魔王では部下の魔物の「好感度」がある。クエストをこなしたり、贈り物をすると好感度が上がり、なんと魔物を連れて戦うに行くことができる。(終盤は1対1だけどね)
他にも、魔物の生活に密着していると会話の小ネタが聞けたり、魔物の城や相関関係が聞けたりして、ゲームをより深くやり込む要素となっている。
魔物を攻略する上で大事なのが「釣り」や「農業」と言ったおまけ要素だが…RPGでこういうおまけがあるゲームは以前にも紹介したね。そう、「巡り廻る。」だ。
作者も僕と同じく「巡り廻る。」のファンらしく、今回は「巡り廻る。」をほうふつさせるようなおまけ要素が多く登場する。
ただし、オリジナリティが幾つか吹きこまれていて、特に似ても似つかないのが「料理」だ。
巡り廻る。では素材を合成するだけだったが、新入り魔王では音ゲーのような画面が表示されそれをタイミングよく押していくボタンアクションがある。
しかも、これがかなり難しく、料理はおまけ要素の中では僕が一番難しいと感じた。
三日間を繰り返すゲーム中に時間が余ってもおまけステージを予め解禁している他、魔物の好感度上げもでき、更には料理や釣りも楽しめ、それぞれにトロフィーがあり、トロフィーの能力強化機能を1つ選んで装備して戦う事もできる。
そして、このおまけ要素やトロフィー集めは勇者を倒すごときじゃ終わらないぐらい量があるので、勇者を倒してもまだまだ遊べるやりこみ要素にもなっている。
こうしたゲームとしての自由度の高さを確保する上でもストーリー進行ではなく時間制にしたのは斬新かつスリムにゲームができ、プレイしていて「そんな考え方もあるのか」と新しいものを見させられた気持ちになった。
アクションRPGつながり。システムがかなり近くて、操作や動きが癖になった人はぜひともこっちもやってみてください。
かなり前(06年の年末)に出た作品ながら実況プレイした動画には「名作!」とコメントする人がいる知る人ぞ知る作品のようです。
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フリーゲーム「巡り廻る。」をゲーム廃人になるほど遊びつくした!
→作者がかなり色濃く影響を受けてると思われるゲーム
→ループもの繋がり。これもループの真相がわかると…泣ける!