17:30…僕は対談の会場である齊藤ハウスの最寄り駅にいた。
齊藤ハウス初訪問ということで、ストリートビューを使って念入りに場所を確認した僕はディレクターよりも早く対談場所についてしまった。
齊藤ハウスだが…セキュリティー面が一癖も二癖もある不思議なマンションだった。詳細は言わないが、さすがは都内の一等地にあるマンションである。
齊藤ハウスに行くと出迎えてくれて、開放スペースにいくつかお菓子が出ていた。
「おもてなしかな?」と思ったら、昨日訪問してきた人が自費で買ってそのあまりを置いて行ったそうだ。
本人曰くパソコンの前から動かない人らしく、昨日のままお菓子が置いてあったり、寝床が置いてあったりしてるのだという。
オタクというよりどちらかと言うとアニメやマンガに出て来る典型的な「サイバー」な感じの人。
人を呼ぶからにはキレイだったり、私的なスペース・汚い部分を隠してルのかと思ったら布団がごった返してたり、クローゼットが開いてるところまでがら空きになっていた。
面白いには面白いのだが、中途半端に育ちがいい人・最低限度常識がある人が齊藤ハウスを訪問すると「おいおいほんとうに大丈夫か?!」と言いたくなるような不思議な空間である。(まぁ、周囲にコンビニも飲食店も山のようにあるから家事ができなくても困らない場所に住んでるから、結果的に生きながらえてるのだが…)
今回はそういう場所へ行ってきた。
僕らは闇の民、光に無自覚に虐げられる闇の存在
対談の全容について株式会社参謀本部の方が編集してくれてる最中なので、要点だけ僕から書く。
要点として、この対談の基軸は「お互い、闇の世界の住人であり、闇に堕ちた(世間からチヤホヤされたり、うらやましがられる生き方ができなくなった)人間が行きていけるような社会作りのための意見や技術を作っていく人間同士であり、セオリー通りには生きられない。だから、どうするか」という話がメインになった。
対談で質問した内容について「齊藤貴義氏との対談に備えて」に掲載したが、齊藤さんについて気になることを一言でまとめるなら「どうして、セオリーから外れた的はずれなことをするか?」ということである。
抗鬱剤を飲み過ぎた話や奥さんと離婚した話などダメ人間の様相ばかり書いているが、元をたどればlivedoor Readerのディレクターだった人であり、日本HPが絡んだ仕事もやった人なので「もっとまともな人」に好かれるやり方だってできる人なのだ。
齊藤さんは頭がオカシイが、バカではない。バカじゃないから「損得がわからなくてそういうことをしてる」のではなく、「何かしらの信念・多少損をしてでも頭がオカシイ行動を取る価値」が齋藤さんの中にあってやっている。
生き方から、ネットでの発信、そして僕を自宅に呼んで対談することまで…そのすべてが不合理そのものだが、そこに齋藤さんの理念があるのだという。
齊藤さん自身は自分のブログで書いていることをそもそも「切り売り」「身売り」と言ったネガティブなイメージで捉えていないのだという。
むしろ、人間の表裏として当たり前に持ってる「闇の部分」をさらけ出せない、みんなが持っているのに出すと減点されてしまう世の中や、そういった空気・基準のせいで生きにくくなることが我慢ならないそうだ。
彼の記事の言葉で言えば、「愚行権」といえばいいかな?
人は愚行を犯すし、下手すれば愚行なくして身を成せないぐらい頭がオカシイ部分が人の良いところや強さと密接につながっている。
もっと言えば、アオイホノオや齊藤さんの「はてな村観測所」など自らが自分のダメさ加減をさらけ出す姿を見て、イライラする人・バカにする人もいる。
でも、アオイホノオの登場人物はマンガ家・アニメーターとして大成してるし、齊藤さんだって一人で食べていくには十分なぐらいのエンジニアになってる。
「頭で理解できても納得行かない」人が多そうだ。これならどうだろう?
もしあなたが推薦入試や就職活動で、長所と短所を聞かれた時に、本当に短所を書くよりも「長所を短所っぽく言い換えたものを書いたほうが好印象になる」のではないだろうか?
このブログの読者には「人から理屈っぽい、頭でっかちだと言われる」と言う人が多いと思うが、理屈っぽい事ができてるからこそ人の役に立てた経験、順序立てて話せたから話が伝わっている時だってあるはずだ。
たとえ、「理屈っぽい・頭でっかち」が空気が読めないの言い換えだったとしても、周りに惑わされず冷静に考えてる・考えてるようにしゃべることができてるなら自分がダメな空気に巻き込まれずに済んでるかもしれない。
気に入らない人は僕の言ったことを屁理屈だ、ああ言えばこう言うと怒るだろうが、短所と長所とは臨機応変に変わる。いつもダメな奴は少なくて、自分や他人がダメだといった部分が呼びこむいい結果だってある。
自分をさらけ出したことで見下す人もネットには多いが、同時にさらけ出し方次第では共感を呼んだり、支援してくれる人も出て来る。
自分が抱えてる闇が大きすぎて、隠し切れない人もいる。
そして、そういった人が働ける場所・自分の闇を隠さずに話してネットで発信できる人は少ない。
齋藤さんが言うには、僕の価値とは「闇を抱えて生きていくしかない人にとっては闇を持った人間の辛さを代弁・拡散できる数少ない存在」であり、齋藤さんの野望は「闇を抱えて生きる人が働ける場所を作る」ということ。
生きにくさ、いびつさは「きれいな自分・きれいな結果だけを世の中に出して生きていける人ばかりが政治や経済、更には言論をしている現状」であり、僕らはその逆の存在だからこそ、期待する人もいて、実際にそれが人気の一部になってるという。
闇のプログラマーとして、光の虚構ぶり・闇に埋もれた人の苦労を知る齋藤さんだからこそ、取れる戦略もあるのだという。
光と闇を行き来できるブロガーが減る中で
ディレクターが帰った後、少しはてな村・はてなブログの話をした。
最近、はてなブログの中で闇をかける人が減ったように思う。
幸せそうな子育てブログか、輝かしいノウハウ論・面白ネタばかりがはてなブログのおすすめに溢れかえり、文学的な「毒」…この対談でいうところの「闇」を書く人が減ってレベルが下がった。
もちろん、未だに闇を描く人、闇から攻める人もいる。
女の子何に露骨な下ネタ書くブロガーさんもいれば、ゲームの考察に3万文字使ってアクセス数・広告収入度外視で書く人もいる。
僕から見ると、そのぐらい突き抜けてないヤツ・理念ややりたい事がないやつがブログを書くことが多すぎる。
僕と齊藤さんの共通点には「闇をさらけ出すこと」以外にも理念先行だと思われるほど、自分の気持ちや信条を語る記事も多く書くことにある。
ブログやインターネットに対して希望を持っているというか、はてなと言う場所を大切にしてると言うか…だからこそ言いたいこと・不合理でもやりたい/期待されてることもある。
高度なアクセス分析ツールや高収入なアフィリエイトのノウハウを身につける前に、長くたくさんの記事を読んでもらうために、自分の書いてるものを面白くできてるか?そして、コツコツと短いスパンで更新できてるか?ブログの一番の肝はそこだ。
面白くない・更新しない・沢山読みたいと思えないブログにノウハウをつけたって、楽しくないよ。
ブログの価値は中身。それもテレビやネットメディアが言わない「闇」にいるからこそできる書き方や攻め方…日の当たらないジャンルに情熱を傾ける人間の本気なんじゃないかな?
はてな村と呼ばれる古参でさえ、今やそこまで本気でブログを書く人は減ったよ。
でも、ブログの文化って彼らが持ってたテキストの技術と、闇をも書くメンタル、そして良い物を短いスパンでバリバリ書く/そして反論されるという情熱の分厚さだ。
僕らはその辺りの文化が生き続ける場所として、はてなに期待し続け、貢献し続けたいね。(まぁ、僕よりもスケールがでかい齋藤さんは「はてなを買収したい」とか言ってましたけど)
その他小ネタ
小ネタ1
ディレクターと齋藤さんと僕でお鍋を食べた。自炊をしてると言うディレクターがちゃんと食べられるものを作ってくれたが、すげー男の料理だった。
しかも、3人とも気づきが鈍かったので、キムチ鍋(の素をかってキムチ鍋をやると話がまとまった)のにキムチを入れないという大失態で、肉を3パック買うという暴挙をやらかした。
齋藤さんが妻との別居で食器を食器棚ごと持って行かれ、調理器具もほぼ持って行かれたため、なんとおたまがなかった。(それをディレクターが先読みしてお玉を購入するというファインプレーがワンダーランドで素晴らしかった)
今の家で使わないからと斎藤ハウスにホットプレートをディレクターが置いて行ったが、まな板がないからまな板から買って行かないと斎藤ハウスでの鍋パーティーは難しいそうです。
なんというか、ロックンロールですね。
男臭いとかむさ苦しいとかそういうこと以前の意味で、女の子要素がほしいです。
小ネタ2
参謀本部のホームページに「取締役 上念司」という見覚えのある名前があったから関係を聞いたところ、なんと弁論部繋がりで旧知の仲だそうです。
どちらかと言うと保守系のメディアで見かける上念司さんと、民主党員の齋藤さんが一緒に事業をやっていると言うのがなかなかシュールで面白いです。
まぁ、闇を抱えた人同士でお仕事をしてるから、法律回りのトラブルが起きるんですけどね~(2015年4月現在、会社は存命だけど元従業員と裁判中)
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オフ会記事その1。齋藤さん主催、最後はostuneさんら上位村民だけで朝まで。
オフ会記事その2。僕が主催。斎藤さんも呼んだ。
オフ会記事その3。齋藤さんは登場しない 。