「アニメで町おこし」とか言うが、成功している聖地は元からのポテンシャルが高いわけで…

 

面白そうなつぶやきを見つけた。

なるほど! 「失敗する聖地」と「成功する聖地」の論争はよく聞くが、うちのブログでちゃんと言及した覚えがない。

今回は「アニメで町おこし」の話をしよう。

まぁ、作品が「大」ヒットすることは前提としまして… 

特に聖地ビジネスで成功しているという作品は大前提として「大ヒット」している。

それはらき☆すた然り!

ガールズ&パンツァー(以下:ガルパン)然り!

あの花の名前を僕達はまだ知らない(以下:あの花)然りだ!

ロケ地・舞台までわざわざで向こうという作品は中途半端なヒットじゃダメなんだ!

 

具体的には、アニメだとDVD売上が全部2万本以上。…あの花に至っては4万本売ったらしい。1万そこそこでもアニメ業界ではヒットだが、町おこしには足りないらしい。

もちろん、作品の良し悪しとDVD売上なんか関係ない。

(DVD売上の目安とされる)まなびラインにも満たない作品だけで好きなアニメを幾つかピックアップしたこともできるほど「なぜこれが売れない!」と思う作品は山のようにある。

(参考)流行りだからとかその手の理由でアニメ見るのやめてくれません? 

問題は、僕のようなアニメオタクにとっての「隠れた名作」じゃダメ!隠れちゃダメ!

目安として、DVDの売上が2万枚・3万枚になるぐらいはヒットしなきゃダメさ!アニメオタク達から見れば「そんな作品年間何本あるんだ?」と思うような途方も無い大ヒットだが、その「途方も無い数字」だから説得力がある!

イケメンアスリートだってアスリートとして優秀じゃなかったらただのイケメン!

イケメンだけならそこらに落ちてる。アニメもまた年間で100本とか200本とか放送されてる。そこから目立たなきゃ!

オタクを特殊な存在として考えすぎないことが大事!

さて、そこから目立ったことを前提に考えても「聖地ビジネス」が成功しなかったり、そもそも聖地ビジネスにならないアニメも多い。

例えば、ヒットしてなおかつ実在する舞台が設定されている作品…化物語・まどマギ・エヴァンゲリオンでも「作品上の創作が多すぎてどこがどこやらわからない」ものは聖地として成立し得ない。

歩き回って「あそこであの子が…」とか「アニメで描かれた風景と完璧にマッチしている」という驚きがないと。

聖地ビジネスにまでこぎつけた作品…それも前述した3作品にはさらに共通点がある。

それは聖地の位置がちょうど普段行かないけど、一応名所もあって小旅行気分が味わえるような土地であり、同時に普段の客が多くないから地元の人も協力的になりやすい場所」であることだ。

確かに、鷲宮神社も、大洗の漁港もその道の人から見ればアニメ放送前から名所だ。

でも、一般的には「知ってるが、わざわざそれだけのために行きたいトレンディーな場所」ではない。
距離もまた「わざわざ」なところだ。

 

ガルパンの聖地「大洗」は上野から常磐線・鹿島臨海鉄道で1時間半。平均的にはから常磐線に乗り換えるまでの時間も込みで「都心から2、3時間」が目安だろう。

らき☆すたの舞台も2時間ほどかかる。上野や東京駅などにアクセスしてくる時間も配慮すると3時間は見るべき場所にある。

あの花の舞台である秩父市に至っては、山梨・群馬・長野・東京の奥多摩と隣接している時点で「うわーアクセスが悪そう…」と用事があっても一日潰れる覚悟で行くような場所である!

 

このように「首都圏から日帰り旅行するレベル」の距離ばかりだ。(そういう意味で「花咲くいろは」みたいに石川県という3大都市にかすりもしてない舞台が話題になった現象はすごいわけで…。

僕の見解が元のツイートと違うのは「その距離が一番ちょうどいい」というところ。逆に都心から近すぎても遠すぎても「アニメで町おこし」は難しくなる

実は、DVD売上やそれに匹敵するメディア展開をされた人気作で、聖地もかなり露出する作品には「東のエデン」「とある魔術の禁書目録」「けいおん!」「涼宮ハルヒの憂鬱」などがある。

だが、これらが聖地として部分的にしか話題にならなかった(ハルヒに至っては高校側から「訪れるオタクが迷惑だ」と批難を浴びて話題に…)。

その理由がまた大事で、「アニメの聖地にならなくても十分潤ってる街」はアニメの聖地として特別な愛着も歓迎もない。立川市もららぽーと豊洲も関西圏の街も「ざわざわアニメで町おこししなくても…」だ。

仮に「アニメで町おこし」がしたかったとしても住宅街でめぼしい観光地・リピートしたりお金を落とす施設がないと言うケースも「都市圏の聖地」にあるから、聖地ビジネスには適さない。(話題にする特産物もお店ないから、アニメ上でも「街並みが似てる」だけになりがち…)

ほぼ観光資源がない住宅街・都市部/アニメ以外の観光地・ロケ地で十分潤ってる地域は別にアニメの聖地になることにこだわらず、そもそもアニメファンやアニメの舞台になってることで特別盛り上がらない。(観光地についてはかえって行きやすくなることもあるが、他の観光客とアニメの効果を区別しないから効果が集計されてない…)

まとめるとアニメの力にすがりたいと思える程度には寂れてるが、なにかしらその界隈で有名な特産品/名所がある街でないと大きな話題にはならない。

地方でも、DVDの売上が足りなくても部分的には話題になることはある。けいおん!の舞台となった小学校の話もしかり、「花咲くいろは」の忠実な再現やお祭しかり(ただし、アニメ自体のヒットが小ぶりだったせいか、成功した聖地としてはあまり「花咲くいろは」が取り上げられない)その地域のピンポイントな話題や時期だけがアニメをきっかけに取り上げられることは大いにある!

ただ、可能性を秘めていても本当に地方すぎる場所だと次のような理由で失敗してる。

アニメの放送自体がされなくて、チャンスを取り逃す…典型例はノエインと函館。アレだけ函館を忠実に表現してオタクにも人気の作品なのに、北海道で放送されてないから当の道民・函館市民がノエインをほとんど知らない。

アニメにあんまり関係のない応援の仕方をする…典型例 各地でつまづく「アニメで町おこし」の現状 に出て来る「タツノコ風呂」

普通の観光客とオタクを隔離しちゃう(あるいは過剰に特別視する)…典型例はかんなぎ。手元に良い資料がないのだが、参拝者の中で特別にオタク用のスペースを設けて不評に。

…「アニメで町おこし」は大いにけっこうだが、あまり成功例を調べないまま突っ走ったり、成功するとどんな風になるか(都市部から小旅行できる距離にはリピーターがつくし、地方なら少ないお祭り・作品にまつわる施設で一山狙うなど)が見えてない事例が多すぎる。

そもそもだ!オタクだって、アニメのことばかり考えてるような人は聖地に来ない。色んな事に興味のある人が聖地に来てアニメ以外の魅力を感じてリピートする。

その条件が

・小旅行的なほどよい立地であり
・街が元々持ってる特産物/名所であり
・「キモいオタク」ではなく「色んな観光客の一人」として扱ってもらえること
・来てよかったと感じるほど作品や趣味に理解のあるPRをしてること(これはなんの趣味で訪れても趣味で来る限りはその街に求める条件)

などだ。

 

どうにも安直に「アニメの絵を貼ればいい」と考えてる自治体と「オタクを歓迎するのだから他の趣味とはまた別の歓迎を」と難しく考えすぎてる自治体が多すぎて空振りしてるだけ。普通の観光客・他の趣味の人を歓迎している時にあれこれ考えたことをもっと応用してもいいんじゃないか?

海水浴に来たり、歴史の名所を訪ねたりする人が考えてることと大半の部分はオタクもまた同じことを考えてるんじゃないか?

大部分の旅行の楽しみは同じで、趣味の部分だけが「海!」「歴史!」「アニメのあのシーンで使われた駅や建物!」のように枝分かれしていくだけのことでは?

また、アニメは一過性のブームだから「アニメで町おこし」はきっかけでしかない!ガンダムやエヴァでもない限り10年先まで世代を超えて話題になることはないので、賞味期限が来る前に「あの町のあの場所・あのごはん・あの温泉が良かった!だから、アニメがきっかけだけどこれからも通い続けたい」という評判を広めていくしかない!

「アニメに期待するな」とは言わないが、「なにもないところからアニメで町おこしするのは無理だし、できたとしても5年も持たない」ということは言わせてほしい。それを前提にした戦略が少なすぎるよ。

もっと身近なのはゆるキャラ・会社やサービス・商品用に考えたマスコットキャラだよね…。オタクやテレビ向けに面白いものを作っても、それは入り口にしかならない。

ブームは起こせるかもしれないけど、続けられるかどうかは実力ですからねぇ…。

最近はこういうのも出ているから、参考にどうぞ

 

 

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