厚労省が出した年金マンガが不正確な説明をしていた。
厚労省が出した年金マンガが予想以上にひどいと話題に
で、マンガ表現への反論はブロガーの記事がわかりやすい。
厚労省の年金漫画が色々ひどかった
僕は何をやるかというと厚労省がマンガの中で間違った説明をしていた「世代間格差」についてだ。
世代間格差とはなんぞ?(経済編)
4枚の画像を見せながら話を進めていく。
まず、1枚目。*1
年代別個人金融資産残高比率…つまり、「どの世代がカネを貯めてるか」というグラフだ。
あたりまえだが、若者は少なく老人がいっぱいカネを持ってる。何しろ若者は働いた時間が短く、若い人は自分にもモノにも投資しないといけない。貯金などない。
ただし、差が大きすぎる!日本の資産の6割を60代以上、8割を50代以上がもってる!やれ「年金で養え」「貧しい高齢者の負担を増やすな」とわめいてるが、単純な資産(カネで解決する力)だけで言えば、現役世代…特に若者こそが弱者なのだ!
ただ、資産のグラフだけでは「仕事してお金を貯めれば、僕らも年を取れば、お金が貯められるんじゃね?」と考える人がいるが…そんな人にはこのグラフを見て欲しい!*2
サラリーマンの平均年収は、10年以上右肩下がりだった。最近はアベノミクスの効果か、少し上向きにだが…それでも現役世代の給料は下がっている。
しかも、平均年収が上がっても格差が開き、それは改善のめどが立ってない!元々の給料が少ない若者など悲惨としか言いようがない!
次の図も見てもらおう。*3
低所得者はここ十年ほぼずっと増えて続けてる。賃金が低い人はずっと低いまま上がらず、溝が開いている。
景気が良い頃に技術をつけたり、資産を貯められた50代以上とは違う。
景気が悪くなった後で就職した世代は給料が全体で見たら下がり気味。個人で見ると凍結された状態で低いままだ。(非正規だとさらに給料が伸びにくくなる)
とてもじゃないが、地道にコツコツ働いてもバブルを経験した50代以上と同じ金額を貯めることはできない。少なくとも自力で貯められる金額は投資や起業などのウルトラCでもやらない限り、上の世代より貯めることはできない。
上の世代? …勘の良い人は気づいたかもしれない。
「ヤツラの方が寿命だけは短い。だから、相続すれば、今はともかく高齢者になったら豊かになれる」と思ったあなた!
僕は嫌いじゃないよ(笑)でも、ちょっと楽観的過ぎ。
僕でも思いつくことを政治家や財務省の僕より(建前上)頭がいい事になってるヤツらが見逃すわけないじゃないか!
実は菅直人政権時代、当時問題になってた震災対応もろくにしないで、こんな相続税制の改悪をやらかしてる。
もし5000万円ぐらいの資産を後世に残せそうな年配者が身寄りにいたり、もしくはそれに近いため少しでも法律が厳しくなると相続税を払わないといけなくなる人は生前に分けてもらえるようにかけあっておいた方がいいかもしれない…。
また、これからも相続税は上げられていくと予想される。
しかし、高齢者は使わないで「転ばぬ先の杖」として貯金したまま亡くなってしまう。だから、高齢者相手なら消費でも所得でもなく、相続や資産に対して税金とった方が効率がいい…人からカネをふんだくることにだけは頭を使う役人がそんなこと考えつかないわけがないから、相続はますます金額が減る。
自力で貯めるのが難しく、相続も望みが薄れつつある今、40歳以下のお金を持ってない世代はこれからもずっとお金を持てない状態が続くだろう。
ここ数年ここ10年に渡る政治・経済の動向を踏まえると「今の若者はお金には恵まれてない世代だ」であることをわかってほしい。
…が、この中で1つ、経済理論の中では少し変わった言説をした。
それは「相続税を取られる方が若者にお金が行かない」と言うもの。
一般には「税金を取ることで国が所得を再分配して、格差は和らぐ」「国による公共投資や福祉は所得が多い人のほうがたくさん負担する」と言われている。
ところが、世代間格差の場合はそうも言えない。
なぜなら、世代間格差の中でも政治的な格差は経済の格差よりもずっと酷いからだ!
肝心なのはむしろ、政治の世代間格差です!
さっきまでは「経済の世代間格差」について書いたが、正直これは個人レベルでなら解決できないわけでもない。
「若者が貧乏だ」「これから稼げる望みも薄い」と書いたが、これは実家で暮らして、昔の人が買っていた大きな投資(自家用車・マイホームなど)を避け、結婚もしなければ…30とか40過ぎたら今の年配者顔負けにお金は貯められるだろう。
国は「女は働きながら子ども産め!」と言うが、ちっとも豊かにしてくれない国の言うことなど聞く義理はない。モノや結婚などの世間体を一切無視して、自分が豊かに過ごす生き方を追求すればいいし、実際そうしてる人が多いから問題になってる。
異論はあるかもしれない。だが、やり方次第では金銭問題は個人で解決できるのは確かだ。先細りな時代ではあるが、働き方・暮らし方次第ではどうにかなる。
だが、絶対に個人で解決できないのは「政治の問題」だ。
ここでも図解するのが早い。*4
一番多い世代と一番少ない有権者世代の人口の差は倍近い人口がいる。
有権者でなくても良いなら本当に倍の人口がいる。
選挙は老いも若きも一人一票だ。だから、この差だけはひっくり返しようがない。
経済の問題では家族や個人の努力次第で世代間格差は克服できた。だが、選挙はそうも行かない。官僚も政治家も高齢者有利な政策、高齢者に向けた選挙をし、若者の負担が増えることについて無頓着になる。
シルバー民主主義と呼ばれる現象だ!
ただでさえ、時代感覚がズレて新しい情報や流行に疎くなっている政治家・官僚が、時代の変化に疎い人に合わせた政策や弁論ばかりするため、政策の弊害を受けやすい現役の世代よりもむしろ、もうすぐ引退・もしくはもう引退した世代ばかりが手厚くなって貧困の救済も世界規模の経済競争も政治が後手に回る!
悪意のある言い方をすれば、政治家も投票者も高齢ゆえ未来など考えずに無責任なこと・自分たちがいい思いをする方に投票や公約が働いていく。
実際、「人の金なんだから食い散らかしてやれ」「引退して逃げちまえば、かまへんかまへん」としか考えてないほど身勝手な事件を起こした政治家や役人は実在する。
全部がそうとは言わない。だが、これからのことを考えなくても生きていけるアガリを決めた連中が10年・20年先のことを考えて投票や政治を本気でしているのか?
「資産の世代間格差」はある程度仕方ない。
でも、政治が本気にならないという弊害は変えようもない。若者がみんな選挙に行っても高齢者のほうがまだまだ多い国に住んでるのだから、これはもう若者個人・あるいは問題意識を共有する現役世代の力では変えようがない。
10年とか、20年とか…ヘタしたらもっと先までこの国の政治は3流で、時代感覚を持とうともしないで、高齢者の方ばかり見て、若者や女性の支援が遅れていることに無自覚なまま戦前のような「産めよ増やせよ」と、バブルのような「若者は金を使え」を強要する時代が続く。
政策が遅れたままひたすら化石のような価値観を強要する政治が続く!
僕が書いた記事もネット=ヤフーだと思ってる老人は絶対読まない!だから、知る由もないまま「最近の若者は元気が無い。ワシラの頃は」とか言い続ける。
これでやる気を奪われるなという方が無理がある。
もちろん、自由な資本主義国家なのだからチャンスは常にある。でも、負担感や閉塞感は個人の力でも周りの人と力を合わせても変えられない時代を生きていくとしたらこれほど憂鬱なことはないさ!
ネットでは議論されてるのに、メディアでは議論されてないことを知るには「日本の政治権力の息がかかってない情報環境に自分がシフトしていく」のも手だね
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