まだ出たばかりのゲームで「これは伸びる」と感じたゲームがあるから紹介する。
・概要
「魔王育成計画」というゲームの名の通り、復活させた魔王がえらく幼いから育てて勇者を迎え撃つゲームである。
発想自体は「新入り魔王」と同く一定期間鍛えて勇者を迎え撃つ話だが、出てくるイラストが魔王勇者モノとは思えないこのかわいさである。
イラスト・ドットは自作!バトルのシステムもゲーム特有のものを考えぬかれてる。
特設サイト maouikuseikeikaku
ダウンロードはこちら 魔王育成計画
あふれだす手作り感と優しい世界観
このゲームの面白さはなんといっても、ネタの量です!
まず、テキスト関連
冒頭の会話はギャグで構成され、登場する固有名詞にはネットスラングをうまくファンタジーの中に混ぜ込んでみたり、購入したアイテム(本)は全部お話があって読める!
次に、ドットやイラスト関連。
育成もメニューの数だけ、ドットを動かす徹底ぶり!(省略もできます)
出てくるキャラクターは男女(+生き物)問わず、ほぼ全員絵がある。登場してて絵がないのは王様ぐらいじゃないかな?10人とも20人とも言えるぐらいのキャラ全員にイラストが加えてあるのは手がかかってると思う。
最後は世界観。
「魔王と勇者が戦う話」と思えないほどギャグの多いゲームであり、ギャグが中心だから過激な描写はほぼない。
それどころか、魔王と勇者という関係性がゆるぎかねないぐらいゆるい設定が多く、ゆるいからこそ出てくるギャグとかストーリー終盤の納得感がある。
このゲーム、どのぐらいゆるいかというと「ほぼ必ず戦闘で勝てる」というぐらいぬるい。
「あくまで育成ゲームであり、時間が経つにつれて明らかになる設定や、台詞を楽しむゲームだから戦闘の難しさはいらない」
と考えたかどうかは知らないが、ほとんどの戦闘シーンはルール把握とかおまけ要素みたいな位置づけ。
戦闘シーンのために考えぬかれたシステムはすごく面白い(ポケモンカードとふしぎの国のヘレンを混ぜたようなカードゲーム方式)。ぬるいかというと、頭をちゃんと使わないと勝てないように作ってあるからぬるくはない。
ただ、「戦闘に負けたり、負けそうになったりしてもシビアなペナルティがこのゲームは入らない」という斬新な側面を持ち、あくまでもRPGよりも育成ゲームに振っている。
不満がないわけじゃないけど、全体を通してみると「これは新しい!」と思うことをやってるから最後まで完走できたし、面白かったです。
また、作者が色んな名作フリーゲームのオマージュじゃないかと思うようなことをちらほら入れてたことも好感が持てた。(僕がオマージュに見えただけで、本当にオマージュかどうかは知らないけど、次のようなことが気になった)
1、戦闘システムはふしぎの城のヘレンに似た路線でかつ「ありそうでないシステム」にできあがっている。
2、シリアスなシナリオの後の戦闘シーンで、片道勇者で使われてた曲が出てくる。しかも、片道勇者で使われるシーンと魔王育成計画で使われるシーンは心理描写や主人公の役割の観点で見ると似てるシーンで使われてる。(僕もあのシーンでの片道勇者のBGMは好きなので、嬉しかった)
3、本の中にネタをガッツリ仕込むのは巡り廻る。かふしぎの国のヘレン辺りでもやられてるネタだが、それとはまた少し違う形でサイドストーリーやネタとして作ってきたのが面白かった。
4、育成に関するシステム画面や大まかなシナリオなどに「新入り魔王」の影響と思われる類似点がちらほらありながら、全くカラーの違うゲームを作り上げてる。
僕がやったゲームだけでもこれだけ類似点や似せたのか、参考にしたのかわからない部分があった。それがありながらかつ新しいことをやり、パクリとは言わさない雰囲気の一致で留めるさじ加減が話の合う友人を見つけたようで嬉しかった。
「これは伸びる」の真意
今回紹介するまだ出して間もなく、それでいてまだまだバージョンアップしていくことが予想されるからプレイした感想以外にも「ここが変わりそう」という予想を兼ねた要望を書いていく。
そんなことしなくてもすでに面白いのには変わりない。「これは伸びる」と思う。
でも、僕はまだ付け加えられるところがあるから「これはバージョンやゲーム作者のスキルが伸びる」とも思っている。(VER1.01時点での指摘なので、更新した当日のVER1.06、またそれ以上のバージョンでは変わってるところもあるかもしれません)
問題は主に3つ。
1つはテンポの問題。
全体的にネタを仕込んだ会話やテキストが多いため、長くなりがちなところがある。1度目は面白いからいいのだが、二度三度、下手すると操作ミスでボタンを押しやすい場所(ドMっぽいヤツが出てくる場所)がもっとシンプル操作になれば助かる。
1つはバトルの「ゲームオーバーにならない」というやつ。
いや、ゲームオーバーにならない事自体は作品の方針としていいと思うが、アレだけ面白いバトルシステムを作ったのに、シリアスにバトルシステムを活かして戦う局面が少ないのはもったいない気がしてならない…。
ないわけじゃないが、せっかく育成したキャラが緊張感なく戦ってるシーンがほとんどと言うのも若干味気ない気もする。
最後は2周目こと「強くてニューゲーム」について。
というよりも、テンポもバトルシステムの問題もここに集約される。
別の分岐をプレイしたり、アイテムをコレクトできるのは魅力だが、それが同じテキスト飛ばしにくいテンポで流れ、ストーリーも展開。負けないことを知った上で雑魚からバトルを始めるとなるといささか張り合いのない気もしてならない。
何度も言うけど、今の時点で十分おもしろい作品だ。工夫もしてるし、元になってる素材も素晴らしい。
だから、序盤に操作や操作のテンポでいらついてやめてしまう人が出てほしくない。
最後までやって欲しいし、2周目も満喫して欲しい。
ニコ動で実況してもウケるし、フリーゲームファンがネタを楽しむこともできる良いゲームだから、もっと伸びて欲しいし、もっとアップデートして欲しい。このゲームは手を加えたら加えただけ伸びる資質も、今の時点での面白さもあるから。
現時点でも楽しませていただきましたが、期待してます。特に2周目やクリア後の要素にアップデートが入ったらまたぜひやりたいです!
なんか、名前の逆さ加減が面白かったのでw
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前半ほのぼの、後半にガッツリシリアスを持ってくる手法が似てたので。
ドットやイラストの魅力ならこのゲームも推したい!
このゲームが好きな人はこっちもハマるはず…。面白さの質が近い。