レビューでは「江ノ島」についてはほとんど触れませんが、ゲームには実際に江ノ島がしょっちゅう出てきます。説明せねばならない装置の1つとして「江ノ島」と言う言葉は敢えて出すことにした。
ゲームの概要
ざっくり言えば、「一人人狼」だ。
元ネタはもちろん、人気ゲーム「人狼」であり、人狼とは村人・占い師・人狼が各々の権限・役を使って人狼は自らの正体を隠して村の人間をたべる、他の人達は人狼を当てて吊るし上げるために行われる駆け引きゲームだ。
絶対的人狼と人狼の違いは「絶対者として、人狼を推理したり、推理するために周囲に命令できる」と言うもの。(ただし、本家と同じく、嘘を付いてる奴がいるし、嘘つきを見抜かないといけない)
投票制度は健在だけど、人狼であるという正体がバレてること「命令して人狼を当てる立場」から基本的には投票によって干されることはない。
つまり、一人向けゲーム、映像上のゲームにするために、人狼からコミュニケーション要素・説明要素を取って推理要素に特化させたものが「絶対的人狼」だ。
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ゲーム画面の画像を載せるとネタバレになりそうなので、とりあえずまぁ、ヒロインの画像でも貼るか。

人狼がわかんない人でもやるべき!
まず触れておきたいのは
「人狼を1回しかやったことがないからルールがうろおぼえの僕でも最終的には難しいゲームをクリアできた」
というところ。
けっこうな回数の対決があったこと、人数や役がシンプルな所から始まる、プレイを繰り返しやすいシンプルな作りだったことが幸いして「コミュ力さえ問われなかったら僕は人狼名人だ!」と言えるぐらいうまくなれた。
難易度が上がると人数が増え、役が増えルールが複雑になるため、「ランダム要素」がいくつか出てくる。
「フェアでクリアできないゲーム」ではない代わりに「簡単で確実にクリアできるゲーム」でもない絶妙な塩梅となので、
「(クリアできそうだから、やり直して意地でもやってやるぜ)ちくしょー!」
と言いながらやり込めるのが楽しいし、続けるためのいいすんどめ感がある。
簡単になり過ぎないというすんどめであり、理不尽だけどやめたくはならないというすんどめが素晴らしい。
個人的な評価が高いのは「リア充のゲームをオタク向けのゲームに変えちゃった所」だ。
現実の人狼はリア充がキャーキャーいいながら仮想の狼を当てさせつつ、ゲーム終わった後に女の子に人狼しちゃうためのゲームでしかないが、絶対的人狼はコミュニケーション要素を排除して推理に特化したから一人でああでもないこうでもない思考を巡らせる人が楽しむゲームだ。
特に、後半に役が多って難しくなると、口に出したり、メモを取ったりしながら必死にかじりつきながらやってしまうので、自宅でひっそりやることをオススメしたい。
パート数が長くなっていいなら実況プレイのような「一人で喋りながら白熱できるゲームを求めている人」向けでもありそう。推理の過程をああでもないこうでもないと勝手にぼやきながらやってしまうので、しゃべるネタには事欠かないはず。
人狼も楽しいけど、ストーリーが秀逸
当然、「人狼」と言うゲームには江ノ島は出てこないし、江ノ島と言う村での駆け引きでもなく、江ノ島に狼がいることもおそらくない。だからこそ、このゲームを説明する意味合いとして「江ノ島」と言う言葉を出すことにした。
お察しの通り、サイドストーリーの舞台が江ノ島である。そして、サイドストーリーが同時進行していく事が絶対的人狼の面白さだからだ。
ゲームを複雑にするための登場人物が増えていくだけでなく、サイドストーリー自体も人狼とダブルような「心理戦」が描かれていて楽しい。
さっき僕が、「現実の人狼はリア充が女の子相手に人狼決め込むために人狼してるゲーム」と言ったが、ゲームのサイドストーリーにもやっぱり人狼が絡むし、双方の理解が助けるような作品作りがされてる。
ポーン作品はとにかくレビュアー泣かせ。でも紹介しちゃう理由
それでいて、作者であるポーンさんの作品が好きな人には「他のボーン作品のゲームの理解を助けるゲーム」にもなり得る。
ポーンさんはいくつもゲームを作っている人で、そのゲームには共通する世界観設定が存在してる。
そのため、もしポーン作品をやって理解のできないゲームがある人もこのゲームはぜひともやってみるべきだ。ポーン作品にしてはわかりやすいから、いい副教材になるだろう。
(文字数を見ていつもより少ない事に気づく)…このゲーム、語ることがないのよ。
試行錯誤するのは人狼のパートが主で、人狼についての解説やコツはポーン作品にありがちな「試行錯誤・若干の理不尽を克服してつかんでいくことが楽しい」と言うゲームだから、ネタバレしない程度のことしか言えない。
かと言って、ストーリーも僕は最大限のネタバレをしてこれだ。これ以上ネタバレをしたらとメインの部分が漏れるかどうか以前に「ゲーム製作者やゲームを楽しんだファンが新しくプレイする人に考えてほしいこと」に触れてしまう。
これがポーン作品の傾向なんだ。
ポーン作品は「レビューすべき斬新な作品」は多いが、レビューしやすいかというと「ゲームする人が感じる感情や理不尽までがゲームである」という作風だからね。
どっかのレベル0や阿良々木くんみたいに言いたいこと、伝えたいこと、共感されそうなことをそっくりそのまんまセリフとしてズケズケ言うような作風じゃないから「その部分を切り取れば作品の良さが伝わる」わけじゃない。
どっちがいいか悪いかは好みの問題だが、語りやすく人に薦めやすい魅力を説明しやすいキャッチーさがある流行りの作品とポーンさんの作風は一線を画す。
人狼が投票であるように資本主義とか世論もまた投票だから、伝わりにくい説明しにくい「感覚的な体験・メタ構造を想定した誘導」は説明しにくくて埋没していく。
ネットばっかりやってる人が本当に驚くこと…口にしないが、やればやみつきになるゲームはむしろ体感的な刺激であり、自分がその情景になるほどの体験めいたゲームであり、商用のゲームには減りつつある理不尽さや荒削りさだ!
ただ、それは「バカな人にわかるように説明ができないから人狼ならやらない」と言った主人公のように像、説明がわかる人の想力や語彙力や体験レベルにまで落とし込める力がないと説明できない。
ポーンさんの作品はその意味でネタバレせず、それでいてこのゲームの中にある体験や構造から感じ取れる教訓をきっちり伝えるのはスキルがいるし、考えていくほどゲームへの理解が深まって面白い。
だから、「あー書きにくい」「思い出したけど、このゲームけっこう理不尽であの時は頭にきたなぁ」と思っても、やっぱり作品について考えたり、その結果なにか見える・書ききる体験がしたくてついつい紹介してしまう。
だから、1作品だけでもいいからポーン作品をやって欲しい。僕は絶対的人狼が難易度・メッセージ的にわかりやすいからオススメしたい。
人狼と言う入りがキャッチーだし、比較的長編で説明がある分わかりやすいし、説明不足による理不尽要素はないし…だから、一人ぼっちでああでもないこうでもないと口に出しながらパソコンの前でこのゲームをやってほしいのよね。
「パソコン用ゲームで楽しめる人狼」つながり。ダンガンロンパキャラで人狼ができる同人ゲームです。
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ポーンさんもといステッパーズ・ストップ作品より。関連性あるのでこっちもぜひ。
ステッパーズ・ストップ作品で僕が初めて紹介した作品。関連性は少なめ。