はてブでニュースをチェックしてたら、ニュースの全文にタイトルよりもずっと恐ろしいことがサラリと書いてあったからそこを掘り下げてみたい。
問題のニュースはこれ。
見出しにあることが実行されても殆どの人には関係なく、敢えて目に見える変化があるとすると「ブルマが出てくるフィクションがブルマ廃止後の世代によって駆逐されていく」ような感じで「おくさまは女子高生」という旨のパロディや二次創作が減るぐらいじゃないですかね…。
僕が着目したのはむしろ記事中のここ
また、2020年までに指導的な地位に占める女性の割合を30%とする政府目標の達成に向けて
ちなみに、指導的地位の定義は内閣府の資料によると
1、議員
2、法人・団体の課長以上。
3、技術職・専門職の中でも特に専門的な仕事(例:看護師は✕、医者は○。士業なら弁護士・会計士を指す。)
だそうだ。
参照:https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/pdf/2020_30_q.pdf
いやいや、2020年って随分と無謀じゃないのか?
ニュースを見る時に大事なのはざっくりとした計算
女性のリーダーが増えること自体には異議はないが、強引に推し進めすぎてる。
まず、2010年時点の「指導的地位」の人がこんな感じだ。
薬剤師以外ほとんど満たせてないからこれを見ただけでも「無理な目標」だとわかる。
議員は知らん、理系女子が少ないから専門職は多分増えないだろうとして、よく論争になるのは民間企業の管理職だ。でも、これも現状では6%しかいない。
でも、盲目的に「これから努力して増やせばいい」とか「後ろ向きだ!女性の管理職を増やすのに反対なのか!」と口うるさい人が多い。
そこで「将来的にも難しいんじゃないですか?」という話をするために時系列で語ってみえう。
まず、男女雇用機会均等法が86年施行で、その第一世代が今50前半だ。しかも、50前半で現役バリバリに仕事をしてる女性なんか少なくて、バブル崩壊辺りまでは、寿退社するか、子育てや女性が働き続ける職場が整ってないことを理由に辞めてるかで訓練された人が3割もいない世代だ。
本当に女性の管理職を3割以上にしたかったら、この世代からそれなりの管理職・順番建てて出世するコースがないと辛いわけだが…どれだけの会社が整備してただろうか?
そもそも、97年までは女性保護のために時間外や休日労働ができなかったから、雇用機会均等法があっても平等に競い合っていた環境とはとても言いにくい。
この97年以降の世代が、40手前で2020年に45手前。
この世代の人が管理職を担えば…と思いたいが、それも難しそうだ。
というのも、97年は僕がまだ8歳だった時だ。でも、8歳だった僕が中学生高校生になっても「女性の働きやすい環境は整備されてない」とニュースや社会科の授業では言われ、状況の改善を訴えるニュースが報道されてたため、97年時点で男女が平等に経験を積めたり、出世できてたかというと難しいのではないだろうか?
だから、本当は女性が働けるほど職場環境が充実したのはつい最近。男女が競争ができて、リーダーの3割を女性にできるほど女性の働き手の数や環境が整備されたのはつい最近。
だいたい、00年代半ばとしよう。この世代が2020年には30代後半。これも、大企業のリーダーにしては若いのではないか
つまり、2020年だと「(男女のどちらが優秀であるか以前に)管理職になれるほど仕事に打ち込める環境が整った世代がまだ男性や過去管理職をしてきた人達が管理職を担った年齢になってない」なのだ。
IT系みたいに業界歴自体の歴史が浅勝ったり、アニメ製作会社やハードな中小みたく離職率が高くて一部の古参を覗くとガツガツ入れ替わるようなところならまだしも「大企業で3割」を達成するには若すぎる。
そんなに難しい計算じゃないと思うけど、ニュースを見てると「あれ?」というネタを時々見かける。
脱原発の時も政治家が「2030年に脱原発」と2012年に言ってたけど、原発の廃炉には20年以上かかるから後先考えず原発を廃炉にしまくっても間に合わないし、実際には計画や手続きがあるから2050年ぐらいと言わないと「あーこの政治家アホだ」としか思えない。
無謀な目標を達成するための印象操作
脱原発よりもタチが悪いのは、この一律の目標を守るために、一律ではない「女性登用計画」ができてしまうことだ。
例えば、定年間近の女性が少ない・そもそも平等に扱われなかった世代は男性の管理職が多くなり、前述の通り40歳ぐらいまでは女性の働く環境が整備されなかったり、平等に経験が積めなかったりして男性の方が多い世代ができる。
そのため、「女性の管理職を作るぞ」という時には40歳以下の世代から女性を3割以上…下手すると社内の女性のほとんどを押し上げないと目標が達成できない…という程のえこひいきをしないといけなくなる。
こうした歴史的経緯や社会環境に鑑みた是正措置のことを「アファーマティブ・アクション」という。
問題は、日本ではこの「アファーマティブ・アクション」の中でも女性の活躍を推進・格差解消するためのものを「ポジティブ・アクションと呼ぼう」という印象操作のような命名・普及が厚労省によってなされてることだ。
ポジティブ・アクション ⁄ トップページ
政府目標通りに話を進めるとなると「女性のある世代を同世代の男性よりも早く持ち上げていく」事になることになり、結果として男性への逆差別・年代だけ男性が出世できない「ロスジェネ」のような状態になる危険だってある。それを無視してポジティブとおっしゃってるからおっかない。
そもそも女性が定着できるほど職場の男女観は良くないわけで…
最後は出世させたり、長く働いてもらえるように今の男性9割の上司達は配慮できるのかい?という話。
例えば、こういう記事を見かけた。
男の何気ない一言に、なぜ女はキレるのか? 働く女性300人調査でその理由が判明
「何気ない一言」とあるけど、発言を見てみると結婚、恋愛、女性らしさを押しつけてると取られるセリフが女性にとってカチンと来る…と言うもの。
ソースがゴシップ誌だから面白おかしく煽っているだけ…と思いたいが、少し前には押し付けがましく女性らしさを押し付ける上司の存在がルミネのCMが話題になってたけどね…。
ネットで話題のものでいくと「ダサピンク」なんかも「女=ピンクが好き」という思い込みつうか、ステレオタイプの固定観念からできてるものだよね…。
男性が職場とか家庭で有利な時代は「脂ぎったおっさん臭い趣味・押し付け」みたいなものは許されたし、仕事の中の荒っぽさも許された。
でも、女性の管理職を3割にしようという時に、いちいち「女であること」に着目して固定観念を押し付けたり、宣伝塔にして「○○女子」「○○ジョ」と呼ぶ文化が未だに官庁やニュース、ゴシップ誌を出すようなところでは根強い。
職場に女性の定着率をあげようと思ったらホモソーシャルとか、女の子だから特別扱いするとか男中心の組織が持ってる助成に対する接し方を崩していかないといけない。
でも、それがちっとも崩れてなくて、被害や事件として話題になる。
無謀な目標設定とか、ホモソーシャルに馴染んだ類まれな働きマンを取り上げるばかりのハッタリ感・ハリボテ感しかないような話じゃなくてさ…女性が嫌がること、してほしいこと、定着するために職場や人間関係をどうしたら良いかという建設的な話しようよ…。
いい加減働く女性が増えてきたり、定着する仕事場が増えてきたんだからもっと建設的な話が全面に出てきてもいいんじゃない?
それがないから「女性の管理職を…」とか言われた時にうんざりするのだ。
おっかない本見つけたので貼っとく。フェミなのか、カツマーなのかなんだかわからないけど、女性が女性のために書くビジネス書ってどれもこれも表紙の段階で怖い…。(男性同様にある世代・ある地位の女性には女性という強い固定観念とか選民意識があるんじゃないかと疑いたくなるもんがいくつかある…)
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この記事の話を就活版にするとこうなるかな…。
労働話つながり。男性とか女性とか以前に無能な人と仕事すると「ざっけんな」となるから結論あり気に人を雇うべきじゃないのよね…。
「政治家や著名人の机上の空論」つながり。バカな話。