精神科で診療を受けてもオウム返しのごとく「朝型の生活リズムにしろ」としか言われなかった話。

少し前のことだが、しっきーくんがこんな記事を書いてた。

これ、かなり正しい。

人間は眠れないとおかしくなっていく。それもじわじわとおかしくなって行って、生活リズムを戻すだけで1年2年かかる体になっていく。

 ブラック企業を辞めても体力が戻らなかった…

医者や他の患者の話では、僕は早くて高校2年、遅くとも大学3年生ぐらいの時には精神的にやられてて、すでに通院してもいいレベルだったらしい。

しかし、酷くなるまで精神の病気の知識がなく、さらには母親から何か口喧嘩するたびに軽度の知恵遅れ・精神障害持ち疑惑をかけられては「精神科に行け」と言われ、「じゃあ、行くからな」と僕がいうと「やっぱやめろ」というやり取りをしていた。

…要するに、精神科に行くと社会的な差別を受けるという認識があって、うつの患者や看護師の知り合いができてもなかなか葛藤があって診断を受けようという気持ちになれなかった。(これ、僕の場合は母だが、職場だったり配偶者だったりのくだらない意地で診断が遅れる人は実は多いんじゃないかな?

世間体もなにもなく何ふり構わないとやっていられない状態になったのが、ブラック企業を退職してから半年後のことだった。

その都度なんとか仕事をして少ないなりに生活費を稼いでいたものの、すでにブラック企業を経験して病んだ体ではとても就労ができない時間になっていた。

日に日に文字を読む力・計算する速さが落ち、お金がないくせに金使いが荒かったためお金にも余裕がなかった。(お金のことについては後に、躁うつ病の「躁」状態の弊害だとわかるのだが、当時はそれが病気だとそもそも知らない。)

だが、何よりも困ったのは「やたらと疲れること」と「体が常に疲れているから、常に眠いか、全く眠れない(活発にも動かずに頭痛がするか)のどっちかで正常な状態に戻らない」ことだった。

で、半年間騙し騙し生活してきたものの、それも限界が来て実家近くで療養生活することになった。

今回は睡眠の話に絞りたいから、通院した時になにがあったか、どんなことがあったかについてはこちらでどうぞ。

医者から1年間ぐらいオウム返しのごとく言われたのが「朝型の生活リズムにしよう」ということだ。「こっちができない」とか、「それをしたいけどうまく行かなくて困ってる」と言っても睡眠導入剤を出す以外はただただ「朝型の生活リズムにしよう」というだけ。

専門的な心理テストは臨床心理士に投げ、事務作業は医療事務、自分は内科や外科のように専門的に何かを見るわけでもなく、ただ「朝型の生活リズムに」としか言わないので、この世で最も楽な商売の1つは精神科なんじゃないか?というぐらいの不信感を当時は強く抱いた。

というわけで、病院にかかる時には僕には「まともに朝日とともに起きる生活ができない」状態になっていた

極端に寝すぎてしまうか、神経が昂ぶって眠れないかで生活リズムに合うのがコンビニエンスストアしかないので、近所のコンビニのご飯を食べることが当時はとても多かった。

「朝型の生活リズムにしろ」という理由は大きく分けて3つ。

1、躁うつ病以前に健康を取り戻す…躁うつ病が悪化していると精神的な気分の問題にとどまらず、それがイライラであったり、冷静な思考を妨げる頭痛となって現れるため、そもそも不健康なのだ!そのため、よく寝る必要があった。

2、体内時計が戻ると体への負担が減る…コレも「躁うつ病以前に解決すべき問題」の1つで、夜型の生活や不規則な眠りはそれだけで体に負担がかかるため、それを改善しないとそもそも自己管理が難しくなる

実際に自分の例をとっても、家事・読書・運動など頭や体力を使う作業ができるようになったのは朝型のリズムになってからで、夜型のうちは神経が落ち着いていないから「なんとなく手や頭を動かしていたいが、深い考え事はできない」という状態になっていた。(そのため、うつが酷い時期にはブログが書けなくて、Togetterに活動の軸を写していたこともある)

3、朝日がうつを改善するから…朝日を浴びると精神を安定させる脳内物質「セロトニン」が分泌されるため、朝日を浴びるのがなんやかんや言ってとても効果的。

ちなみに、セロトニンが不足するとうつ病にも不眠症にもかかりやすいらしいので、不眠とうつは根っこではつながっているようですね。

とは言え、うつから復活するステップの第1・2段階

医者がまともにしゃべるようになったのは僕が朝型の生活リズムに戻してからなので、朝型の生活リズムに戻らないとろくにリハビリもはじめられないのが躁うつ病らしい。

そして、今のところ体験している躁うつ病からの療養・復帰の過程は睡眠の問題を解決するのはもっとも重要なことだが、第一段階に過ぎない。

躁うつ病から復帰するステップは大きく分けて5つ。

1、通院…病名が発覚して、効果がある抗鬱剤までにかなり時間が掛かる。

2、睡眠・朝型の生活…睡眠が改善してやっと「0からのスタート」です。まともに眠れないままイライラ、物もよく考えられない状態はマイナスです。

3、基礎能力の回復/躁・うつそれぞれの状態に慣れる…躁うつ病になった時に文字を書く、読む、運動するといった各種基礎的能力が落ちているので、生活リズムを戻したら徐々に訓練していきましょう。しばらくは躁・鬱それぞれの状態に振り回されるため、あせらずにゆっくりやりましょう。(世間を基準に置くと病むので「自分のペース」を大事にしましょう)

4、生活習慣の改善/時間や金銭の自己管理…体調がぶれたり、ルーチン通りに動けないと外で働くにしても、在宅で仕事をするにしても安定して労働力を供給することができないので、まずはそのための生活習慣や体力作りをして「躁・うつどちらかにぶれたり、眠れなくても体調が落ち着いている体」を作るようにしよう。…これをやらないまま復帰を焦るとまた戻ってくることになるので、飛ばしがちながら意外と重要な工程

5、職探し/社会復帰/資金繰り…ニートとして一生過ごせて、それでいてお金や友達や出会いのない生活をしていても精神的に健康で過ごせる人は必要ないです。が、たいていの人はそうじゃないので、きっとここで壁にぶち当たるかと思います。

安直に「仕事場にぶち込めば勝手に働く」と乱暴なことを言う人もいますが、人にもよるし、もう一回病んでしまった時にやり直しが効かない場合もあるから、勝算もなく急いで飛び込むのはなるべく避けたほうがいいと思います。(ただし、家庭の事情とかで飛び込まざるを得ない人もいるから難しいところなんだけどね)

興味がある人は色んな人の体験談を読んでみればいいと思うが、「眠れるようになったら、体調が安定したら復帰できる」とお考えの方にはきっちり言っておきたい。

…ケガが治った後に復帰できないプロ野球選手がどれだけいると思ってるんです?松坂とか井川とかメジャー行きまで経験している人でも健康と野球がバリバリこなせる体の間で悩んでいるだから、一般の人でも健康と現役の間で悩む人がいるのは何もおかしなことはないですよね?

…あ、「ケガする奴が悪いんだ」という批判はイチロー並みの自己管理をやってる人間だけが言ってくださいね。

健康管理にストイックだったダルビッシュだって結局は腕を出術しているので、ダルビッシュよりもストイックに管理を徹底しているという自信のおありの方だけどうぞ。

…まさかイチローよりストイックな人がこの世にいるとは思わないけど、冗談が通じない人のために丁寧な説明も書くか。

精神疾患はお金や社会的地位が保証されていて、あるいは特に批判に晒されていない・不幸や確執などがない人でも病む時は病むらしいので、簡単に「病んだ奴が悪い」「俺は病まない」とか言わない方がいいよ…。それは優劣とかいい悪いみたいなYes・Noで割り切れるものでもないので。

不眠とうつ病 (岩波新書)

ちなみに、しっきーくんが読んだ本はこれだそうです。

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