…評判が良かったので、やってみました。
・ゲームの概要
「亡者を捕まえろ。」 そう指示された斬島は怪談の棲む廃校へ――
ゲーム画面はこんな感じ。この一枚でも雰囲気あるねぇ〜

前評判で過度な期待をするのはやめておいたほうがいい
結論から言うと「腐向け」です。
こんな断りをするのは【フリーゲーム好きは男性の割合が多い上に、ゲームの腕についても比較的高めだから獄都事変が合わない人にはとことん合わない】という理由があるため。
特にRPG寄りのフリーゲームファンにはとことん合わない。
なぜなら、ゲームとしては簡単でかつキャラゲーの部類で「システムやギミックで見せるゲームではない」から。
ストーリーについても、ホラー演出もキャラクターが作る空気感もとてもいいんだけど、柱になってるストーリーが弱い。
極めつけは、「腐向け」であるため、男性には共感しづらい感じになっているから余計に「惜しいゲーム」という印象になってしまう。
しかも、賞や商業化など今までのフリーゲームよりも遥かに速いペースで話題になって、プレイする時のハードルが上がっている。
その割にはプレイしない人が「腐向け」だとはわかりにくいゲームになっているため、普通のゲーマーでも手を伸ばして「うーん」というパターンが多い。
まっさらな気持ちで、一ミリも知らない人としてプレイしてたら
「ありそうでない世界観や展開があって、場面が変わるたびにホラーの演出が濃くなっていきドンドン引きこまれていきます。マップを歩き回る臨場感や、ステージが変わってもキャラのテンションがおどろくほど変わらないギャップが素晴らしいです!」
と言えたかもしれない。でも、商業化され、ゲームコンテストの上位受賞クラスのゲームをやると思って期待してやると…【ゲームとしては】足りない。
…雰囲気は好きだけど、ゲームとしてのワキのあまさを配慮すると(腐向けではなく、ゲームとして評価する)僕の立場では評価しづらい。
和風ホラーである事自体がストライク?いや、そうじゃないっしょ!
ここまではゲームとしての評価。
ここからはキャラとして、キャラゲーとしてゲームの雰囲気やキャラの話。
レビューを読んだ限りは「和風ホラーだからいい」とか「旧日本軍っぽい服がいい」という意見が多い。
千本桜かな?

このゲームのキャラは良くも悪くも「人間っぽくない」ところが好き。
余計な人間味や会話が出てこない所がゲームをする上での死亡フラグや、予想外な小ネタ・伏線回収に繋がって面白い。
また、誰一人としてホラー要素を怖がってないし、全員男なのに女子トイレにズカズカ入っていくし、仲間に平然とキレて襲いかかるし、何かしらの幽霊やオカルト現象の主にも平然と話している。
…ホラーだが、キャラ立てメインでホラーぶち壊しな所が面白い!
もちろん、ホラー演出はしっかりしてて、驚くところもある。だけど、それよりもキャラの濃さが勝ち、それでいて仲良くしゃべらないでキャラ同士が並んで好き勝手してるだけ。
腐向け腐向けと言ってるが、積極的にカップリングを連想させる作品ではないところが男性でも見やすい。
男性向けで言えば、東方Projectやガールズ&パンツァーのように
「原作ではそれほどやり取りをしてないけど、そのやり取りを聞いてた人が何かを感じ取って、妄想して、カップリングや性が成立する」
という作品なので、フリーゲームの中では異例の二次創作の多さ、特に腐向けの手書き作品が溢れているゲームでもある。
ただし、マンガ版はコテコテの腐向け!!
最後に、創作論的に「もし男性ゲーマーまたは創作好きなオタクが獄都事変を見るならどう見るのが面白いか」という話を終わりにしたい。
僕に言わせれば、BLは信頼関係、萌えって罪悪感を許すこと。
まず、萌えについては「神道における大祓の人形代」のようなもので、男性自身が穢れだと思ってる性格・愚かさを「でも、美少女なら許せるよね」と押し付けてしまう。
美少女は身代わり人形であり、神様!
アニメに萌えることは男のオタクにとって、ある意味、神事なのだ!
特に顕著なのはライトノベルのヒロインがアニメ化され、ただでさえダメな原作よりもダメダメ感が増した姿。
彼女達はハイスペックなくせに男子中学生みたいな精神・感情表現なのは、男子中学生がダメな男子中学生を見ると頭にくるけど、それを女の子に当てはめると「バカだなぁ〜」にかわいいのニュアンスが入って許せてしまう。
これは男性自身の罪悪感であり、行動が幼い人を見て感じるいらつきを心のどこかで「許したい」 と願った結果として「美少女に当てはめれば」になる。
百合好き男子もそのニュアンスはあって、かわいい女の子同士がいい関係にいるとそれ自体に許しというかありがたみ(穢れを許せる&男が登場しないからますます穢れを感じない快適空間)を楽しんでる。
一方、BLについての発言。
Zガンダムぐらいのヤオイ成分が僕の中ではいいんですよ。顔を合わせた時にはお互いが悪く言い合ってるアムロとシャアが、お互いのことを別の人に聞かれると本音を言わないでかばうという、ああいうのが僕の中で「あーヤオイだ!」なんですよ!!伝わんないかな?
— 三沢文也@こっちは本気で遊んでるんだ! (@tm2501) 2015, 12月 15
僕の中ではBLだからと言ってイチャイチャしてほしくない。
萌えキャラみたく特別愚かでもあることも求めてないない。
お互いのことを信用しあってるから人一倍本音をぶつけあう関係であり、必要以上のことを言わないでその人の前で自由気ままにしてることだと理解してる。
だから、「好き」と表明するよりも、キャラ同士が本音を言い合ってる関係や、実は「相手にはああ言ったけど心の中では尊敬してます」という敬意が見られるような信頼関係自体に、いい意味での「ヤオイや!多分、これのことや」と感じる。
その意味で、獄都事変はキャラ同士の会話が淡々としてたり、執拗にベタベタしてなかったのがいいなぁ…と感じた。
なんでこんなことを言わないといけないかというと、コミカライズされた獄都事変は原作の「信用してる同士だから自分が自由気ままにする以上の言葉をかわさない」という寡黙さが失われているから。
BL的な安っぽいイチャイチャもたくさん入り、寡黙だからこそ設定が明かされなくて、ゲームの展開を面白くしてた設定も簡単に暴露してしまう。
だから、コミカライズされたにはされたが、BLアンソロだと思って読まないときつい本なんだよねぇ…。

でも、試しに読んでみ?獄都事変特有の「しゃべらない良さ」「人間らしくないからキャラに興味が湧く」部分とか、腐りたくなるようなキャラ同士のメンタル的な繋がりとかが無粋なまでに言語化されてて「野暮ったい」と思うから。こんな、ヤオイ力の低い僕でも「やおいってのはな!!」みたいな気分になるから。
しかしさぁ…誰が喜ぶんだよ、オレのヤオイ談義。炎上するだけなんじゃないの?

気になるのはこの服の用法だよねぇ…。
「自分できるの?他人(弟・彼氏・女友達などなど)に着せるの?」
こっち側の事情、さっぱりわかんねーんだよなぁ〜
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女性向け繋がり。こっちは腐女子要素ない。
名作ADV繋がり。これは本当に難しめ。戦闘はともかく、仕掛けはたまにとけない謎もでてくる。