ぼくは書籍としての「ぼくは愛を証明しようと思う」を批評しようと思う。

恋愛工学がいかなるものかという話ばかりがされるので、僕はこの本を書籍としてちゃんと語ってみたいと思います。

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ちなみに、恋愛工学についてだけを知りたい人はほぼ全部恋愛工学を抜き出した上で、オタク男子が使う時の注意事項と、女性陣が恋愛工学・ナンパ師に引っかからないための対策まで網羅した拙作「よくわかる恋愛工学」をお読みください。

【保存版】明日から使える!?よくわかる恋愛工学

 幾重にも張り巡らされた「生理的に受け付けない」を見逃すな!

まず、インターネット歴の長い人なら、本の推薦帯を書いた面々が「はあちゅう」「田端信太郎」「堀江貴文」というネットの胡散臭いヤツ大集合なメンバーという時点で読む気がしないと思います。

帯は重要ですよ?帯で紹介している人が本の属性を表しますからね。

その法則をこの本に当てはめて考えると、みんな知名度だけの中身の無い人…文化人ではなく、人気商売かビジネスの世界の人ばかり。(ましてや恋愛の専門家と言える人は誰一人いない)

この本はどちらかと言えば、ビジネス書またはネットで人気の人を目で追ってるネット民向けの本なのです。本の内容も健全な恋愛どころか、男性がビジネスのごとく淡々と『女性に肉体関係を取り付けることを目的』としている本です。

早い人では「帯」からして生理的に受け付けないメンツ、文面であることに気づき読まないでしょう。

そして、帯を書いたメンツのヤバさにきづけない人でも、冒頭分のこのセリフ回し(吹き出し部分のセリフ)で「ダメだ」と気づくはずだ。

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ぼくは愛を証明しようと思う。/原作 藤沢数希 漫画 井雲くす  より

他には、恋愛指南をするお手本役の男が

「きみの顔、Photoshopで修正してるでしょ」

と女の子にディスるシーンを見て「無理だな」「こんな寒いオヤジギャグで女が落ちるかバーカ」というのがみんな思うことだそうです。

…正直言って、文章でこれだけ強い悪意・嫌悪感を感じたの初めてです。

読み進めるほど、悪意が持病の躁うつ病に訴えかけてきて精神的に壊れました。

だから、人に勧める気には全くならないし、読み始めたとしても冒頭の上記のやり取りを見た時に「読んではいけない」と気づいて欲しい。ましてやアフタヌーンが新人マンガ家のデビューを人質に取ってマンガ化していい本じゃないんです。ホント、アフタヌーンにはがっかりですよ…。

1回でも「生理的に受け付けない」と思った段階で読むのをやめないと、生理的に受け付けないことをエンドレスに聞かされ続けるパート、それをもっともらしく肯定されて思考や精神を汚染されるから、「ダメだ」と思ったらもうそこで読むのをやめろ!

ナンパノウハウだけなら僕が洗脳されにくく「中和」した記事を作ったからそれを読んでもいい。あるいは、恋愛工学自体が理論だけなら海外のナンパ本をベースにした引用なんだからそっちを読んだらいい。

もしドラとマネジメント、ニャル子さんとクトゥルフみたいな「二次創作本」だから、一次創作に当たる原本「ザ・ゲーム」などを読むべきだよ。

ノウハウ本ではなく、小説にしたことで生じた悪魔的なまでの洗脳

この本がノウハウ本ではなく、小説というフォーマットを採用した理由について語りたい。

その文体や手法はわたくし青二才すら「悪魔じみてる」「人間じゃない」と青ざめるほどの文章技術が張り巡らされ、まともに文章を読み書きできる人間を追い詰め、リテラシーがない人間をことごとく選民意識やコンプレックスで洗脳していきます。

ナンパ師特有の歪んだ認識を植え付けられてしまいます。ものや身につけてるもので自分のブランドを装飾しようとする人間でも十二分に気持ち悪いのに、ナンパ師は女をモノ扱いして、やることをやった女の数や社会的地位・美貌で男の序列を決めるというのだから…本当に狂った話です。

こんなの拾ったから、少しだけ引用してみましょう

上の上:千人以上の女とセックス。女優、アイドル、外人モデルなども数えきれないくらいセックスした。女との大切なエピソードをいくつも持っている。もちろん愛するパートナーと家庭もある。精神的に安定している。

上の中:数百人の女とセックス。女優、アイドル、外人モデルなどは何度かはセックスした。女との大切なエピソードもいくつかある。愛するパートナーとの家庭はあったりなかったり。精神的に安定している。恋愛エリート

(略)

下の下:犬。一般人の2割ほどで決して少なくない。このあたりの連中に恨まれるとモテ男は大変。

恋愛プレイヤーというだけで一般人と比べるとはるかにハイクラスなんですよね。一般人に恨まれないようにナンパ師ということは間違っても口に出さないようにしましょう。

参照:恋愛プレイヤー、ナンパ師のランク – またこの恋愛ブログ!?

そのため、この本の文章技術に気づかずに読んでると…とても危険です。

僕が「人間じゃない」とまでいう理由は筆者が文章によって植え付ける選民意識があまりにも強烈で、人によっては「生理的に受け付けない」レベルまで来ているからです

小説の設定からしてもう、選民様選民様してやがる

設定がもう僕には理解できんとです。

主人公は27歳の弁理士の男性。北品川に住むことも、街コンにガツガツ出ることも、物語の途中で六本木に引っ越したり、モテようと決めたらジム通い・サルサダンスを始めるなどの潤沢な資金がある独身貴族のセカンド・チェリーです。

おまけに定時そこそこで帰れるし、オフィスワークだから男女比の偏りも少ないから女性との距離が遠い生活でもないという現実感のない設定です。

…そもそも、その辺の条件がそろってて彼女がいない人間は人として致命的なエラーがあるのでは?と言いたくなる設定です。

それだけでも「恋愛にカネかけすぎな非モテ的発想」だと思えてしょうがないのだが、恋愛が経済的なカーストをひっくり返す、美人な女が合理的に金と権力に群がっていて恋愛工学を使えば、自分だけはその序列をひっくり返せるとか…。

良くもまぁ、こんな「俺TUEEEE」な話をサラサラと、人々を見下しながら書けるなぁ…と言った心境です。

しかも、その攻撃が読者や主人公自身にも及ぶから怖い

理論や設定がめちゃくちゃだけだったり、アメコミテイストのヒーロー活劇なだけなら僕だって文句言いませんよ。

この本が怖いのは「恋愛工学を指南する人が、主人公に幾つかの選民思想を植え付けたり、詭弁で優しさを見せて洗脳する」ことで、あたかも恋愛工学を使うことが女性を愛する上で素晴らしい手段であるかのように演出している。

小説にしたことで、「ノウハウを教える人が嘘をつける(幾つかの真実の中に混ぜ込むことができる)」という質の悪いブラフが幾重にも張り巡らされています。

矛盾ではなく、「自分の行為を納得させる・正当化させる自己欺瞞や、他人に責任を丸投げする選民的な態度」としてね。(また、それを学術的に知識に正当化された言い分として仕込んだりもされてます)

僕は自分がやってるから、相手がどんな毒を仕込もうと見破れますが…疑心暗鬼になりながら、小説を読み続けるのは精神的に疲れました。

僕はめったなことじゃ人様を「人間じゃない」とか「神を冒涜してる」などときつい発言をしません。ですが、今回は…今回だけは「書き手が、リテラシーの低い読み手を洗脳したり、道徳感を無自覚に支配しようとするもの」がいくつか見られたので、キツく批評させていただきました。

それだけ危険な本です。

だから、恋愛工学の理論を抽出・希釈することで、さらに洗脳力がたかい小説をよまぬにする必要もあったし、小説としても構造解析して「読むな、洗脳されるぞ」とキツめに言わせてください。

この本はほんとうに危険です。できれば読まないで欲しいし、読むなら読むで最大限度の自己防衛をしてください。

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