劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』は面白いんだけど、強烈なコレジャナイ感

今、上映中の「名探偵コナン 純黒の悪夢」を見てきた。

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名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア) : 作品情報 – 映画.comより
・概要

名探偵コナンの20作目の作品。

黒の組織によって、各国のスパイを記した機密情報「ノックリスト」が盗まれる。

しかし、ノックリストを盗んだ黒の組織のメンバーは記憶喪失になってしまう。

記憶喪失になった状態で、そのメンバーとコナン・少年探偵団とが出会って…。

 殺人事件を解決しないコナンなんか、アメコミヒーローじゃないか!!

もしかしたら、名探偵コナンの映画の中で、(特にコナンの周りで)事件が起きないのは初めてじゃないかな?

「殺人事件が起こらないコナン」「コナンが犯人を推理しないコナン」は前年に公開された「業火の向日葵」という作品がそれに当たるが、「事件を推理しない・事件自体が起こらない」「犯人を明らかにして推理を明らかにしないコナン」は今回が初。

スパイが人知れず、それも海外で消されてるスパイはいるよ?

でも、コナン自体は殺人事件にも遭遇してないから、今回は犯人を探す描写自体がない。

コナンの推理も「記憶喪失のメンバーの正体」を特定する部分だけ。

でも、コレも灰原は薄々カンづいてるし、ミツヒコが手がかりを見つけた時点で黒の組織のメンバーだと気づくから、「名探偵」なコナンの活躍は限りなく少ない。

だから、推理要素を期待してコナンの映画を見に行く人にはあまりオススメしない。

代わりにアクション要素がすごい。

まず、記憶喪失になったメンバーの運動能力が桁違い。

FBI(と言っても、ほとんど赤井さん)も、日本の公安(これも安室さん)など、バトル要因のキャラが一堂に会するため、アクションとしての見応えはすごいものがある。

そして、そのアクション自体の見応えがあり、お馴染みのオープニングもマンガ調にアレンジを加えてるため、最初の10分だけなら歴代のコナンの中で一番おもしろい!…コナンであることを辞めた面白さだけど、気合入れて作ってる感じは伝わってくる。

でもさ…博士の発明品を活用して悪と戦うコナンってさ…どっちかというと、キャプテン・アメリカや、アイアンマンのたぐいだよね?

スパイダーマンは東映TVシリーズしか見てないから割愛するけど、アメコミって科学の力でパワーアップした正義感あふれるヒーローがなんの関係もない人達をピンチから救う話好きだよね?

コナンってもっと自分勝手な奴というか、口が悪いけど困った人をほっておけない江戸っ子気質なキャラなんだけど…年々、正義のヒーローっぽくなって、個人的には「コレジャナイ感」がしてるのよね…。

今作は昔のコナンとは別のコナンへの進化が一段落ついた作品でもある

ただ、前々からコナンのアクション要素はインフレ化の一途をたどっていた。

特に映画版コナンの監督が、今作の監督でもある静野孔文さんになってからは、アクション色が強くなって、コナンの人間離れが進んだ。

…ちなみに、今回はコナンではなく、記憶喪失になったメンバーが高速道路を逆走するという荒業を披露する。

だけど、コナンくんは「沈黙の15分」という静野孔文さんが劇場版の監督をやった作品のなかでもうやってる。

しかも、スケボーで。高速道路をそれもトンネルの中を逆走してる。

阿笠博士の道具も、コナン自身の使い方もパワーアップの一途をたどっていて、完全にアクション映画として進化している。

でも、以前の作品にあった良さをそぎ落としてアクション要素や、もっとあからさまなお涙頂戴が入るコナン映画は下品に思えて仕方なかった。

特に、昔から名探偵コナンの映画を見てる僕としては、年々蘭と新一のラブ・ストーリー要素が減っていくのは寂しく、コレジャナイ感があった。

だから、静野孔文さんが手がけたコナンは、原点回帰してラブロマンス要素を取り戻した「異次元の狙撃手」を除くと、どれも好きじゃなかった。

でもこの映画では、「異次元の狙撃手」のような「昔ならではのコナン」じゃない良さで映画を面白さで1本分楽しませることに成功していたと思う。

だから、「コナンとしての面白さ」を期待しないで、気楽に見に行く映画としては面白い。

アクションがすごいし、話はホロリと泣けるし…。

…問題は殺人事件がないことと、毛利親子が両方とも空気だから、それは「コナンとして面白いか」と言われると、「コナンをぶっ壊したからこそ面白くなった映画」という実験的スタンスだってことなんだよなぁ…。

 

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