「洗練された雰囲気とはおそらくはこんな店を指すのだろう」
外から待ち合わせしたお店【カサ・デ・フジモリ】を見ながら、僕はそう思った。
いつもなら「まぶしかった」という表現には自分の貧しさ・わびしさ・みじめさを重ねて「光輝くそこにはいけないから、自分にはまぶしすぎる」という意味を重ねる。
しかし、今日は違う。
ゴールデン・ウィークの昼下がりにブログを教えるという名目で、そのお題としてランチをご馳走になる。
しかも、先方は予約できるからと、コース料理を予約してくださった。
今日は当事者としてお店に入れるのだ!この眩しい世界に…。
人を待たせているから、戸惑っている時間も、感慨にひたる暇もない。
予約した先方の名前を確認し、スマホをポケットにしまって入店した。
人生に一度ぐらい、こういう昼下がりがあってもいいよね??
予約したことを告げると、お店の奥の席へと案内された。
程よく薄暗い店内で、静かだが和やかに食事を楽しむいつも僕が行くお店よりも表情にも年齢にも年齢にも余裕が出た客。
いかにもな落ち着いた雰囲気の初老のシェフが客をもてなす。
そんな光景を横目に見ながら、奥の席に待つ女性に声をかける。
「お待たせしました。三沢文也です。」
ほぼぴったりに来た僕と、彼女が手探りに会話を始める。
フワフワしてた…初対面・慣れない目黒・いつも行かない雰囲気の洗練された大人のお店・そこで待ってる女性…ゴールデン・ウィーク最後の土曜日は身の丈に合わないほど優雅だった。優雅だったからこそ、なれるのに時間がかかった。
その時間をも配慮してか、「そろそろ、お料理を」といわれるまで少しばかり間が空き、挨拶をする時間ができた。
料理は、コース料理。
食べてからお店の紹介を書くまでに一週間を置いてしまったが、コースは季節ごとに変わり、それがホームページに掲載されている。
このサービスはブログを書く僕だけでなく、話の種として口コミしたい人にも良いサービスだと思うので、もし気になった人お店に行って「あの料理なんだったかな?」と思うものがあったら是非、ホームページを活用して欲しい。
コースはエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルと、パンから始まる。
そして、前菜・スープ・メイン・ご飯もの・デザートと盛りだくさんに次々と料理が運ばれてくる。
まず、前菜。
分厚く、それでいてふんだんに盛りつけられていて、噛むと少しかたい。
しかし、このかたさこそ分厚さの証で、噛めば噛むほど肉の味がしっかりとする。
安い生ハムは塩気や、水飴のコーティングに逃げるような味がする。
しかし、この生ハムからはそういった「逃げの味」がしない。
脂の甘さ・噛めば噛むほど唾液に混ざる肉の味と、ハム特有の心地よい香り。
頼んでいた生ビールとも合う。
それも、「塩気が合う」のではなく「ハムの香りや肉の味」としっかりマッチしてる。
他の料理も素材の味が生きた料理でありながら少しづつ「僕が知ってるものとは少しづつ違った形」で、出してくれて面白かった。
どれも、口触りがよくフレッシュな料理が多く、食べやすかった。
次はスープとサラダ。
スープはガスパチョ、サラダはアンチョビとアボガド。
印象に残ったのはスペインの冷製野菜スープ「ガスパチョ」。
素材の味からくる「やや苦めなスープ」は、前菜やアボガドのサラダと違ってそれ自体がすごく美味しいわけではない。
しかし、コースとして、色んな料理を食べ進める上では重要なポイントで「今、俺は人間らしい食事をしているんだ」と思い知らされる逸品だった。
いや、作ろうと思えば「野菜とパンとオイルをミキサーにかけるだけ」だから、意外と簡単なんだよ?
作り方:ガスパチョ – Wikipedia
でも、うちはミキサーないし、それどころか洋風の食べ物をそんなに食べないから地味にめんどくさくて食べないのよね…。
さらに、簡単な自炊と男が好きなように外食すると…ガスパチョみたいな食べ物とは無縁になりがち。
最近の食べ物…特に安価で手に入る大衆的な食べ物は塩も油も、うま味も甘みも塩気も強すぎる。
ガスパチョのように食べ合わせを配慮して出される料理は消えたり、値上がりする。
一人で、あるいはお金を気にして安いものばかり食べてると、苦い野菜…いや、野菜自体を避けがちになる。
健康志向を歌う気はないが、繊細なもの・美味しいものを食べるならしっかりと食べるべき箸休めを疎かにしてる。
それを思い出させてくれる1品だった。
…というのも、次に出てくる料理のうちの1品が繊細でやさしい味がして、
「なるほど、コース料理はこんな風につながってるのか」
といい意味での驚きがあったから、やや大層に書いてしまった。
無所属でかつ、転勤族で子どもの頃の友達も地元もないから結婚式に呼ばれないからバブル世代の人に笑われそうだけど、26歳で初めてこういうもの食べた。
しかも、こんなにいいハムで初めての生ハムメロンやったらもう、他のじゃできない。
そんぐらいうまかった。ハムの香りとうま味が引き立つ。
ハムがかためな分、フォークとナイフで一緒に食べるのが手間だけど…これはズルいぐらい美味しい。リッチな食べ物の代名詞の代名詞になるだけのことはある!!
もう一個のマッシュルームのセゴビア風。
料理として一番おもしろかったのはコレだね。
見た目がアヒージョっぽいし、実際にオリーブオイルやにんにくが使われてる所は一緒なんだけど…オリーブオイルで煮込む(揚げる)のがアヒージョで、オリーブオイルとパン粉をかけてオーブンで焼くとセゴビア風。
だから、アヒージョ的なものよりも油っこくなくて、むしろキノコから出たスープのおかげで優しい味がする。
ガスパチョで口直しをしたからこそ、これを食べた時に目を覚めるような驚きがあって、「いいもの食べてるなぁ〜」という気持ちになった。
ちなみに調べるのに、使ったサイトはこの2つ。
洋風料理は言葉がわからない分、食レポには調べる楽しさがあるのがいいね。
作り方(セゴビア風):マッシュルームのセゴビア風
作り方(アヒージョ):えびのアヒージョ
メインはパエリア。
これ、説明する必要ある?
これは期待通りうまい。
みんながよくしってる味。
強いて違うところを挙げるとすると
・海鮮の量が過程とか中途半端な所で食べるそれよりも多くて、ご飯食べてるのか魚介類を食べてるのかわからない。
・ご飯までしっかりと魚介の味が染み、うま味を湛えているから、ご飯食べるのか魚介類を食べてるのかわからない。
・食べ終わった貝殻をツレと一緒に、テーブルの真ん中のツボのような形状の皿に入れていくと、そのツボから溢れてしまうほど絵画いっぱいで、ご飯を食べているか魚介類を食べているのかわからない。
…という感じで、僕が知ってる料理なのに食べたことのないパエリアだよ。
デザートは…4品。それはもう、ほっぺたが落ちそうで落ちそうで…。
(※コーヒーがついてきます)
最高の昼下がりだった。
目黒まで来てよかった!!
うちの中で洋風料理を作らない最大の理由はオリーブオイルを置いてないからなんだよなぁ…。
洋風料理は素材とオリーブさえあれば、意外と簡単におしゃれ料理が作れるんだけど、その基本的な素材を置いてないから、和食か中華に偏るんだよなぁ…。
・関連情報
ちなみに、ディナーの場合、クーポンが使えます。
お店のサイトの中にクーポンがあるので、良かったらどうぞ。
目黒は美味しいお店多いから、ちゃんとしたお店を色々探してみると面白いかも…。
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川崎アゼリアのキリンシティでおごってもらって、「ブログやっててよかった」と幸せを噛み締めた話
ブログ相談をきっかけに女性とおしゃれな所でお食事した時繋がり。ここも料理が斬新で美味しかった。
上の記事も、今回の記事もきっかけはブログ相談。
できれば川崎に来て欲しいけど、今回みたいに少しぐらいなら相談に応じるよ。(遠方の人は首都圏から出ないといけない場所は…交通費払ってね)