野球のシーズンはもちろん、2016年の新人王・ゴールデングラブ賞・ベストナイン・シーズンMVPといった各種表彰もおわった。
そして、終わったからこそ
「順当に評価された選手」
「人気ゆえに過大評価された選手」
「人気では負けてるけど、もっと評価されるべき選手」
「球団が勝てなかったせいで、キチッと評価されてない選手」
が生まれた。
中でも特にこだわりがある4選手にスポットを当てて紹介してみたい。
人気があれば、マニアック版の続編を作るので「この人も取り上げて」という人がいれば、リークしてもらえるととても助かる。
戸柱恭孝

今年、ベイスターズを応援してきた身として、
「結果的に、すごく貢献した捕手なのに、代表にも呼ばれず、新人王候補としてもぱっとせず、…このままじゃ埋もれちまうじゃないか!」
と危機感を抱いたのが、この記事を書く大きなきっかけ。
正直、この人の紹介したさに調べ始め、調べてみるとこのテーマが意外と面白かったから4人厳選したぐらいだ。
では、戸柱恭孝のどこがすごいのか?
報道・ネット問わず言われるのは、「フレーミング技術がすごい」とのこと。
ボール球をストライクと判定させると審判に判定させる技術のことで、12球団でトップクラスにすごいとか。(この分野に至っては、新人でありながら他球団ベテラン捕手を凌ぐほど)
さらに、チーム全体の「暴投」の数を前年度から半分にまで減らすことに貢献。
また、横浜の主要投手であれば、「誰が先発・中継ぎをしても、防御率2.50〜3.50の中に収まる」という安定したリード力。(事実、抑えの山崎康晃以外で、出場数が多い投手は全員その範囲で収まってる)
新人の今永はともかく、前年までチームは低迷しててすごい成績をあげられなかった投手陣をこれだけキチッとリードして試合を作れるのはすごいことだ。
そして、「ひょっとしたら史上初じゃないか?」と思っているのが、「新人捕手がレギュラーに定着して、チーム順位を押し上げた事例は史上初ではないか?」というもの。
試しに、何人か有名な捕手で若くして台頭した主な選手を調べてみた。
阿部慎之助…新人としてマスクを被った。打撃面ではホームラン11本と新人離れした打撃を見せるも、シーズンは投手陣に故障が相次ぎ、前年度日本一のチームが2位に。チーム防御率は1点以上下がる。
古田敦也…野村克也政権1年目に新人としてマスクを被るも、チーム単位では防御率も順位も後退。ただし、個人は高い盗塁阻止率を誇ったことから1年目からゴールデングラブ賞に輝く。
谷繁元信…80試合に出場し、1年間常に一軍をキープするも、第二捕手止まり。チームも前年度4位から最下位へ低迷。
伊東勤…1年目は33試合出場で、正捕手になるまで3年かかっている。また、正捕手1年目も2年連続優勝していたチームが3位に落ち着いてしまう。
城島健司…プロ3年目に正捕手に。前評判もひどく定着に時間がかかっているものの、城島が正捕手になってからはチームは城島と共に4位→3位→1位と成長し、ついには優勝もしてしまう。
…と、僕の時代の人だと、誰を見ても戸柱恭孝みたいなことを成し遂げた人がいない。
そこで、歴代のゴールデングラブ賞受賞者を調べながらさかのぼってみたところ…やっと見つけたのが、この人。
田淵幸一…新人から打てる捕手として活躍。チームの順位こそ前年と同じ2位だったものの、チーム防御率も下げて、ホームランを22本打つという離れ業を披露。
個人成績で言えば、古田・阿部・田淵の方がすごいよ?
しかし、そんな人達でさえ、新人時代から正捕手でかつチームの順位をあげるところまで至ってないのだから、戸柱はひょっとするとすげー選手なんじゃないか? と戦慄してる。
だから、もっと評価されてもいいと思うんだ…。
菊池涼介

でも、同世代・同ポジションに山田哲人という強大なライバルがいるせいで、ベストナインには選ばれてないし、侍ジャパンでも出られたり出られなかったり…。
山田哲人もすごいけど…それに匹敵するぐらいすごいものを菊池涼介も持ってる。
菊池涼介のどこがすごいのか
山田哲人の2年連続トリプル3も前人未到の記録だが…実は菊池涼介も2016年に前人未到の記録を打ち立てている。
それが、「最多安打でかつ、最多犠打」というもの。
これ、日本球界では初の快挙。
よく、野球が好きな人が二番打者について議論すると、
「イチローみたいに打って走れる攻撃的な二番打者こそ最強」論
「川相昌弘や宮本慎也みたいな、バント…必要に応じて出塁・ヒットでキチッとクリーンナップに繋げられる人」論
みたいなのが出ると思うんだが…菊池涼介は両方を1シーズン中にやってのける選手になってしまった。
…いや、元より菊池は3年目にレギュラーに定着してから、最多犠打か、3割以上打つかのどちらかはずっとやり続けてきた優秀な二番打者なんだよ?
しかも、レギュラーに定着してしてからゴールデングラブ賞もずっと取り続けてる。
しかも、ゴールデングラブ賞は人気だけでなく、実力で(エラー数やUZRなどの各指数で)見てもふさわしい成績を出している。
だから、元からすごい人ではあるが…特に今年は、(広角に打ち分けることを覚えての)最多安打で最多犠打でゴールデングラブ賞。
だから、侍ジャパンやベストナインで「山田哲人がいるんだから」とか当たり前に言ってほしくない…。もうちょっとぐらい迷ってほしい。
気持ちはわからなくもないよ?
でも、彼だって「歴史上、こんな選手はいなかった」選手なんだから、もうちょっとそういう扱いしてほしいねぇ〜。
吉田正尚

本音を言えば「最下位とは思えないほど個人成績がすごい野手の多いオリックス」というタイトルで4人(糸井・T岡田・安達・吉田正尚)ほどまとめて紹介したいぐらいだ。
だから、オリックスから1枠設けて紹介することにした。
吉田正尚のどこがすごいのか?
まずは、新人でホームラン10本以上。これはオリックスの新人だけに限って言えば、31年ぶり。4番に座ったオリックスの新人という意味では40年ぶりらしい。
球界全体となると…ホームラン10本は村田修一以来13年ぶり。
しかも、ただ打つだけではなく「打率.293、出塁率.360」と四球も選べる。
さらに、NHKの野球番組「球辞苑」によれば、2016年にインハイ打ちが最もうまかった選手は名だたる選手たちを差し置いての吉田正尚。
なんと、インハイの打率が4割台なので、今後厳しくマークされるようなことがあっても高い成績を収め続けられるのではないか?
そういう意味では、相手からのマークよりもケガせずに1年間プレイし続けるほうがこの人の場合は最も大切というね…。
もしも、ケガせずに1年間このクオリティで戦えてたらオリックスはどうなってたんだろうか(^_^;)
中島卓也
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盗塁王は去年の話だが…今年は今年でまた別の意味ですごい。
中島卓也のどこがすごいのか?
まずは最多犠打。それもパ・リーグ記録に並ぶシーズン62犠打。
これは、この62犠打は、宮本慎也・川相昌弘に次ぐ歴代3位タイ。
で、なおかつ出塁率も3年連続.330を超えているし、塁にさえ出れば、盗塁もある。
しかも、出塁までの過程がすごい。
打者としての長打力がないが、それを補うだけのカット打法でファウルにして粘り、四球やヒットを勝ち取りに行く。
実際、プロ入り後(実はアマチュア時代から含めると人生で)1度も本塁打を打ったことがないのにレギュラーに定着。ホームランはないが、代わりにカット打法・選球眼・犠打・盗塁・守備はどれをとっても一級品!
まさにスモールベースボールの申し子!!
投手をすり減らすタイプの2番打者の完成形態。
そして、守備の面でも「もっと評価されるべき」選手。
今年のゴールデングラブ賞だった今宮健太選手よりもUZRでは差をつけて勝っているほど守備範囲は広い選手。
しかも、高校時代からスローイングがよかったとか。…いや、高校時代から「もっと評価されるべき」だったけど、日ハムしかマークしてなかった隠し玉だったとか。
参照:日本ハム・中島卓也の「6、7年計画」。“非力”な高校時代のスカウト秘話。 – プロ野球 – Number Web – ナンバー
ところが、選手としての能力があまりにもいぶし銀すぎてベストナインにもゴールデングラブ賞にも引っかかっていない。(でも、小久保ジャパンには選出されてるため、ちょっとだけ小久保監督を見直してる。)
この手のタイプの選手は年俸が上がりづらいから…ずっと日本ハムの野球を支えていく人になるんじゃないかな?
糸井や陽岱鋼みたいな華々しい選手は出て行くけど、実は日ハムらしい野球をする上で大事なのは選球眼に優れた田中賢介や、理想の二番打者を体現する中島卓也みたいな選手なんじゃないかな…。
・最後に
続編を作るので、続編に載せてほしい選手がいれば、書いてもらえると嬉しい。
投手で紹介したい選手がそんなにいないのが現状なので、「この投手いいよ」って人を紹介してもらえると嬉しい。
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これは中畑政権の時代の話も書いてるから結構長い記事なんですが…最近ファンになった人に「実は執念の優勝なんだよ?!」ってところを言いたくて書いたやつです