数字でわかるビジネスとしてのディズニーランドの優秀さ

 

すご~くダメな記事を見つけた。

USJ入場者5.0%増、ディズニーは微減 二大パークが明暗 – 産経WEST

「明暗」だと!?
入場客が0.6%減ったぐらいで、ディズニーが「暗」で、USJが「明」だと!?

冗談じゃない!!
ディズニーランドこそ、ビジネスの理想形と言っても過言ではないのに…。
いや、むしろ「ディズニーランドこそ、日本の多くの企業がぶち当たってしまってる壁を越え続けている会社」として評価されるべきだと思うのだが…。

入園者数は要所要所で増えればいいのです…。

実はディズニーランドの入園者数は、5年の一度ぐらいは激増する。

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入園者数と単価 | 株式会社オリエンタルランド

開演○周年の時にドサッと増やえる。
でも、それ以外の時は景気に左右されたり、値上げに踏み切った関係で入場者数が伸びていない年も珍しいことじゃない。

それに…ディズニーリゾートが持っているレジャーランド市場のシェア率は40~50%

金額ベースでの40~50%もさることながら、入園者数でも他の追随を許さない。

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市場環境 |株式会社オリエンタルランド

前年度-3.8%だった2015年でさえ、USJの倍以上。

2~5位が束になっても、ディズニーの方が1.5倍近く多い。

…だから、USJの人数が、たかだか5%増えたぐらいで「明暗」とか言っちゃダメ!
ディズニーは本気で入園者数を増やしに行けば、10%前後ぐらい増やすのだから…。

…じゃあ、お客さんを増やしてない間は何をしているか??
入場料や客単価を値上げして、たまにキャストにも還元している。そこが肝なのに…。

開園当初は3900円で入園できた時代もあったが…。

ディズニーランドの入園料金の推移をまとめたサイトによると…1983年に入園した時には3900円で入園できたそうな。

その後、5年に1度ぐらいのペースで値上げ、間に増税があったら税金分を値上げ。

2016年には7400円に。

先程も触れたが、「○周年」だけは集客週数重視。
その年は意図的に値上げは避け、その前後に増えたお客さんの分を値上げして混雑しすぎないように調整してる。

特に、近年の…「レジャーランドといえば、ディズニー」という状況になった近年の値上げは凄まじく、時期別に値上げ率を比較した図によるとこうなっている。

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東京ディズニーリゾート 値上げの歴史と推移 | ろじねこ生活 

消費者からしたらたまったもんじゃないけど…ビジネスとしては理想的!!

値上げしながらビジネスをキープしていくのはすごく難しい!!

電車の運賃や、荷物の配送費、アニメーターの単価など「値上げに失敗したせいで、時間とともにビジネスが成り立たなくなった仕事」はゴマンとある中で、レジャーランドはトップランナーであるディズニーが率先して値上げしている。

レジャーランドは経営する人もリスキーだし、現場で働く人も大変な仕事だけど、仕事として成り立つだけの料金設定を常に考えてるからこそ、成り立ってる。

でも、これを見るとこんな心配をする人も出てくると思う。

「そんなに値上げしたら、お客さんもケチケチして、お土産を買わなかったり、食べ物の落ち込みが横行してしまうのでは?」

…むしろ、逆なんです!こちらをご覧ください。

経済学者もびっくり!?計画的で緩やかにリフレしていく客単価!!

親会社のオリエンタルランドは客単価についてのグラフも作っています。以下のグラフは10年分の客単価の推移です。

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入園者数と単価 | 株式会社オリエンタルランド

これは、ディズニーランドの一人あたりの客単価。

ここ10年については、緩やかで確実に、客単価が上がっている。

それも、「インフレ」というほど激しいものではなく、程よいインフレ…つまり、リフレーションをキープしながら上がってる。

しかも、オリエンタルランドさんは太っ腹にも開演時からのデータを公開していて、一部上場した96年からは数字付きで公開している。

ディズニーランドは入場料の値上げばかりに目が行きがちだが、開演からの数字で見ると商品や飲食でも単価が上がるように努力していることもわかる。

オリエンタルランドにここ6年の数字があったので、それを載せておきたい。

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セグメント情報 | 業績・財務情報 | 株式会社オリエンタルランド

 これは、自分で値段を決めてお仕事をしてみるとわかるんだけど…自分が

「このぐらいだったら払えるだろう」

と思って決めた値段でも、定着するお客さんは

「それぐらいだったららくらく払えるし、むしろ安いです」

といってくれる人だ。

自分の場合は、ブログ教えるからメシおごって!! と題して

「お金かかっても悪いからランチ代と、ブログのことを話す喫茶代で2000円ぐらい出してくれたらいいよ。」

といって言って、ブログを教えたり、会って話したり、街を案内したり…そういうことをしている。

でも、ディナーどころか丸一日分のご飯代、はしご酒までさせていただけるような人の方がリピートしてくれたり、関係が続いている。

稼いだお金で教育と待遇改善。いいお客さんを相手にするからこそ高みを目指す!!

「なら、商売は単価を上げたもん勝ちじゃないか!」

と思うかもしれないが…そんな単純な話でもない。

支払いが気前がいい人ほど高いレベルを望み、それ以前にお客さんが多いから「裏切るようなことはできない」という責任感が働く。

信頼関係で繋がり合ってる関係である以上は、こちらも勉強し続けてこそ関係が続く。

こんなことディズニーはとっくの昔に気づいてる。

気づいているからこそ、ディズニーランドのキャストたちの研修が充実しているのは有名な話。

キャストの人数は東京ディズニーリゾート全体で2万人以上いると言われているし、キャストが若くて学生もいる関係から入れ替わりも激しいと言われる。
それでも、ディズニーランドに行けば、30年以上一貫してディズニーランドであり続けるのは研修がしっかりしてて、なおかつ自分たちの理論を持ち合わせているからだろう。

最近、次のようなディズニーの人材教育・企業文化についての本がいくつも出ているが、これはビジネスとしてのディズニーが評価されている証なのだろう…。

ただ、ダメな日本企業の影響を受けすぎた人・世の中の悪い人を知ってる人なら、こんな疑問を抱くだろう。

「研修と言う名の調教、やりがいをぶら下げた搾取が横行しているご時世で、教育の充実とか言われても、押し付けがましさを感じる」

…昔のことは知らない。でも、ここ最近のディズニーに限って言えば、そうでもない。

特に、2017年のディズニーはすごく頑張ってる。

それは、「キャストに鞭打って、無理なサービスをしている」なんて意味ではなく、むしろ待遇改善を頑張ってる。

非正規2万人を組合員にしたり、

オリエンタルランド、非正規2万人を組合員に 人手確保 :日本経済新聞

基本給以外の「調整給」と言う形で賃上げして、なおかつ深夜や忙しい時間はさらに時給が高くなったりするため…時給の基本給こそ1000円だが、時間や専門性次第では、時給が上がる仕組みを取り入れてる。

お知らせ | 東京ディズニーリゾート キャスティングセンター

オリエンタルランドは自分たちのビジネスモデルを1枚の図にしている。

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OLCの強みとビジネスモデル 株式会社オリエンタルランド

「夢の国」なんて呼ばれているが、とことん現実的に数字として形として具現化している。

調べれば調べるほど、夢みたいなこと言ってるのは、現実的だと言い張ってる人の方達のほうであって、夢の国と言ってテーマパークやってるオリエンタルランドの方が夢を形にして実現している。

数字を見れば見るほど…それも売上だけではなく待遇改善に行ってることまで含めて、夢と感動と安らぎをいただけた気がします。

 
 大学生リア充6人組っぽいメンバーの中になぜか俺がいてでオフ会をした時に行ってから、一度も行ってないなぁ…。

諸々の手違いから半袖シャツで、ディズニー内で5000円ぐらいするコース料理を食べる羽目になって、それが死ぬほどうまかったけど、こんな格好で来ちゃったことに申し訳なくなったのが一番最近のディズニーの思い出。

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