毎週恒例のバチェラー感想シリーズもついに、5回目です。
(5,6話)バチェラーから学ぶ「金持ち男がロリコン化する」理由
(7話)男は表面的にはサディスト。でも潜在的にはマゾヒスト
(8話)メンヘラ気質の女を男たちが選んでしまう理由
(9話)いい人が恋愛に向かない理由は、いい人にはハラハラさせられないから。
・そもそもバチェラーとはなんぞ??
バチェラーと呼ばれる男性一人が、花嫁候補の女性25人の中から、毎週1~3人を削ぎ落としながら、最終的に一人を選び出す恋愛リアリティ番組。
…最初は成金社長の男一人にドレスの女25人が群がるため、下卑たキャバクラか、できの悪い大奥みたいに見えるのですが…次第に人数が減って友情や愛情が芽生えてくると金のかかった「あいのり」ような番組になっていきます。
あいのりと違うのは、うなるほどお金があるAmazonが手がけているため、いちいちかっこいいところに出かけたり、泊まったりして、恋愛だけではなく、旅行番組としても優秀なところ。
アマゾンプライム会員なら見放題なので、見たい人はアマゾンプライム会員になって御覧ください。
番組リンク:バチェラー・ジャパン
今回はデートの日々も最後…ということで、回想や思い出話をしながら、バチェラーの部屋で、くつろいでデート。
女の子同士の揉め事も少ないマイルドな回。
それでも、一人は脱落してしまう…。
それも、ここまで「うまくやってた」人が脱落してしまう。
ここまで来ると、試されるのは「恋」ではなく「愛」
すごく雑に言うと、恋は征服願望で、愛は変身願望だ。
相手にもっと見てほしいと思ってるうちは恋で、変身している状況を楽しんでいる(戸惑っている自分に気づく)状況が愛。
バチェラーみたいな企画の場合は特殊だけど、一般的な恋愛だと
「えっちに誘う・乗っかることに駆け引きが要らない距離感」
までを恋、それより向こう側が愛という理解でいい。
肉体的に一線を超えると、絶対に意識するから…。
特に、感受性の強く性欲が衝動になる男性の場合は、心で平静を保とうとしても、体が思いっきりその人のことしか考えなくなるから、体の変化ゆえに今までと同じではいられなくなるから…。*1
ただ、結婚して子ども作っても離婚する人もいるし、バチェラーみたいな事情があって明確な行為で恋愛と愛情の境界線が引けない時もある。
その場合は、なにが基準かというと…
「一緒にいて疲れないこと」
「頑張らなくても一緒にいられること」
になる。
…これは自分の恋愛体験でもある。と同時に、昔交際関係を作っている最中の友達に「頑張れ」といったら、
「いや、もうがんばらなくていいかも」
と言われたことがきっかけでもある。
彼に言わせると、駆け引きをしなくてもいい距離感を掴んだらがんばらなくてもいいらしい。
いや、むしろ、がんばろうとすることで、自滅してしまうことさえあるのだという。
現代人…は全員が学校教育を受けてるせいで…
・理由のないことを考えたり、
・法則に当てはめようとしたり
・効用(価値や効果)が最適解/最大化させようとする
クセがついている。けど…これは、愛の世界ではむしろ弱点になる。
駆け引きしなくても良くなる…弱い部分/ダメな部分を見せてもそれを笑い合える…そういう相手と一緒にいないと、人間なんて疲れてしまうから。
恋なんて覚めるし、覚めた後一緒にいられる人は、すごく配慮とホスピタリティを積み上げないと一緒にいられないような人だと困るから…。
それは「相手を許して上げる必要がある」という意味でもあるが、殆どの人はそっちではない。
「自分の中で疲れるまで準備やアピールをしないと相手の前に出られない」
「相手に対してパーフェクトな対応をできてないせいで、安心できない」
「相手に認められている事自体がしんどく、申し訳なくなって逃げ出したい」
といった、自分自身の問題と折り合いがつけられず、自省的な思考で自滅してしまう人のほうが多い。
その原因は過去の失恋、親との確執などコンプレックスや失敗経験がある人ほどこういうふうになる。
失敗を恐れたり、完璧にやらないと文句を言われる環境にいると、ついつい神経質になってしまったり、相手が「いいよ」と言ってても自分で腑に落ちないと安心できなかったりする。
しかも恋愛に対してコンプレックスや失敗したくない気持ちが働くのは、失敗した経験をした人に偏るため、ただでさえ不利な年長者に働いてしまう。
偏見やコンプレックスがない子の方が恋愛向いてる=若い子
実際、バチェラーから選ばれている子は若い子が多い。
あまりにも顕著なので、バチェラー自身がSPAの取材に応じて釈明している。
ハイスペ男がアラサーにダメ出し?!30代女性を切ったワケは…【バチェラージャパン久保氏激白】 | 女子SPA!
この記事でも指摘されていることだけど、恋愛に対して回りくどくなったり、保守的な人が年配者には多くなる。
その点、「若い子の方がストレートに来てくれるからやりやすかった」という話もしている。
…そりゃそうだ。若いうちの恋愛の方が考える事が少ない。
まだやり直せるし、コンプレックスやトラウマになる経験、喧嘩の種になりそうな偏見やめんどくさいポリシーも持ってないから。
歳を取ると崖っぷち感もでるし、相手の事情、自分の限界に気づいている分だけ色々考える。
考える事自体はしょうがないと思うが…それが、相手を見ようとすることよりも、自分の中で納得すること、満足すること、考えたように行くこと、後から失敗にならないようにすること…など、自分のための納得を求めるから自滅する。
だから、考えすぎているスイッチを切ったり、自分の嫌なところに対してどこかメタに「今、俺怒ってるんだ…」ぐらいに思っても、ヘラヘラ受け流すか、ネタにしてやり過ごす力が「色々見えてしまった後の恋愛」では必要になってくる。
バチェラー目線で見ると、そういう「恋・愛」を一緒に育む相手を探そうとしていて、その結果として
「本当になにも考えてなくて、無邪気な人」
「意図的に一途なのではなく、本当に依存ゆえに見えてない人」
を引き当ててる部分もあると思う。
…いや、いつもならそのことを理由に「バチェラーがまともな人間ならそういうバカな子とは付き合わない」と言って、蒼川愛さんという番組きっての才女を推す。
島根出身で地下アイドルも経験して早稲田大学に進学して、ビジュアルが完全に男好みのおっとり系…というすごい経歴とセンスを持ってる蒼川愛さんが女性から見ると「男ウケのいい女」にしか見えないかもしれないが、理系や理屈っぽい男性には完璧すぎるスペックの彼女を、理系出身で東大大学院を出ている久保さんなら選ぶだろう…と。
でも、今週見て初めて「もしかして、蒼川さん選ばれないかも」と少し気持ちが揺らぎ、むしろ本当の意味で何も考えてない(言葉に含みがない)わかりやすい女性を選ぶんじゃないか?と思えている。
…というのも、理屈っぽい男性は「話が合うぐらい頭のいい論理的な女性」を好む側面もあるけど、同時に「難しく考えてない女性が言う突拍子もないけど、核心をついている言葉」にも弱い。(考えて考えてたどり着けることではないから)
…本当に親しくならないと、核心をついた言葉って早々聞けないんだけど…そういうことができる同性の友達をあまり見かけない分、「思考や表現のシンプルさこそ逆に女性の魅力なのではないか?」と。
…とはいえ、こんなの受け手次第だし、若さゆえの特権だから狙ってはできない。
頭がいい人や失敗や落とし穴に気づいた年配者は、考える事が増えた上で、敢えてヘラヘラしてる・考えないぐらいにはコンプレックスを克服するのが、正攻法。
それができない人は相手との恋愛ではなく、自意識や美意識の問題で自滅してしまう。
…最後の最後で、元カレとの失恋の話を持ち出したり、もう愛し合っている状態なのにまだ自分を見てほしいといった、彼女のコンプレックスと自意識…それが脱落した原因。
歳が近いから気持ちはすごくわかるし、自分も同じような失敗をしたことがあるけど…相手といる時に、「あなたのことを考えていると、違う自分になれている」という状態になれてないなら…そこで差がついてしまうんだろうなぁ…。
LOVE理論という恋愛本でも、最後の最後はテクニックや肩書、鎧を脱ぎ捨てることを推奨してる。
最初からありのままの自分では恋はできないが、ありのままの自分が見せられない相手から本当の自分が愛されるわけもないし、愛される以前に見てもらえてもないわけです…。
*1:男性には女性のように周期的な生理はないけど、こういう衝動の存在をエゴみたいに言われがちなところは、時々辛い。