ざっくりと正しいことを抑えておくのに最適な書籍…という意味ではインベスターZはけっこう有能だと思う。
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説教臭いし、ストーリーを正当化するために、細部で矛盾や整合性の取れていない感じがするからフィクションとしての面白さみたいなものを期待しながら読むとがっかりする所も多い。
でも、投資の話を中心に巻数が増えるにつれて、経済史や為替、不動産や保険など色んなものを浅く広く扱ってくれるため、
「投資や経済に興味があるんだけど、何から読めばいいかわからない」
という人に対して、雑に
「インベスターZでも読んでおけばいいんじゃないですか??」
といえる本である。
でも、インベスターZをドヤ顔で勧める人にはなりたくない
できることなら、ラーメン屋とか喫茶店とか…CoCo壱番屋にでも置いてほしい種類のマンガ。
そういう意味も込めて、僕はこの本を「経済学版の美味しんぼ」と呼んでる。
もうちょっと皮肉を込めて「講談社の美味しんぼ」と呼んだほうがいいかな?
呼び方はなんだっていいんだけど、要するに
・マンガというフォーマットで入門書っぽく知識を手ほどきして、
・入門書のふりをしながら、高齢でなおかつ自分なりの取材を重ねた作者がその都度人から聞いた話を、自分の知識であるかのようにアレコレ偉そうに説教する。
・しかも、高圧的にアレコレ書けば書くほど、マンガとしてのエンタメ性が削ぎ落とされて、キャラのセリフや主張に矛盾、テンポの悪さが出てくる。
そういうマンガ。
これが、同作者の出世作であるドラゴン桜の頃には、テーマやキャラに一貫性があったんだけど…インベスターZは、「なんかの販促マンガではないか?」と感じるほどテーマが目まぐるしく変わるし、キャラクターも安定しない。
だから、
・マンガとしての面白さを期待して読むなら、あまりおすすめできない。
・投資本としての知識だけを吸収したいなら、説教臭くてしんどい。
・説教臭い割に、得る知識が断片的で、基本的なところだけ。
なので、ドヤ顔で人に勧めると、周りから「お前なんか変わったな(´ε` )」と言われちゃうタイプの本。
入門書としてはいいんだけど、入門書の内容を前のめりになって受け入れさせるために、半ば自己啓発的な内容も含んでいるから、読んでわかった気になって話さずに、雑に「インベスターZでも読めば良いんじゃないっすか(´ε` )」ぐらいにとどめておきたい本。
…どうでもいいけど、この顔文字好き→(´ε` )
浅く広いからこそ、自分にフィットしたものが見つかる本…でもある。
この本を読んで僕が刺さった部分は他の人から見るとけっこう変わっていると思う。
1つは、マンガの後半部分の個人事業主の話や、最新刊の事業継承の話。
僕は今、個人ブログをしていて、その収入を得る手段として、ブログを人に教えたり、教えた人同士のグループを統括したりしてる。
ブログを教える際、一般的には「サロン」と言って、受講者を増やす戦略を取るのが一般的だが、僕はこの拡大路線を取ってない。
…というのも、僕のところに集まってくる人は僕より優秀だし、自主性もあるから、僕を経由しないほうが行動が早くて、良いものを作るから。
…僕は基本を教えるだけ。
基本を教えたら、後はその基本をどこでやるかっていうだけ。
商売上の理由で、いい常連さんにはたまに声をかけてるけど、あくまでも「たまに」で、いつもではない。
拡大しない商売みたいなものをポピュラーなところでは扱わないため、自分の仕事のやり方が「寄り合いとしては良いんだけど、ビジネスとしては失敗ではないか?」とか思ってたんだけど…そういうやり方もアリなことを、インベスターZの中で知った。
…「ビジネスを成長させるデメリット」を知ったことで、自分のやり方もアリなんだと思えるようになった。
もう1つが、為替取引の基本的なこと。
これは仮想通貨を扱いだしてから、仮想通貨のチャートを見るようになって、テクニカルなことがてんでわかってない僕にとっては基礎をちらっと触れてくれるだけでも勉強になった。
それがなくても、取引自体はできるけど、その基礎知識があることで数字に根拠をもったり、明確な予想ができるようになったため、大変ありがたかった。(そのぐらい勉強しておけというツッコミは禁止。まさか自分がそれをやると思ってなかったから…。)
…というかね、ビジネスってむしろなーなーでもできるんです。
お金ってなーなーでも扱えるっちゃあ使えるんです。資格で制限されてるでもなし…。
でも、ちょっと自分なりに試行錯誤した後でこそ、インベスターZみたいな入門書って読むと役に立つ!!
自分なりにやってみて「なんか足りない」「しっくりこない」を書籍の知識が埋めてくれることがあるから、バカにはできない。
インベスターZのいいところは、浅いけど、広いこと。
広いからこそ、自分が知らなかったことや、世の中ではあんまり扱われてないこと、今更人に聞きづらいこともやってくれる。
経済のこと、お金のこと、仕事のこと…なんかがんばってるなら、なんか好奇心があるなら1つぐらいはインベスターZの中に面白さを見つけられると思う。
説教臭く断言したり、うんちくたれたりする本だけど、そこを敢えて冷めた目で読んで、自分なりにオモシロイと思ったところだけきちっと抑えていく。
そういう読み方で楽しんでほしい。