普段読んでいるブロガーさんが、マンガを出していてそれが思いのほか思いのほかだったから紹介していきます。
・概要
やたらと料理のうまくて筆が早いマンガ家アシスタントと、やたらと筆が遅い売れっ子マンガ家が仕事を振ってくれない&追い詰められすぎてぶっ壊れてしまうから、本格的な料理を作ってねぎらったり暇をつぶしたりしている風景をマンガにしたもの。
若干の萌え(?)化、フィクション化はしているものの、ほぼ作者の実体験に基いているであろう内容。
グルメや料理のマンガなのに、マンガの知識や理系的で哲学的な雑学が多くて、読みながら色んな脳みそが使えるマンガ。
シュールにご注意
まだ読んでない人に対して、まず一言言わせて。
表紙に騙されるな!表紙はフェイクだ!
…だってだ!
あんなに「有り体のどこにでもあるグルメマンガですよ」という感じの表紙を書いておきながら…中表紙はこれだもん。
見てくださいよ!
この萌えとか、平穏な食事風景とかそんなもんかなぐり捨てたようなスタイル!!
生半可な覚悟で読んだら、やられますよ!
1巻は乗り切れるかもしれないけど、1巻後半~2巻にかけて段々とシュールで難解になっていくのだから、そこをキチッと楽しめる人が読まないと、真の意味でこのマンガを楽しむことなんかできんのです!
ご飯の話だけ読みたいなら、作者の料理ブログ「パル」を読めばいいんです。
「パル」もパルでシュールだけど、パルはシュールなノリがわかんなくても読める普通(?)の「男の料理」ブログだから、料理の知識だけを読みたいような人はパル読んどけばいいんです。
料理だけだったら、だいたいブログに載っているものと一緒ですから…。
それをマンガ表現に落とし込んだ時にすごいことは3つあって、
1、巷にあふれているグルメマンガは食べて感想言うことがメインだけど、このマンガは料理がメインだから、とてもユニーク。
2、ましてや、「健康なんてかなぐり捨てた男の料理」をマンガにする人ってあんまりいないから、すごく斬新。
3、ブログでは小ネタ程度で読み飛ばされそうなシュールなノリが、マンガ表現という無限にハッタリがかませる「宇宙」の中でシュールを飛ばすから、シュールがスケールアップする。
という形で、作者がパワーアップしてます。
作者がマンガ家を「現代の魔法使い」と定義している意味
この表現はこの作者の魅力と、マンガ家の不安定さをよく表したいい言葉だと思うので紹介させてください。
魔法使いと言うと、ゲームの中では、だいたい
「レベルが上がらないと使えないけど、レベルが上ってしまうと最強キャラ」
みたいな位置づけになりがちです。
これってマンガ家にも同じことが言えて、
・知識がない
・絵がヘタクソ
・知名度が低い
と三拍子揃ってしまうと、魔法なんか使えても大したことないのです…。
でも、マンガ家も
・売れっ子になる
・恐ろしく絵がうまくなる
・歳を取って雑学や表現力が上がる
と強くなって、実体験を実体験以上に面白くマンガに仕立てることができる人達だとこの漫画を見てて感じました。
ブログと並行したマンガのため、ブログでやっていることがマンガだとどのようにメタファライズ、イラスト化されて描かれるかがしっかり伝わってくるところがこの漫画の面白さの1つだと思います。
だからこそ、料理メインのマンガでありながら、
・料理をする前の前座のトークシーン
・SFじみた新キャラクターの上場
・何気なく起こっている怪奇現象
もキチッと読んでほしい。そこに実話をフィクションにする面白さや、マンガ家が使ってる「魔法」が組み込まれているから。
だから、今回は敢えて料理の話は控えめにしてます。
…言葉で言ってもアレなので、「メシマンガの前座トークでこのシュールさはなかなか」というシーンを1つ抜粋してみましょう。
なんでしょう…。
このギャグでも萌えでも教訓でもいい話でさえないけど、「わかる」「消えましょう」と言いたくなるこの不思議なワンシーン。
難しいことや説明はない。
でも、婉曲的にグサグサと刺さってくるようなシュールさ、奇抜さが出てくるから、このマンガは、ネタを知っていても、マンガとしての表現力で読んでいられる。
他のマンガとの違いを如実に表現したシーンというと…こちらの下着シーンも検証してみると面白いかも。
一周廻って、こういう感じで下着になるマンガが読みたかったんです。
男に媚びてとか、かわいくなりたいとかそんな理由じゃなくて、
「熱いから周りがどうこう言おうと下着にでもなんなきゃやってらんない」
ぐらいのお色気感が全くなく、むしろ生活感丸出しな下着シーンが逆にいいなぁ~と思うのです。
そして、下着で無視されがちだけど、室内にドローンが飛んでる、日常ではありえないSFじみたネタをさり気なく入れてくるのも、このマンガが他の作品と一線を画していていいですね。
地味で小ネタなシュールさでは物足りない人は、作者が全力でシュールをやってるこのマンガなんかがおすすめ。
ねぎ姉さん : 【ニートの歩き方・たのしい販促まんが】
2巻以降は徐々にこのノリへと近づいていくので、ねぎ姉さんから作者のことを知ってる人は、徐々に楽しくなってくると思われます。
料理マンガとしても斬新なんですよ?
マンガの7割ぐらいは料理シーンなんですよ?
それでも、残り3割のシュールがキチッとしてるから、読み進めるほど癖になるところをもっと多くの人に楽しんでもらいたい。
売れそうなジャンルで、ありふれたジャンルだから参戦しているのではなく、作者は元々料理もやってて、それでいてブログでも書けることをフィクションにアレンジし直すと、それはそれで別の面白さが引き出せる人だと知って読むと、ますます楽しめるから、敢えて「真髄」を語りたいのです。